株式会社フィアロコーポレーション 様
株式会社フィアロコーポレーションは、1939年の創業以来、独立系デザイン開発会社として、自動車、モーターサイクルおよび各種工業製品の新商品の研究開発分野において、コンセプトカーや試作モデルの製作をメインに、それに携わるデザイン・3Dモデリング・意匠データ・各種設計・モックアップモデルの製作まで、幅広いサービスを一貫して手がけてきました。現在では、モビリティ開発に留まることなく、顧客がめざすビジョンの実現のため、明確なコンセプト立案と論理的検証を開発初期段階からともに行い、スタイリングとエンジニアリングの両面からいち早く可視化するなど、プロジェクトに応じた開発プロセスの最適化にも取り組んでいます。これからも、モビリティ産業の「戦略的エンジニアリングパートナー」として移動の可能性を追求し、新たな価値創造に挑戦し続けていきます。
滝瀬様:フィアロコーポレーションは、長年にわたり自動車開発に従事し、CAD、CAE、CGなどデジタル技術を活用した設計、デザイン、ラピッドプロトタイピング業務にもいち早く取り組んできました。しかしながら、開発業務のDX化の流れがますます加速してきている昨今、CASEやMaaSといった最先端テクノロジーを活用した次世代モビリティの開発過程において、新たな開発手法の創出が不可欠だと判断しました。そこで、デザイン開発センター(埼玉県新座市)内にデザインスタジオ『Vision Hub』を新設することにしました。
また、弊社では近年、モデリングを行う際に作成するCADデータを利用し、CGとしてリアライズ(可視化)する業務にも取り組んでいます。私たちのお客さまである自動車メーカー様がその立体映像を確認する際に、一人ひとりVRゴーグルを装着して視聴されていました。一方で、一度に大勢の人が同じ映像を見られた方が良いということで、自動車メーカー様で大型ディスプレイを導入している話を耳にしました。お客さまが見ている映像と同じ画質で映像を確認できることが弊社にとって重要ですので、このVision Hubにも同等の設備を整えようということになり、大型ディスプレイの検討を開始。より細かい画素ピッチや色の再現性などの優位性から、今回ソニーの『Crystal LED』の導入を決定しました。
デザイン開発センター内『Vision Hub』に導入されたCrystal LED
田部井様:デザイナーとしては、1台のクルマを原寸大で表示してデザインや設計の検証を行えるところが大きいです。初期の導入時点では横13×縦8段でした。導入後、実際に引きの映像を撮影すると、高さが足りなかったため、半年後に上部2段を増設し、横13×縦10段にしました。ディスプレイの前に実際のクルマを配置して、ドライビングシミュレーターの業務に活用する際も、映し出す走行映像の没入感が違います。自動運転の様子を実際の道路で撮影することはできないので、クルマの実機をこのスタジオに搬入して撮影しています。
最初にデモで見せてもらったときは、実物の壁に絵が描いてあるのかと思ったら、それがCrystal LEDで驚きました。プロジェクターで投影した映像を見る際は部屋を暗くしなければなりませんが、このディスプレイは明るい室内でも高い輝度で表示できるところも衝撃的でした。非常に迫力のある大画面ですが、今後さらに天井や横のスペースにも画面を追加したいとか、音響にもこだわりたいといった話も社内で出ています。
滝瀬様:Crystal LEDを活用してバーチャルプロダクションの撮影もできるよう、センサーや照明などを吊るすためのトラスも設置しました。弊社はモビリティの新モデルを紹介するプロモーション映像や、新技術の研究発表用の映像の制作も請け負っており、これまではグリーンバックを使用したクロマキーという撮影手法を用いて、実物と背景を後処理で合成していました。Crystal LED導入後は、バーチャルプロダクションによってさらに自然で臨場感のある映像が一度に撮影できるようになり、映像のクオリティーにこだわりを持つお客さまにも非常に好評です。このZRD-B15Aは低反射コーティングが施されているので、撮影時に照明の映り込みが抑えられるところも重視して選定しました。
私はフィアロコーポレーションに入社前、放送業界にいたこともあり、さまざまなモニターやディスプレイの映像を見てきましたが、このCrystal LED以上に繊細な色を再現できるものは他にないと感じています。それくらい、リアルな空気感を表現できるディスプレイです。
クルマ1台を原寸表示できる大画面でさまざまな角度からデザインの確認や検証が可能
田部井様:通常、デザインしたものを検討する際は、27インチくらいのPCのモニターに表示して確認していますが、同じ画像をCrystal LEDに映してみると、小さな画面では気づけなかった発見がありました。Crystal LEDを導入したことで、これまで問題ないとされていたところから、さらにもう一段階ブラッシュアップしたデザインを提供できるようになり、品質評価の基準がぐっと向上したように感じています。また、国内メーカーのソニーだけあって、サポートが手厚いところもポイントです。導入後に不具合があった際も、スピーディーに対応してもらえて非常に助かりました。
滝瀬様:従来は1台のクルマを設計してモックアップを制作するまでに数カ月から1年ほど要していましたが、Crystal LEDでデジタルデータをよりリアルに再現できるようになったことで開発のスピードが上がりました。このVision Hubを、モックアップの制作から撮影まで総合的に対応できる環境として、自動車メーカーなどに提供することもあります。社内で大型LEDを導入しているお客さまでも部署によっては使用が難しい場合があるそうで、そうした際にもご利用いただいています。
今後はデザインや設計データのデジタル化に限らず、新製品のコンセプトやUX(ユーザーエクスペリエンス)を可視化して共有できるデジタルプラットフォームをCrystal LEDを活用して構築することで、DX化への対応をより加速し、弊社のさらなる強みへと変えていきたいと考えています。これまではお客さまから依頼を受注して対応することが多かったのですが、Crystal LEDの導入をきっかけに、これからはお客さまとともに従来のクルマの概念を超えた新たなモビリティ領域に挑戦していけたらと思っています。
Crystal LED ZRD-B15A
サイズ:横7.93m × 高さ3.43m キャビネット数:13 × 10=130キャビネット
解像度:4,992px × 2,160px
Crystal LEDは、ソニーが開発したスケーラブルな高画質LEDディスプレイシステムです。独自の高画質化技術により、高コントラスト、広色域での映像を追求し、圧倒的なリアリティーで没入感と臨場感あふれる映像表現を実現。さらに、ベゼルフリーで目地のない大画面と、軽量かつ壁掛けやカーブした場所などへの柔軟な設置性を両立しています。ショールームやロビー、会議室など、さまざまな空間デザインの可能性を広げると同時に、クリエイターの創造力を刺激する先進の映像体験をお届けします。
Crystal LED Bシリーズ
ZRD-B15A