香川県で「小山写真館」を経営する小山 昌昭 様と、奥様の小山 朋子 様。昌昭 様は写真館のデータ管理や顧客管理ソフトを開発・販売する会社「キュービックストーンズ」も経営し、レタッチやデータ調整をテーマとした講演会では講師もされています。現在、「小山写真館」で使っているメインカメラは『α7R IV』。ここでは、ソニーのカメラを導入した経緯や、使い勝手やレタッチでの印象などをお伺いしました。
ー気持ちを込めて大事にシャッターを押すスタイルを貫く
小山朋子:私どもは婚礼、成人式、七五三の写真が主でしたが、「ロングランフォト」という、毎年写真を残すことをお客さまの行事として加えていただく提案をして、もう20年以上になります。今ではこちらが主になっているように思います。家族の集まり、誕生日、結婚記念日など、それぞれが思い思いの記念日をつくり撮影を楽しんでいただいております。
小山朋子:基本的には私が撮影を、夫がレタッチをメインに担当しています。撮影者としては、その瞬間、その場の空気感をしっかりと収めたいと思っており、フィルムカメラのような感覚で、1シャッター1シャッター気持ちを込めて、丁寧に撮るように心がけています。年を重ねて写真を見たとき「あのときは、こうだった」と、気持ちをも振り返ることができる写真を目指しています。
ー撮影方法や撮影後のレタッチなど、写真館にはトレンドや個性がある
小山昌昭:写真館の業界は、撮り方が時代によって変化しています。また、業界を見渡すと、写真館でもレタッチに重きを置き、加工をウリにしている写真館などが出てきています。一方で私たちは“レガシーな写真館”として、その場の雰囲気や健康的な肌色を意識した、「修整をしていないようで、している」自然なレタッチと仕上がりを目指しています。このように「レタッチで加工する」ことが、それぞれの写真館での一つの個性になっています。
ー写真館が生かせる技術や性能が搭載されているかをチェック
小山昌昭:当館での使用カメラの拡充にあたり、レフ機からの買い替えを考え、メーカー選びも含めて検討を重ねました。写真館がカメラを選ぶ際には、画質やAF性能が高いのはもちろん、何が最新技術なのかを見極めて、それが自分の仕事に生かせるものなのかをしっかり判断することが大切です。当館でも検討の際には、それらのポイントを精査して最終的に『α7R IV』の導入を決めました。私たちが求めていた性能は、お客さまの表情を確実に捉えるAFの速さと正確さ、さらに画質です。『α7R IV』は有効約6100万画素というすばらしい高解像性能で、しかも階調が豊かなので、後処理も効率よくできるのではないかと考えました。
小山朋子:あとは小型軽量であること。写真館は三脚に固定して撮るだけでなく、お子さまが走り回ってしまう時などは手持ちも多用します。そのため、軽くてコンパクトなカメラのほうが扱いやすいのです。さらに、「その場の空気感まで捉える」という私の撮影スタイルにも『α7R IV』は最適だと感じました。取り回しの良さとカメラのAF性能により、決定的瞬間を逃さずに撮影できるからです。
小山昌昭:個人的にはペンタ部分が四角く丸みのないフォルムが好きなので、『α7R IV』はデザイン的にも気に入っています。カメラにいろいろなものがぎっしり詰まっている感じがしますし、このサイズに対しての重量感も好印象です。
ー瞳にピントを合わせ続ける圧巻のAF性能と機動性の高さが魅力
小山昌昭:実際に『α7R IV』を使ってみると、想像以上にAFが圧倒的に速く、特に人物の瞳を正確に追い続けてくれるリアルタイム瞳AFはとても気に入っています。ハイライトに粘りがあって白とびを防げるところも良かったですね。オーバー露光になった時は現像段階で露出や明るさを下げていくのですが、通常は一定のところでポキッと折れてしまいます。しかし、『α7R IV』は粘りがあるので折れにくいのです。
小山朋子:撮影者としては「軽くてコンパクト」というのが一番の魅力です。αはボディ本体だけでなくレンズも軽いので、力がない人でも持ちやすく使いやすいと思います。今まではカメラが重くて手持ち撮影は夫に任せてしまうこともありましたが、『α7R IV』は私でもストレスなく撮影できます。
小山昌昭:また、ボタンやダイヤルをカスタマイズして機能を割り当てられるのもいいところ。自分が使いやすいようにカスタムできるので、もし他メーカーから移行しても、同じような操作性にレイアウトすることができます。
ー健康的な肌色を出すためのプリセットもスムーズに設定できた
小山昌昭:写真館により色の好みは異なりますが、健康的な肌色を理想としている私にとっては、『α7R IV』は色表現の幅が広く好みの色を出しやすいように感じました。当館では最初にプリセットを作り、RAWデータを開いた段階でそれなりの色が出るようにしています。『α7R IV』でプリセットを作った時、ソニーならではの階調の豊かさに加えて私の好みの色とも親和性が高かったようで、経験上、今までで一番素早く作ることができました。
正直なところ、RAW現像で最終的に色を作り込んでしまえばどのカメラでも変わらない仕上がりになると思いますが、私の感覚としては「ソニーは健康的な肌色をつくりやすい」という印象です。ソニーの色表現は私に向いていたのかもしれませんね。
一方で、写真館業界では、ソニーのカメラで撮影すると黄色味の主張が強いと感じる人がいると聞きます。しかし、これはカメラの特性とは無関係だと思います。私も他メーカーからソニーのカメラに移行しましたが、仕上がりに問題やギャップを感じたことは一切なく、プリンターやモニターキャリブレーションなどの環境によるものだと結論付けています。
ー確実にデータを転送でき、顧客と写真館の双方にメリットがあるテザー撮影
小山昌昭:我々は20年以上テザー撮影を主流にしていますが、写真館業界ではテザー撮影があまり浸透していない印象で、私が知る限りではほんの一部です。
小山朋子:無線ではデータ転送が安定せず、有線では撮影時にケーブルが邪魔になる、という理由から使うのをためらっている写真館が多いようです。
小山昌昭:講演会などでもテザー撮影を推奨しているのですが、それはカードによる事故を防げる、また、バックアップ完了までにかかる時間が短いというメリットがあるからです。自動バックアップシステムで転送さえすればその場でエラーを確認できますし、すぐにPCの大画面でピントの甘さなどもチェックできる。記録媒体をカードだけに頼ってしまうと、もしお客さまが帰った後にエラーが発生したら再度足を運んでいただいて再撮をするなど、万が一の際に対応が遅れますし、ご迷惑にもなります。我々とお客さま、双方に利点があり、有効だと考えているからこそ、長年このスタイルを続けています。
ーニーズの多様化により求められる、写真館としての進化
小山昌昭:個人的にソニーというブランドは気に入っていますし、デザインや持ちやすさはとても優れていると感じます。また、ソニーはいち早く先進技術を取り入れるところも魅力です。カメラ業界は日進月歩で各メーカーがしのぎを削っていますが、若干でも先行しているところは強みと言えるのではないでしょうか。写真館としても、お客さまのニーズが多様化している今、進化が必要だと思っています。レガシーな写真館として当館らしい仕上がりを保ちながらも、あらゆる要望にしっかり応えられるよう、必要な変化は柔軟に取り入れていきたいと思います。
使用機材紹介
小山写真館
※本ページ内の記事・画像は2023年11月に行った取材を基に作成しています。
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