独自のアイデアを取り入れ、さまざまな手法でつくられるVlogが好評のナミカズさん。本業であるヘアスタイリストならではの美的感覚を生かしたVlogはどのようにつくられているのか、さらには忙しい本業との両立の秘訣なども聞きました。
Vlogger /
ナミカズ
1986年、東京都生まれ。メンズ雑誌などのメディアでも多く紹介されるヘアサロン「原宿BRIDGE」の店長を務めるヘアスタイリスト。フリーランスでモデル、クリエイターとしても活動。YouTubeでは「人生を最高に楽しむ!」をモットーに、ファッション、ヘア、ライフスタイルなどさまざまなコンテンツを配信している。
https://www.youtube.com/channel/UCqX0n7z7Rum9NgsSf2yywsA https://www.instagram.com/bridge_jojonamikikaz/?hl=ja
ありのままを飾らずにさらけ出し、
人間味を感じられるようなVlogをつくりたい
ーVlogを始めたきっかけを教えてください。
僕はヘアスタイリストなので「ヘアスタイリング法」みたいなVlogをつくり、多くの人に発信したいと思ったのがきっかけです。Vlogをつくっていくうちにレビュー、キャンプ、料理など、ヘアスタイル以外のテーマでも発信するようになっていきました。
ーテーマがだんだんと多様化したのですね。
「自分のライフスタイルをすべて紹介したい」という思いが次第に強くなっていった感じですね。ヘアスタイリストの日常は一般の人は意外と知らないと思うので、僕のVlogを見て「こんな生活をしているのか」と思ってもらえるようなものをつくりたいと思いました。
ー人の目が気になってVlogを公開できない人もいますが、そのような不安はありませんでしたか?
見た人から否定的なコメントが来ることを考えると二の足を踏む人も多いと思いますが、僕は周りからどう思われてもいいから「どうだ!」という気持ちで自分のやりたいことを発信しています。そういう開き直りは意外と必要かもしれませんね。
ヘアスタイリストは職業柄、なんとなくカッコつけているように思われがちですから、カッコつけたVlogではなく、人間味や人柄が出るようなVlogにしたいと思っています。
ーナミカズさんのVlogは「どうだ!」という思いで発信しているとは思えないほど洗練されたイメージですが、撮影テクニックはどのように勉強したのですか?
シネマチックな撮りかたや、動画のつなげかたなどは主にYouTubeなどに公開されているhow to動画を見て勉強しました。雰囲気が気に入っているVlogを真似てみたりもしましたね。あとはとにかくVlogをたくさんつくることでテクニックを身につけていった感じです。
モバイル端末に集約した作業スタイルが
仕事と両立する一番の秘訣
ーヘアスタイリストの仕事とVlogを両立するために心がけていることや気をつけていることはありますか。
朝や仕事の合間でもVlogがつくれるように、今はスマートフォンとタブレットを使って編集できるように自分なりにシステム化しています。このシステムにしてからは1分1秒を無駄にせず、空き時間はすべて編集作業にあてられるようになりました。
ー時間と場所にとらわれず、Vlogがつくれるわけですね。
正直、常に仕事している感じです(笑)。最初はパソコンで編集作業をしていましたが、パソコンを持って出歩くのはかなりハードルが高い。でもスマートフォンやタブレットなら移動中も作業できますし、仕事前に30分くらい時間があればカフェで編集しようかな、とフットワークも軽くなります。
レビュー企画のヒントをもらえるなど
お客さまとの会話はネタの宝庫
ーVlogの内容はどのように決めているのですか?
事前にしっかり決めるものと、何も考えずに撮り始めるものと、テーマによって違いがあります。レビューの場合は、サロンのお客さまからのリクエストや質問が企画になることも多いですね。ヘアスタイリストはお客さまと話をするのも仕事のひとつなので、女性のお客さまに「ヘアオイル、何を使っていいかわからないんですよね」と言われれば、おすすめのヘアオイルを紹介するVlogをつくったりします。
ー仕事場に企画のヒントが転がっているのですね。
お客さまとの会話はネタの宝庫です。「これは使えそうだ」というリクエストや意見があれば合間にスマートフォンにメモします。常にリアルな声が聞けるので、ヘアスタイリストはVloggerに向いている職業かもしれませんね。
ーなかには自分が発信したいテーマもありますよね?
やはりファッションやヘアスタイルなど、好きなジャンルは自分でテーマを考えます。「そろそろ春夏の新作アイテムの情報があったらいいかな」、「新生活を始める人が増える時期だからインテリアについて1本つくろうか」と、時期に合わせたテーマも多少は意識しますね。
ー何も考えずに撮り始めるのはどんなジャンルですか?
日常をつづるようなVlogはほとんど何も考えずに撮影しています。僕は毎日いろいろな場面で5秒くらいの動画をたくさん撮っているので、その素材をつなぎ合わせるだけでVlogができます。時間軸に沿ってつなげていくので、まるで日記をつけるようにVlogをつくっている感じです。
手軽さや画質など、重視すべきことを考え、
シーンにより複数のカメラを使い分け
ーナミカズさんはいろいろなカメラをお持ちのようですが、Vlogで使うカメラのラインアップを教えてください。
日常を撮る時はスマートフォンがメインです。部屋の中で撮る時はぼけ表現含めて格段にきれいに撮れるフルサイズミラーレスの「α7 III」を三脚に固定して撮影します。野外フェスなどのアクティブなシーンではアクションカム、歩きながら撮影するような手ブレをしっかり補正したいシーンではビデオカメラ「FDR-AX60」(以後、「AX60」)を使うことが多いです。最近はソニーのコンパクトデジタルカメラ「RX100 VII(DSC-RX100M7)」も気になっています(笑)。
ーこれからVlogを始めたいと思っている人にカメラ選びのアドバイスをするとしたら?
自分の日常を紹介したい人は、コンパクトデジタルカメラやスマートフォンのような携帯性がよく、いつでもサッと取り出して撮影できるようなカメラがいいと思います。画質にこだわるならスマートフォンよりもコンパクトデジタルカメラのほうがおすすめですね。僕の場合、アクションカムは小さすぎて操作性が悪く感じているので、操作性の観点からもアクションカムよりもコンパクトデジタルカメラに軍配です。
ビデオカメラは動画に特化しているだけあって直感的に、簡単に撮影でき、αとはまた違った雰囲気のVlogを撮ることができます。バッテリーの持ちが非常にいいので、屋外で長時間かけて撮影するキャンプなどのVlogでも大活躍すると思います。
作品へのこだわりが強く、ぼけ表現を生かして撮影したい、シネマチックなVlogをつくりたい、という人にはデジタル一眼カメラが最適。でもデジタル一眼カメラは入口としては難易度が高いので、まずはコンパクトデジタルカメラやビデオカメラを使ったほうが入りやすいと思います。
「AX60」は抜群の操作性が魅力。
自撮りが楽で、手ブレが少ないから色んなシーンで活躍
ー「AX 60」で撮影したVlogもありますが、使ってみた印象を聞かせてください。
まず驚いたのがほとんど手ブレしないこと。やはり動画撮影に特化しているだけあって、操作性はかなり良かったです。直感的に操作できるボタンレイアウトになっていて、本当に使いやすかった。
液晶モニターを開けば電源がオンになる起動の速さも良かったですし、液晶モニターが回転して自撮りしながらでも写っている自分の姿を確認できるのもいい。
あと、マニュアルレンズリングも便利でしたよ。自撮りしながら画角を細かく調整する時は、カメラ本体上部のズームレバーではなくこのリングを使ってズームの制御を行うほうが格段に操作しやすいです。
もうひとつ気に入っているのが、専用のシューティンググリップ(GP-VPT1)。これ、とても便利です!「カメラをどこかに置いて撮影したい」と思った時は小さな三脚として固定できるし、操作ボタンが手元にあるのでグリップを持ちながらスムーズに操作できるようになるし。一度使ったら手放せなくなるくらい良かったです。
ー動画に特化したビデオカメラの魅力はどんな部分に感じましたか?
誰でも簡単にきれいに撮れるところですね。例えばキャンプに行った時などは、自分を含めてその場の空気感を撮りたいと思うものです。そんな時も操作が簡単だから、誰かに撮影を頼むことができるのも大きなメリットです。
ーレビューのVlogでは商品を見せる時のピントの精度も重要だと思いますが、AFについてはいかがでしたか?
おすすめのヘアケアアイテムを紹介したVlogは「AX60」で撮影しましたが、商品をカメラの前に持っていっても素早くピントを合わせてくれました。このVlogではテクスチャーを見せたり、実際にオイルをつけたヘアを見せたりしましたが、質感も忠実に再現できたと思います。レビューではAF性能や描写力が必要になりますが、「AX60」はどちらも優秀でした。
ー弊社のグラスサウンドスピーカー「LSPX-S2」のレビューも「AX60」で撮影していますよね?
このVlogを撮った時はカメラの移動がスムーズにでき、動きの滑らかな映像を撮ることができました。あとは臨場感ある音。室内で撮影するレビュー動画であれば、内蔵マイクだけでかなりクリアな音が記録できました。普段使用している「α7 III」で撮影するときは外付けマイクをつけて撮影していますが、「AX60」は音質がとても良かったのでカメラとシューティンググリップだけで撮ることができてしまう。機材構成がミニマムで済み、撮影準備に手間がかからないのはとても魅力的です。
映画や海外ドキュメンタリーなどを見て
トレンドを加えるのが編集時のこだわり
ー編集でこだわっている部分はありますか?
音楽には気を使っていますね。最近は海外のドキュメンタリーやリアリティーショーを参考に、シーンごとにアップテンポにしたり、スローにしたりと音に抑揚をつけるようにしています。そうすると見ていて飽きないですから。
でも日常のVlogに関しては編集技術に頼らず、ふざけた感じやユーモアを入れることで飽きさせないようにしています。シュールなギャグを入れたり、テロップで自分にツッコミを入れたり。ただ狙い過ぎるとスベってしまうので、そうならないように今は笑いの勉強中です(笑)。
ーVlogを始める時、動画編集をやったことがないと高い壁に感じる人も多いと思いますが、ナミカズさんはいかがでしたか?
今はスマートフォンやタブレットのアプリで比較的簡単に動画編集ができるので、意外と入りやすかったです。「オープニングのアニメーションをおしゃれにつくりたい」という時もパソコンでつくればテンプレートがあったりします。好みのテンプレートをダウンロードして、写真と文字だけ変えれば簡単にできますし、オープニングのアニメーションは一度つくってしまえば良いですからね。
こういう便利なテンプレートがたくさんあるので、そこからはじめてみるのも方法のひとつです。まずは高い壁を低くすることがVlogを始める秘訣ですからね。
今後は周りの人を巻き込みながら
さらにおもしろいことを発信していきたい
ー今後Vlogでやってみたいこと、チャレンジしたいことはありますか?
最近、ファッションスタイリストとコラボしたVlogを公開しました。こんな感じで、周りの人たちを巻き込みながら、自分が今持っているスキルをVlogにつなげていきたいと思っています。いろいろな人たちと協力してつくったほうがいい化学反応が起こる気がするので、今後は誰もやっていないようなおもしろいことにどんどんチャレンジしていきたいですね。
日常ルーティンでは、見ている人に勇気や元気を与えたい、という思いが強くあります。そのためにも、さらにギャグセンスを磨かないといけませんね(笑)。見ている人に「笑い」のスキルアップも感じてもらえるように、これからもがんばります!