■業種:教育機関 ■用途:大型提示装置
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年4月5日号掲載
3月11日、大貫小学校(全6クラス)では1~3年生がPCの「初ログイン」に取り組んだ。授業者は土居浩紀教頭。取材した3年生は、20分程度で全員がログインに成功していた。
「このPCは卒業するまでずっと使います」と、土居教頭は、大型提示装置に教員用Chromebookから「大事に使うためのルール」を表示。充電保管庫から取り出すときはコードを引っ張らずに優しく取る、シールが見えるように戻す、充電器に挿す等を確認した。「では初めての設定をやってみよう。ChromeBookを机の上に出して」
ドキドキする、と児童から声が上がる。IDとパスワードは既に各自の連絡帳に貼付済だ。大型提示装置に示された指示に従い、全員がアドレスとパスワードを入力。PC画面に「ようこそ」と出たら成功。「教員」「生徒」を選択する際は、教員が行った。終了方法も確認し、再度ログイン。2回目からはパスワードのみで起動することを確認した。説明を含めてここまで20分弱。残り時間は、各自でドリルソフトにアクセスして漢字練習や算数、社会など自由に取り組んだ。チャイムが鳴ると児童は「楽しかった」「もっとやりたい」とつぶやいた。
一日の流れを決めPCは毎朝机の中に
土居浩紀教頭
新しい大型提示装置が大きくて見やすいため、PCで初めてログインする際もスムーズに楽しく進めることができた。
1日の生活の中で、児童がいつどのようにPCを準備し、片付けるのかについて、全職員で共通理解を図った。朝、教室の棚に教科書等を入れ、別教室のロッカーにランドセルをしまう。その近くの充電保管庫からPCを取り出し、教室の自分の机に入れることでスムーズな動線を可能にした。このことにより、机の中に教科書等とPCが混在しないようにした。
また、昼の掃除前にはPCをロッカーに入れ、掃除後は机の中に戻し、帰宅時は、充電保管庫に戻しており、これを毎日の習慣としている。使いやすい環境で提示する機会が増えた
田口淳和教務主任
ブラビアは天体の映像がとてもきれいに映る。提示環境が向上し、教員にとっては説明しやすく、児童にとってはわかりやすくなった。録画した合唱練習を客観的に見る、給食や朝の時間に運動会で演技する和太鼓の映像を見る、教科コンテンツを提示するなど様々な活用が始まっている。ネットワーク環境も新しくなり、これまで提示に時間がかかっていたコンテンツもスムーズに提示できる。理科の環境問題の調べ学習の際は児童のPC画面を大型提示装置に提示して発表した。説明しやすいので意欲も増すようだ。
思いついたらすぐに取り組む
河野信成校長
本校では、大型提示装置を普通教室は天吊りで、特別支援教室にはスタンド型で配備。とても見やすいと好評で、提示環境の活用率も児童の集中度もこれまでよりも上がった。スタンド型は体育館等に移動して活用することもできる。合唱練習にも使ってみようなど、様々なアイデアを職員室で共有している。校内研修も大型提示装置とPCで、密を避けて実施できる。卒業式も大型提示装置を使って体育館から教室に中継し、ハイブリッドで行えるよう準備を進めているところだ。
65V型を天吊りや壁掛け等で設置
教育部学校教育課 川島壱朗指導主事
1人1台PC活用を円滑に進めるためには、使い勝手の良い環境を一気に配備して学校全体で進めることが重要であると考えていた。児童が個別学習をPCで行う際や個々の考えを束ねる場、見える化する場として大型提示装置は必須だ。具体的には、児童生徒の画面を転送して全体で共有し、意見の交流を促すことだ。また、本市では指導者用デジタル教科書を配備しているが、提示環境が不足しており、全教室配備はできるだけ早く実現しようと考えた。財政課には当初、「2020年度の全教室配備は難しい」と言われており地財措置による5年計画を予定していたが、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用で全校配備が可能になった。
■選定のポイントは毎時間の使い勝手
大型提示装置を効果的に活用するためには、準備がシンプルで、使用する度にカーテンを閉めなくても十分見える明るさが必要と考えた。65V型の大きさがあれば、デジタル教科書等の文字も見えやすい。
ブラビアは天吊りや壁掛け設置が可能な点も良かった。全教室配備であれば移動できるスタンド型にこだわる必要はない。学校事情に応じた設置方法を採用したかった。そこで各校に希望を聞き、担当者と共に調査して壁掛けや天吊りが可能かどうかを確認した結果、天吊りが半数以上となった。
ブラビアにPC画面を転送する手段は無線と有線の両方を準備。教室内のWiFi環境及びインターネット回線を強化したこともあり、これまでは遅延が生じて提示しにくかったコンテンツもスムーズに提示できている。配備後、2週間程度で活用が著しく進んだ学校もあり、その取組を共有して横展開をしていく。
今後は学習者用デジタル教科書の実証事業への応募など、さらに環境整備を進める。