周囲の邪魔にならない場所で、できればメインの観賞会場で撮りましょう。会場のアナウンスを聞きながら撮れることと、花火大会の雰囲気そのものを楽しむことができます。
しかし、花火を大きく見たいからなどの理由で、打ち上げ場所の間近にいすぎると、カメラの画角に収まらなかったり、構図がすべて中心に寄ってしまいます。そのようなことがないように、ある程度は距離をとって撮ることで、花火全体に加え、周囲の臨場感が伝わります。
安定した撮影をするためには三脚が便利ですが、使用そのものが禁止されている場所もあるので、事前によく確認しておきましょう。
三脚を使うときは、脚をなるべく伸ばさず低く構えると、後方の邪魔にもなりにくくなり、振動や風によるブレも抑えやすくなります。 また、水準器つきの三脚があると、水平に保って撮れるため、斜めに打ち上がっていくという失敗を減らせます。
当日はなるべく明るいうちに会場に行き、周囲の確認と機材のセッティングをしておきましょう。
モードダイヤルに[SCN]がある機種は、[打ち上げ花火] にすることで、自動的に花火に適した設定になります。
ダイヤルをSCNに合わせます。
コントロールホイールを回し、[打ち上げ花火] を選びます。
ズームレバーで、W側に拡大します。
撮影場所によって花火の大きさが変わります。まずはW側で写る大きさにしてみましょう。
明るさを確認します。
被写体が明るすぎたり暗すぎるときは、明るさ(EV補正)を、[+]と[−]で調整してください。
モードダイヤルに[M]がある機種は、手動(マニュアル)でシャッタースピードなどを設定することで、より躍動感のある撮影ができます。 設定の目安は、以下の表を参考にしてください。
フラッシュ |
花火自体はとても明るい被写体のため、フラッシュを使うと白とびしてしまいます。 |
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ISO感度 |
慣れるまではISO100の低感度を目安に、明るさは絞り(F値)で調整します。 |
ホワイトバランス |
オートホワイトバランス(AWB)でもきれいな色で撮れますが、水色、ピンク、レモン色といった中間色のときは[電球]に、和火のような日本伝統のオレンジが強いときは[太陽光]にすると、見たままの印象に近い色になります。 |
クリエイティブスタイル |
スタンダードでもきれいな色で撮れますが、色が強めに写るときは[夜景]にすると、見たままの印象に近い色になります。 彩度を+方向に調節すると、よりきれいに仕上がります。 |
シャッタースピード |
花火を印象的に写すには、シャッターが開いているタイミングが重要です。慣れるまでは遅めに、慣れてきたら[BULB]にすると、シャッターの開閉タイミングを自由に調整できます。 [BULB]はシャッターボタンを押した振動でブレやすくなるため、三脚やリモートコマンダーと組み合わせて使うことをおすすめします。 |
絞り(F値) |
花火の種類が変わるごとに微調整するのが理想的ですが、慣れるまではF13を目安に、タイミングに集中することをおすすめします。 |
撮影者 | 写真家 藤城一朗さん |
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ISO感度 | ISO200 |
露出モード | M(マニュアル) |
絞り(F値) | F11 |
シャッタースピード | 4秒 |
ホワイトバランス | オート |
その他 | 三脚使用 |
準備とカメラの設定が完了したら、いよいよ撮影です。
まずはピントを合わせましょう。慣れないうちはオートフォーカス(AF)で、慣れてきたらマニュアルフォーカス(MF)で合わせます。はじめの花火だけでピントを合わせるのは難しいので、最初の数発はピントを合わせ、中盤や後半のフィナーレに備えましょう。より厳密にピントを合わせたい場合は、MFアシストやピント拡大機能を合わせて使うと便利です。
また、MFに慣れていない場合は、AFで打ち上げられた花火にピントを合わせ、その後すぐにMFに切り替える方法もあります。どちらの場合でも、再生画面で拡大し、ピントが合っているかどうかチェックしましょう。
一度花火にピントを合わせることができれば、そのままの位置で撮影できますが、構図を変えたりズームをすると位置が変わってしまうこともあるため、その際は、もう一度ピントを確認することをおすすめします。
リモートコマンダーがあると、常に片手でシャッターが切れ、静止画でも動画でも撮るタイミングがとりやすいです。
リモートコマンダーと三脚を組み合わせてバルブ(BULB)で撮影すると、シャッターボタンを押したときの振動によるブレ軽減や、30秒以上の長時間露光の撮影ができるようになるため、花火以外の夜景や星空などの撮影にも便利です。
スターマイン(速射、連発の花火)がたくさん打ち上がると、どうしても白とびしやすくなってしまいます。
このとき、露出やF値をもう少し絞ってみることも大事ですが、それでも白とびしてしまうようなときは、色彩を変えずに光量だけを抑えることができるNDフィルターが便利です。
花火の「ドーン」という大きな破裂音や周囲の臨場感は、外付けのマイクロホンをつないで動画で撮ることで、静止画と異なる情景を記録できます。ただし、周囲の音も拾ってしまいますので、花火と歓声のバランスを見て撮影してください。
動画を撮影中に静止画も撮りたいときは、デュアル記録が搭載されている機種を使うと、同時に記録できます。
モードダイヤルにハイフレームレート(HFR)がある機種は、花火が開く瞬間をスローモーションで記録できます。
ただし、スローモーション撮影対応機種の撮影時間は2秒–7秒程度のため、タイミングが非常に難しいです。対応機種とスローモーション撮影については、以下のページを参考にしてください。