角田 「私たちがデジタルサラウンドヘッドホンシステム「MDR-DS5000」を発売したのが、1998年になります。これは弊社のバーチャルホンテクノロジーにより、世界で初めて光デジタル接続によるドルビーデジタルのマルチチャンネルサラウンドの効果をヘッドホンで実現したモデルで、とても高い評価をいただきました。また2001年に発売したハイエンド機「MDR-DS8000」では頭の方向を検知して常にスクリーンの方向にセンターチャンネルの音像を合わせるジャイロトラック機能、そしてドルビーデジタル、ドルビープロロジックII、DTS、MPEG2 AACの各デコーダーを内蔵して、迫力のあるデジタルサラウンドを楽しめるということで、私たちにとってエポックメイキングな商品になりました」
間利子 「デジタルサラウンドヘッドホン市場も、2003年に「MDR-DS3000」が発売されたぐらいから大きくなり始め、多くの製品が発売されるようになりました。今でも爆発的とまではいかないまでも、年末などには新しい商品が発売され、着実にサラウンドヘッドホンの市場は広がっていると思います」
栗栖 「市場拡大の要因のひとつに、テレビやパソコンの普及も関係していると思います。昔は一家に一台だったテレビも、今ではひとりに一台の時代になってきており、個人で映画やテレビ、音楽などを楽しむ時間が増えてきているんです。また日本の住宅事情も関係しています。やはり5.1chのシステムを本格的に導入しようとすると、スピーカーを置くスペースの確保や、隣近所への配慮などの制約がありますが、ヘッドホンならば気にすることなく楽しめますからね」