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BE MOVED RX cyber-shot

Photographer's interview 写真家インタビュー

心地よいシャッター音 利用価値の高いマクロ

心地よいシャッター音 利用価値の高いマクロ

暗い森の中一人きりで撮影に集中していると、RX1Rの「コトン」という小さなシャッター音だけが響きます。その音はとても心地よいものでした。レンズをマクロ側にカチッと回すと、最短撮影が20cmになります。撮像素子の部分から20cmですから、被写体とはとても近い。ひとつのカメラにマクロ機能もついているのは、こうした自然の造形に迫って写したいときに、利用価値の高いものだと思います。この葉っぱの写真を拡大してみると、葉脈のひとつひとつがものすごくクリアに撮れて、濡れた葉っぱの表面が浮き上がるように撮れているのがわかります。ぬめっとした質感もしっかり表現されて、高温多湿な森の湿度が伝わってきます。ガツンと葉っぱの存在を強く出したかったので、クリエイティブスタイル「クリア」という、明暗差をくっきり分けてくれるモードを使いました。レンズ一体型設計の利点でしょう、周辺部までしっかりと描写しています。大きな画面で見ても気持ちがいいし、小さいプリントや画面でもその精密さが伝わってきます。

写真に慣れた撮影者も、もう一度鍛えてくれる

福田健太郎
写真に慣れた撮影者も、もう一度鍛えてくれる

レンズ交換をはじめ今の高級なカメラなら当たり前の機能をあえてそぎ落としたRX1Rは、言ってみれば「大人のカメラ」という印象です。何かに到達した人や、あるいは「到達したい」人が触るのだろうなと思います。私も、このカメラを持っていると少し背伸びしてしまいました。私はいつでも自然の姿をありのままに撮りたいと思っていますが、今回は、抽象的な風景が囁きかけてくるものを自分の心でキャッチして、写真にしたいと感じました。これは日没後、白い灯台が空の色を映して全体が青い世界に変わってくるところです。このタイル一枚一枚の質感を描き出す解像感に圧倒されます。そして、強い光でないので平面的に見えてしまうような光の条件ではあるけれど、やわらかな丸みをここまで描き出す諧調表現の豊かさ。レンズとセンサーをはじめ全てが絶妙に調整されている、レンズ一体型設計の良さが凝縮されたような一枚です。これは格子状の人工物ですが、ローパスフィルターがないために出ると言われているモアレは全く出ませんでした。

風、匂い、音。 RX1Rだから出会えるものがある

福田健太郎
風、匂い、音。 RX1Rだから出会えるものがある

RX1Rには、せかせかとした気持ちで撮るのは似合わない。いつでもどこへでも持ち歩いて、心に触れたものにスッと焦点を合わせ、一枚ずつ大切に撮って残していくようなカメラだと思います。この写真は、いつもの私なら絞り込んで、流れをぶれ描写にして、奥の森もしっかりとピントを合わせたのでは…とも思いますが、絞りを開放付近にして撮ったらどうなるのだろうと思って撮ってみたものです。陽射しがほとんど入らない暗い森の中だったので、少しシャッター速度が遅くなって、やわらかな揺らぎを記録してくれました。ISO200で1/250、F2.2です。ピントが合っていない部分は35mmフルサイズの撮像素子、カールツァイスのF2レンズならではのきれいなぼけで、ピントが合っているところはシャープな解像感が際立っています。うだるような暑さだったけれど、清涼感のある涼しげな一枚になりました。水の流れは一瞬ごとに表情が違うので、岸に座ってゆっくりと、ローポジションで納得がいくまで撮ってみました。

呼応し合う、被写体とカメラと自分。 RX1Rで、新しい可能性を拓こう。

RX1Rは、風景写真を撮る私にとっては何にも代えがたい、すごい描写力を持ったカメラ。
でもそれ以上に、被写体とカメラと自分、三者がお互いに呼応し合って写真が生まれていくことをあらためて強く感じさせてくれるカメラです。常に持ち歩いてあらゆるものを撮影したくなります。日ごろあまりシャッターを押さないものに目を向けいままで行かなかった方向に踏み込んでいきたい。そんな、新しい可能性を拓いてくれる道具なのです。