ハイビジョン撮像(1920x1080)にはSD画質の約6倍の画素が必要になります。そのため、小型HDカムコーダーのセンサーに於いては、多画素化と高画質化を両立させる技術が必須となっています。
近年、デジタル一眼レフカメラやHD画質の家庭用カムコーダーの普及に伴い、低消費電力化と画像の高速読み出しなどが可能なCMOSセンサーの開発が進んでおり、ソニーはその特長を生かした革新的技術を開発し、小型HDカムコーダーに最適なCMOSセンサーをXDCAM EXカムコーダーに搭載しています。
同じイメージセンサーであるCCDとCMOSセンサーは、その構造において相違点があります。CMOSセンサーでの低消費電力化、高速読み出しはライン露光順次読み出し読み出し方式により実現されており、以下にその仕組みを解説します。
CMOSセンサー
CCDセンサー
同じサイズのセンサーでも単位画素サイズを大きくしながら高解像度を得ることが可能
(PMW-EX1ではソニーのハンディーカムコーダーで初の1/2型フルHDイメージャーを搭載)
同時に実現するには大きなサイズのセンサーを使うか、又は画素ずらし等の技術が必要
低い
高画素では非常に高い
ノイズが大幅に少ない
(Exmor)
熱雑音が避けられない
構造的に受光面積(感度)を損なわずに可能
感度を維持するためには大きなサイズのセンサーが必要
原理的に容易
十分な電力を必要とする
なし
あり
ライン露光順次読み出し
(ローリングシャッター)
低消費電力、高速読み出しを実現 同時露光一括読み出し
フラッシュによる明暗の発生
<現象>
ローリングシャッターを使用するCMOSセンサーでは、ライン毎の露光タイミングおよび読み出し時間のずれにより、フラッシュやストロボ等、非常に発光期間の短い照明成分があると、画面の場所によって、明るさの差が生じます。映像としては、明るさが上下で分割されたような画、もしくは一部、映らない画になります。
<発生の可能性のあるシーン>
スローシャッターを含めたなるべく遅いシャッタースピードで撮影すると、明るさが分割される確率が下がる可能性があります。
その他に、高速で動くものを撮影した場合の画像歪みや蛍光灯によるフリッカーの発生などがあります。
蛍光灯下におけるフリッカーについて
<現象>
CCDでもフリッカーは発生しますが、CMOSでは読み出し方式の違いにより、横縞状の明暗変化が垂直方向に流れて見えたり、横縞状の明暗変化が止まって見えたりします。主に、ノンインバーター蛍光灯など、週的な発光を繰り返す照明下で発生します。
<フリッカー低減方法>
■50Hz地域
1/100シャッターを使う。
又は、フリッカー補正ONでフリッカーを低減する。
■60Hz地域
1/60、1/120シャッターを使う。
CMOSセンサーは、CCDとは異なるライン露光順次読み出し方式(ローリングシャッター)を用いることにより、低消費電力化、高速読み出しを実現しております。その一方、CCDでは見られない、高速移動体撮影時の画像歪み、フラッシュによる明暗の発生、蛍光灯面内フリッカーの現象が生じます。
しかしながら、その技術は日々進展しており、高解像度、高感度、周辺回路簡素化、小型化、低消費電力、高速対応性、そしてスミアが発生しないというCMOSセンサーの特長は、小型HDカメラの性能向上のためには必要な技術であり、大きな優位点です。
さらに、ソニー独自の列並列ADコンバーターを搭載した"Exmor" CMOSセンサーは、以上の利点に加え、更なる高画質化においても十分な訴求力があると考えております。
PMW-EX1では、このようなCMOSセンサーの特長を生かし、ハンディーカムコーダーでは初めて1/2型フルHD CMOSセンサーを搭載しています。
また、ソニーは2008年6月に裏面照射型のCMOSセンサーの試作開発を発表しました。
これにより小型センサーでの高画質化への重要な要素である感度向上やノイズ低減を実現することができ、CMOSセンサーの将来性は非常に高いと考えています。
ソニーは、CMOSセンサーにおいても、常に業界最高の品質と、先進性を実現していきます。