暮らしの“間”を変えていく「スマートホーム」とは\

Chamber 27
2018.11.13

暮らしの“間”を変えていく「スマートホーム」とは
人間の空間・時間・行間に、新しい体験価値を

2018年10月、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社から、生活空間の新しい体験価値を提供する新サービスがリリースされました。その名は「MANOMA(マノマ)」。従来のスマートホームサービスで提供されてきた「セキュリティサービス」「オートメーションサービス」に加えて、「ニューライフスタイル」を提案するという同サービスは、ユーザーにどんな価値をもたらし、さらにその先にどんな暮らしの未来を形作っていくのでしょうか。本プロジェクトを立ち上げ、開発をリードしてきた同社IoT事業部門スマートホームサービス部部長の木村真也が語ります。

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木村 真也 | SHINYA KIMURA
ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社 IoT事業部門スマートホームサービス部 部長

従来のスマートホームサービスとは一線を画す新しいサービスを。

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――MANOMAとは、どういったサービスなのでしょうか。

「MANOMAは、広い視点で見るといわゆる『スマートホームサービス』の領域ではあるのですが、実は、私たちはあえてそう打ち出していないんです。
既存のスマートホームサービスでは、例えば、家の中を遠隔で監視して安全を守る『セキュリティサービス』や、家の外からでも家電をコントロールできる『オートメーションサービス』が提供されてきました。これら二つが満たされていれば、今、世の中的にはスマートホームだよねという認識になっていると思います。でもMANOMAは、それら既存のスマートホームサービスとはいくつかの決定的な違いを持っているんです」

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プライバシーレンズカバーや人感センサーを搭載し、インテリアに馴染むようデザインされた室内コミュニケーションカメラ

――どういった点が異なるのでしょうか。

「三つの点で違いがあると思っています。まず一つ目が、『デザインへのこだわり』です。ソニーが提供する新しいサービスですから、デザインには徹底的にこだわりました。社内のデザイナーとともに『MANOMAとしていかに空間に馴染み、溶け込むか』ということを意識して、ハードウェア自体が主張し過ぎないこと、そして人に寄り添う存在になることを目指しました。

二つ目が『コミュニケーションを生むサービスであること』です。例えば、セキュリティサービスでいうと家族を見守るもの、言い換えれば“監視サービス”という印象が強いと思うんです。でも、『家族といえども監視されたくない』というお客様もいますし、そこには心理的な障壁が発生してしまいます。そこで、一方的に監視するのではなく、MANOMAがあることで家族間コミュニケーションが生まれるということを目指しました。これによって、サービス利用に対する心理的な障壁を下げていく。これは、システムやUXで工夫を施しています。例えば、家族の帰宅通知を機に映像と音声コミュニケーションによる自然な会話が始まるような仕組みを作り、外出中の利用者があたかも家にいるかのような安心感を与えることができます。

そして三つ目が、『ニューライフスタイル』です。従来のスマートホームサービスで提供されていた『セキュリティサービス』と『オートメーションサービス』については、もちろん高いレベルで実現していくのですが、これらに加えてMANOMAがあるからこそ可能になる新しいライフスタイルを提案していきます。この三つ目が従来のサービスとは決定的な違いであり、私たちが特に力を入れている部分でもあるんです」

普段の生活空間に、溶け込む。 そこから、新しいライフスタイルが広がっていく。

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――「ニューライフスタイル」について詳しくお聞かせいただけますか。

「MANOMAは、日々の暮らしの中で発生する様々な手間を省いて、『時間と空間に縛られない新しいライフスタイル』を提供していきます。例えば、家事代行やハウスクリーニングなど、家の中に入り込んでサービスを提供する事業者さんが増えてきていますよね。私自身もこういった生活支援サービスを利用したことがあるんですが、『知らない人を家の中に入れたくない』という気持ちがあったり、『サービス利用中も不安だからずっと家にいて見ていなくてはいけない』と思ってしまったり……。そんな心理的な障壁を解消したいと考えています。

具体的に言うと、不在時でもリモート操作でセキュアに鍵を解錠できて、生活支援サービスを受け入れることができます。また、室内コミュニケーションカメラのリアルタイム映像で室内の様子を確認したり、サービス業者の方に話しかけたりすることも可能になります。ユーザーは安心してサービスを受けられるから、時間にも空間にも縛られることなく、自分の好きなことに時間を使えるようになる。MANOMAが起点になって、今まで実現できなかった新しいライフスタイルを実現していくのです」

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スマートホームハブ機能に加え、Amazon Alexaを搭載したAIホームゲートウェイ

――サービス事業者にとってはどんなメリットがあるのでしょうか。

「家の中に入ってサービスを提供する業者さんとしては、今は鍵をユーザーから預かっていることが多いんです。ユーザーが家にいない時に、預かった鍵を使って家に入り、サービスを提供することになるのですが、鍵を預かるのは非常にコストがかかるんです。紛失のリスクもあり管理が大変で、できることなら預かりたくないというのが実情のようです。でもMANOMAがあれば、管理も不要になるので、その手間を省くことが可能になります」

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Qrio Lockで自宅玄関をオートロック化。不在時でも遠隔で鍵の解施錠が可能

――具体的にはどんなサービス事業者と取り組みを進めているのですか。

「現在、家事代行、ハウスクリーニング、ペットサービス、宅食サービス、介護、セキュリティといったサービス事業者さんと連携して取り組みを進めています。
ライフスタイルってハードウェアによって実現されるものではなく、体験することによって生まれる価値だと思うんです。私たちには、『ユーザーのライフスタイルを変えたい』という強い想いがあります。でもそれはソニーだけではできない領域なので、今後も様々なサービス事業者さんと組んで実現していこうとしています。例えば、教育や保育などの分野もそう。共働きの家庭で子どもが一人で留守番している時に学童保育や家庭教師を頼むということもあるはずですから。特定のターゲットに絞るのではなく、幅広いターゲットに合わせて、もっともっと多種多様なサービスを提供していきたい。ユーザーとサービス事業者、双方にとってメリットがある、そんなサービスでありたいと思っています」

人の“行間”を読んで、“次”をリコメンド。
一人ひとりの自己実現をサポートしたい。

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――今後、どんなアップデートをしていくのでしょうか。

「そもそもMANOMAは、空間・時間・行間という人間の暮らしに存在する三つの“間”から名付けられています。『人の過ごす“空間”を快適に』『人の過ごす“時間”を豊かに』そして『人の行動の“行間”を読んで新しい気付きを与える』という三つの“間”をつなぐことをコンセプトにしているんです。

その中でも“行間”というのが将来的なことで、AIにもつながることです。センサーで人の行動や家の状態を理解していくんですね。例えば、ある家族が週末どのような生活をしているかというのが分かる。また、平日はどのような生活をしているか、誰が、いつ帰ってきて、どの順番で部屋の電気をつけたり、テレビをつけたり、という生活パターンが分かるようになる。そうしてAIが理解を深めていくと、家族4人が家にいたとして、お父さんとお母さんがリビングにいる時は二人の好きな曲が流れたり、子どもがいる時は子どもの好きな曲が流れたり。また週末に外出することが多い家族には、お出かけ中にハウスクリーニングをリコメンドしたり……。
家族の状態を理解したうえで、その“行間”を読んで様々なサービスを提供していきたいですね」

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――今後、スマートホームサービスが果たしていくミッションはどんなものだとお考えですか。

「現代人はいろいろな意味で『ガマン』をして生活していると思うんです。私としては、その『ガマン』を払拭して、もっと『自己実現』をしてもらいたいという想いがあります。そこがMANOMAの『ニューライフスタイル』という部分です。好きなこと、やりたいことをするために出かけていて、家に帰ったら全部やるべきことが終わっているという日常ですね。『安心・快適』ももちろん大事ではあるのですが、これからのスマートホームはユーザーのみなさんの自己実現を支援して、毎日を、そして人生を充実させて豊かにしていくというのが最大のミッションです。MANOMAを通じて、それをしっかりと実現していきたいですね」

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MANOMA

従来のスマートホームサービスで提供される「セキュリティ」、「オートメーション」に「ニューライフスタイル」を加え、新たなライフスタイルを提案するサービス。独自開発の ”AIホームゲートウェイ”と”室内コミュニケーションカメラ”などの機器が連携し日々の生活をサポートします。

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