インターネット動画配信分野の老舗として、コンテンツ制作の分野にもフィールドを拡大しているデジコン株式会社様は2018年3月にHDカメラシステムHXC-FB80/HXCU-FB80を4式、プロダクションビデオサーバーPWS-4500を1式導入され、スポーツ中継を中心に2018年3月より本格運用を開始されました。
同社 技術本部制作部長 山本善宣様、同部映像制作チーム 緑川雅彦様ならびに事業本部営業部 吉田成伸様に導入の目的や用途、採用の決め手、運用状況や成果、性能・機能・使い勝手についての評価などをお伺いしました。
技術本部制作部長 |
技術本部制作部 |
事業本部営業部 |
当社は、ファイターズ鎌ケ谷スタジアムで行われる北海道日本ハムファイターズ様のファーム中継業務(CSチャンネル「GAORA SPORTS」、インターネット配信「FIGHTERS FARM TV」)を、2018シーズンから受託しました。業務開始にあたり、ポータブルカメラHXC-FB80計4式を中心としたシステムを導入しました。
1年で約70試合の中継を予定していますが、当然ながら1試合あたりの予算には限りがあります。また同時に、球団様側から提示を受けた条件の中には40倍以上のズームレンズを備えたカメラ2式、スローやハイライト編集出しなどの要件が含まれていました。「40倍以上のズームレンズが装着できる」となると、現状としては2/3インチのイメージセンサーを備えたカメラ以外に選択肢はありません。そういった条件の中で、ソニーのHXC-FB80は、2/3インチレンズが装着できる上、コスト的な要求にも応えてくれる、我々が考える最適なソリューションでした。
今回導入したシステムは、20倍ズームレンズが付属するHXC-FB80Kを2式と、レンズなしのHXC-FB80Hを2式の計4式です。レンズなしモデルには、将来を見据えて4K対応の45倍ズームレンズを装着して運用しています。球団様側の提示条件の中に4台のうち2台は20倍ズーム以上という指定がありましたが、HXC-FB80Kの付属レンズが20倍ズームを備えていたので、高いコストパフォーマンスでのシステム構築ができました。
カメラコントロールユニット(CCU)については、各種の設定用などにハードウェアタイプのコントロールパネルRCP-1501を1台と、1つの画面で最大5台のカメラの操作が行えるソフトウェアHZC-RCP5(Windows用アプリケーションソフト)を導入しており、こちらはタッチパネルPCで運用しています。事前のカメラ調整ではRCP-1501を切り替えながら使用し、中継中のアイリス操作などは、VEさんがRCP-1501とCCUのフロントパネルで操作しています。
今回導入したシステムは、スペースが限られたスタジアムの調整室、またシーズンオフ中の他の用途を考慮して、可搬型ラックを用いています。スペース節約の面で、HXCU-FB80前面のコントロールパネルやWindowsアプリケーションのコントロールソフトは、とても助かりました。CCU前面パネルでの操作は若干の不便さはありますが、VEさんが上手にカバーしてくれています。
HXC-FB80 / HXCU-FB80では、上位機種HDCシリーズと共通で、業界で標準的に使われているコントロールパネルRCP-1501が使えたため、慣れているVEさんが多く、操作の共通性を図ることができました。これまでも当社では、レンタルで4K対応マルチフォーマットポータブルカメラHDC-4300などを使ってきましたが、カメラ本体についても操作性がHDCシリーズと変わらないのが魅力です。重量や大きさの面では、HXCシリーズはさらにコンパクトで軽量なため、運搬や設営の際に助かっています。付属の20倍ズームレンズについては、フォーカスリングが軽めの作りなので、スポーツ中継に向いているとカメラマンからも好評です。重要な画質についても、HD運用においては上位のHDCシリーズと比べて遜色なく、大変満足しています。
当社は、ラージセンサーカメラPWM-F55を中心とした「4Kista!(フォーキスタ!)」という車載型4K映像制作システムを提供しています。そのシステムの中でPWS-4400を運用してきました。業界内では、海外メーカー製のプロダクションビデオサーバーも広く使われていますが、ほとんど変わらない使い勝手であることはオペレーターからもフィードバックを受けておりましたし、それらと比べてPWS-4400/4500は大幅にコンパクトで軽量であるため、運用への負担が少なくなると感じました。さらにソニーはバージョンアップに積極的で、PWSシリーズに力を入れていることも知っておりましたので、その実績と信頼感から、迷わずPWS-4500を選びました。今回はPWS-4500をHD時6in/2outの仕様とし、ハイライト編集機能などを行えるプロダクションコントロールステーションPWS-110PR1とUSBコントロールデバイス(コントロールパネル)PWSK-4403を合わせて導入しました。4台のカメラとプログラムアウト計5系統を同時に収録し、スロー出しやハイライト編集用に使っています。前シーズンまでのインターネット配信では、CS放送とサイマルになる試合のみスローとハイライトが入っていましたが、今シーズンからは全試合で使えるようになりましたので、インターネット経由の視聴者満足度にも貢献できていると思います。
HXC-FB80 / HXCU-FB80は4Kアップコンバート出力やHLG_LiveモードによるHD HDRに対応していることもあり、ビデオモニター以外の一通りのシステムを、将来を見据えて4K対応機器で構築しました。今はまだ具体的ではありませんが、今後4KやHDRのライブ中継にも活用できればと考えています。
システムの導入から1ヵ月間、約20試合の運用をしてきましたが、トラブルなども一切なく安定して稼働しています。当社ではバスケットボールの4K中継なども手掛けていましたが、野球のシーズンオフには、他のスポーツ中継でも本システムを幅広く運用していきたいと思っています。
ソフトウェアタイプのコントロールパネルのように、ソニーには今後も新しい発想によるアプローチの提案や、引き続きバージョンアップによるPWSシリーズの機能追加なども期待しています。
1995年に創業したインターネット動画配信サービス専門会社。インターネット動画配信を黎明期からいち早く手がけ、これまで在京地上波キー局のインターネット向けオンデマンド番組配信サービスやライブ配信サービス、コンテンツのトランスコードサービスなどを通じて事業を拡大。2015年には4Kista!(R)サービスを開始し、現在、コンテンツの企画から撮影、配信までワンストップで行い、インターネット動画配信の総合サービスを提供しています。