事例紹介
株式会社TBSテレビ 様
株式会社TBSアクト 様
地上波テレビ放送事業を手掛ける株式会社TBSテレビと、TBSグループの放送運行から番組制作業務まで一手に担う株式会社TBSアクト。番組制作の表現力やクオリティのさらなる向上を目的にCinema Lineカメラ『FX6』を導入し、さまざまな番組ジャンルで活用しています。なぜ『FX6』が選ばれたのか、どのような課題を解決できたのか、詳しくお伺いしました。
目次
―導入検討のきっかけは、音楽番組における臨場感の追求
鈴木:『FX6』の導入を検討したきっかけは「CDTVライブ!ライブ!」という、生放送の音楽番組です。動き回るようなカメラワークには、以前からシステムカメラを搭載した大型のカメラスタビライザーを使用していました。最近では、多数のメンバーで構成されるアーティストにおいて、フォーメーションの間を縫って狭い空間に入り込み、臨場感のある演出が好まれる傾向が高まっていました。そのニーズに応えるべく、ジンバルに載せられるコンパクトで軽量なカメラを探していました。
―決め手は、クオリティと信頼性のバランス
鈴木:カメラの選定で私たちが条件にしていたのは、1つ目にスタビライザーに搭載できるコンパクトで軽量かつ高画質なカメラであること、2つ目にシステムカメラと後段のVE卓で色調整がしやすいシステムが組めること、3つ目に接続面です。接続の抜けや接触不良などを起こしにくく、HDMI変換などが不要で、放送用伝送機器に対して信頼性の高いSDI接続を直接行えることを重視しました。『FX6』の登場以前は、小型のイメージセンサーを搭載したハンドヘルド型のカムコーダーなどと組み合わせていました。しかし、接続がHDMIだったり、映像出力の遅延量が大きかったり、システムカメラとの色味のマッチングに困難があったりしました。『FX6』を搭載できるジンバルも登場したことで、2022年初夏に『FX6』を本格導入しました。
―『FX6』の導入で、要望に応えられるカメラワークが拡大
遠藤:「CDTVライブ!ライブ!」では、制作サイドの意向だけでなく、アーティストの要望も取り入れて演出をしています。以前、大型スタビライザーカメラなどを使用していた時は「こう踊るから、こう撮影して!」のようなリクエストをいただいても、機材の特性上カメラワークや低いアングルに限界があり、お断りするケースもありました。しかし、『FX6』を導入してからは、床面スレスレのローアングルから撮影することで、動きのあるショットを実現できたり、難しいフォーカシングにはタッチパネルが使えたり、パワーズームレンズ『FE PZ 16-35mm F4 G』を『RM-1BP』を使ってズーム制御することで、動きながら難しいフレーミングにも対応できたりと、ハンドヘルド型のカムコーダーではできなかった表現や操作が可能となり、従来の大型スタビライザーに加えて、FX6を使用したジンバルでの運用という新しい選択肢を提供できるようになりました。
―音楽番組での手法が、番組ジャンルを超えたカメラシステムに成長
遠藤:音楽番組の生放送という要求が厳しいジャンルでの実績により、情報番組やバラエティ番組内の歌唱収録などで引き合いが増えました。また、音楽以外の番組でも使う機会が増え、収録から生放送まで汎用的に対応できるカメラシステムになりました。
−情報番組の中継を少人数でクオリティ高く
鈴木:報道・情報番組は、通信環境の変化で中継が増えています。モバイル回線を使用した簡易的な中継機材でも実現できるようになり、制作側から要望が高まる一方、システムカメラや中継車での実施も存続しているため、中継は人的リソースが課題でした。『FX6』はその切り札になり、簡易的な中継機材と少人数での体制でも、クオリティを維持しながら要望に応えることができるようになりました。
−フルオートでも見劣りしない映像で中継
鈴木:現在、報道・情報番組で『FX6』が大活躍しているのは、月曜〜金曜の午後に帯でお届けしている「Nスタ」の「歩いて発見!すたすた中継」というコーナーです。通常は、カメラマン・音声・伝送の3名体制で中継を行っています。『FX6』による撮影では、ホワイトバランスも露出もフォーカスもオートですが、全く問題のないクオリティで映像を届けることができていて、満足しています。
−場所の制約で諦めていたトピックも扱えるように
鈴木:『FX6』とモバイル回線による中継は制作サイドにも好評です。今までは中継車の駐車場所や道路使用許可などの都合から、中継車が出せないからと諦めていたようなネタを番組で扱えるようになったため、番組内容の拡充にも『FX6』が貢献したと言えます。
たとえば、飲食店の撮影で、屋外から店内、そして厨房へとカメラが移動していくようなシーンは、大きく色温度と照度が変わり続けます。そのような場面で、『FX6』ならオートで自然に色味や露出を調整してくれます。また、感度が高いので、照明が点灯できないような現場も含め、今は、収録取材でも活躍しています。
狭い厨房では、システムカメラやENGカメラなど、大きなカメラは自由に動き回ることができず、カメラワークも制約されます。そういった課題も『FX6』はクリアしてくれました。『FX6』はハンドヘルドカメラ並みのコンパクトさでありながら、レンズ交換ができ、キレのいい超広角レンズも使えるため、このようなシーンでは重宝します。
−人的リソースに制約ある中で4Kクオリティを創出
鈴木:『FX6』は、スポーツ番組でも活用しています。最初に導入したのは、海外における世界的なバレー大会です。選手や競技開催地の情報などを取材する、いわゆる別班で『FX6』を使用しました。別班は人的リソースに制約があるので少人数の体制で臨みたいと考えていました。加えて、別班で撮影する映像は、スタジオでのクロマキー背景やビデオウォールなどの背景映像に使うほか、資料映像としてアーカイブするため、4Kで撮りたいと考えていました。このケースで『FX6』はうってつけでした。
−スポーツ取材に「スロー」が使えるという嬉しい誤算
鈴木:現場に持ち込んでから気づいたのですが、『FX6』の大きな強みはハイフレームレート撮影ができるということでした。選手の練習風景をハイフレームレートで撮影し、スローでまとめることで、今までのENGカメラやハンドヘルドカメラでは不可能だった映像をお届けすることができました。スローと言えば、今まではシステムカメラとスローサーバーという高額な機材の組み合わせだけでできる、本試合中継だけで使える専売特許のような演出でした。それが気軽にスポーツ取材でも使えるようになったことは、まさに画期的なことでした。4Kやスロー、レンズ交換など、『FX6』は、本当に使い勝手が良いカメラだと実感しました。
−生放送音楽番組での技術を活かし『FX6』を様々な番組に横展開
鈴木 :元々はカメラワークの自由度や演出を拡げられる、軽量コンパクトで高画質、そして信頼性の高いカメラを…ということで音楽番組に導入した『FX6』でした。結果としてそれが、オペレーションの省力化・少人数化を実現し、人繰りのしやすさにもつながりました。また、その汎用性の高さから、幅広い番組ジャンルへの横展開にもつながっています。『FX6』はオールマイティに活用できるカメラだと思います。現在、TBSテレビは2台導入していますが、ほぼフル稼働の状態が続いていますので、さらに需要が増せば、増備をしていきたいと考えています。
使用機材紹介
株式会社TBSテレビ
株式会社TBSアクト
Nスタ
※本ページ内の記事・画像は2023年4月に行った取材を基に作成しています。
ソニー製品の業務活用の導入事例や製品情報などをご紹介する
メールマガジン「ソニー法人ニュース」をお届けします