■業種:教育機関 ■用途:大型提示装置
6年社会「明治時代」の授業では、大型提示装置で西南戦争の浮世絵や板垣退助の写真を共有。沢田眞輝教諭は、鮮やかな色彩の絵やモノクロの板垣退助の表情を示しながら、この日の課題「板垣退助はどんな世の中にしようとしたのか」を児童に伝えた。
当時の資料「新聞紙条例」「集会条例」「浮世絵」等を児童のiPadに配布し、児童はそれを見て個人で課題を考え、班で話し合った。
1年1組国語では、「句点」を文章のどこにつけるかを皆で考えていた。玉木嗣己教諭は、句点のない文章を大型提示装置に示し、全員で読んでから、各自のiPadに問題を配布。児童は各自の端末で、どこに句点をつければよいのか考え、書き込んでいる。
玉木教諭が大型提示装置を使ってクラス全体に説明する時は児童端末の画面をロック。ロックされると残念がる児童の声も、どこか楽しげだ。
同校では、大型提示装置を天吊りで設置しており、備え付けの棚の上に教員用端末(iPad)を設置して操作している。
全教室配備で授業準備も円滑に
玉木教諭は同校の視聴覚主任で、音楽も担当している。 「大型提示装置と接続された『みらいスクールステーション』を使い、リモコン操作でデータ共有ができるようになった。CD不要で、どの教室に行っても合唱曲などを流して授業をすることができる」と話す。また、「注目させたい資料やこれから取り組む課題を簡単に一斉提示することで、児童も各自の作業に安心して取り組むことができる。拡大してもはっきり見える大型提示装置の力は大きい」と話した。
教員や児童の選択肢が増えた
土屋貴夫校長、田中道雄教頭
本校は昨年度、校舎を改築。これまでは各フロアに1〜2台程度の電子黒板を移動して使っていたが、今年度4月、全普通教室と図書館に大型提示装置が配備された。
校内放送の仕組みとして「みらいスクールステーション」も導入。コロナ禍で密を避けた全校集会等をリモートで行うことに役立てた。運動会の開会式や閉会式は、進行役の児童会が放送室で実施し、他の児童は各教室の大型提示装置でその様子を視聴した。
始めた当初は不慣れだったものの、回を重ねるごとにうまくできるようになっている。12月に行う地域への感謝会も、6年生全員が児童代表として、お客様と対面して行う様子を各教室にリアルタイムで映像配信する計画で、若手教員が様々なアイデアを実現しようと意欲的だ。リモートの良さ、対面の良さ双方を活かした形については今後も試行錯誤を重ねていく。
映像配信やYouTube等インターネット上の情報も活用するなど、教員は独自の工夫で授業改善に活かしている。社会科見学では、教員がiPadを持って協力してくださる店に行き、その様子をリアルタイムで児童に伝えていた。
休んだ児童にも、ロイロノート・スクールなどで予定を送ることにより、プリント等を直接家庭に届けずに対応することができた。
情報端末の家庭への持ち帰りも行っている。各クラスに充電保管庫はあるが、充電器を持ち帰り家庭で充電をしている。
ICT機器や社会全体のインフラ等ハード面は、日々進化している。今後は一層、活用アイデアが重要になる。問題を恐れて活用しない、という選択ではなく、ある程度のリスクを覚悟しながら挑戦することで、教員や児童の選択肢が増えることが重要。教員や児童の取組みを後押ししていきたいと考えている。保護者の理解も重要な要素の1つで、学校便りや学年便りなどで学校の取組みを伝えている。
GIGAスクール構想の前倒しにより2020年度に情報端末の配備を完了したことで、大型提示装置も各教室に必須であると考え、各学校の整備状況を考慮し、必要分を各小学校に配備した。
65V型以上の画面は必須条件とし、教室の大きさや児童生徒の数が異なるため、天吊り設置やスタンド式など、柔軟な設置に対応できるものであること、様々な機器に接続できる拡張性を重視して選択。全普通教室と特別教室用に2〜3台分として、ブラビア65V型を計149台配備した。
特別教室については各校の実情に応じて、主に理科室や音楽室、家庭科室等に配備した。各校からは、画面が大きく、明るくなって見やすくなった、iPadの画面が簡単に共有できる、実物投影機の撮像が見やすくなり活用しやすくなった、校内放送も簡単にできる等の声が届いている。
情報端末はLTEモデルのiPadを導入。大型提示装置とあわせた学習の拡がりと共に児童と繋がる手段として今後もサポートをしていく。