2014.3.4 掲載
広大な敷地の内外を約70台のカメラで死角なく見守り、「安心・安全なスタジアム」を実現
カシマサッカースタジアムは、日本プロサッカーリーグ「Jリーグ」の発足当初より、プロサッカークラブ「鹿島アントラーズFC」のホームスタジアムとして運用。鹿島アントラーズ様は、平成18年4月より、茨城県指定管理者としてスタジアム施設の管理・運営業務を担っている。
茨城県立カシマサッカースタジアム 指定管理者
株式会社鹿島アントラーズFC
副所長 内野 健一郎 様にお話を伺いました。
震災のダメージから回復した現在のカシマサッカースタジアム
カシマサッカースタジアムでは、これまでもカメラシステムを設置・運用してきました。しかし、これらのカメラシステムはアナログカメラであるため経年劣化がひどく、映像が不鮮明でした。録画映像を見ても、そこで何が起きているのかが把握しにくいため、必要な場面を見つけるのにも時間がかかるという問題もありました。状況を把握するまでの時間が長くなれば、当然、その後の対応が遅れます。こうしたことから、映像のクオリティは運用上の大きな課題として認識していました。
さらに、2011年3月11日の東日本大震災によるダメージもありました。当スタジアムでは、震災時に座席が破損し、スタンド階段部分が崩落するなど大きな被害を受けました。その際、カメラシステムについても深刻なダメージを受けていました。こういった要因が重なった結果、カメラシステムをリプレースする必要に迫られていました。
スタジアム内外に設置され、広範囲を撮影する旋回ズーム型カメラ
サッカースタジアムでは、夕方やナイターによる試合が行われるため、西日による逆光や光源の少ない夜でもきれいに映るカメラシステムが必要です。しかし、実際に調べてみると、そういった環境で利用できる製品は、ほんの一握りでした。
また、状況によって撮影するエリアを柔軟に切り替える必要があります。たとえば、通常はスタジアム全体の状況を把握するために全体を撮影しますが、サポーターの中で混乱が生じたときは人物を特定する必要がありますし、試合中でもスポットで何が起きているのかを確認する必要があります。さらに、スタジアムへ通じる駅までの混雑状況や、安全にチームバスの迎え入れ・送り出しを支援するためにも、周辺道路の様子を確認する必要があります。
つまり、広角からズームまで、高画質で表示できなければなりません。環境に左右されず、広角からズームまで高画質で表示できるソニーのカメラシステムを導入するメリットは高かったのです。
カシマサッカースタジアムでは、旋回型と固定型で合計約70台のカメラと、7台のレコーダーを使い、スタジアム内のサポーターの状況や、エントランス、通路、チケット販売店の混雑状況、スタジアム周辺の交通状況などを監視・把握しています。記録した映像は日付などによる検索も可能で、映像確認作業の効率が向上しました。
入場ゲートなどに配置されるHD高画質カメラ
合計約70台のカメラでスタジアム内外の安全を見守る
HD高画質映像により、駐車場での車上荒らしや、夜間の不法侵入といった事態にも、人物の特定に至り、管轄の警察署と連携するなどして適切に対処することができました。
また、スタジアム周辺の道路や駅の状況を詳細に把握できることから、混雑状況に応じて係員や誘導員を適切に配置することができるようになりました。
逆光環境や光源の少ない夜でもきれいに撮影でき、スタジアムのセキュリティが向上しました。
混雑しやすい場所を中心に設置され、来場者への「安心・安全な環境づくり」に貢献する高画質カメラ
現在は、混雑状況の把握とその対応や、防犯のために映像を利用していますが、災害時などの避難誘導にも利用できるのではないかと考えています。場内の状況をリアルタイムに把握できるので、災害時でもサポーターの皆様をスムーズに誘導でき、より一層の安全を確保できるでしょう。
しかし現状、それにはカメラの設置台数が不足しており、スタジアム内をすべてフォローしきれません。現在でも、死角を減らすための工夫としての旋回型のカメラなども入れていますが、設置箇所を増やすことで、死角をなくしていきたいと思います。