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開発者インタビュー

テレビ、カメラ、スピーカー開発者 × 『Xperia 1 VI』開発者による情熱トーク Xperia 1 VI は'スマートフォンの皮を被ったα'だ α × Xperia テレビ、カメラ、スピーカー開発者 × 『Xperia 1 VI』開発者による情熱トーク Xperia 1 VI は'スマートフォンの皮を被ったα'だ α × Xperia テレビ、カメラ、スピーカー開発者 × 『Xperia 1 VI』開発者による情熱トーク Xperia 1 VI は'スマートフォンの皮を被ったα'だ α × Xperia

スマートフォン『Xperia 1 VI』

「Xperia」はソニーが誇る、カメラやテレビ、スピーカーなどの高機能を貪欲に取り込むことで、その魅力を高めてきました。ここではその最新フラッグシップモデル『Xperia 1 VI』の開発当時を、Xperiaのエンジニアとその開発に協力した各製品ジャンルのエンジニアたちが振り返りながら、製品に凝縮された“ソニー”の技術とこだわりを語り尽くします。

Index

α × Xperia
『Xperia 1 VI』
「スマートフォンの皮を被ったα」だ

安定したハイパフォーマンスが支える
ソニークオリティ

  • 01 01
    α × Xperia
    『Xperia 1 VI』
    「スマートフォンの皮を被ったα」だ
  • 02 02
    安定したハイパフォーマンスが支える
    ソニークオリティ

α × Xperia
『Xperia 1 VI』
「スマートフォンの皮を被ったα」だ

point

「美の真実」を追求した
カメラとスマートフォン

美しさは被写体そのものにある。それを何よりも大切にするのがソニーの哲学のひとつ。強調しすぎない、素材を活かした自然な画質、そして人の記憶に忠実に美しく再現することは「α」と「Xperia」共通の思想だ。まずは身近な人の肌の色を見比べてみてほしい。

開発者からのコメント
[Xperia]カメラ画質設計担当 有山

[Xperia]
カメラ画質設計担当
有山

写真の色味がずれたとき、特に違和感が大きいのが人の肌の色なんです。そこで「Xperia」では肌の色を自然に、忠実に再現できるよう「α」の画質を参考にチューニングを行っています。また、ノイズも気持ち良いサラサラ感を残すように心がけています。

point

目指したのはαユーザーの
「ポケットに入るα」

これほどのスリムボディにあらゆる被写体に相対できる超広角(16mm相当)、広角(24mm・48mm相当)、望遠ズーム(85~170mm相当)の大口径トリプルレンズを搭載。撮影機能や操作性も、手に馴染んだ「α」そのままを追求しているから、「α」のサブカメラとして違和感なく併用できる。

開発者からのコメント
[α]カメラ画質設計担当 玉木

[α]
カメラ画質設計担当
玉木

「α」で3本ものレンズを持ち運ぶときは、その日に撮影する気持ちがあって、きちんと準備しているケースがほとんどですよね。一方、常にポケットに入っていて、とっさに撮影したい場合にも満足いく写真が撮れるのはスマートフォンならではのアドバンテージだと思っています。

『Xperia 1 VI』のカメラで何を撮りたい?

安定したハイパフォーマンスが支える
ソニークオリティ

point

体験を止めない。
感動を止めない

スマートフォンに求められるのは瞬間的なハイパフォーマンスよりも、ずっと快適に使い続けられること。そのために必要なのは、局所的な最適化ではなく、ハードウェアからソフトウェアまでスマートフォン全体を俯瞰したチューニング。ソニーではかねてよりシステム全体でのパフォーマンス最適化を重視しており、専任チームが全体を見ながら、スペックでは測りきれない高性能化を追求している。

開発者からのコメント
パフォーマンスエンジニア 春木

パフォーマンス
エンジニア
春木

『Xperia 1 VI』は電力的にも構造的にも改善を入れて、「Xperia 1」シリーズとしては過去最高と断言できる放熱性能になっています。過去の製品では、お客さまから厳しい声をいただくこともありましたが、『Xperia 1 VI』では必ずやご満足いただけると自信を持っています。

point

「長い時間」使えるし、
「長い期間」使い続けられる

『Xperia 1 VI』はバッテリー性能にも“感動”を求めた。これまで目標としてきた「充電なしでも2日持ち」を実現したほか、これまでも好評だった「3年使い続けても劣化しにくい長寿命バッテリー」も「4年」にまで延長するなど、「Xperia」過去最高のバッテリー性能を実現している。

開発者からのコメント
ソフトウェア設計担当 大木

ソフトウェア
設計担当
大木

この数値を実現するべく、パフォーマンスエンジニアたちが試作機を日常の中で長期間試用し、実使用で浮かび上がってくるバッテリーを無駄に消費する要因をひとつひとつ潰していきました。本当にもうこれ以上、消費電力を最適化できないというところまで追い込んだ自負があります。

スマートフォンのバッテリーはどれくらいもってほしい?

voices

α × Xperia

開発者の声

写真を知り尽くしたプロフェッショナルたちが作り込んできた、デジタル一眼カメラ「α」の画。「Xperia」のエンジニアたちは早くからそのこだわりと撮影機能をスマートフォンの世界に持ち込み、気軽に高画質で撮れることに加え、専用機ならではの“こだわって撮る楽しみ”をより多くの皆さまに提供してきました。ここではそのこだわりを、「α」と「Xperia」双方の画質設計担当者が解説します。

お話を聞いた開発者
  • [α]カメラ画質設計担当 玉木

    [α]
    カメラ画質設計担当
    玉木

  • [Xperia]カメラ画質設計担当 有山

    [Xperia]
    カメラ画質設計担当
    有山

日々、進化し続けている
「α」の画作り

「α」の画質にはどんなこだわりが込められているのでしょうか?

[α]カメラ画質設計担当 玉木

[α]
カメラ画質設計担当
玉木

「α」にはこれが初めてのカメラという入門者から、カメラを仕事で使っているというプロフェッショナルまで幅広いユーザーがおり、被写体もそれぞれ大きく異なるため、かなり細かく”こだわって”います。たとえば解像感やコントラスト感を強調しすぎない、素材を活かした自然な画質はそうした“こだわり”のひとつです。そのほか、人物写真においては肌の色と質感を美しく描く事にも力を入れていますし、屋内や夜間のスポーツ撮影で使われるような中~高感度での撮影時にはノイズと解像のバランスが取れた画作りを目指すなど、さまざまな観点から、常にユーザーの声に耳を傾けつつ画質を追い込んできました。L判からポスターなどの大判まで多彩な選択肢のあるプリント出力から、100%拡大表示ができるモニターまで、さまざまな視聴環境がある中で、どのような環境であっても自然でリアリティのある描写を目指して設計しています。

そのこだわりによって生み出される「α」の画質は全ての製品で共通しているのでしょうか?

[α]カメラ画質設計担当 玉木

[α]
カメラ画質設計担当
玉木

入門者向けのモデルとプロフェッショナル向けのモデルでは求められる画質傾向が異なりますし、それぞれハードウェアの違いもありますから、製品ごとに静止画、動画の画質を担当するチームで話し合いながら決めています。ただ、複数の「α」で同じ被写体を撮ったときに極端な違いを感じてしまうのは避けたいですから、機種間での整合性は意識して画質設計を行っています。「α」シリーズとしてのひとつの大きな柱を作って、そこに製品ごとに味付けをしていくというイメージです。

「α」としての画質があるということなんですね。

[α]カメラ画質設計担当 玉木

[α]
カメラ画質設計担当
玉木

その通りです。ただ、不変的な物もありつつもこの“柱”は必ずしも不変のものではありません。カメラに求められる画質は時代によって大きく変わっていきますし、ハードウェアもどんどん進化していきますから。定期的に最新事情に併せたアップデートを行い、中長期的な観点から「α」の画質を作り込んでいくようにしています。

そうした「α」の画作りは「Xperia」にも活かされていますか?

[Xperia]カメラ画質設計担当 有山

[Xperia]
カメラ画質設計担当
有山

はい。デジタル一眼カメラとスマートフォンのカメラは特にイメージセンサーなどデバイス面が大きく異なっていますが画質面で目指していることは本質的には一緒だと考えています。もちろん、“柱”についてもしっかり共有されており、誇張しすぎない自然なディテールや、人の肌の色や空の青、草木の緑などを人の記憶に忠実に美しく再現することをXperiaのカメラでも追求してきました。

撮影後加工が当たり前になっているスマートフォンのカメラでは珍しい方針ですよね。

[Xperia]カメラ画質設計担当 有山

[Xperia]
カメラ画質設計担当
有山

そうかもしれませんね。ただ、撮った写真をその後に加工・編集する「素材」と考えるのであれば、エッジや色味を過剰に強調したり、ノイズを消しすぎたりした写真はありがたくありません。そのため「Xperia」では、そのまま使ってもきれいで、編集にも適した、ナチュラルな写真を提供したいと考えています。

「α」の各製品は“柱”をベースにそれぞれ個別に味付けされているということですが、「Xperia」については、どのような味付けがされているのでしょうか?

[Xperia]カメラ画質設計担当 有山

[Xperia]
カメラ画質設計担当
有山

高性能なプロセッサーを内蔵するスマートフォンは、一度のシャッターで連続撮影した画像を合成してダイナミックレンジを高めるHDR撮影など、コンピュテーショナル処理の点で大きな強みがあります。「Xperia」の画作りにおいてはそれをどこまで押しだしていくかが議論になりました。結論としては、それはスマートフォンならではの強みなのだから、しっかり活かしていこうということになり、「Xperia」で撮った写真の魅力になったと思っています。具体的にはイメージセンサーの違いが大きい中、コンピュテーショナル処理でノイズ低減やダイナミックレンジ拡大を図り、肌を中心とした色再現やディテール再現については先ほど述べたナチュラルと好ましさの実現を目指して4つのカメラの合わせこみをしています。

[α]カメラ画質設計担当 玉木

[α]
カメラ画質設計担当
玉木

ちなみにこうしたコンピュテーショナル処理についてはスマートフォンの方が先行していると認識しており、今後は「Xperia」から「α」へのフィードバックも大きくなっていくのではないかなと考えています。

限りなくデジタル一眼カメラの画作りを意識した
「Xperia」

続いては、ここまででお話しいただいた「α」由来の高画質を実現するために、「Xperia」で具体的にどのような処理を行っているのかを教えてください。

[Xperia]カメラ画質設計担当 有山

[Xperia]
カメラ画質設計担当
有山

「Xperia」と「α」では、センサーサイズも異なれば、レンズも異なります。特にスマートフォン搭載カメラ向けの小さなイメージセンサーはノイズ耐性の点で厳しく、暗い場所ではどうしてもノイズを目立たなくするデジタル処理が必要になります。ただ、だからといってノイズを潰しすぎると映像がベタっとした精細感、立体感の損なわれた画になってしまう問題がありました。

昔のスマートフォンで暗い場所を撮った写真を拡大するとびっくりする場合がありますよね。できの悪い塗り絵みたいになってしまうというか。小さい画面で見るならそれでも良いのかもしれませんが……。

[Xperia]カメラ画質設計担当 有山

[Xperia]
カメラ画質設計担当
有山

これに対して「Xperia」では、暗所撮影時になるべくノイズは消すものの、自然に残すような消し方を心がけています。べったりさせず、気持ちの良いサラサラ感を残すと言えば伝わるでしょうか?ソニーは長年のカメラ開発で、どのように画像を処理すれば気持ちのよいノイズ感を残せるのかの知見を蓄積していますから、これをしっかり取り込み画作りに利用しています。暗所撮影時のノイズ感はデジタル一眼カメラとの性能差をはっきり感じられるところで、特に画作りの差異が目につく部分なのですが、「Xperia」であれば「α」で撮った写真と並べてもさほど違いを感じないはずです。

なるほど。ちなみにそれ以外の部分でデジタル一眼カメラとスマートフォンのカメラの画作りが異なりがちなケースってあるのでしょうか?

[Xperia]カメラ画質設計担当 有山

[Xperia]
カメラ画質設計担当
有山

質感の表現、たとえば髪の毛のサラサラ感などはわかりやすいところだと思います。多くのスマートフォンではエッジ強調をかけ過ぎてしまい髪の毛1本1本のエッジが立ちすぎてしまうのですが、「Xperia」では過剰な強調は避けつつ、細かいディテールもしっかり残すような処理を心がけています。

発色についてはいかがでしょうか? ここまでのお話では「α」も「Xperia」も人の肌の色の再現にはかなり力を入れているということでしたが、そもそもなぜ肌の色味が重要なのでしょうか?

[Xperia]カメラ画質設計担当 有山

[Xperia]
カメラ画質設計担当
有山

カメラの被写体で最も大切だと思うのは人物だと思います。そして写真の色味がずれたとき、特に違和感が大きいのが人の肌の色だからです。それ以外の部分、たとえば空の色って少しくらい青が濃くなってもさほど気にならないんですが、肌の色が少し黄色っぽくなるとそれだけでものすごい違和感が生まれるんですよ。そこで「Xperia」では肌の色を自然に、記憶に忠実に再現できるよう「α」の画質を参考にチューニングを行っています。

このあたり、「α」の画作りを担ってきた玉木さんは「Xperia」の画作りをどのように評価していますか?

[α]カメラ画質設計担当 玉木

[α]
カメラ画質設計担当
玉木

「α」の画質設計を担う立場として、やはりスマートフォン特有の質感の強調みたいなところはずっと気になっていました。パッと見は悪くないのですが、じっと見ているとニセモノのように感じてしまう部分があるんですよね。なので、スマートフォンで写真を撮るときは多少手間でもRAWで撮って、自分で質感や色味を調整していました。その点「Xperia」は、かなりデジタル一眼カメラに近い画作りを行っていて、JPEG撮って出しでも調整の必要のない写真を出力してくれます。「α」で撮った写真と同じアルバムに収めても違和感の少ない仕上がりになると思います。

「α」の哲学を「Xperia」がきちんと再現できているということですね。

[α]カメラ画質設計担当 玉木

[α]
カメラ画質設計担当
玉木

その通りです。そのほか、先代『Xperia 1 V』に「α」由来の機能として追加された「クリエイティブルック(写真や動画をあらかじめ用意された複数のルックの中から選んで、自分好みの色合いなどに調整して表現できる機能)」なども、ハードウェア的な制約がある中、素晴らしいものに仕上がっていると評価しています。

実は「クリエイティブルック」の中にある「FL」と「IN」はかつて私が「α」のために作りあげたものなんです。これを「Xperia」にも欲しいと言われたときには、機能に込めた熱量も含めてしっかり説明し、私を含め「α」の画質設計メンバーも、かなり深くまで関わるかたちで監修させていただきました。この際、「Xperia」の開発チームがそうした思いに真正面から取り組んでくださったからこそ、ここまでの完成度に仕上げられたのだと思っています。

「α」の技術とノウハウを吸収し、さらに進化した
『Xperia 1 VI』

ここまで、「Xperia」のカメラの画作りについて伺ってきましたが、その最新モデル『Xperia VI』ではどのような画質向上があったのでしょうか?

[Xperia]カメラ画質設計担当 有山

[Xperia]
カメラ画質設計担当
有山

『Xperia 1 VI』では、ここまででお話しした、ソニーの画作りの哲学は大切にしつつ、よりそれを高い次元で実現することを目指しました。画質面では、特に今回は動画の画質がアップしています。これまで以上に逆光時の白とびを抑制できるようになったほか、フルHD撮影時の画質についても内部処理を変更して大幅に改善しています。また、暗い場所についてもノイズリダクション処理の改善により画質アップを実現しました。

レンズもさらにパワフルなものになりましたよね。望遠レンズが85~170mm相当までの光学ズームに対応したことで、より遠くの被写体を撮影できるようになっています(先代『Xperia 1 V』は85~125mm相当)。

[Xperia]カメラ画質設計担当 有山

[Xperia]
カメラ画質設計担当
有山

今、運動会などのイベントに行くと、もうほとんどの親御さんがスマートフォンで撮影していますよね。『Xperia 1 VI』なら、かなり遠くの被写体も大きくズームアップして撮っていただけます。また、併せて今回からテレマクロにも対応し、望遠レンズを使ったマクロ撮影が可能になりました。これによって遠くから近くまでカメラとしてのカバレッジを大きく広げたことも『Xperia 1 VI』の大きな進化点と言えるでしょう。

[α]カメラ画質設計担当 玉木

[α]
カメラ画質設計担当
玉木

「α」で3本ものレンズを持ち運ぶときは、その日に撮影する気持ちがあって、きちんと準備しているケースがほとんどですよね。一方、常にポケットに入っていて、とっさに撮影したい場合にも満足いく写真が撮れるのはスマートフォンならではのアドバンテージだと思っています。

[Xperia]カメラ画質設計担当 有山

[Xperia]
カメラ画質設計担当
有山

なお、個人的にはこのテレマクロがものすごく気に入っています。小さな被写体をものすごく大きく引き延ばしたように撮影できるのがとても面白いので、ぜひお試しいただきたいですね。花や野菜、果物を撮っただけでも、被写体の瑞々しさが伝わってくるような、これまで撮れなかったような世界が見えてくるはずです。静止画のみならず動画でも使ってみていただけると面白い発見や、新しい映像表現の広がりを感じられると思います。

そのほか、新しい『Xperia 1 VI』で撮影してほしい被写体はありますか?

[Xperia]カメラ画質設計担当 有山

[Xperia]
カメラ画質設計担当
有山

運動会など、被写体が動いているシーンは『Xperia 1 VI』が得意とするところです。今回、カメラが被写体(人間)の骨格情報を元に、人物をより高精度に認識する「姿勢推定技術」を新搭載し、動きが激しかったり、目の前を何かが横切ったりしても、被写体をしっかりとフォーカスし続けてくれるようになりました。

これは、「α」ユーザーならご存じの通り、『α9 III』など最新鋭モデルで実現したばかりの機能です。こうした最新機能を「Xperia」でも実現するため、「α」の開発チームと「Xperia」の開発チームがそれぞれ毎週のように会合をし、緊密な距離感で開発を進めています。もちろん、できあがったプロトタイプはすぐに「α」チームに共有され、そのフィードバックを反映するかたちで機能の精度を高めていきました。

そんなに密にコミュニケーションを取っているのですか?

[Xperia]カメラ画質設計担当 有山

[Xperia]
カメラ画質設計担当
有山

はい。実は「α」と「Xperia」の開発チームは同じビルで働いているので、ちょっとした気になることがあればすぐに聞きに行けてしまうんですよ。雑談レベルであればもっと高頻度にやり取りしているんじゃないでしょうか?

物理的にも近しい距離にいるからこそ、ここまでの統一感を実現できているということなんですね。

[Xperia]カメラ画質設計担当 有山

[Xperia]
カメラ画質設計担当
有山

そうですね。画質については柱となる指標があるため、機能開発のチームほど頻繁なやり取りは行っていませんが、それでも日々、意識のすりあわせは行われていますし、先ほども出たように「クリエイティブルック」や「S-Cinetone for mobile」のような新しい機能が追加されるときはかなり密接にやり取りをしています。このことも「Xperia」のカメラ機能において大きな強みになっていると思っています。

そのほか、『Xperia 1 VI』の新機能で「α」ユーザーに伝えたいものはありますか?

[Xperia]カメラ画質設計担当 有山

[Xperia]
カメラ画質設計担当
有山

『Xperia 1 VI』では、これまで3つに別れていたカメラアプリがリニューアルされ、1つに統合されました。この際、アプリのUIをより「α」に寄せたプロモードを追加しており、「α」の操作に慣れ親しんだ人ほど、違和感なく、スムーズに使いこなせるようにしています。

具体的にどう寄せているのかを教えてください。

[Xperia]カメラ画質設計担当 有山

[Xperia]
カメラ画質設計担当
有山

分かりやすいのはファンクションメニューですね。ほぼ「α」のファンクションメニューそのままの見た目と使い勝手を実現しています。また、「α」ではおなじみのフォーカスピーキング表示にも対応します。どこにフォーカスが合っているのかがはっきり分かるので、より撮影ミスを減らせるようになるはずです。フルオートで撮るという方にも、フォーカスも自分でしっかり合わせたいというこだわり派の方にも喜んでいただけるのではないでしょうか。

Message

「α」と「Xperia」は同じ方向を向いている

  • スマートフォンのカメラには日常生活のふとした瞬間に訪れる感動をサッと取りだして撮影できるメリットがあります。『Xperia 1 VI』では、より遠くまで撮れる望遠ズームレンズ搭載と、より近くに寄って撮れるテレマクロ対応によって、さらに多くのシーンを撮影できるようにし、一度しかない感動を撮り逃さないようにしました。また、動画の画質についても今回、かなりアップデートされています。スマートフォンのカメラでもここまでできるようになったということを、ぜひ味わっていただきたいですね。もちろん、スマートフォンのカメラはこれからもっと進化していきます。「α」にも負けないようブラッシュアップしていきますので、ご期待ください。

    [Xperia]カメラ画質設計担当有山
  • ここまででお話ししたように「α」と「Xperia」はそれぞれ同じ方向を目指して画質を作り込んできました。事実、私の目から見ても「α」ユーザーにも違和感なく使っていただける画質に仕上がっていると感じています。機能性や操作性もかなり「α」ライクになっていますので、「α」を使い込んでいる方にこそ、触ってみていただきたいですね。

    [α]カメラ画質設計担当玉木

voices

PERFORMANCE & BATTERY

開発者の声

『Xperia 1 VI』に組み込まれた、さまざまなソニー製品由来の技術やノウハウ。その高性能を快適に、安定して長時間使えるようにするためのパフォーマンス最適化について、その専任チームのメンバーたちに話を訊きます。

お話を聞いた開発者
  • パフォーマンスエンジニア 春木

    パフォーマンス
    エンジニア
    春木

  • ソフトウェア設計担当 大木

    ソフトウェア
    設計担当
    大木

記事を読む

パフォーマンスの最適化の専任チームが
『Xperia 1 VI』を徹底チューニング

『Xperia 1 VI』は、スマートフォン最高クラスの処理性能を誇るSoC(CPUなど、さまざまな機能を統合した半導体チップ)「Snapdragon 8 Gen 3」搭載など、フラッグシップモデルならではのリッチなスペックを誇ります。その高性能を引き出すため、どのような取り組みを行っているのか聞かせてください。

パフォーマンスエンジニア 春木

パフォーマンス
エンジニア
春木

体感パフォーマンスを高め、しかも安定して長時間動作できるよう、局所的な最適化ではなく、ハードウェアからソフトウェアまでスマートフォン全体を俯瞰したチューニングを行いました。スペックや高性能だけを追い求めた最適化は、消費電力が高くなることで、発熱やバッテリーもちに悪影響が出てしまうため、ソニーではかねてよりシステム全体でのパフォーマンス最適化を重視しています。『Xperia 1 VI』でも、「パフォーマンスエンジニア」である私を含む専任チームが、スペックでは測りきれない高性能化を追求しています。

そうした『Xperia 1 VI』ならではのチューニングを実感できる利用シーンにはどんなものがありますか?

ソフトウェア設計担当 大木

ソフトウェア
設計担当
大木

分かりやすいところでは4K 120fpsでの動画撮影がとりわけシステム負荷が高く、消費電力が大きくなり、発熱しやすいユースケースですね。『Xperia 1 VI』ではそうした多くの利用シーンでも、可能な限り触れないほど熱くなってしまったり、強制停止したりしないようにしています。

具体的にはどういったことをやっているのですか?

ソフトウェア設計担当 大木

ソフトウェア
設計担当
大木

さまざまなシチュエーションでCPUなどシステム上の動作を解析し、必要な処理だけにCPUのリソースを割り振ることで無駄な消費電力と発熱を抑える取り組みを、本当に細かなレベルまで徹底してやっています。

この際、最優先したのは、ストレージの許す限り録画し続けられること。録画に失敗したり、中断したりすることで撮影機会が失われてしまうことだけはあってはなりませんから。そのリスクを極小にするべく、それでもなおシステムにかかる負荷が一定以上に高まってしまった場合は、極力撮影体験に影響を及ぼさない範囲で撮影機能に制限をかけるなどしています。

パフォーマンスエンジニア 春木

パフォーマンス
エンジニア
春木

こうした工夫は4K 120fps撮影に限らず、さまざまな利用シーンで行っており、たとえばカメラを使うさまざまなアプリについて、快適さを損なわない範囲で消費電力や発熱をギリギリまで削っていくチューニングを行っています。

薄皮をそぎ落とすように無駄をカットしていくことで、長時間、安定したパフォーマンスを発揮できるようにしているのですね。

ソフトウェア設計担当 大木

ソフトウェア
設計担当
大木

その通りです。一方、アプリの起動時などは、あえてパフォーマンスを上げて即立ち上がるようにもしています。

ただ起動させるだけの部分にチューニングの余地なんてあるのですか?

ソフトウェア設計担当 大木

ソフトウェア
設計担当
大木

実はパーツメーカーから提供されているコード(プログラム)やOS標準のコードは、一定のマージンを取った作りになっていて、そのままにしておくと本来のパフォーマンスを使いきれないところがあるんです。ただ、アプリの起動は全てのユーザーがかなり高頻度に行う動作ですから、少しでも速い方がいいですよね。本体内の温度が上がりすぎないようしっかり監視しつつ、CPUのパフォーマンスが最大まで出るようにしてサッとアプリが起動するようにしています。

発熱を抑え、効率的に放熱する
先進のハードウェア設計

ここまでのお話で、『Xperia 1 VI』が発熱しすぎないよう巧みに制御されていることが理解できたのですが、それでもやはり熱を効率的に逃がす仕組みは重要ですよね。このあたり『Xperia 1 VI』がどのような構造的対策を行っているのかを聞かせてください。

パフォーマンスエンジニア 春木

パフォーマンス
エンジニア
春木

まず「Xperia 1」シリーズとして初めて「ベイパーチャンバー」というCPUやカメラが発する高熱を拡散し、外部に放熱しやすいようにしてくれる熱拡散装置を搭載しています。これによって内部に熱がこもることがなくなり、安定したパフォーマンスを長時間発揮できるようになりました。

パフォーマンスエンジニア 春木

パフォーマンス
エンジニア
春木

今回の新しいカメラ構成は、構造上の変化により放熱性能が厳しくなっているのですが、ベイパーチャンバーを搭載したことで十分な放熱性能を維持することができています。もちろん、ただベイパーチャンバーを載せればいいというものではなく、長年培ってきたスマートフォンの熱設計のノウハウを結集して、部品の選定・内部構造の最適化を行うことで、サイズ・重量を損なわずに放熱性能を最大限に発揮することができました。

ベイパーチャンバー以外の対策についても教えてください。

パフォーマンスエンジニア 春木

パフォーマンス
エンジニア
春木

新たなカメラ構成は構造だけでなく消費電力も不利な条件があるのですが、SoCやディスプレイの消費電力が改善できたため、同一条件下では、「Xperia 1」シリーズとして最も省電力になっています。省電力は発熱の低減にも直結しますから、最高の熱対策と言えるでしょう。

今回、ディスプレイの解像度が4Kから2Kになっていますが、その点も省電力に効いていそうですね。

パフォーマンスエンジニア 春木

パフォーマンス
エンジニア
春木

非常に大きいですね。また、ディスプレイの材料も最新ですから、屋外での撮影時など画面を明るくした際の電力効率も改善されています。これによって、屋外で見やすくなったことに加え、同じ明るさであれば、従来機種より省電力になっているんですよ。

それはすごい。これからの暑いシーズンにも安心して使えそうですね。

パフォーマンスエンジニア 春木

パフォーマンス
エンジニア
春木

はい。『Xperia 1 VI』は消費電力的にも構造的にも改善を入れて、「Xperia 1」シリーズとしては過去最高と断言できる放熱性能を実現し、パフォーマンス向上と長時間利用を両立しました。過去の製品では、お客さまから厳しい声をいただくこともありましたが、『Xperia 1 VI』では必ずやご満足いただけると自信を持っています。

「Xperia」史上最長駆動&寿命を実現した
“感動”バッテリー

どんなに優れたスマートフォンでも電源が切れてしまったのでは意味がありません。特にハイエンドモデルは消費電力が大きいイメージですが『Xperia 1 VI』はどれくらい長時間使い続けられるのでしょうか?

パフォーマンスエンジニア 春木

パフォーマンス
エンジニア
春木

『Xperia 1 VI』はバッテリー容量5000mAhをそのままに、消費電力を大幅に減らすことで、ヘビーユーザーでも丸2日使えるバッテリーもちを実現しました。
Xperiaユーザーの調査をしたところ、ヘビーユーザーは約6時間もスマートフォンに触っていることがわかっており、そういったユーザーでも、丸2日使っていただけるくらいのバッテリーもちを中長期的な目標に掲げて開発を進めてきました。
ハイエンドの「Xperia 1」シリーズでは、先代の「Xperia 1 V」で約1.7日ともう少しのところまできていましたが、「Xperia 1 VI」では、特にディスプレイの消費電力が改善されたことで、目標を達成するだけでなく、「Xperia」史上最高のバッテリーもちを実現しています。
ディスプレイについては、先ほどお話した、解像度や材料に加えて、可変リフレッシュレート対応も効果がありました。

可変リフレッシュレートとはどういった機能なのですか?

パフォーマンスエンジニア 春木

パフォーマンス
エンジニア
春木

利用シーンに応じてディスプレイのリフレッシュレート(1秒間あたりの書き換え回数)を1Hz~120Hzまで動的に変更できるというものです。特に静止画表示時などは1Hzまでリフレッシュレートを落とせるため、大幅に消費電力を減らせます。ウェブやSNSの閲覧中は静止画表示状態も多いため、消費電力を20~30%ほど削減することができました。動画やゲームなども、コンテンツに最適なリフレッシュレートに調整しますので、パフォーマンスと省電力を両立できます。

そうした新機能もあって念願のバッテリー性能を実現できたのですね。

パフォーマンスエンジニア 春木

パフォーマンス
エンジニア
春木

「Xperia」ではさまざまなスペックについて、これならユーザーが感動してくれるだろうという数値を目標に設計しています。バッテリーについては「丸2日」が感動していただけるレベルだろうと考え取り組んできたので、実現できたことは本当にうれしく思っています。

ソフトウェア設計担当 大木

ソフトウェア
設計担当
大木

この数値を実現するべく、パフォーマンスエンジニアたちが試作機を日常の中で長期間試用し、なにをすると電力を消費するのか、いつの間にかバッテリーが激減している時には何が起きているのかなどを徹底的にチェック。実使用で浮かび上がってくるバッテリーを無駄に消費する要因をひとつひとつ潰していきました。本当にもうこれ以上、消費電力を最適化できないというところまで追い込んだ自負がありますし、エンジニアとしてとても感動しています。

パフォーマンスエンジニア 春木

パフォーマンス
エンジニア
春木

そしてもうひとつ「Xperia」過去最高のバッテリーを謳える要素として、従来モデルでも好評な「3年使い続けても劣化しにくい長寿命バッテリー」を4年にまで延ばすことに成功しています。

その実現にはどのような難しさがあるのでしょうか?

パフォーマンスエンジニア 春木

パフォーマンス
エンジニア
春木

デザイン・サイズにもこだわっている「Xperia」には、高電力密度のバッテリーを採用していますが、充電速度や寿命が犠牲になってしまいがちという課題がありました。そうした中、我々はバッテリーメーカーと密にやり取りしながら、高電力密度でありながら充電速度を損なわず、バッテリーの素材や利用状況に応じた充電アルゴリズムの開発に挑戦し続けてきました。今回、その改良を積み重ねて、ついに4年もつものを作れるようになったということです。しかも、充電速度も『Xperia 1 V』から若干速くなっています。

ハイエンドスマートフォンは高額な製品ですから長く使えるのはうれしいですね。

パフォーマンスエンジニア 春木

パフォーマンス
エンジニア
春木

はい。新素材を採用するだけでなく、新素材に最適化した充電アルゴリズムを開発することで、4年長寿命を実現しつつ、充電速度も若干改善することができました。ちなみに1年、2年の使用でも劣化の進行をおさえていますので、買い替えサイクルの早いコアなスマートフォンユーザーの皆さんにとってもメリットのある改善だと考えています。

Message

パフォーマンスにもバッテリーもちにも妥協しない、
過去最高の「Xperia」

  • ソニーは1990年代後半にご好評いただいた「スタミナハンディカム」など、古くから高性能とスタミナを両立させる製品作りを行ってきました。スマートフォンの消費電力をハードウェア・ソフトウェアの両面から最適化する専任チームを立ち上げるなど、その精神は現在も健在です。『Xperia 1 VI』は、電気設計、熱設計、ベンチマークなど、さまざまな分野の専門家が集ったこのチームの長年の取り組みが結晶したもの。パフォーマンスにもバッテリーもちにも妥協しない、過去最高の製品になったと自信を持っています。

    パフォーマンスエンジニア春木
  • 『Xperia 1 VI』では、ハイエンドモデルでもこれまで以上のバッテリーもちを目指して、さまざまな試行錯誤をしながらついに目標である「丸2日」を実現できました。その上で、充電についてもバッテリー残量や周辺温度に合わせて細かく制御することで劣化を防ぐなど、本当に細かく手を入れてきました。結果、バッテリーが長もちするようになったことで、バッテリーに負担を与える充電回数を減らせるなど、すごく良い相乗効果も生まれています。目立ちにくい部分ではあるのですが、開発チームとしても自信を持っているところですので、ぜひこの製品をお使いいただいて、バッテリー性能の高さとバッテリーもちの良さも気に入っていただければうれしく思います。

    ソフトウェア設計担当大木

Product

ソニーの技術と、
未体験の感動へ