2013.9.30 掲載
レース場での安全性の確保や犯罪抑止目的でネットワークカメラによるモニタリングシステムを構築。
福岡県の中央部に位置する飯塚市は、2006年新たに頴田町・庄内町・穂波町・筑穂町が合弁し、筑豊で最大の人口を誇る都市となりました。飯塚オートレース場は昭和32年2月開場し、以来地元に根差した公営競技場作りを目指しています。
飯塚オートレース場
日本トーター株式会社九州支社 野村拓哉様と高橋明宏様にお話を伺いました。
オートレース場には、死角にならないように監視カメラが配置されている
これまで、オートレース場内の監視用途としてアナログ接続のカメラを長期にわたって利用してきました。しかし、経年劣化が避けられず、故障時の保守部品なども入手困難になってきたことから、リプレースを決めました。
飯塚オートレース場だけでなく、公営競技場で何らかのトラブルがあれば、警察などの関連機関に必要な資料を提出するケースも出てきます。その際、監視用途のカメラ映像は必要不可欠な資料となります。万が一、監視用途のカメラが故障しており、映像が残っていないとなると、様々な問題が起きてくるでしょう。そのような事態を避けるために、2012年のタイミングで、新しいカメラを導入することに決めました。
導入に際して、デジタル方式のカメラを採用しようと考えていました。これまでのアナログ方式ではどうしても画像がぼやけてしまいました。印刷したデータも詳細な部分がぼやけてしまったほどです。監視用途ということもあり、より鮮明に映るデジタル方式のカメラにしようと考えていました。
監視カメラは360度、どの方向でも確認できる
ソニー製のネットワークカメラを選定した理由はいくつかあります。まず、高画質で、ズームでも解像度を落とさず画像を確認することができました。夜間でも綺麗に映るので、ナイターの際も監視用途で使えるというメリットもあります。以前のカメラ導入時にはナイターがなかったため夜間の監視は想定していませんでした。今回暗所も綺麗に映るのは大きなメリットだと感じました。
また、カメラの向きを360度変えられるので、死角がなくなるという期待もありました。これまでのカメラは、固定されていたため、どうしても死角ができてしまいました。この死角は、場合によっては大きな問題を引き起こす要因になりかねません。今回のリプレースで、その課題が解決できると考えました。
実際に、導入前にデモを確認し、「これは使える」と確認しました。これまで使っていたカメラと比べると、非常に詳細な映像を確認でき、本当に驚きました。機能的には非常に満足のいくものでしたが、いくら機能面で満足していても、コストが高ければ導入は困難です。しかし、この点もソニーはクリアしていました。導入しやすく、導入後の運用面を考えても、ソニーのネットワークカメラを選定するメリットは大きいと判断しました。
スタンド席や廊下、発券所など、飯塚オートレース場には、60台ほどのネットワークカメラが死角なく設置されています。光学ズーム機能がついた360度エンドレス旋回型ネットワークカメラSNC-RS86NとSNC-ER520を61台と、レコーディングソフトウェアIMZ-NS116を6台導入し、運用しています。これまでの同軸ケーブルでの接続を廃止し、ネットワークケーブルを敷設し直しています。工事コストを考慮すると、これまで利用してきた同軸ケーブルを利用する方法もありましたが、同軸ケーブルの状況を確認することが難しく、同軸ケーブルが要因のトラブルが起きる可能性を排除できなかったため、ケーブルを敷設し直すことにしました。
監視カメラはレース場の運営にも寄与している
PCがあれば、レース場のすべてのカメラを切り替えて表示できる
ネットワークカメラを導入して、画質が向上したことに驚きました。暗所でも見えるようになり、警備しやすくなりました。インターフェースも直感的に操作できるので、導入後の運用も非常にスムーズですね。
導入後は、警備目的だけではなく、レースの運営にも活用しています。これまでのカメラは、監視室でなければ、映像を確認することができませんでしたが、ネットワークカメラの場合、クライアントPCさえ用意しておけば、どこからでもカメラの映像を確認できます。つまり、場内の事務所などからでもレース上のカメラを確認できるようになり、発券所の混み具合などを確認しながら、締め切りのブザーを鳴らすこともできるようになりました。これは、レースを運営する側のメンバーにとっても、非常に大きなメリットだと感じています。
ただ、導入時に、どのサーバーにどのネットワークカメラが接続されているのかがわからず、困った事がありました。飯塚オートレース場の場合、6台のサーバーに合計60台ほどのネットワークカメラを接続しているのですが、どのサーバーにどのネットワークカメラが接続されているのかを把握していないと、切り替えもできません。規模が大きなレース場ならではという問題ですね。しかし、この問題の解決はシンプルな方法で解決できました。現在では、どのサーバーにどのネットワークカメラが接続されているのかというリストを作り、そのリストを確認することで、好きなカメラの映像に切り替えられるようになりました。
監視室の大型パネルに複数のカメラ画像を表示することもできる
ネットワークカメラは、長期間にわたって利用して行きたいと考えています。そのためには、保守部品や互換性のある製品の提供が欠かせません。例えば、保守部品の提供は生産中止から7年というのが一般的ですが、それを過ぎても、互換性のある部品を提供していただけると大変助かります。
また、一括更新しなくても、オーバーホールしていけるような仕組みがあるといいですね。当社だけでなく、ほかのお客様にとっても、システムを一括でリプレースするよりも、部分ずつ更新して長期間使い続けたいと考えているケースが多いと思います。できれば、お客様への提案時に、ロードマップや更新の計画なども合わせて提案出来れば、すべてを入れ替える必要もなくなりますし、メリットも大きいかと思います。今回の監視カメラシステムは、長く安心して使っていきたいと考えております。