スマートフォン『Xperia 1 VI』
「Xperia」はソニーが誇る、カメラやテレビ、スピーカーなどの高機能を貪欲に取り込むことで、その魅力を高めてきました。ここではその最新フラッグシップモデル『Xperia 1 VI』の開発当時を、Xperiaのエンジニアとその開発に協力した各製品ジャンルのエンジニアたちが振り返りながら、製品に凝縮された“ソニー”の技術とこだわりを語り尽くします。
Index
Sony Audio × Xperia
こんな小さなボディにもしっかりと「ソニーの音」
ソニーの誇る
“本物の音”を手のひらに
『Xperia 1 VI』は内蔵スピーカーの臨場感、迫力を、シリーズ過去最高レベルに大きく向上。映画を観ている時にはサウンドバー『BRAVIA Theatre Bar 9』の包み込まれるような立体音響空間を、音楽を聴く時にはSignature Seriesのニアフィールドパワードスピーカー『SA-Z1』を彷彿とさせる立体的なミュージックステージを再現する。
何も足さず、何も引かない。それが
「私たちソニーの音」
長年ソニーが培ってきた、よりいっそう音楽と映画を楽しむための音作りのノウハウを『Xperia 1 VI』へと惜しげもなくつぎ込んだ。大切にしたのはダイアログ(セリフ)とボーカル。こだわったのはその音にできる限り何も足さず、何もひかないこと。クリエイターの思いをダイレクトに感じ取れる「ソニーの音」を『Xperia 1 VI』なら、どこにでも持っていける。
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[Xperia]
音質設計担当
松本 -
実はアニソンってものすごくハードルの高いコンテンツなんですよ。同時に複数のトラックがものすごいスピードで音の粒をばらまく中にボーカルがいて……。その点、『Xperia 1 VI』のスピーカーなら、今どきのアニソンの複雑でハイスピードなトラックも、混濁せずに気持ちよいアンサンブルとなって楽しめます。
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[Sony Audio]
音質設計担当
加来 -
映画館のスクリーンと大型テレビ、そしてスマートフォンの画面では、それぞれ画面サイズが異なりますから、それに合わせた適切な音質だったり、画面と違和感のない音像のサイズだったりが映画への没入感には重要だと思います。その点、『Xperia 1 VI』は、手のひらに映画館が入っているような立体感と没入感が得られると感じます。
『Xperia 1 VI』でどんな音楽を聴きたい?
安定したハイパフォーマンスが支える
ソニークオリティ
体験を止めない。
感動を止めない
スマートフォンに求められるのは瞬間的なハイパフォーマンスよりも、ずっと快適に使い続けられること。そのために必要なのは、局所的な最適化ではなく、ハードウェアからソフトウェアまでスマートフォン全体を俯瞰したチューニング。ソニーではかねてよりシステム全体でのパフォーマンス最適化を重視しており、専任チームが全体を見ながら、スペックでは測りきれない高性能化を追求している。
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パフォーマンス
エンジニア
春木 -
『Xperia 1 VI』は電力的にも構造的にも改善を入れて、「Xperia 1」シリーズとしては過去最高と断言できる放熱性能になっています。過去の製品では、お客さまから厳しい声をいただくこともありましたが、『Xperia 1 VI』では必ずやご満足いただけると自信を持っています。
「長い時間」使えるし、
「長い期間」使い続けられる
『Xperia 1 VI』はバッテリー性能にも“感動”を求めた。これまで目標としてきた「充電なしでも2日持ち」を実現したほか、これまでも好評だった「3年使い続けても劣化しにくい長寿命バッテリー」も「4年」にまで延長するなど、「Xperia」過去最高のバッテリー性能を実現している。
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ソフトウェア
設計担当
大木 -
この数値を実現するべく、パフォーマンスエンジニアたちが試作機を日常の中で長期間試用し、実使用で浮かび上がってくるバッテリーを無駄に消費する要因をひとつひとつ潰していきました。本当にもうこれ以上、消費電力を最適化できないというところまで追い込んだ自負があります。
スマートフォンのバッテリーはどれくらいもってほしい?
- Sony Audio × Xperia
- PERFORMANCE & BATTERY
Sony Audio × Xperia
何も足さず、何も引かないことを是として、クリエイターの伝えたい音を愚直に伝え続けてきた「ソニーの音」。ここではその音づくりの哲学を長年に渡って磨き上げ、守り続けてきたチーフサウンドデザイナー・加来が、『Xperia 1 VI』の音をレビューします。
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[Sony Audio]
音質設計担当
加来 -
[Xperia]
音質設計担当
松本
『Xperia 1 VI』の音は
「他人じゃない」
まずはソニーの音作りがどういったものなのかを教えていただけますか?
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[Sony Audio]
音質設計担当
加来 -
私たちソニーグループには、ソニー・ピクチャーズエンタテインメントや、ソニー・ミュージックエンタテインメントといった仲間がおり、日々、密接に連携を取りながら、製品作りに取り組んでいます。そうした中、ソニーが音作りのテーマとしているのは、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」の旗のもと、クリエイターが考えるファンに届けたい音を具現化することです。
それはどんな音なのでしょうか?
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[Sony Audio]
音質設計担当
加来 -
映画で言うとダイアログ(セリフ)、音楽で言うとボーカルを大切にするということです。この音をしっかり伝えるべく、それぞれの音響設計担当者が、日々、クリエイターとやり取りしながら、時には制作現場で実際にどのような音作りをしているのかも見させていただきつつ、少しずつ、地道に理解を深め、製品の音に落とし込んでいくということをやってきました。私はそうした中で、それぞれの担当者が作りたい、目指している音を尊重しつつ、バラバラの方向に向かってしまわないように、旗振りをして方針を統一するという仕事をやっています。
それはソニーのあらゆるオーディオ製品において、ということでしょうか?
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[Sony Audio]
音質設計担当
加来 -
いえ、私が担当しているのはスピーカーやサウンドバーなど、ホームオーディオ、ホームシアター機器となります。ウォークマンなど他の分野には別の旗振り役がいます。
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[Xperia]
音質設計担当
松本 -
ただ、それぞれのチーフにはかなり密接な繋がりがあり、部門によって全く異なる音を目指しているということはありません。と言うか、ソニーの中で良い音を追求していると、いつの間にか「ソニーの音」になっていくんですよ。
それはなぜなのでしょうか?
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[Xperia]
音質設計担当
松本 -
冒頭のお話にもあったよう、グループ内に多くのクリエイターやエンジニアがいることが大きいのだと思っています。その一方で自分自身、熱心な映画ファン、音楽ファンでもありますから、結果として自分の中に「コミュニティ・オブ・インタレスト(クリエイターからエンジニア、リスナーまで、共通の感動体験を共有する人たちの集まり)」が凝縮されたかたちで醸成され、自然とそうしたクリエイターの思いをリスナーにそのまま伝えるような音作りに行き着くのかもしれません。
それが「ソニーの音」なんですね。
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[Xperia]
音質設計担当
松本 -
はい。クリエイターの伝えたいことは、もう作品の中に含まれていますから、僕らが勝手に変えたり、何かを増やしてあげる必要はないんです。僕らは何も足さないし、何も引かない。だから自然と同じ音になっていくんです。
なるほど。では、それを踏まえた上で、今回『Xperia 1 VI』でどのような音を目指したのかを教えてください。
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[Xperia]
音質設計担当
松本 -
今回、加来が目の前にいるから言うわけではないのですが(笑)、『Xperia 1 VI』では、加来の担当したプロダクトのエッセンスをそのまま落とし込んだような音を目指しました。映画を観ている時にはサウンドバー『BRAVIA Theatre Bar 9』の包み込まれるような立体音響空間が、音楽を聴く時にはSignature Seriesのニアフィールドパワードスピーカー『SA-Z1』の怪物級の立体的なミュージックステージが手のひらに乗っているかのような体験を、可能な限り、限界を決めずに再現してみよう、と。これが自分にとって最高の体験だと思っているので、素直にそこを目指そうということです。
加来さんはその話を聞いてどう思われました?
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[Sony Audio]
音質設計担当
加来 -
あまり社内でそういう照れくさい話はしないんですけども(笑)、はじめて『Xperia 1 VI』の音を聴いた時、「他人の音じゃないな」と素直に思いました。さきほど、クリエイターの思いをリスナーにそのまま伝える音作りをしていくと、いつの間にか「ソニーの音」になっていくという話がありましたけど、まさにこれがそういうことなんでしょうね。
『Xperia 1 VI』は内蔵スピーカーが大幅進化
特にアニソンは必聴!?
今回、『Xperia 1 VI』では、内蔵スピーカーの音質が飛躍的に向上したとお聞きしました。具体的にどのように進化したのかを教えていただけますか?
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[Xperia]
音質設計担当
松本 -
その前に、まずスマートフォンの内蔵スピーカーが抱えている構造的な難しさについて説明させてください。一般的なステレオスピーカーでは左右のスピーカーは同じものを使い、左右対称に配置されるのが当たり前ですが、スマートフォンではその当たり前がまず実現できません。どうしてもカメラやUSBポート、バッテリーなどを避けた位置に配置せざるを得ず、しかも小指の先くらいのスピーカーしか入れられません。そのため、どうしても音域が狭かったり、左右の音の聞こえが変わってしまったりする問題があります。
「Xperia」ではこうした振幅特性、位相特性のズレといった音響上の課題を、ソニーが長年培ってきた信号処理技術で徹底的に整えるところからはじめています。これをほどほどのレベルで妥協してしまうと、その後なにをやっても良い音にならないんです。
「Xperia」はそこをしっかりやっている、と。
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[Xperia]
音質設計担当
松本 -
その通りです。もちろん、それができるのはソニーが長年、オーディオ機器の開発に取り組んできたから。気がつきにくいところなのですが、そこにかなりのノウハウとテクノロジーが盛り込まれているんですよ。
なるほど。その点で今回、何かアップデートされていることはありますか?
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[Xperia]
音質設計担当
松本 -
はい。とても大きなアップデートとして、音の根幹を担うスピーカーユニットを新設計しました。一般的にここまで小さなスピーカーでは低い音がほとんど出せないため、信号処理で音量を増幅する必要があります。この際、従来のスピーカーでは歪みが大きくなってしまい、音質がかなり損なわれてしまっていたのですが、『Xperia 1 VI』の新しいスピーカーは大振幅でも歪みが小さいため、その後の信号処理も攻めたチューニングが可能になり、声や楽器の豊かさなど、低音の再現性が劇的に向上しています。
ポテンシャルの上がったスピーカーを活かしきるようにチューニングも改善しているので、沈み込むような低音からはじけるような高音まで、音のコントラストも大きく改善され、それによってより生々しさを感じられるようにもなりました。
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[Sony Audio]
音質設計担当
加来 -
「Xperia」の内蔵スピーカーは過去モデルも素晴らしい完成度だったと思うのですが、実際に最新の『Xperia 1 VI』と聴き比べると全然違って感じますね。実際のスピーカー位置よりも広がり感がありつつ、スマートフォンの中に小人がいて歌っているように感じられるというか。確かにとても生々しく感じます。
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[Xperia]
音質設計担当
松本 -
加来さんにそう言っていただけるのはうれしいですね。『Xperia 1 VI』では、喉から出ている音だけでなく、その周辺、胸腔で響かせるチェストボイスも加わったリッチな音を再現できたと思っています。
そうした『Xperia 1 VI』の高音質化の恩恵を受けやすい音楽ジャンルがありましたら教えてください。
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[Xperia]
音質設計担当
松本 -
ずばりアニソンですね。実はアニソンってものすごくハードルの高いコンテンツなんですよ。同時に複数のトラックがものすごいスピードで音の粒をばらまく中にボーカルがいて……。それをしっかり分離させて、クリアにバランス良く聴かせるのは本当に大変なんです。このバランスが少しでも崩れると、クリエイターがノリよく重ねていった音の気持ちよいアンサンブルが一気に崩れてしまって、聴くにたえないものになってしまいます。
その点、『Xperia 1 VI』のスピーカーなら、今どきのアニソンもしっかり、気持ちよい音で再生できます。もちろん、ポップスもロックもジャズもクラシックも、目の前に小さなステージが出来上がるような臨場感で楽しめますので、ふだん、スピーカーで音楽を再生しないという方にも聴いてみていただきたいですね。
ちなみにヘッドホンの音質はいかがでしょうか?
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[Xperia]
音質設計担当
松本 -
もちろん、スピーカー同様、従来モデルよりもさらに良い音にすべく、さまざまな点を見直し、音質向上させています。特に今回は有線ヘッドホンの音質がかなり良くなりました。アンプからヘッドホンジャックに至る経路を徹底的に音質重視で見直しまして、特にハイレゾ音源の持つ空気感、広がり感をより堪能していただけるようになっています。また、DACやアンプの性能を向上させたことで、よりクリアで厚みのある音になっているので、同じヘッドホンでもワンランク上の製品に交換したくらい違って聴こえるはずです。ワイヤレスヘッドホンについても劇的な改善ではないものの、基板設計の見直しなどが高音質化に貢献しています。
手のひらに乗る、自分だけの
プライベートシアターサウンド
ここまで主に音楽再生について伺ってきましたが、映画のサウンドについてはいかがでしょうか? 映画にも今どきの流行りみたいなものはあるのですか?
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[Sony Audio]
音質設計担当
加来 -
そこはやはり立体音響でしょうね。最近はDolby Atmosのような立体音響フォーマットで作られた作品がとても増えており、しかも動画配信サービスなどで気軽に楽しめるようになりました。結果として、それまでの映画と比べて、画面の外で鳴っている音がものすごく増えていて、それが分からないと作品に十分に没入できないようにもなってきています。この傾向は今後、どんどん加速していくはずです。
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[Xperia]
音質設計担当
松本 -
そうした中、「Xperia」では早い段階からDolby Atmosなどの立体音響フォーマットに対応しており、内蔵スピーカーでもヘッドホンでも立体的なサウンドを楽しめるようにしてきました。
その上で、今回特に推したいのはやはりスピーカーによる再生です。先ほどお話しした、スピーカー性能の向上によって、立体音響もよりリアルに、より迫力が増して、映画館の様な臨場感を感じていただけると思うので、ソファやベッドに寝転んだりしながら、自分だけのプライベートシアター感覚で映画を楽しんでいただければなと思っています。
その際の音作りにおいて、どんなことにこだわりましたか?
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[Xperia]
音質設計担当
松本 -
スマートフォンでの映画鑑賞は、どうしたってブラビアとサウンドバーを組み合わせた体験にはスケール感の点で及ばないところがあります。画面なんか比べものにならないくらい小さいですからね。でも、視聴距離はずっと近いので、体感としては55V型くらいのテレビで見ているのとさほど変わらない感覚で楽しめるんですよ。ただ、だからといって大型テレビ向けサウンドバーのようなスケールのサウンドを再現するといったことはしていません。そもそもできないというのもありますが、もちろんそれだけではないんです。
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[Sony Audio]
音質設計担当
加来 -
我々は画面サイズに合った音を出すことが、映画への没入感を増すためにとても重要なことだと考えています。映画館のスクリーンと大型テレビ、そしてスマートフォンの画面では、それぞれ画面サイズが異なりますから、適切な音質だったり、画面と違和感のない音像のサイズだったりが異なっているんです。10m先にある巨大な映画館のスクリーンに写されている大きな顔から出ている声と、手元のスマートフォンに映されている小さな顔から出ている声が同じ音のわけがありませんよね。
確かに、スマートフォンの小さな画面で見ているのに、映画館のような響く音で聴こえてくると違和感がありますね。
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[Xperia]
音質設計担当
松本 -
ですので、『Xperia 1 VI』では、映画館の空間をギュッと小さくして、その中で音の立体感やシーンの雰囲気をしっかり感じられるような音作りを心がけています。ヘッドホンで視聴するのと比べて耳疲れも抑えられますので、映画やドラマをじっくり楽しんでいただけますよ。
- Sony Audio × Xperia
- PERFORMANCE & BATTERY
PERFORMANCE & BATTERY
『Xperia 1 VI』に組み込まれた、さまざまなソニー製品由来の技術やノウハウ。その高性能を快適に、安定して長時間使えるようにするためのパフォーマンス最適化について、その専任チームのメンバーたちに話を訊きます。
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パフォーマンス
エンジニア
春木 -
ソフトウェア
設計担当
大木
記事を読む
パフォーマンスの最適化の専任チームが
『Xperia 1 VI』を徹底チューニング
『Xperia 1 VI』は、スマートフォン最高クラスの処理性能を誇るSoC(CPUなど、さまざまな機能を統合した半導体チップ)「Snapdragon 8 Gen 3」搭載など、フラッグシップモデルならではのリッチなスペックを誇ります。その高性能を引き出すため、どのような取り組みを行っているのか聞かせてください。
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パフォーマンス
エンジニア
春木 -
体感パフォーマンスを高め、しかも安定して長時間動作できるよう、局所的な最適化ではなく、ハードウェアからソフトウェアまでスマートフォン全体を俯瞰したチューニングを行いました。スペックや高性能だけを追い求めた最適化は、消費電力が高くなることで、発熱やバッテリーもちに悪影響が出てしまうため、ソニーではかねてよりシステム全体でのパフォーマンス最適化を重視しています。『Xperia 1 VI』でも、「パフォーマンスエンジニア」である私を含む専任チームが、スペックでは測りきれない高性能化を追求しています。
そうした『Xperia 1 VI』ならではのチューニングを実感できる利用シーンにはどんなものがありますか?
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ソフトウェア
設計担当
大木 -
分かりやすいところでは4K 120fpsでの動画撮影がとりわけシステム負荷が高く、消費電力が大きくなり、発熱しやすいユースケースですね。『Xperia 1 VI』ではそうした多くの利用シーンでも、可能な限り触れないほど熱くなってしまったり、強制停止したりしないようにしています。
具体的にはどういったことをやっているのですか?
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ソフトウェア
設計担当
大木 -
さまざまなシチュエーションでCPUなどシステム上の動作を解析し、必要な処理だけにCPUのリソースを割り振ることで無駄な消費電力と発熱を抑える取り組みを、本当に細かなレベルまで徹底してやっています。
この際、最優先したのは、ストレージの許す限り録画し続けられること。録画に失敗したり、中断したりすることで撮影機会が失われてしまうことだけはあってはなりませんから。そのリスクを極小にするべく、それでもなおシステムにかかる負荷が一定以上に高まってしまった場合は、極力撮影体験に影響を及ぼさない範囲で撮影機能に制限をかけるなどしています。
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パフォーマンス
エンジニア
春木 -
こうした工夫は4K 120fps撮影に限らず、さまざまな利用シーンで行っており、たとえばカメラを使うさまざまなアプリについて、快適さを損なわない範囲で消費電力や発熱をギリギリまで削っていくチューニングを行っています。
薄皮をそぎ落とすように無駄をカットしていくことで、長時間、安定したパフォーマンスを発揮できるようにしているのですね。
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ソフトウェア
設計担当
大木 -
その通りです。一方、アプリの起動時などは、あえてパフォーマンスを上げて即立ち上がるようにもしています。
ただ起動させるだけの部分にチューニングの余地なんてあるのですか?
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ソフトウェア
設計担当
大木 -
実はパーツメーカーから提供されているコード(プログラム)やOS標準のコードは、一定のマージンを取った作りになっていて、そのままにしておくと本来のパフォーマンスを使いきれないところがあるんです。ただ、アプリの起動は全てのユーザーがかなり高頻度に行う動作ですから、少しでも速い方がいいですよね。本体内の温度が上がりすぎないようしっかり監視しつつ、CPUのパフォーマンスが最大まで出るようにしてサッとアプリが起動するようにしています。
発熱を抑え、効率的に放熱する
先進のハードウェア設計
ここまでのお話で、『Xperia 1 VI』が発熱しすぎないよう巧みに制御されていることが理解できたのですが、それでもやはり熱を効率的に逃がす仕組みは重要ですよね。このあたり『Xperia 1 VI』がどのような構造的対策を行っているのかを聞かせてください。
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パフォーマンス
エンジニア
春木 -
まず「Xperia 1」シリーズとして初めて「ベイパーチャンバー」というCPUやカメラが発する高熱を拡散し、外部に放熱しやすいようにしてくれる熱拡散装置を搭載しています。これによって内部に熱がこもることがなくなり、安定したパフォーマンスを長時間発揮できるようになりました。
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パフォーマンス
エンジニア
春木 -
今回の新しいカメラ構成は、構造上の変化により放熱性能が厳しくなっているのですが、ベイパーチャンバーを搭載したことで十分な放熱性能を維持することができています。もちろん、ただベイパーチャンバーを載せればいいというものではなく、長年培ってきたスマートフォンの熱設計のノウハウを結集して、部品の選定・内部構造の最適化を行うことで、サイズ・重量を損なわずに放熱性能を最大限に発揮することができました。
ベイパーチャンバー以外の対策についても教えてください。
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パフォーマンス
エンジニア
春木 -
新たなカメラ構成は構造だけでなく消費電力も不利な条件があるのですが、SoCやディスプレイの消費電力が改善できたため、同一条件下では、「Xperia 1」シリーズとして最も省電力になっています。省電力は発熱の低減にも直結しますから、最高の熱対策と言えるでしょう。
今回、ディスプレイの解像度が4Kから2Kになっていますが、その点も省電力に効いていそうですね。
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パフォーマンス
エンジニア
春木 -
非常に大きいですね。また、ディスプレイの材料も最新ですから、屋外での撮影時など画面を明るくした際の電力効率も改善されています。これによって、屋外で見やすくなったことに加え、同じ明るさであれば、従来機種より省電力になっているんですよ。
それはすごい。これからの暑いシーズンにも安心して使えそうですね。
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パフォーマンス
エンジニア
春木 -
はい。『Xperia 1 VI』は消費電力的にも構造的にも改善を入れて、「Xperia 1」シリーズとしては過去最高と断言できる放熱性能を実現し、パフォーマンス向上と長時間利用を両立しました。過去の製品では、お客さまから厳しい声をいただくこともありましたが、『Xperia 1 VI』では必ずやご満足いただけると自信を持っています。
「Xperia」史上最長駆動&寿命を実現した
“感動”バッテリー
どんなに優れたスマートフォンでも電源が切れてしまったのでは意味がありません。特にハイエンドモデルは消費電力が大きいイメージですが『Xperia 1 VI』はどれくらい長時間使い続けられるのでしょうか?
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パフォーマンス
エンジニア
春木 -
『Xperia 1 VI』はバッテリー容量5000mAhをそのままに、消費電力を大幅に減らすことで、ヘビーユーザーでも丸2日使えるバッテリーもちを実現しました。
Xperiaユーザーの調査をしたところ、ヘビーユーザーは約6時間もスマートフォンに触っていることがわかっており、そういったユーザーでも、丸2日使っていただけるくらいのバッテリーもちを中長期的な目標に掲げて開発を進めてきました。
ハイエンドの「Xperia 1」シリーズでは、先代の「Xperia 1 V」で約1.7日ともう少しのところまできていましたが、「Xperia 1 VI」では、特にディスプレイの消費電力が改善されたことで、目標を達成するだけでなく、「Xperia」史上最高のバッテリーもちを実現しています。
ディスプレイについては、先ほどお話した、解像度や材料に加えて、可変リフレッシュレート対応も効果がありました。
可変リフレッシュレートとはどういった機能なのですか?
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パフォーマンス
エンジニア
春木 -
利用シーンに応じてディスプレイのリフレッシュレート(1秒間あたりの書き換え回数)を1Hz~120Hzまで動的に変更できるというものです。特に静止画表示時などは1Hzまでリフレッシュレートを落とせるため、大幅に消費電力を減らせます。ウェブやSNSの閲覧中は静止画表示状態も多いため、消費電力を20~30%ほど削減することができました。動画やゲームなども、コンテンツに最適なリフレッシュレートに調整しますので、パフォーマンスと省電力を両立できます。
そうした新機能もあって念願のバッテリー性能を実現できたのですね。
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パフォーマンス
エンジニア
春木 -
「Xperia」ではさまざまなスペックについて、これならユーザーが感動してくれるだろうという数値を目標に設計しています。バッテリーについては「丸2日」が感動していただけるレベルだろうと考え取り組んできたので、実現できたことは本当にうれしく思っています。
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ソフトウェア
設計担当
大木 -
この数値を実現するべく、パフォーマンスエンジニアたちが試作機を日常の中で長期間試用し、なにをすると電力を消費するのか、いつの間にかバッテリーが激減している時には何が起きているのかなどを徹底的にチェック。実使用で浮かび上がってくるバッテリーを無駄に消費する要因をひとつひとつ潰していきました。本当にもうこれ以上、消費電力を最適化できないというところまで追い込んだ自負がありますし、エンジニアとしてとても感動しています。
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パフォーマンス
エンジニア
春木 -
そしてもうひとつ「Xperia」過去最高のバッテリーを謳える要素として、従来モデルでも好評な「3年使い続けても劣化しにくい長寿命バッテリー」を4年にまで延ばすことに成功しています。
その実現にはどのような難しさがあるのでしょうか?
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パフォーマンス
エンジニア
春木 -
デザイン・サイズにもこだわっている「Xperia」には、高電力密度のバッテリーを採用していますが、充電速度や寿命が犠牲になってしまいがちという課題がありました。そうした中、我々はバッテリーメーカーと密にやり取りしながら、高電力密度でありながら充電速度を損なわず、バッテリーの素材や利用状況に応じた充電アルゴリズムの開発に挑戦し続けてきました。今回、その改良を積み重ねて、ついに4年もつものを作れるようになったということです。しかも、充電速度も『Xperia 1 V』から若干速くなっています。
ハイエンドスマートフォンは高額な製品ですから長く使えるのはうれしいですね。
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パフォーマンス
エンジニア
春木 -
はい。新素材を採用するだけでなく、新素材に最適化した充電アルゴリズムを開発することで、4年長寿命を実現しつつ、充電速度も若干改善することができました。ちなみに1年、2年の使用でも劣化の進行をおさえていますので、買い替えサイクルの早いコアなスマートフォンユーザーの皆さんにとってもメリットのある改善だと考えています。
[Sony Audio]
音質設計担当
加来
はじめて『Xperia 1 VI』の音を聴いた時、「他人の音じゃないな」と思いました。クリエイターの思いをリスナーにそのまま伝える音作りをしていくと、いつの間にか「ソニーの音」になっていくのでしょうね。