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高精度な信号処理を行うため、いち早くソニーはDSDデコーダーをLSI化しました
■基盤に実装されたDSDデコーダーLSI
(スーパーオーディオCDプレーヤー全モデル)
再生を担うプレーヤーにとって核となるのが、DSD信号を処理するデコーダーです。DSDデコーダーは、スーパーオーディオCDディスクに記録されたDSDによるデジタルデータを解読し、1bitのパルス信号を生成する回路です。DSD信号は極めて高密度ですから、正しく処理を行うためには信頼性の高いデコーダーが求められます。そこでソニーでは、デコーダー回路を第1号プレーヤー用からLSI化して搭載。信頼性の向上とともに、LSI化することで回路内配線も短くでき、高速な処理が可能。余裕を持った処理により高音質化を実現しています。
DSD信号は、音声信号の大小をパルス波形密度で置き換えたものなので、前にも述べた通り、原理的には簡単なアナログローパスフィルターを通すだけで音声信号に戻せます。しかし、オーディオ信号として、より純度を高めるためには、高度なD/Aコンバーターシステムが必要となってきます。
DSD信号は「1」と「0」の2値のデータで構成されています。これは「1」の場合にパルスを出力し、「0」の場合にはパルスを出力しない、いわゆるPDM(Pulse Density Modulation=パルス密度変調)信号です。
マルチレベルD/Aコンバーターを組み込んだスーパーオーディオD/Aコンバーター
(SCD-XA9000ES/XA3000ES/XE600)
新開発のスーパーオーディオD/Aコンバーターは、スーパーオーディオCD用のDSDフィルター、CD用の24ビット8倍オーバーサンプリングフィルター、そしてスーパーオーディオCD、CD両方に対応する新方式のマルチレベルD/Aコンバーターを1チップ化したデバイスです。中でも核となるのが、マルチレベルD/Aコンバーター。このコンバーターは、1チャンネルあたり複数個(SCD-XA9000/XA3000ES)の1ビットのD/Aコンバーターで構成されており、個々の出力を合成(積算)することで総合的な出力を得る方式です。つまり、これまで一つのコンバーターがフル回転でこなしていた作業を、複数のコンバーターに割り振ることで個々の負担を減らしてやろうという方式なのです。そしてここがポイントなのですが、同じ出力レベルを得るときにも、出力がONになっているコンバーターの組み合わせはその都度ランダムに異なっているのです。組み合わせが固定されていると、そのときONになっているコンバーターの「クセ」が音に現れてしまいますが、ランダムだとクセがありません。つまりひずみの平準化が図れるのです。また、このマルチレベルD/Aコンバーター方式では個々のコンバーターに超高速動作を要求しませんのでデジタルノイズの発生が抑えられ、アナログオーディオ回路に対し影響を与えにくいというメリットもあります。
■マルチレベルD/Aコンバーターの概念
2ch再生時のSN費を改善するTRI POWER D/Aコンバーターシステム
(SCD-XA9000ES)
スーパーオーディオCDマルチチャンネル対応のSCD-XA9000ESでは、6個のスーパーオーディオD/Aコンバーターを搭載しています。この6個のコンバーターを、ステレオ2chソースの再生時にもすべて使用し、SN比を改善しようというのがTRI POWER(トライ・パワー)D/Aコンバーターシステムです。2chソース再生時には、D/Aコンバーターは2個のみ必要ですが、あえて片側1chのデジタルソースを、それぞれ3個のD/Aコンバーターでアナログに変換して出力します。理論的に、1chあたり3個のコンバーターの出力を合成すると、音楽信号は3倍になりますが、ランダムな成分であるノイズは合成しても√3倍(1.73…倍)にしかなりません。つまり、D/Aコンバーターを3個並列に駆動することによって相対的なSN比を大幅に改善させることができるのです。
マルチチャンネルマネジメント機能は、今お使いの2chオーディオシステムをベースとして、最低限サラウンド(リア)スピーカーと、サラウンド用のアンプを追加するだけでマルチチャンネル・ソフトがお楽しみいただける、というようなスピーカーのモードを選べる機能です。
マルチチャンネルマネジメント機能は、想定される代表的な8通りのスピーカー環境に対応したセッティングプログラムを内蔵しています。
■マルチチャンネル対応機種
SCD-XA9000ES / XA3000ES / XE600
※Largeとは、低域を十分に再生できる大きなスピーカーを示します。Smallは、小さめのスピーカーです。
プレーヤーとアンプ間の新しいインターフェースとして採用したのがi.LINKです。これまで、スーパーオーディオCD信号の、プレーヤーからアンプへの音声出力はアナログのみしか手段はありませんでした。i.LINKは、デジタルで信号伝送を行え、しかもマルチチャンネルを1本のケーブルで送ることができるため、接続がとてもシンプルです。また、SCD-DR1/SCD-XA9000ESに搭載しているi.LINKのデータ転送レートは最大200Mbpsと、とても高速度でスーパーオーディオCDのマルチチャンネルDSDデータを、余裕を持って伝送可能です。さらに、双方向性を利用してH.A.T.S.(高品質デジタル・オーディオ送信システム)によるプレーヤー(SCD-DR)とアンプ(TA-DA9000ES/DA7000ES)の同期を実現しています。
アンプは、内蔵しているバッファー内のオーディオデータの量を常に監視し、データ量が下限値よりも少なくなると、プレーヤーに転送速度を上げるようにコマンドで指示します。同様に、データ量が上限値を上回ると、転送速度を落とすように、また、上下限の範囲内ではその速度を保つようにコマンドで指示します。このようにH.A.T.S.では、プレーヤーとアンプの同期はバッファーとコマンドによって実現されるので、プレーヤーからアンプに同期信号を送り、それにアンプのD/A変換部のマスタークロックを同期させる必要がありません。
アンプは自己の持つ発振子に基づいて動作できるため、ジッターのきわめて少ないクリアーな音質を実現することができました。