■業種:教育機関 ■用途:電子黒板
※ 教室画像、配信コンテンツは取材時(2020年2月)のものです
瀧野川女子学園中学高等学校様は、各教室の黒板を撤廃し、法人向け「ブラビア」(ブラビア)を導入しました。
「これまでの授業は、黒板に板書してそれをノートに書き写すのが一般的です。しかし当校の教室には、黒板の代わりに65型の “ブラビア”を2台設置。これを使って、ユニークな授業を行っています」と語るのは、常務理事・副校長の山口龍介氏です。
同校は、2010年に「教育のICT化」に着手。2016年には、全生徒、全教員に対して、一人1台のタブレットを配布しました。そして2019年には、全教室の黒板を撤廃し65型の「ブラビア」を導入。他校に先駆けて大幅なICT化を実現しています。
これらの施策によって、授業の形態も大きく変わりました。ブラビアに映し出すのは、先生からの授業に関する資料や問題に加え、生徒がリアルタイムに書き込んでいるノートの画面を先生が選択して表示。各自、タブレットをノートとして使っているため、その画面がクラウド経由で共有され、ブラビアに映し出されるという仕掛けです。この仕組みのおかげで、クラスメイトがどういった考え方をしているのかということが手軽に共有できるようになりました。
その結果、自分一人では解けない問題があっても、クラスメイトのノートから別の考え方や解法のヒントを見つけ出し、それを糸口に問題を解いていく、ということも実際に起きているとのこと。
教育のICT化は、教員側にもメリットがあります。生徒の学習進度をリアルタイムに把握できるため、よく理解できていない生徒がいれば、いち早く気がつくことができます。それにより、誰も落ちこぼれさせることなく授業を進められるのです。
授業の開発内容にも変化がありました。板書主体から、クラウドでのデータ共有や大型提示装置を活用したコンテンツを中心としたものにシフトしたため効率的な授業進行となり「半年で1年分の学習の内容が終了し、これまで1時間かけていた授業の内容を10〜20分程度に圧縮することができました」(山口氏)。
時間ができたことで、「大学受験対策の授業ではなく、“本当にやりたい授業を行えるようになった”、という先生が増えています。生徒の学習意欲も高まっており、良い効果を生んでいます」と山口氏は話します。
「法人向け「ブラビア」を採用した理由について山口氏に尋ねると、「市場には、黒板にプロジェクタを使って映像を投影するものもあります。しかし、プロジェクタは明るさが足りないというケースがほとんど。試験的に導入してみたのですが、満足できるものはありませんでした」と話します。
同校がコンテンツの表示装置に求めた要件は、明るい教室でも「はっきり見える」ことに加え、長時間の視聴でも「目が疲れない」ということ。
月曜日から金曜日まで6時間、土曜日は4時間という授業時間の中で、コンテンツは常に表示され続けます。その間、生徒はずっと画面を見つめているため、生徒の目を守るためにも、「目が疲れない」というのは非常に重要なファクター。これらの要件を満たす表示装置を探さなければなりませんでした。 そこで注目したのが「液晶テレビ/ディスプレイ」。「液晶テレビは、明るいリビングでも映像がしっかり見えるうえ、目も疲れません。要件を満たすのではないかと思い、早速調査をしました」
「山口氏は、量販店のテレビ売り場などですべてのテレビを確認。気になるテレビは試験的に導入し、検証を行っていきました。しかし、要件を満たすテレビはほとんどなかった、といいます。
「安価なモデルでは、明るい教室では画面が見えづらい。視野角が狭く、教室の隅から映像を確認できないなどの問題がありました。検証をしていくうちにたどり着いたのが、法人向け「ブラビア」でした」
4K液晶ディスプレイを搭載した法人向け「ブラビア」は、文字や画像がつぶれず鮮明に映し出されます。そのため、大型提示装置として教育現場で採用されるケースも多くあります。スタンド設置や壁掛け設置、天吊り設置など設置環境性も高く、カーテンを閉めなくても明るい教室で映り込みが少ない点も、選ばれるポイントとなっています。
「さらに、コンテンツの表示が“自然”に見えることもポイントでした。調査すると、映像を加工し過ぎたディスプレイが非常に多かったです。映画やゲームといった特定用途向けでは問題はないのでしょうが、それでは“ミトコンドリアの顕微鏡写真”や“地形や地質”、“史跡”などの写真を表示してもリアリティがありません。教育コンテンツを表示するには、ブラビアのような自然な映像を表示できなければいけないと考えました」
そこで同校は、電子黒板として法人向けブラビアを導入。授業の効率アップにより生徒自身の成長を促し、社会でも通用するための武器となる「本来の教育」を実践できるまでになりました。
「教員の中からは教室に設置するブラビアの数を増やしてほしい、という要望もでています。新しい授業の開発や検証を進め、その効果を確認していこうと考えています」
同校の取り組みは始まったばかりですが、受け身の学びから、生徒たちが能動的に学ぶ場へと、既にはっきりとした効果が現れ始めています。