ネットワークカメラ/防犯・監視システム

防災 豊島区様 災害発生時に主要駅・主要幹線道路、避難所など街の状況をリアルタイムに把握するためにソニーのネットワークカメラを導入。NECの群衆行動解析技術と防災カメラで帰宅困難者対策を強化。

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豊島区様

導入前の課題・目的
東日本大震災ではターミナル駅が帰宅困難者で溢れた。災害発生以降の街の状況把握が人的な現場確認に限られていた。
導入による効果
正確で迅速な対策につなげるため、防災カメラでリアルタイムな状況把握を実現した。

樫原猛 様

豊島区 総務部 防災危機管理課長
樫原猛 様 にお話しを伺いました

豊島区は1日の平均乗降客が全国第2位の巨大ターミナル池袋駅や高層ビル、デパート、商業地がありとても賑わっています。一方、住宅街の4割は木造住宅密集地域が占めています。防災危機管理課では「安心安全なまちづくり」を目指して災害・防災対策に取り組んでいます。

「3.11 帰宅困難者」の大きな教訓

東日本大震災では豊島区内の建物や道路などへの直接被害は幸いにも少なく済みました。しかし、地震が起きた午後2時46分からしばらくしてたくさんの人びとが池袋駅に集中して周辺が群衆で溢れてきました。自宅へ帰ろうとしたものの鉄道が止まってしまったため足止めされた帰宅困難者の人びとです。夕方、夜間へと時間が経つにつれて人数が膨れ上がっていき、周辺道路も全く動かなくなりました。

帰宅困難者を受け入れるために豊島区では区役所のロビー、公会堂、区民施設などを順次開放していきました。当時の旧庁舎は池袋駅から徒歩5分ほどの近い場所にあったのですが、池袋駅がどんな状況になっているのか正確に把握することはできませんでした。どれくらいの人びとが駅周辺に滞留しているのか、これからどれくらい増えるのか判断できませんでした。人員を現場に向かわせて防災無線などで情報収集をして、順次対策を打っていきましたが後手になってしまいました。「たくさんの人で駅が溢れている」という曖昧な情報では的確な対策につながりません。目で見て状況が理解できて、その後を予測できなければなりません。人びとの安全・安心を守るために迅速かつ正確に情報を収集するシステムが必要だと痛切に感じました。

カメラ映像を群衆行動解析に活用


街の異変をリアルタイムで捉えるソニーのネットワークカメラ

東日本大震災の教訓をふまえて豊島区では「総合防災システム」を導入して運用しています。防災カメラ51台を区内に設置して災害時の状況をリアルタイムに情報収集しています。その内、17台は人が集まる主要駅周辺や幹線道路の主要交差点に、34台は避難所となる学校などの救援センターに設置しています。

帰宅困難者対策で有効となるのは、NECの「群衆行動解析技術」です。24時間365日防災カメラでリアルタイム収集している駅周辺の混雑・滞留状況を解析して、あらかじめ設定したしきい値を超えた場合には異変とみなしてアラート通知します。通報情報や被害情報、救援センターの開設状況などと合わせて、地図上に区内全体の状況を見える化することで対策の迅速な意志決定ができます。

検討を重ね生まれた逆転の発想


防災危機管理課には26名のスタッフが従事している

「総合防災システム」の導入には1年以上の検討を重ねました。全国の自治体への視察にも出かけました。一般的に自治体の防災カメラはビルなどの上層に設置した「高所カメラ」を数台連携させて地域を網羅するやり方です。しかし、豊島区の場合は防災カメラの設置場所以外にも高層建物が立ち並び、死角になる場所が多くて高所カメラは機能しません。最適な防災カメラの設置場所を確保するのは困難でした。そこで生まれた逆転の発想が近いところからリアルタイムに情報を集める「低所カメラ」です。ポイントごとにカメラを小分けにして設置することで、地域の状況をきめ細やかに把握できると考えました。防災カメラとしては他自治体で類のない取り組みではないでしょうか。

防災カメラは街路灯や交差点など数メートルの高さから、4階建ての学校の屋上、高くても10階程度のビルなどに設置しています。低い位置から周囲の正確な状況をとらえます。池袋駅周辺は夜間でもネオンで明るいのですが、街路灯が少なく暗い住宅街でもソニーのネットワークカメラは鮮明な映像が確認できます。火災などの状況も把握できると思います。豊島区のような都会では周囲の明かりもあるので夜間照明は必要ありません。

防災カメラの映像はアラート通知された際のみに確認するようにしています。防災危機管理課の中でも映像を確認できる権限を持つスタッフは限られています。また「群衆行動解析技術」は個人を特定することなく人びとをかたまりごとに解析するためプライバシーにも配慮しています。カメラの設置位置も通常は全景を映して個人を特定できない撮り方にしています。


店舗、オフィス、住宅を含め地下3階/地上49階の新庁舎5Fには災害対策センターがある

2015年5月にオープンした豊島区役所新庁舎は72時間の自家発電設備を持っているなど防災拠点としても充実しています。新庁舎開設に合わせて総合防災システムを導入しました。区民の皆さまや町内会、消防団など関係者に見学していただき、防災カメラの導入目的や効果をご説明し、皆さまからは安心の声をいただけました。また、首都直下地震への対策や、ゲリラ豪雨時なども状況の確認ができると考えています。

納入機器

システム構築
日本電気株式会社様

導入機器
ネットワークカメラ
SNC-WR632C ×51台
※上記は納入時の構成です。閲覧される時点で販売が終了している可能性がありますことをご了承ください。

2016年3月掲載