タッチパネルで動く4K映像の観光情報案内板
ジチタイワークスVol.23より転載
©ジチタイワークス
鹿児島県霧島市 様
コロナ禍で打撃を受けた観光業界だが、霧島市ではすでにアフターコロナを見据えた取り組みが始まっている。主要スポットに観光情報案内板を設置し、“映像”で魅力を発信。滞在客に観光情報を提供し、地域周遊を促すという。
■観光情報案内板を導入するメリット
「観光資源がありすぎるのです」と笑うのは、市長の中重さん。広い地域に観光スポットが点在する上、黒酢や焼酎、薩摩切子など特産品も多い。「そうした地域資源の魅力を余すことなく伝えたい。効果的に情報を発信できれば、エリア内での周遊や、“次はここに行きたい” というリピート意欲の喚起につながると考えました」。
そこで導入したのが、液晶モニター法人向け「ブラビア」とタッチパネルを組み合わせた「ソニー」の観光情報案内板だ。同市は温泉郷や霧島神宮、地元グルメなど、12のメニューを用意。画面に触れて選択すると、それぞれのPR動画が流れてくる。また、画面の二次元コードを読み込めば、スポットの詳細情報をスマホに表示することも可能だ。
令和4年10月の「全国和牛能力共進会」をはじめ、11月の「縄文シティサミット」、翌年の「かごしま国体」など、複数の大規模イベントが予定されていたことも導入の後押しに。イベントで訪れる客をそのまま旅行客に、さらにはリピーターにする施策として、市内各所に7台の観光情報案内板を設置したという。大規模イベントでの活用と、その後の継続的な活用を見込んでいる。
4K画質の魅力を引き出すには、映像にも高い質が求められる。そこで撮影もオプションで同社に依頼。9日間にわたるロケでは、高解像度のカメラやドローンが駆使され、臨場感あふれるオリジナル映像が完成した。「65インチの大画面で見る高精細映像は素晴らしく、当市の魅力が十分に伝わると確信しました」。映像データの転送はUSBメモリで行うためネットワーク環境は不要、電源さえあれば設置できる。さらに腐食リスクを軽減するため、硫化対策のコーティングを施したモデルを導入するなど、温泉地対策にも抜かりがない。
イベント会場で実際に操作する来場者の様子を見て、担当の宝徳さんも手応えを感じたようだ。「紙のパンフレットだけでは限界がありますが、映像と二次元コードの組み合わせは今の時代に合っていると感じます。映像では生産者が顔を出して自らこだわりを語るため、説得力もあります」。
「空港がある当市は鹿児島の玄関口。通過するだけの人にも観光情報を発信できれば、将来的に観光客の増加を見込めるでしょう」と市長。宝徳さんも「設置したホテルからは、観光コンシェルジュ的な役割を果たすと喜ばれています。従業員が忙しくても、観光客は観光情報案内板から情報を得られるわけです」と効果を感じているようだ。
同市はコロナ禍において様々な観光キャンペーンを実施。修学旅行ではコロナ前の約6倍まで宿泊客数を伸ばしているという。今後も各種事業を実施し、V字回復を目指していく中で、観光情報案内板に期待する役割は何なのか。市長は次のように締めくくってくれた。「観光地としての質を向上させたいのです。そのために、まずは霧島に何があるかを知ってもらうこと。それが観光客の満足度を向上させ、観光地としての魅力を高めてくれると考えています」。
臨場感あふれる高精細映像が、地域の魅力を効果的に伝える。
共進会のイベント開催期間に合わせて、観光情報案内板を活用しています。複雑な操作は必要なく、空港スタッフは毎日、電源を入れて消すだけ。4Kの高画質映像で映し出される霧島の風景に見入るお客さまも多く、映像にはパンフレット以上のPR効果があると感じます。パンフレットはかさばるため、画面から二次元コードを読み取って、スマホで情報をもち歩ける点も旅行客には大きなメリットです。
お客さまの中には観光情報案内板を見て、紹介されている観光地について“もっと情報が欲しい”“交通手段を知りたい”と、総合案内所の窓口に来る人も。様々な観光地を紹介するには時間がかかりますが、観光情報案内板のおかげでお客さまの求める情報が明確になり、接客の時短にもつながっています。
案内係によるおもてなしやパンフレットと併用しながら、ニーズに合わせてご案内していきたいと考えています。