*画像は左:BZ40Lシリーズ、右:BZ40H/BZシリーズ
*掲載内容は2024年2月時点のものです
小平市立小平第三小学校 様 実証実験協力校
1880年に創立された小平市立小平第三小学校は、多くの大学や研究機関が立地する東京都小平市の南部に位置している。学校の前には玉川上水が流れていて、近隣には小金井公園や江戸東京たてもの園があり、環境に恵まれている。
ICT の活用と研究に熱心に取り組んでおり、ICT 機器を積極的に活用して、Society5.0 時代に持続可能な社会の創り手となる児童を育成している。学習端末の日常的な活用に加え、端末の持ち帰りも積極的に実施している。ICTの活用で、先生・子どもたちの力を最大限に引き出している。
■実証実験の狙い
今日の国語の授業では、「人に伝わるスピーチの方法」についてデジタル教科書の動画で学んだ。1度目は手本となる演者のスピーチの様子を黒板横のブラビアの大画面で見て、2度目は子どもたちそれぞれが手元のChromebookで気がついたポイントを確認しながら視聴した。3度目は再びブラビアに戻って全員で視聴、気がついたポイントを挙手して発表を行った。ブラビアとChromebookはキャスト機能を使って無線でつながっている。
納得するまで繰り返し再生する学習プロセスで子どもたちの理解は着実に深まっていく。また、先生が演者として手本を示すことと、解説をすることを一人二役で何度も繰り返すことは難しいが、動画を反復するこのような学習方法では負担が軽減される。子どもたちが動画を試聴している様子を先生は細かく観察して、反応や気付きをみて適切にサポートすることができる。
「ブラビアBZ40Lシリーズの画面は、映り込みをほとんど気にすることなくどの角度からも見やすい。視聴の度にカーテンで窓の外の光を遮ったり、端の席の子どもたちが教室の真ん中に席を寄せたりする必要がありません。また、先生や子どもたちのChromebookから有線ケーブルを使うことなく無線のキャスト機能で投映できるので、授業のテンポが途絶えることがなくなりました」(伊藤氏)
S-T分析という,授業中に現れる子どもたち(S)の行動(言語活動,非言語活動)と先生(T)の行動(言語活動,非言語活動)の二つに分類し、授業中の先生と子どもたちの行動がどのような関係になっているかをグラフ化して研究論文にまとめたのは谷川氏。その目的は、先生が板書して講義する時間から、子どもたち自身が考えたり話し合う時間の割合を増やして、主体的・対話的で 深い学びで学習のパフォーマンスを上げていくことにある。
参考文献 東京学芸大学教育実践研究 2021「S-T分析を用いた授業内容の変容の分析」
https://blog.bmoon.jp/papers/watarutanigawa202103a.pdf
旧来の板書主体の授業スタイルでは、黒板の内容をノートに書き写すことばかりに集中力を奪われてしまい、本来の内容にまで深く入っていけずに、そのことで授業に苦手意識を抱える子どもたちも多かったという。それが、大型提示装置やChromebookでデジタル教科書を使う新しい授業スタイルになったことで、デジタル機器を活用(板書を写真に撮る等)することで、黒板を写す作業の時間が減り、自分で考え、自分のペースで丁寧に振り返って学習できるようになり、発表の時間にも活発に手を挙げるようになった。さらに、グループワークの友だちに相談して意見交換するシーンも増えたという。「デジタルで助かるのは、これまでの授業スタイルに困っていた子どもたちなのかもしれません。また、デジタルになると書く力が劣ると言われることはありますが、CRTテスト(学力テスト)の分析から、書く力は低下せず、むしろ向上することが明らかになりました。」(谷川氏)
教室の蛍光灯が映り込む従来モデルBZ40H/BZシリーズ(右)と比べ反射が少なく鮮明に見えるBZ40Lシリーズ(左)
英語の授業で必須のリスニング。高音質なブラビアでしっかり聞き取ることをサポート
<アンケート>
見やすさ( 4.7)
明るさ( 4.7)
音質( 4.6)
教諭 岡部 創介氏(ICT研究部)
主任教諭 渡部 烈氏
小平第三小学校では、行事予定/時間割/授業の準備や宿題/保護者へのお知らせなど、それまで紙面で伝達していたものを2022年8月から「がっこう連絡帳カレンダー」に移行することでデジタル化を実現した。
先生は手元のChromebookや職員室のパソコンから情報を入力している。「連絡帳を書く時間が無くなり業務が軽減されました。本当に助かっています」(高橋氏)「時間割の変更があっても適時、どこからでも簡単に更新できるので便利です」(岡部氏) このように教員の長時間労働が社会課題になっている中で働き方改革の一助になっているようだ。
ブラビアの大きな画面に見やすく表示できるので帰りの会で確認しているが、子どもたちが自分で都度確認して把握する習慣もついた。「帰宅後の家庭でも、持ち帰ったChromebookや保護者のスマホなどからしっかり確認してくれていて、翌日の家庭科の授業のためにエプロンを用意するなど、忘れ物も減りました」(渡部氏)
家庭内のテレビは大きくて綺麗な画面が一般的になってきていますが、それと比べて学校内の環境は遅れてしまっているのではないでしょうか。今回のソニーとの大型提示装置を使った授業スタイルの実証実験は、とても良い機会になりました。デジタル教科書をはじめICTの経験に長けた谷川航先生が本校に主任教諭として着任したことをきっかけに、東京学芸大学で教育環境をHuman Computer Interactionの観点から捉えた研究をしている加藤直樹研究室と本校が連携して研究が始まりました。その研究成果を教育現場で実際に試してみようということになり実証実験につながりました。
コロナ禍で学校の毎日は大幅に停滞して変更を強いられました。特にICTにおいてはリモート授業などで、端末が足りない、Wi-Fi環境が良くないなどの課題が多かったのですが、若手教員を中心に取り組んでくれました。
朝の保護者からの欠席連絡が電話からネットに変わったことで業務量が軽減され、それまで紙に印刷していた学校通信などもデジタルに移行したことで紙の量を9割削減することもできました。また、GIGAスクール構想により電子黒板や子どもたちに一人一台Chromebook端末が導入され、ハードウェアとソフトウェアの両面が充実してきました。
一番の成果は、子どもたちが ICT機器をとても自然に使いこなしていることです。その成長や変化を、保護者や地域の人々が見て、納得理解して、協力をしてくださったことが助けになりました。これからは、その成果を数値として示して、市内にも広めていきたいと考えています。
スクールニューディール構想により、教室に大型テレビが設置されたのは15年以上前になります。当時は、実物投影機を使ってさまざまなものをテレビに映したり、教育番組を皆で見たりして、授業がグッと分かりやすくなったことを肌で感じました。当時、購入したテレビはそろそろ寿命を迎え、新しいテレビへのリプレイスの時期が迫っています。
現在、本校で活用されているソニーのBZ40Lシリーズは必要十分な機能を備えたテレビです。本機の最大の特長はその映り込みの少なさにあります。全国の教室は黒板に向かって左側に窓があり、子どもたちの手元に十分な光を届けるよう設計されています。
その光は大型テレビにも反射し、鏡のようにクラスの子どもたちを映してしまいます。こういった写り込みを限りなくゼロに近付ける機能がBZ40Lシリーズにはあります。
子どもたちのアンケート結果もかなり良く、より学習に集中できる環境になったようです。「よく見えること」は授業の基本です。まずは、学習環境が整えられていること、それは学校の責任だと考えています。