法人のお客様映像制作機器 XDCAM/NXCAM 事例紹介 株式会社テレビ東京 様株式会社BSジャパン 様

株式会社テレビ東京 様
株式会社BSジャパン 様

放送局

2017年3月掲載

2016年11月、新本社から放送を開始。
トータルファイルベース化により効率的で柔軟な地上波/BS放送へ
最新の機器・システムの導入で、コンテンツ制作力を核としたメディア集合体をめざす。

株式会社テレビ東京ホールディングス 様
株式会社テレビ東京 様

株式会社テレビ東京様・株式会社BSジャパン様は、最新の放送・制作設備を導入した東京・六本木の新本社に移転され、2016年11月7日より地上波/BS放送の本格運用を開始されました。
株式会社テレビ東京ホールディングス 社屋整備室 専門委員 石田秀徳様、株式会社テレビ東京 技術局 放送技術部 主事
手林 新様、同局 制作技術部 副部長 西山恵美子様、同部 副参事 大崎雅典様、同部 主事 北村宏一様に、新本社への移転の背景、目的、放送・制作設備構築のコンセプト、導入機器・システム選定の決め手や実運用での期待などを伺いました。
なお、記事は実運用開始前の2016年10月上旬に取材した内容を、編集部でまとめたものです。

石田 秀徳様
石田 秀徳様

手林 新様
手林 新様

西山 恵美子様
西山 恵美子様

大崎 雅典様
大崎 雅典様

北村 宏一様
北村 宏一様

トータルファイルベース化をめざして

我々が新本社の具体的な検討を開始したのは2011年秋のことです。次期マスターは地上とBSの統合で検討が進んでおり、その更新時期が迫っていましたが、神谷町前社屋で放送を維持しながらの更新は、広さ、電源容量などの問題で困難であったこと、4か所の建物に分散したオフィスを集約することで業務の効率向上を図る、ということが背景にありました。そして、2014年に開局50周年を迎えるにあたり、「次の50年の飛躍に向けて礎となるオフィス作り」を目指し、検討が開始されました。

2012年、社内に業務改善プロジェクトを立ち上げ、現在の業務フローの再整理、改善ポイントなど新本社での業務フロー改善の検討を行った結果、ファイルベース化が不可欠との結論に至りました。

そこで、新本社に向けた大方針の一つに「ファイル化の推進によって業務フローの効率化を実現する」を掲げ、新本社では全社的にファイル化に舵を切ることとなりました。これを受けて、グループ内にファイル化検討プロジェクトを設け、具体的な検討と実施を行ってきました。技術局では2007年頃からファイル化の検討を行い、ワークフローの整理、各種フォーマットの比較検討を進めており、これが検討のベースになりました。

とはいえ、まだまだテープ全盛で、思うように進まない状況でしたが、これからの放送、制作業界の主流になるであろうという認識のもと、ファイル化することで何がどう改善されるのか、足りないものはなにか、などの精査や検証を改めて行いました。

ファイルフォーマットは、テレビCMの素材搬入基準でも採用され、放送・制作業界でスタンダードフォーマットとして高い評価と実績のあるXDCAMの採用を決定しました。社内でもHDCAMテープ運用との親和性の高さ、すでに報道設備で採用した実績などで異論はありませんでした。

映像圧縮フォーマットは、これもテレビCMの素材搬入基準と同じMPEG HD422 50Mbpsを採用しました。画質については、再エンコードが必要なスーパーの修正の繰り返しなどでも問題ないことを確認しました。

2014年秋から2年間かけてテレビ東京への納品をXDCAMに切り替えてきましたが、特に大きな混乱もなく、目標を達成することができました。これもXDCAM Stationをはじめとした製品ラインアップの充実、個々の製品の信頼性が多大に寄与したものと、大変感謝しています。

XDCAM Stationの多機能をフル活用


XDS-PD2000を16式(地上波用8式、BS用8式)採用して構築した、地上波/BS放送のスタンドアロン、バックアップ送出設備。

新本社では、16台のXDS-PD2000を使って地上波/BS放送のスタンドアロン、バックアップ送出設備を構築していますが、デッキのみでこうしたファイルベースの設備ができる点が大きな魅力でした。

マスターでは、事故やトラブルは絶対に避けなければなりませんし、操作性や使い勝手の面が以前と大きく変化することは、操作ミスを引き起こす原因となります。安定した送出作業が行え、業務も効率化するためにソニーから提案されたのは、今まで、特に大型マルチ編成時、大量のテープと人員を使って一本化後に送出していたCMや番組のバックアップ送出を、XDCAM Stationに転送し、送出するというものでした。こちらの要望を汲み取って、1台のXDCAM StationでCM、番組どちらでの運用も可能とすることや、データサーバーで生成するプレイリストとの連携をスムーズに行えるようにカスタマイズするなど、柔軟に対応していただきました。


スポーツ送出卓。各スタジオサブの収録、送出用にXDS-PD2000が配備されている。

その他にも、XDS-PD2000を各スタジオサブに配備しています。プロフェッショナルディスクでの収録・再生はもちろんですが、内蔵ストレージによるスポーツファイル化設備の送出サーバーとしての役割を担い、緊急時には、ディスクでの送出にも対応できる面で、効率的な番組送出が可能になるものと期待しています。

また、OA同録システムにも、XDS-PD2000のほかに、新たにXDS-PD1000を2式、XDS-1000を4式配備します。番組・コンテンツの販売などに有効に活用していく計画です。

新本社で同時に導入する番組サーバーやCMバンク設備では、XDCAMドライブPDW-U2が多数稼動します。ファイル転送によるファイリングに移行することで、実時間から解放され、作業が効率化していくことが見込まれます。コンパクトなPDW-U2でこうした作業ができ、スペースを削減できることも魅力です。

汎用性の高いスタジオをソニーの機器、システムで構築


HDC-2500を8式導入した第1スタジオ。音楽番組などの大型番組のほか、汎用的な運用を想定したフラッグシップスタジオ。

番組・コンテンツ力の強化というコンセプトを具現化する上では、制作設備の強化、充実が不可欠となります。主力となるスタジオ設備もその一つで、新本社では汎用性の高いシステムを構築することを主眼として選定作業を行いました。生放送や収録番組で柔軟に対応できること、高画質の映像収録が可能であることや、安定性・信頼性の高さも必須要件となりました。

そこで、放送局のスタジオ構築で実績、評価が高く、4K対応など新しい時代の映像制作に対応しているソニーの機器・システムを主力となる第1・第2スタジオで採用することにしました。


HDC-4300を6式導入した第2スタジオ。生放送番組を前提にシステムを構築し、4K撮影に向けた検証、運用ノウハウの蓄積などにも活用予定。

音楽番組などの大型番組の放送・収録を行うメインスタジオの第1スタジオには、マルチフォーマットポータブルカメラHDC-2500を8式導入しています。そのうち4式はビルドアップ運用にも対応できるようになっており、1式はクレーン運用に対応しています。これにより、多様な撮影形態にも柔軟に対応できると期待しています。

一方、第2スタジオは生放送番組を前提にしたスタジオですが、こちらにはマルチフォーマットポータブルカメラHDC-4300を6式導入し、第1スタジオと同様、4式のビルドアップ運用、1式のクレーン運用もに対応しており、幅広く活用できると考えています。

HDC-4300は4K制作に対応できる点も魅力です。スタジオ制作において、これからの4Kワークフローを検討し、ノウハウを蓄積するのに活用できると考えています。また、4K対応が必要になった際に、改めて設備投資を行うよりコストメリットがあるという点も魅力でした。

スタジオサブにはXVS-8000 / ICP-X7000を採用


XVS-8000とICP-X7000を採用した第1スタジオサブ。ICP-X7000を2式配備し、マルチオペレートにも対応可能。

第1・第2スタジオのサブシステムには、マルチフォーマットスイッチャーXVS-8000と、コントロールパネルICPX7000を採用しました。

社内での事前動作検証でも、その性能の高さ、機能の多さ、操作性のよさは好評でした。コントロールパネル上の有機ELパネルを使用した素材名表示器や複数色で表示できるクロスポイントボタンなども見やすいと評判は上々です。


第1スタジオサブと同様にXVS-8000とICP-X7000を採用した第2スタジオサブ。

また、3G-SDI対応システムとすることで4K制作にも柔軟に対応できるようにしています。さらにマルチポートAVストレージユニットPWS-4500/4400などを持ち込んで4K収録に対応することもできます。

収録・送出用デッキには、それぞれXDS-PD2000を4式ずつ配備しています。番組収録やサブ出し運用だけでなく、ネットワーク化によりスポーツなどのファイルベース送出システムとして運用することができます。

スタジオの音声システム構築もソニーに依頼


落ち着いた色合いの第1スタジオサブの音声卓。スタジオごとに違うコンセプトでこだわりの音声卓を構築。

スタジオでの魅力的な番組制作では、音声システムも重要な役割を担います。高音質であることはもちろん、安定した運用ができ、番組の規模やオペレーションに柔軟な対応が可能であることも求められます。

そこで、映像・カメラシステムと合わせて、第1・第2スタジオの音声システム構築もソニーに依頼しました。


明るい雰囲気の第2スタジオサブの音声卓。

旧社屋で採用していたソニー製の音声卓は、安定感と信頼面から、また復活させてほしいという思いもありますが、今回は、他社製品も含めた音声のシステムインテグレーションを依頼し、いろいろと無理なお願いにも真摯に対応いただき、完成することができました。

また、当社では長い間、ソニーのワイヤレスマイクを使用しており、音声スタッフからもワイヤレスマイクの増設を求める意見が強く出ていました。旧社屋でのデジタルワイヤレスマイクの導入も早かったので、新周波数帯への移行では、迷わずソニーのデジタルワイヤレスマイクを採用し、新本社のスタジオでもDWXシリーズを導入することになりました。

番組編集室はXDCAMファイルベースリニア編集に対応


MVS-7000X、XDS-PD2000、PDW-F1600などで柔軟な編集に対応できる番組編集室。

番組編集においてもソニーの機器、システムを導入しています。マルチフォーマットスイッチャーMVS-7000Xをコアシステムとして採用、USB3.0インターフェースボードXDBK-108、外部SSDアクセスオプションXDBK-109を搭載したXDS-PD2000を2式配備することで、XDCAMファイルベースリニア編集に対応しています。番組編集の対応力を強化することができると期待しています。
また、XDCAM HD422レコーダーPDW-F1600を1式配備しており、納品素材に修正が必要な場合にもインサート編集で対応できます。

視聴者の支持と信頼に応える総合メディア企業へ

新本社の本格運用はこれからですが、地上波/BS放送を軸とする総合メディアグループとして、さらなる飛躍をめざしていきます。
視聴者へのより魅力的な番組提供はもちろんのこと、新本社でのさらに進化したデジタル技術により、4K番組制作やITを駆使した番組配信などにも注力していきたいと考えています。

今後もソニーには、先進的な機器、システムなど充実したラインアップと、現場の細かな意見・要望にも柔軟に応えてくれることを期待しています。

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