多彩な映像コンテンツ制作で活躍する株式会社イルージョン様は、2014年5月にHDカメラシステムHSC-300RF/HSCU-300RFを3式導入、PsFフォーマット対応ソフトウェアHZC-PSF3もインストールして運用を開始。2015年春には、さらに2式を増設されます。
制作技術本部 技術管理部 部長 菊池 徹様、同本部 技術部 副部長 小川 寛様に、HSC-300RF導入の目的・用途、採用の決め手、運用状況と成果や、性能・機能・使い勝手についての評価などを伺いました。
制作技術本部 技術管理部 部長
菊池 徹 様
制作技術本部 技術部 副部長
小川 寛 様
当社の主力業務は、音楽・情報・ドキュメンタリーなどの幅広いジャンルのテレビ番組の制作、技術サポートです。そして、もう一つの業務の柱となっているのが、コンサートやイベントなどのライブ収録・中継です。複数台のカメラを使用してマルチ撮影を行う業務ですが、昨今は過密なスケジュールの中で開催されるイベントも多くなり、セッティングや撤収の時間がほとんどないというケースも増えてきました。そういったときに取材用のENGカメラを使うと、ケーブルの配線や引き回しが煩雑となり、スケジュールに合わせた運用が難しくなってしまうため、迅速にセッティングができるシステムカメラを導入することにしました。
もちろん、効率的な運用、オペレーションが可能であるだけでなく、高画質で放送業務用に不可欠な安定性・信頼性に優れていることを前提に機種選定を行いました。最終的に新HSCシリーズとして登場したHSC-300RF/HSCU-300RFを採用することに決めました。2/3型3CCDと高性能な信号処理LSI、16ビットA/Dコンバーター搭載による高画質、低スミアレベルを実現しており、光ファイバーケーブルで最長2kmの伝送ができるカメラシステムです。
もう一つの決め手となったのが、PsFフォーマット対応ソフトウェアHZC-PSF3でした。これをインストールすることで、放送用として広く用いられるインターレース方式の1080/59.94iに加えて、プログレッシブ規格の1080/29.97PsFでの撮影が可能になります。この1080/29.97PsFフォーマットは、PV/VP制作などのライブ収録ではニーズが高く、そうした要望にも柔軟に対応できる点も魅力でした。こうした高画質に象徴される性能、フォーマットの選択を含めた多彩な映像表現をサポートしてくれる機能面や信頼性の高さなど、総合的な観点でのコストパフォーマンスの高さが、今回導入の最大の決め手と言えます。
2014年5月にHSC-300RF/HSCU-300RFを3式導入し、HZC-PSF3をインストールして運用を開始しました。すでに全国各地のコンサートやイベント、あるいは高校野球の地区大会などのスポーツ中継業務などにフル稼働中です。課題だったセッティングや撤収作業もスムーズに行えていますし、収録・中継での機材トラブルも発生していません。
実際に運用してみて、高感度(F10)でノイズの少ない(S/N60dB)高画質を実感しています。CCDカメラの課題とされるスミアもほとんど気になりません。新HSCシリーズから搭載された2倍のデジタルエクステンダー機能は、イベントの画出し用途で便利に使っています。また、これまで使うケースはなかったのですが、アダプティブ・マトリックス機能もぜひ試してみたいと思っています。ライブではLEDを多用することが多く、強い単色青光源下での撮影の際に威力を発揮してくれるのではないかと考えています。
今回、HSC-100RFではなく、上位モデルのHSC-300RFを選定した大きな理由がサーボフィルターである点です。ライブ中にNDフィルターを変えたいケースがありますが、リモートで確実に操作できるので、カメラマンが手で動かした場合に起こりうるミスを心配する必要がありません。それからカメラ台数が多いときは、HDC-2500やHDC-1500といったHDCシリーズのカメラと混在運用するケースも多いですが、同じ周辺機器やケーブルが使えますし、色合わせも調整しやすいので非常に便利です。
2015年春には、HSC-300RF/HSCU-300RFを2式増設する予定です。これにより、さらに幅広い用途や柔軟なライブ運用が可能になると考えています。また、もう一つ大きな期待を寄せているのが、ファームウェアのバージョンアップで1080/23.98PsFフォーマットで撮影ができるようになったことです。PV/VPなどのコンテンツ制作では、よりシネマライクな映像表現が可能になる23.98PsFでの撮影が求められることがあります。これは国内だけでなく、当社がソウル事業所を設け、子会社を介して映像制作をサポートしている韓国でも同様です。すぐにバージョンアップに対応して、さらに幅広い用途やニーズに柔軟に対応できる体制を整えていきたいと思っています。
これからもソニーには時代に合った、あるいは時代の先を目指した製品の開発やソリューションの提案を続けて欲しいと思います。すでにソニーはPMW-F55などの4Kカメラやライブ運用のソリューションを提案されていますが、いずれ当社も4K制作に取り組む必要が出てくると考えており、さらにラインアップを充実してもらいたいと思っています。新HSCシリーズのように、性能・機能・操作性の面でコストパフオーマンスに優れた4Kシステムカメラの開発を期待しています。
1986年に創業した映像制作プロダクション。キー局などの多彩な番組制作のENG/編集/中継業務のほか、イベントやライブ収録、企業・官庁等のCM/PV/VP/記録映像や、DVD制作など幅広いコンテンツ制作、テクニカルサポートなどを行っています。また、ソウル事業所を設け、韓国での映像制作にも子会社を介して機材や技術、長年培った豊富なテクノロジーやノウハウを提供し、好評を得ています。マルチコプターを使った空撮映像など新しい分野にも意欲的に取り組んでいます。