D-レンジオプティマイザー
D-レンジオプティマイザーも、明るさを調整する仕組みの一つです。
人間の視覚は優秀で、建物の中と外や日なたと日陰など、明暗の差が激しいところも同時に認識することができます。
一方、カメラはそこまでの能力を備えていないので、明るいところをはっきり見せようとすると暗いところが真っ黒になり、
暗いところを出そうとすると明るいところが真っ白になり、だからと言ってコントラストを下げると全体がメリハリのない
画像になってしまうことがあります。
そんなとき、D-レンジオプティマイザーを使うと、暗いところだけを抜き出して明るくしたり、明るいところだけを抜き出
して暗くしたり、明暗どちらもくっきりはっきり見えるようにすることができます。
作例は観光地のバスの中から外を撮影した写真ですが、車内がずいぶん暗い一方、車外は少し明るすぎて色合いが薄くなっているようです。
肉眼で見たときには、車内はもっと明るく、車外ももっと鮮やかでした。
それではまず、明るさを調整してみます。
明るさを-0.67EVに設定すると、車外の色彩はずいぶんはっきりしましたが、車内は真っ暗になってしまいました。
逆に、明るさを+2.00EVに設定すると、車内が明るくなって路面からの照り返しの雰囲気が出ましたが、一方、車外は飛び気味になってしまいました。
どうもうまく行きません。
それでは、D-レンジオプティマイザーを使ってみましょう。
D-レンジオプティマイザーは、基本的には、画像の中の暗い部分だけを選択的に明るくする機能です。
使い方はまず、明るい部分を基準に「明るさ」を設定し、続いて、暗い部分を「D-レンジオプティマイザー」で調整します。
作例では、上で試したように、明るさは-0.67EVが適切なようです。
次にD-レンジオプティマイザーをオートに設定してみましたが、ちょっと効果が足りません。
オートは画像が不自然にならない程度に設定されますので、効果はそれほど強くありません。
そこで、マニュアルを選択し、車内が充分な明るさに見えるように適用量を調整しました。
作例では80に設定したところ、ちょうど良い感じになりました。ハイライトトーンとシャドウディテールは、どちらも50に設定しました。
ワンポイント
D-レンジオプティマイザーを強めに使うと、影の部分がぼやけてくる事があるので、気になるときはシャドウディテールを上げていきますが、気にならなければそのままで構いません。
D-レンジオプティマイザーは、最強にかけると人間の目で見るより強力に明るいところと暗いところを両立することができますが、やりすぎるとかなり不自然になるので、良い頃合いを見つけるのがコツと言えます。