■業種:教育機関 ■用途:大型提示装置、電子黒板
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年3月1日号掲載
1人1台PC活用に大型提示装置は必須
早坂博之校長
これまで本校の大型提示装置は6台で、各学年で1台をシェアしていた。次第に活用頻度が増え、全教室配備の要望も高まる中、国のGIGAスクール構想が始まると共に、新型コロナウイルスによる休校が始まった。その間の約2か月間、オンラインで児童とつながることが増え、デジタル配信のメリットを学校全体で共有したことがきっかけとなり、ICTをさらに導入・活用していこうという雰囲気が生まれた。
そこで本校も1人1台のPC配備(iPad)を保護者負担により2021年度からスタートすることになり、その活用や運用を考えると、全教室に大型提示装置が必要であると考えた。
■採用のポイント
大型提示装置については複数の提示機器の説明を受け、教員全員で選択。ブラビアは映像が鮮明で色合いも美しく、画面の大きさと価格のバランスが魅力的であった。
画面の大きさについては、教室前方から見ても大きすぎず、教室後方から見ても十分に見えるというバランスを考え、65V型とした。特に低学年では提示画面上に書き込む、画面上で作業する等の機能が必要であると考え、1・2年生は電子黒板とした。3年生以上は各自がタブレットPC上で作業を行うことが多くなると考えた。提示装置として導入しても、後付けで電子黒板機能を追加できるので、悩まずに決めることができた。
■導入効果
全教室配備になり、使いたいときにいつでも使うことができる環境はとても良い。全教員が所有しているWindowsPCや共有のiPadを使って、ワークシート等の自作教材、実物や資料、教科書など様々なものを提示している。教員、児童それぞれが楽しみながら活用しており、授業に自由度が増えたように感じている。
私が担当している理科では、植物のめしべやおしべを拡大して提示したり、実験結果をグラフ化してすぐに提示するなど、見せたいときにすぐに示すことができ、児童とやりとりしながら授業をスムーズに進めやすくなったと感じている。
児童の「やってみたい」気持ちを喚起する
佐々木千鶴教諭
電子黒板機能をよく使っている。これまでは、児童が指した部分を教員がPC上で印をつけて画面に反映させるなどの工夫が必要であったが、大型提示装置に直接書き込めるようになった。そこで自作教材は、図や問題に児童が書き込めるようなものを作成している。
児童は画面上で操作したり書き込んだりが大好き。日直のスピーチを毎朝行っているが、児童自ら、電子黒板機能を使ってスピーチをしたいと要望が出た。いつも以上に皆の注目が集まり、子供たちは手応えを感じていた。書き込み等自分で関わることができると、ICT機器を利用して何かを表現したい、という気持ちが、より高まるようだ。
皆で話し合ってまとめた内容をホワイトボード機能を使いUSBに保存しており、必要なときにUSBより提示して確認している。
これまで、教材模型や拡大コピー等を使っていた「時計の読み方」では、時計を65V型の画面に大きく提示でき、児童は各自の手元にある時計と見比べながら集中して真剣に取り組んでいた。拡大コピーでは大きさに限界があるため、大型提示装置が役立っている。
瞬時に提示できて授業の流れを止めない
長瀬愛実教諭
これまでは授業の始めから教員のPC画面がそのまま提示されており、画面を隠したいときはカバーをかけるなどしていた。現在は、授業で必要になる時までは電子黒板内蔵のホワイトボード等を提示し、見せたいときにワンクリックで教材などを提示できるので、とても便利。動画も、見せたいところまで早送りするなどの作業過程を児童に見せずにすみ、最適なタイミングで提示できる。
「生活科」の授業では、校内や通学路など身近な危険について話し合った。これまでプリント配布していたが、大型提示装置で提示したところ、視線が一か所に集まり、話し合いが活発になった。英語はネイティブ講師の口の動きを撮影し、拡大提示して見せている。子供のノートもきれいに提示できるので、提示する機会が増えた。
新聞紙面を拡大提示 全員で記事が読めた
浅沼勉教諭
ブラビアは電子黒板として使用する場合はタッチパネルを別に取り付けるため、使い勝手が良いと考えた。さらに、4Kで高画質なため拡大する力がすごいと感じた。新聞記事を300dpiでスキャンして拡大提示したが、クラス皆で記事を読むことができた。
音声も、ボリュームを大きくしたときに割れないなど、パワーがあるように思う。PCや実物投影機などとHDMIケーブルを差し替えるだけですぐに切り替わるので、授業の流れを止めずに提示できる。使い勝手もシンプルで教員もすぐに慣れ、授業の幅が広がっている。