放送局
2020年1月掲載
Media Backbone報道ソリューションで進捗の“見える化”実現
現場の空気にも良い変化が
北陸放送株式会社様は局内全体のテープレス化を実施するにあたり、Media Backbone報道ソリューションの導入による、収録・編集・送出・アーカイブに至るまでの統合的なワークフロー刷新を実現。2019年9月から運用を開始されました。
VTRの生産や保守終了などがアナウンスされる中、当社では、「テープレス化」と、ワークフローの改善を同時に実現しようと考えました。
導入を図ったのは、回線収録システム、カムコーダー素材の取材先からのワイヤレス伝送、編集システム、報道用のコンテンツ管理、プレイリスト作成やサブでの送出、アーカイブというすべてのシステムです。従来は部署ごとにテープフォーマットや編集など、それぞれ複数が混在していましたが、今回はすべてを1つに集約しました。
今回の刷新は、規模が大きく、広範なものです。ユーザーの立場から言えば、導入後も前面に立ってすべての一次窓口を担ってくれるところにSIをお任せしたいと思っていました。そのような中、おおむね当社の希望を実現できるシステムで、さらに、北陸にサービス拠点がある、という条件を満たしてくれるのはソニーでした。実際に導入後のサポートもスピーディーなので、とても安心しています。
ワイヤレス伝送を受信するPWS-100RX1A(上)とインジェストサーバー(下)
報道用として感度を重視したXDCAMメモリーカムコーダーPXW-X400を本社用に4式。本社や支局のワンマン取材用として、フットワークの軽さや画質、レンズ倍率の観点でXDCAMメモリーカムコーダーPXW-Z190を4式。報道記者やディレクターの持ち歩き用としてコンパクトさ重視のXDCAMメモリーカムコーダーPXW-Z90を8式導入しました。すべてのカムコーダーは、取材先からWi-Fiやモバイル回線を経由した、ライブストリーミングやファイル転送が可能です。局側には同時2回線受けができるネットワークRXステーションPWS-110RX1Aを備えました。主に災害時などの中継・伝送を想定して導入しました。
報道素材については、オリジナルで作ってもらった管理システムによって、毎日の番組ごと、トピックごとに制作の進捗管理が行え、フロアのモニターで確認できます。いままでデスクだけで抱え込んでいた進捗把握や追い込みが「見える化」されたことで問題が共有され、一人ひとりが自発的に動くようになり、空気も大きく変わりました。
回線収録は、以前はマスタールームで扱っていましたが、報道に移しました。仕事は増えましたが、進捗の見通しが立つようになり、作業性は向上しています。回線受けをしている最中にも、編集を行うスタッフがモニターを見られるようになり、あらかじめ、画の組み立ても考えられるようになりました。
プレイリストが表示されたモニター
マルチビューアーを採用した映像モニター
送出の設定UI
制作サブの送出VTRラックに搭載されたXDCAM Station
今回、アーカイブシステムにはODA(オプティカルディスク・アーカイブ)を採用しました。LTOという選択肢も考えましたが、正副2本のアーカイブが必須というのは現実的でないように思えました。また、極端に言えば、浸水してもより多くのデータを救済できる可能性が高いというのが、光ディスクの安心感でした。
今回の刷新にあたっては、ファイルベース化に向け部署横断的な検討会議を設けました。担当者個人の考えで進めるのではなく、技術局や報道制作局などそれぞれの部署内で要望や提案をあらかじめ集約した上で会議に臨み、その検討結果をフィードバックするということを繰り返しました。その総意をソニーに要望することで、個人の期待や想像とのギャップがないシステムを実現できました。
まだまだ技術的なハードルがあると思いますが場所を選ばず編集ができるような、編集システムのクラウド化や、AIなどを活用した自動編集など、今後も先進的なソリューションの実現をソニーに期待しています。