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ソニーマーケティング学生ボランティアファンド

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総評

審査員代表:山崎美貴子

全体的な応募の状況

 第2回「ソニーマーケティング学生ボランティアファンド」は103件の応募がありました。昨年に比べて応募件数は若干減っているものの、北は北海道から南は沖縄まで、全国各地から応募があったことは大変喜ばしいことであったと思います。都道府県別に見ると23の都道府県から応募がありましたが、東京38件、神奈川14件、福岡7件、埼玉5件、大阪5件が上位でした。また大学別では明治学院大学9件、慶應義塾大学9件、早稲田大学8件、東京大学5件、法政大学4件、千葉大学3件、聖心女子大学3件、立命館大学3件、九州大学3件が上位でした。昨年に比べて、国公立大学からの応募が増えたことが今年の特徴でした。

審査方法

 審査の手順として、まず予備審査で103件を31件に、ついで本審査で31件を20件にしぼり、今回の対象団体を決定しました。審査の経過は以下のとおりです。

 まず、下記の予備審査の評価基準について、書類審査を行いました。

 1)応募要綱の「応募資格」に合致しているか
 2)応募要綱の「応募活動」の活動実施期日、報告参加条件を満たしているか
 3)費用明細が記されているか、また明細が適切か
 ※ 上記3項目の基準により30団体前後にしぼる際も、下記の「本審査」の評価基準を参考にしました。

 本審査の評価基準は下記の5項目にしぼり、それらを総合的に評価しました。評価はA=3点、B=2点、C=1点で採点し、ソニーマーケティング株式会社小寺圭社長をはじめ、6名の審査委員による評価合計点の上位20団体を、ファンド対象団体として選出しました。

 1)活動のユニーク性
 2)企画の創造性、開拓性
 3)学生ならではの企画であるか
 4)企画が自己満足に終わっていないか、プログラムに社会性はあるか
 5)ファンドが有効に生かされるか

応募企画に関する総評

1. 活動領域が極めて多岐にわたっていました。発展途上国を対象とした国際協力・交流の活動、青少年、まちづくり、環境問題をテーマとした企画が多く、その他障害者、世代間交流、医療活動などの諸分野に及びました。
2. 今年度初めて登場したものとして、医療系の学生が患者の生活支援などを問題として取り上げた、ユニークな活動がありました。
3. 活動の形として、昨年度は一つの大学だけでなくいくつかの大学の学生が連携して、協働でプログラムを進める企画が何件かありましたが、今年度はそのような協働作業による優秀な企画に出会うことができず、残念でした。
4. 一方、大学と地元や地域を密着させた活動に、面白い企画が目立ちました。たとえば新キャンパスをオープンした地元へ貢献する企画や、ユニークなユニバーシティエクステンションサービスを進める企画が見られました。こうした地域の活動団体や当事者団体とつながって活動をしていく事例では、相互作用が良い効果をあげています。
5. 今年度は小中高における教育制度の改革が開始された年でもあるせいか、「総合的な学習」の科目と連結した、青少年教育に関するテーマが多く見られました。
6. 地域の特徴を生かして工夫された活動プログラムが見られました。たとえば外国人労働者が多く居住する地域で日本語を学ぶプログラムを提供したり、災害復興住宅のある地域に活動の拠点を定め、継続性のある活動を進め、その活動の経過を記録化するなどのプログラムもありました。
7. 自分たちの特技や所属する学部の専門性、馬術などのクラブ活動などを生かしてプログラムを開発するといった、地に足のついた活動が進められているのも、今年度の特徴でした。
8. イベント型あるいは一過性のような活動が多く見られるなかで、何度も企画を練り直し改良を重ねていく活動プログラムもありました。そうした、目立たないが着実かつ継続的に積み上げていく方法を取り入れた活動団体があったことは、大きな喜びでした。
9. ひきこもりのような当事者の経験をもとに、同じような状態にある地域の子どもを支えようとするプログラムが、今年の新たな企画のなかにありました。視覚障害や聴覚障害など様々な障害を抱えている学生が、自らの不便さや生活のしづらさを提示しながら大学生活を豊かなものにできるよう、当事者として進めていく活動のように、ともに学びともに支えあう特性がよく発揮された活動でした。
10. 国際交流の企画については、スタディーツアーに似た企画が多く、今一歩の工夫が必要であったかもしれません。自分の関心だけでなく、もう少し息の長い、現地の人の自立や自活をエンパワーメントできるような工夫、支援や交流というレベルから脱却する工夫、相手のニーズを捉え、現地の人と一緒に進められるようなプログラムが必要ではないかと思います。
11. 今年は、活動参加者の数に大きな差がありました。最小では2人、多いものは数百人の規模まで、幅広い活動がありました。大学時代は人生のなかでもっとも感性が豊かで、自由で、創造的な活動ができる時期ではないかと思います。このように、形にとらわれず、ねばり強く考えを掘り下げていく真摯な努力が継続されていくことを、心から期待しています。

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