事例紹介
空撮サービス株式会社 様
インフラ点検分野を中心に、お客様の要望に合わせた産業用ドローンのカスタマイズや特殊環境でも飛行可能なシステムなどを自社で開発し、トータルソリューションとしてサービスを提供している空撮サービス株式会社。そのドローンに搭載するカメラとして新たに『ILX-LR1』を導入し、専用のジンバル製作とカメラ制御機能の開発も行いました。
導入の背景や開発の経緯について、代表取締役社長の山本 哲男 様、営業部 ドローンソリューション課 課長の谷中 奨 様にお話を伺いました。
山本:当社はインフラ点検などを中心に、お客様のご要望に合わせたドローンを提供しています。機体は国内メーカーから調達し、オリジナルのジンバルの製作、衝突防止のセンサーの取り付けなど、細部に至るまでお客様の希望通りのドローンを実現します。また、導入サポートや、橋梁やダムなどの点検撮影も承っています。
谷中:インフラ点検分野で使われるドローンは、お客様ごとにご要望が異なります。当社は幅広いカスタマイズを強みにしており、さまざまなご要望にきめ細かくお応えできるのが大きな強みです。
谷中:ソニー製カメラを希望のお客様には、総合的なスペックの良さから、『α6300』や『α6500』を、より高画質なカメラの需要には、フルサイズの『α7R III』や『α7R IV』も採用してきました。一方で、カメラの重量に伴う飛行時間への影響が課題でした。カメラの重量が増えると、ドローンにかかる負荷も大きくなるため、モーターも重くなり、機体全体の重量が増えてしまいます。
『ILX-LR1』は有効画素数約6100万画素のフルサイズイメージセンサーを搭載した高い解像度に加え、モニターやビューファインダー、バッテリーなどを省いたことにより、約243gという小型かつ軽量化を実現していることが大きな魅力です。カメラが軽くなったことで、ジンバルも小型化でき、カメラとジンバルを合わせた重量は、従来の約半分に軽量化できました。これにより1回の飛行で検査範囲を往復100m延ばすことができ、検査効率が向上しました。
山本:メーカー公式の『Camera Remote SDK』が公開されているのも大きなメリットです。
電線などの細いものを上から点検する場合、AFでは地上の樹木などにフォーカスされてしまう課題がありました。以前は、マニュアルフォーカスで焦点を決め、テープ等で固定してから飛行していましたが、システムに『Camera Remote SDK』が搭載されてからは、LiDARで測距した距離をカメラに入力してフォーカスを制御できるようになりました。
谷中:天候に左右され易く暗所が角度により変化する橋梁の点検においては、露出の制御も飛行中に実施したいと考えていました。地上と上空では条件が異なるため経験値をもとに調整していましたが、この課題も『Camera Remote SDK』で解消しました。
また、露出のみならず、フォーカス、シャッタースピードなど、一般的なカメラ操作が送信機で制御できるようになり利便性が向上しました。ドローンの飛行中は、ライブビューモニターを確認しながら、その映像をもとにカメラの設定を変えることができます。飛行中にできることが格段に増えたため、『ILX-LR1』を導入し『Camera Remote SDK』を活用することは、当社にとって大きなメリットでした。
山本:インフラ点検用途において高解像のカメラを搭載する利点は、構造物のひびなどを撮影する際に、構造物と機体との間の距離を少しでも保つ方向に作用するため、結果として機体、対象の構造物の双方に対しても安全に運航をすることができます。さらには、被写体から距離を保つことにより、画像1枚あたりの記録範囲が広くなるため撮影頻度を減らすことも可能になり、飛行時間の短縮や飛行回数の削減にも繋がり、撮影効率が高まります。
谷中:『ILX-LR1』を搭載したことについては、お客様からの反響を多くいただいています。飛行時間や高画質などのメリットを含め提案したところ、採用を検討いただく旨のお声をいただいています。また、当社のお客様の中にはリモート制御に魅力を感じて、自動車や重機に搭載しての撮影など、ドローン以外の用途としても要望があり、さまざまな活用の場があると感じています。
山本:ダムなどの広い面を分割して撮影する場合、『ILX-LR1』では3コマ/秒での定速連写機能で撮影します。ドローンの移動速度を上げ、シャッタースピードを速くすると、撮影時間を短縮できます。また、『ILX-LR1』は画像の転送速度が進化しており、これらは飛行時間の短縮にも結びつきます。当社は以前からソニーのカメラを採用してきた実績がありますので、新しい機種が登場するごとに発見があり、新たな可能性を広げてくれるメーカーだと感じています。
山本:当社のドローンはTS(トータルステーション)を使用して、非GNSS(汎地球測位航法衛星システム)環境下でも飛行できます。加えて、飛行中のGNSS情報とIMU(慣性計測ユニット)情報をもとに、機体の方位を計算し、磁場の影響が強い場所でもノンコンパス飛行を可能にしています。また、自動飛行にも注力しており、インフラ点検に生かしていく開発を進めています。
『ILX-LR1』によって、ドローンでのインフラ点検はさらに進化し、撮影現場の作業効率は大幅に向上していくと考えています。今後は、ドローンへの搭載に加えて、ドローン以外の用途にも活躍の場は広がっていくと期待しています。
使用機材紹介
空撮サービス株式会社
企業 HP:https://www.0photo.co.jp※本ページ内の記事・画像は2024年8月に行った取材を基に作成しています。