2020年10月8日、ソニーマーケティングは、コクヨ株式会社と株式会社NSFエンゲージメントの協力のもと、「ニューノーマル時代のオフィスを考える 〜人をつなぐオフィスづくりとは〜」と題したウェビナーを開催しました。その様子をお伝えします。
コクヨ株式会社 クリエイティブデザイン部 ディレクター
井上 侑士(いのうえ・ゆうし)氏
京都工芸繊維大学にてワークプレイスデザインを学び、2006年コクヨ株式会社に入社。様々な企業・規模のプロジェクトをプログラミングからデザインまで幅広く手がける。クライアント企業のビジネス戦略を視野にいれつつ、ユーザーの使い勝手にも注力することで、プロジェクトゴール達成と持続的なオフィス運用を実現している。
これまでに設計した多くのオフィスは、日経ニューオフィス賞を受賞している。
株式会社NSFエンゲージメント クリエイティブセンター チーフプロデューサー
高野 昌幸(たかの・まさゆき)氏
株式会社NTTファシリティーズとソニーピープルソリューションズ株式会社の合弁会社「株式会社NSFエンゲージメント」のチーフプロデューサー。「本質を創る」をテーマにしたクリエイションで高い評価を受け、ソニー本社のリニューアル「S-ity Project」やワークプレイス改革などをリードした。現在は、様々なワークプレイスのクリエイションに留まらず、新規ビジネス開発、コーポレートデザインも行う。
2020年4月、新型コロナウィルス感染症対策として政府や地方自治体から外出自粛が呼びかけられました。その結果、テレワークを実施する企業が増え、働き方が大きく変化しています。テレワークが当たり前になっていくニューノーマル時代に、オフィスはどう変わっていくべきでしょうか。
答えを探るべく、ソニーマーケティングは2020年10月8日、「ニューノーマル時代のオフィスを考える〜人をつなぐオフィスづくりとは〜」と題したウェビナーを開催しました。
冒頭では、コクヨ株式会社クリエイティブデザイン部ディレクターの井上侑士氏が登壇。「新型コロナウィルスの影響により、ワークプレイスの考え方に大きな変化が出ています」と語りました。
近代以前のワークプレイスは、家で生産する「職住近接」がメイン。そのため、1stプレイス(ホーム)と2ndプレイス(仕事場)は同一のワークプレイスとして存在していました。しかし近代オフィスが登場すると、1stプレイスと2ndプレイスとが分断され、家から生産機能が取り除かれました。企業で働く多くの人が自宅とは別の仕事場に出勤する働き方になったのです。
最近では「時間」と「場所」を自由に選択できる「ABW」(Activity Based Working)というワークスタイルが登場し、カフェやコワーキングスペースといったオフィス以外の「3rdプレイス」で働く人も増えています。こうした変化を新型コロナウィルスが後押しし、ワークプレイスの定義が大きく変わりつつあります。「コロナ禍においては、オンラインで人と繋がり、共同作業しながら円滑に業務を進めていくことが求められます。リアルなワークプレイスとそれを包括するオンラインという、これまでとは全く異なる“4thプレイス”への対応が必要になっているのです」(同)
「当社の場合、在宅勤務を推奨していますが、終日在宅で勤務しているメンバーは6割弱。約3割のメンバーはあえてオフィスに出社して業務に当たっています」(同)
同氏によるとコクヨ社内では「メール/事務作業/一人での思考/資料作成」といったPCによる作業は完全にオンラインにシフト。しかし「面談やコミュニケーション、実物での検証作業など、チームでの活動やオフィスでしかできない特殊作業」はオフィスに出社しているとのこと。コクヨの社内調査では、「在宅勤務を引き続き志向する」と答えた人が46.8%いた一方で、64.4%もの人が「センターオフィスが必要である」と答えています。オフィスが担う役割は、これまでとは大きく変わってきており、「なぜオフィスに行くのか」が問われ始めているのです。
「各個人、各チームが、どのような行動をどこで行うかについて見直し、オフィスとしてどのような体験が支援できるのかを考える絶好のチャンスが到来しています。センターオフィスには、専門的な機器や検証用の機材が揃っているといった高い機能性や専門性だけでなく、個・組織・企業・社会をつなぐ役割を担うことが求められていくでしょう」(同)
これから新しいオフィスを作っていく場合、これまでとは異なる新しい「視点」が必要です。コクヨは、こうした行動変容にともなう新しいオフィスづくりの視点をコンセプトブック「WX(Work Transformation)」としてまとめています。
WXによると、これまでのクリエイティブなオフィスでは(1)音量のゾーニング、(2)寄り道の導線、(3)ワークポイントの多様さ、(4)集める仕掛け、(5)その会社らしい場所、(6)状況の見える化が重視されていました。
新しいオフィスづくりの視点では、これらに加え(1)密度のゾーニング、(2)すれ違いの導線、(3)余白の豊かさ、(4)集まる仕組み、(5)そのチームらしい経験、(6)活動の見える化といったことが重視されていくといいます。さらに井上氏は「企業としてデジタルワークのサポートはもちろん、コミュニティを支えるコミュニティマネージャーの育成、情報や状態の可視化などのフォローアップなども必要になります」と指摘。社員の自立的な働き方を支援するための仕組みづくりなども行う必要もあるといいます。
セミナーはこれから後半へ
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