法人のお客様システムカメラ 事例紹介 中京テレビ放送株式会社 様

中京テレビ放送株式会社 様

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報道スタジオに求められる高機能と
コストパフォーマンスが両立した『HDC-3200』を導入

中京テレビ放送株式会社 様は、報道スタジオのカメラ更新にあたり、新たにマルチフォーマットポータブルカメラ『HDC-3200』を中心としたカメラシステムを導入され、2024年3月より運用を開始されました。
同社 技術DX推進局 メディアテクノロジーグループ 鈴木 祐一朗 様、株式会社CTV MID ENJIN 技術センター テクニカルグループ 竹本 裕彰 様に、導入に際しての選定ポイントや決め手、運用の状況や成果について伺いました。

鈴木 祐一朗 様
中京テレビ放送株式会社
技術DX推進局
メディアテクノロジーグループ
鈴木 祐一朗 様
竹本 裕彰 様
株式会社CTV MID ENJIN
技術センター
テクニカルグループ
竹本 裕彰 様

高視聴率の
看板報道番組を支える
高機能スタジオ

平日夕方の報道番組を扱うCスタジオに『HDC-3200』を導入

鈴木様:当社には、平日朝の帯の情報番組を制作しているAスタジオ、バラエティーなど制作番組を中心に運用しているBスタジオ、平日夕方の帯の報道番組を制作しているCスタジオ、ローカルニュースなど顔出しに使用している1カメで無人の0(ゼロ)スタジオ、ENGカメラ持ち込み撮影用のSスタジオの5つのスタジオがあります。今回、マルチフォーマットポータブルカメラ『HDC-3200』を導入したのは、報道フロアに隣接しているCスタジオになります。

5台のカメラを備える、バーチャル対応の高機能な報道スタジオ

鈴木様:Cスタジオは、報道スタジオということもあり、スペックがさほど高いものである必要はなく、機種選定にあたっては、コストパフォーマンスが重視されていました。同スタジオで制作を行っている、平日夕方の「キャッチ!」という番組は、視聴率も高く、社としては力を注いでいる番組です。

竹本様:「『キャッチ!』は報道番組ですが、制作番組と同等程度の演出ができるようにしたい」という制作サイドの要望で、Cスタジオには演出の幅を持たせるために5台のカメラを置き、内3台はバーチャルシステム対応を行う(1台は予備)など、報道スタジオとしては高機能だと思っています。月~木は基本的にカメラ4台での運用で、金曜は5台をフルに使っています。

大型レンズ
アダプターの採用、
バーチャルシステムへの
対応は不可欠

番組の“作り”の変化で、変更が求められる機材の装備

竹本様:当社の報道番組は、頻繁に番組の作り方が変わります。それに伴って、レンズなどの装備についても変更が求められることがあります。

鈴木様:2023年度末までの番組構成では、新聞紙面の“寄り”が必要な場面もあったため、高倍率の箱型レンズを備えたカメラを2台置いていました。今回の更新では全台ポータブルレンズでしたが、将来的に「箱型レンズを装着したい」となった時にも対応できる必要があります。従って「大型レンズアダプター」が使用できるカメラであることは必須条件でした。

バーチャルシステム連動に不可欠な、電源供給とデータ通信機能

竹本様:バーチャルシステムとの連動のために、3台のペデスタルにはセンサー付きの雲台が備わっており、バーチャル機器用の電源確保と、バーチャルデータをCスタジオからスタジオサブまで送信する必要があります。スタジオの壁からAC電源を確保することもできますが、カメラケーブルと電源ケーブルを束ねることになるので、ケーブルは捌きづらく、重くなってしまいます。ケーブルが重いと、カメラワークにも影響してしまいます。そのような背景から、大型レンズアダプター『HDLA-3505』からAC電源が確保できるのは大変ありがたい機能です。カメラに接続するカメラコントロールユニット(以下、CCU)の機種に依存しますが、最大で200VAまで電源が出力できるので、これにより電源周りの課題を解決することができました。また、『HDC-3200』のデータトランク機能によって、カメラ光ケーブルにRS-422A通信を重畳することができるので、スタジオ・スタジオサブ間の通線もシンプルに構成することができました。

『HDLA-3505』下部のユーティリティー電源アウトレット部

マルチフォーマットポータブルカメラ
HDC-3200

製品情報

大型レンズアダプター
HDLA-3505

製品情報

ポータブルレンズ運用でも欲しい大型レンズアダプター

竹本様:当社の報道番組は、通常と異なる形式のスーパーなどを入れることが頻繁にあります。オンエア直前に制作側から伝えられることもしばしばです。大型レンズアダプターの『HDLA-3505』は、スーパーの位置確認用のマーカーを簡単にON/OFFしたり、直感的にサイズを変更したりすることが可能です。生放送のため、“素早く”“直感的に”カメラ設定を操作できることは重要ですので、大型レンズアダプターが必要と判断しました。『HDLA-3505』は、標準仕様では箱型レンズ用のハンガーマウントが付いていますので、ポータブルレンズが接続できるように仕様変更を行いました。番組の演出変更等によって、大型レンズを使う可能性もありますので、箱型レンズ用のハンガーマウント部を簡単に脱着できるように特注で改造をしてもらいました。このような柔軟なご提案も、決め手の一つですね。

前面の箱型レンズ用ハンガーマウント部を取り外している『HDLA-3505』

機能要件を満たし、
画質も良く、
コスト要求にも応えた
『HDC-3200』

更新機種にソニーのカメラを求める声

鈴木様:機種検討は、以前使用していた他社製のカメラと、ソニーのマルチフォーマットポータブルカメラ『HDC-3500』から始めました。

竹本様:現在、Aスタジオではソニーの『HDC-3500』、Bスタジオでは『HDC-4300』、大型中継車「HR-5号」では『HDC-2500』を使っています。当社では他のスタジオと同じ技術スタッフがオペレーションをすることが多く、カメラマンやVE(ビデオエンジニア)の立場では、「使いやすく、慣れ親しんだカメラであってほしい」という声がありました。
ソニーのシステムカメラの場合、カメラ・CCUの接続には一世代前まで互換性がありますので、機材故障時のバックアップの観点からも、HDC-3000シリーズは、当社の既設設備との相性がよく、魅力的だと思っていました。

見比べてハッキリとわかる『HDC-3200』の画質の良さ

鈴木様:『HDC-3500』での検討を進めている中、新たに『HDC-3200』登場の知らせがありました。『HDC-3500』に比べてコストパフォーマンスに優れることや、Cスタジオでの番組制作を想定しても、求める機能は一通り備わっていたことから、『HDC-3200』に候補を変えて検討を進めました。事前に局内で評価デモを行いましたが、まず感じたのは、パキッと鮮明に映る画質の良さでした。

竹本様:スタジオセットのフロアには木目調の柄があるのですが、その柄が『HDC-3200』なら、はっきりとわかる。また、報道スタジオで使う機会はさほどありませんが、ゲインを上げた時のノイズ感の少なさも際立っていました。

鈴木様:レンズ周辺の光量低下や、ズームレンズのテレ端付近でのFドロップによる光量低下を補正してくれる機能「ARIA」の効果の大きさにも驚きました。VEからも「これはすごいね」という声が上がっていました。

ビューファインダーの機能性改善も、見逃せないポイントに

竹本様:ビューファインダーは、これまで他のスタジオや大型中継車では7.4型有機ELカラービューファインダー『HDVF-EL75』を使ってきたのですが、新しい7.4型有機ELカラービューファインダー『HDVF-EL760』は、フルHDの高解像度に進化し、さらにフォーカスが取りやすくなりました。また、ファインダーの位置調整範囲が広がり、カメラの光軸に近い位置までファインダーを下ろせたり、カメラをパンした際のファインダーの位置ずれを防ぐためのブレーキ機構が強化されていたりと、使い勝手が大きく向上していたことも魅力に感じました。

画面左上つまみでのカメラメニュー操作にも新たに対応した『HDVF-EL760』

電源供給容量の観点から、CCUは『HDCU-5000』、『HDCU-3500』に

鈴木様:検討を重ねた結果、私たちの要望を全てクリアするだけでなく、画質も優れ、費用面でも導入できる見通しがついたことから『HDC-3200』の導入を決めました。CCUについては、大型レンズアダプター『HDLA-3505』から確保できるユーティリティー電源容量の観点から、3台のバーチャルシステム連動のカメラ用に『HDCU-5000』、残る2台は『HDCU-3500』を選択しました。ビューファインダーは『HDVF-EL760』5台に加え、ハンディー運用に備えて『HDVF-EL30』1台も購入しました。併せて、リモートコントロールパネル『RCP-3501』5式とマスターセットアップユニット『MSU-3500』1式も導入しています。

マシンルーム内の
『HDCU-3500』と『HDCU-5000』

VE卓の『RCP-3501』と『MSU-3500』

カメラコントロールユニット
HDCU-5500

製品情報

カメラコントロールユニット
HDCU-3500

製品情報

事前の疑問・不安解消で、導入後も高い満足度

竹本様:『HDC-3200』の導入後、カメラ・ビューファインダーなどについて、現場からは不満の声などはありません。今回の導入は、アクセサリー構成を含めてベストな選択だったと思います。

鈴木様:現場で番組制作を行う協力会社様含め、広く声をかけて事前に何度もデモを行い、要望を吸い上げ、予め不安要素を解消しておいたことで、現場が使いやすいような更新ができたと思います。

2028年から2032年には大規模なIP化更新へ

鈴木様:当社では2028年から2032年にかけ、大型中継車、A・Bサブ、回線センター、報道ヘリ、Cサブと数珠繋ぎの設備更新を実施する予定です。まだ具体的なことは決まっていませんが、システムのIP化を図っていく方向で検討を進めています。オプションを実装することでIP対応が可能なソニーのシステムカメラには、引き続き長い活躍を期待しています。

※本ページ内の記事・画像は2025年3月に行った取材を元に作成しています