長崎県の地域経済・観光・文化を活性化するためには、県内外への積極的なアピールが不可欠。そのアピール方法として、まず誰もが足を止めて目を向けてしまうような双方向性の仕組みをもつ視聴者参加型のシステムを求めていた。
空港やフェリーターミナル、観光地などにインタラクティブデジタルサイネージシステムを設置。エンターティンメント性も高く、多くの観光客に長崎の魅力を伝えることに成功している。また、本システムによって、観光振興への活用が十分であることを行政・関係機関にアピールすることもできた。
国立銀行条例に基づき、1877年に「第十八国立銀行」として設立した地方銀行。現在、長崎県長崎市に本店を置く。「地域とともに」「お客さまのために」「心をこめて」を企業理念として掲げ、地域経済の活性化に貢献している。
(写真左上)十八銀行 地域振興部 部長 木場英之様、(写真右上)営業統括部 部長 古賀淳二様、(写真左下)営業統括部 部付部長 兼 チャネル戦略グループ長 畑山光史様、(写真右下)地域振興部 業務役 岩永滋様、にお話を伺いました。
長崎空港に設置されたMITENE。観光客を中心にPR効果が高い
当行は長崎県のトップバンクとして、県内経済活性化にも積極的に取り組んでおります。そこで、商工会議所や長崎経済同友会、県、長崎市、長崎大学などを集めて、産学官連携による「長崎サミット」を開催。さまざまな視点から、経済浮揚策について考えてきました。なかでも「観光」は、長崎地域の発展に欠かせない重要項目として注目されています。
当行では、地域経済・観光・文化の活性化に貢献する「地域振興部」というセクションを設け、活動を続けてきました。たとえば、長崎県内にある協会やキリスト教にかかわる史跡、文化財などの総称「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎の教会群)をユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録すべく、さまざまな応援活動を行っています。「長崎の教会群」の世界遺産登録を実現するには、県内での盛り上がりはもちろん、県外への積極的なアピールが必要でした。
地域活性化のために観光地に設置※画像はグラバー園
グラバー園内の旧三菱第二ドッグハウスに設置されているMITENE
どうすれば県外の方に「長崎の教会群」の魅力を効果的に伝えることができるのか、その情報発信方法を模索していたところ、ソニーさんのデジタルサイネージ「MITENE」(ミテネ)に出会いました。
一方的に情報提供を行う、いわゆる「案内板」や「デジタルサイネージ」などの設置も検討しましたが、目新しさがなく、設置してもその効果は限定的です。せっかくコンテンツが素晴らしくても、観光客や市民がわざわざ足を止めて案内板を見る機会は少ないでしょう。
それに対して「MITENE」は視聴者も参加して楽しめるバーチャル体験要素が盛り込まれており、エンターテイメント性が高く、非常に閲覧性の高いシステムだと思いました。また、顔認識技術を使って閲覧した人の数、性別や年齢層など、欲しい情報を取得することができるため、マーケティングにも活用することもできます。実機でデモを見た際、「これなら“長崎の教会群”の世界遺産登録に向けたアピールや観光振興に活用できる」と判断しました。
写真は細部まで表示できるので、長崎の魅力を余すことなく伝える
視聴者参加型のコンテンツで、PR効果を高める
顔認識技術で視聴者の性別、年齢を判別、視聴者にあわせたコンテンツを表示
今回は長崎空港とフェリーターミナル、観光施設である「グラバー園」に、「MITENE」とソニー製ディスプレイ「FWD-S55H2/S46H2/S42H2」を設置しました。
空港やターミナル、グラバー園などに実際に設置した後、人々の反応をリサーチしていますが、「誰もが足を止めて目を向ける」という目的は達成できているようです。配信コンテンツばかりでなく、時にはゲームを表示することもありますが、その時は大人も子供もゲームを楽しんでいます。現在は、空港やフェリーターミナルといった人の往来がある場所だけでなく、観光施設にも設置しています。それによって、県内外の人たちに長崎県の観光施設を強くアピールすることができるようになったと実感しています。
観光施設をPRする際は、その魅力を十分に表現するために、ディスプレイにも気を配りました。設置場所はそれぞれ屋内ではありますが、明るい場所に設置しても、きちんとコンテンツが表示される必要があります。今回導入した「FWD-S55H2/S46H2/S42H2」は、輝度が高く明るい場所でもはっきりと表示されるので、この条件はクリアしています。また、インタラクティブに操作するため、タッチパネルを採用するケースもあると思いますが、多くの人が画面にタッチすることによって、汚れや耐久性の問題も出てきます。「MITENE」であれば、直接画面にタッチせず、首を振るなどのジェスチャーで操作できます。
番組編成に関しては、直感的に操作できるインターフェースで、コンテンツの入れ替えや調整も簡単に行うことができます。実際にコンテンツの再生時間が長すぎるという声があがり、すぐに再生時間の短縮を図り情報収集機能を活用して前後の視聴者人数を確認したところ、視聴者が大幅に増える効果があがりました。
「導入効果が高く、今後の活用に期待大」と語る木場様(写真右)
長崎空港・大波止(フェリーターミナル)・グラバー園(観光地)のコンテンツは、十八銀行が中心となり長崎県・長崎市と協議会をつくり、季節毎の内容を検討し、作成・配信していきます。
長崎は夜景が素晴らしく、モナコ、香港と共に「新世界三大夜景」に認定されています。今後は、長崎の夜景についてもPRしていこうと考えています。今回採用したディスプレイですが、暗い部分でも黒浮せずに本来の締まった色で発色されています。これを使えば長崎の夜景の魅力も余すことなく伝えることができると、多いに期待しています。
デジタルサイネージシステムにはこうした配信コンテンツのほか、「速報」をテロップで流すこともできます。
新聞の号外より早く速報を告知できるため、訪れた人にすぐ知らせたいことがあれば、その実力を発揮することでしょう。たとえば長崎の教会群の世界遺産登録が決まれば、デジタルサイネージがどのメディアよりも早くその情報を伝えることになるでしょう。
今後は、こうしたコンテンツ運用ノウハウを生かして当行の営業店にも設置し、長崎の地域振興や十八銀行のアピールにつなげていくことを検討しています。ソニーさんには、銀行への提案という観点に捉われず、他の業種での事例も含めて新たな機能や表現手段を積極的に提案してもらうことを期待しています。
※「MITENE」および「ミテネ」は、株式会社ソニー・ミュージックコミュニケーションズの登録商標です。