これまでは他社のプロジェクターを使用していましたが、経年による老朽化や輝度の低下に加え、起動時間の長さやスタンバイ作業にかかる手間、使用時に部屋を暗くしないといけない点や視野角の狭さなどの課題を以前から感じており、保守期限が終了するタイミングで入れ替えの検討を始めました。さまざまな候補があるなかで、ソニーの『Crystal LED』を紹介してもらい、費用対効果や開発効率、メンテナンス性なども含めて吟味した結果、他社製品と比べても多くのメリットがあると考え、今回導入を決定しました。

Crystal LEDの画像や映像を初めて目にしたときは、皆一様に驚きの声が上がりました。まず驚いたのが、その発色の良さと色再現性の高さです。特に黒の表現が素晴らしく、繊細な黒の違いを画面上に忠実に映し出せるところに大きな魅力を感じました。これまでのプロジェクターでは、黒なのかグレーなのか曖昧な見え方をすることがありましたが、Crystal LEDではそういったことがありません。また、平面にも関わらず、まるで画面からぐっと前に飛び出しているかのように錯覚するほどの立体感があったことを、今でも鮮烈に覚えています。高解像度によるリアルな“没入感”と、素材のツヤや光沢の余韻を表情豊かに再現する“シズル感”は、事前の想定を超えた仕上がりでした。

原寸大のバイクをリアリティーあふれる高解像度で表示可能

現在は主に、私たちが考案したデザインを社内で審議し、製品化に向けた承認を得るための場で活用しています。上層部にプレゼンテーションを行うにあたり、早い段階で色や形状を正確に判断できるということは非常に重要です。これまでは、なかなかデザイナーの意図したとおりに表示されず、判断に時間がかかることもありました。しかし、高精細に表示できるCrystal LEDを導入してからは、プレゼンする側とされる側の共通理解がスムーズに進み、互いの認識のズレや誤解がほとんどなくなりました。より説得力のあるプレゼンテーションができ、デザインの専門家でない人が見ても実物をイメージしやすく、精度の高い判断が行えるようになって大変ありがたいですね。

また、かつては画面にデザイン画像を表示し、その前にクレイモデルを置くと、みんなクレイモデルばかりを見て、せっかく制作した画像をあまり見てくれませんでした。それが今では逆で、クレイモデルはほどほどに、Crystal LEDの画面をじっくり見てくれるようになったんです。しかしその反面、通常では目立たないところまで緻密に描き出されることで、これまで以上に細部のデザインに手を抜けなくなったなと思うこともあります（笑）。結果的にデザイナーのクリエイティビティを刺激し、デザインのクオリティーの向上にも役立ってくれています。

細部の陰影や光の当たり方まで高精度に映し出すCrystal LED

今後はプロジェクトのより初期の段階から、エンジニアも交えてデザインの確認にCrystal LEDを使用する機会を増やしていけたらと思っています。また、弊社では10〜20mクラスのボートなども取り扱っていますので、そういった大きな製品を映し出すとどう見えるかもぜひ試してみたいです。そうすることで得られる気づきを大切に、お客様によりご満足いただける製品づくりにつなげていきたいと考えています。

また、現在は一箇所に大画面を設置しているのみですが、もう少し小さいサイズを手軽に持ち運んでいろいろな場所で見られるようになると、開発・設計に生かせる使い道がさらに広がっていくと思います。このように、さまざまな次のアイデアが湧き上がってくるCrystal LEDのまだ見ぬ活用法を、これからも日々の業務を通して模索し続けていきたいと思っています。