1977年生まれ。次女を妊娠中、受講した一眼レフ講座で初めてカメラを触ったことをきっかけに、写真を撮る楽しさにとりつかれるように。家族、愛犬の写真やテーブルフォトを中心に、可愛い、楽しい、母目線ならではの写真を残す記録係として活動中。
2015、2016、2017、 東京カメラ部コンテスト「日本の47枚」にて入選など。
愛犬マルチーズとのかけがえのない日々を写真に残している荒畑恵子さん。0.05秒の高速AFを実現した小型軽量コンパクトRX100 V を使ったとき、愛犬の写真はどのように変わるのだろう。お気に入りの作品をご紹介していただきながら、その撮影に使用したRX100 V の機能や撮影術をお伺いしました。
これまで、RX100 IIIと RX100 IVをモニターで使ったことがあり、とても使いやすくて好きなカメラです。機械に詳しくないですし説明書も読むほうではないので、最初は操作できるのか不安だったのですが、感覚だけでも使いやすくモードの変更や露出の設定も迷うことなくできました。
伴走者がいると走っている犬の撮影がしやすいです。やはり公共の場所なので、ひとりでの撮影では何かあったときに対処できないので。この日は誰もいなかったので、そんな日は長女に伴走をお願いすることが多いです。AFモードはAF-S+フレキシブルスポット。普通はAF-Cを使うのかもしれませんが、わたしは1点でフォーカシングする方が好き。AFがとにかくスピーディーなので、この撮影方法でも瞬時に犬を捉えてくれます。
屋外での撮影では、シャッタースピード優先でいつも撮影しています。マルチーズは脚の回転がとても速く、それをピタッと止めるくらいの高速シャッターで撮影するのがおすすめです。ただ、撮影した日はとても暑かったため走るスピードが少し遅くて、本来ならもっと浮いているような写真を撮ることができるんです。地面が前ぼけになっていますが、これはチルト式液晶を使いローアングルで撮影しているからです。液晶が非可動のカメラと比べるとフットワークが段違い。寝転んで撮影する必要がないのでとてもありがたいです。
以前、RX100 IIIと RX100 IVを使ったとき、クリエイティブスタイルの白黒のトーンの出方をとても気に入ったんです。今回は現像時にモノクロ化していますが、高感度ノイズと、シャープネスを強めた影響から、粒子感が強めに出て気に入っています。ISOはオートにしており、高感度を使うことにもまったく抵抗はありません。
ソファーのギリギリの場所に座って遊ぶ姿がかわいくて、ソファーの上から覗き込む瞬間を狙い下から撮影しました。もちろんチルト式液晶を使い、片手で撮影をしています。こういう撮影方法は軽くて小さいカメラだからこそ。普段は一眼レフも使うためファインダーを覗く撮影の方が元々は慣れていましたが、RX100 V に関しては、日中屋外で液晶モニターが見づらい場合はファインダーを使い、そうでないときは自由なアングルで撮影しやすい液晶モニターを使って撮影しました。
娘のぬいぐるみとのツーショット。寝そべっているところを上から呼ぶと顔をこっちに向けるのが日頃からかわいいなと思っていたので撮りました。ぬいぐるみは演出です(笑)。家の中に白いものが多いこともありますが、ふわっとした世界観を作る場合、光がキレイな場所で白い背景を使うのは効果的だと思っています。
娘と犬はいつも仲良く遊んでいますが、家の中での撮影では犬も落ち着いているので自然な表情を撮ることができます。ポーズは指示をすることも多く、この写真も光がキレイな場所に寝っ転がってとお願いしました。家での撮影では、シャッタースピード優先からマニュアル露出に切り替えて、露出の状況を液晶モニターで確認しながら撮影しています。一眼レフとは異なり、露出を見ながら撮れるのはとてもありがたいです。
本当は娘の顔をペロッと舐めた瞬間を撮りたかったのですが、なかなか難しく、向き合っている写真になりました。背景は窓です。このように明暗差が激しいシーンで撮影した場合、一眼レフはもっと明暗差が強く写りますが、RX100 V の場合は柔らかさがあり、暖かみを感じる雰囲気に撮ることができる気がします。
茨城県の大洗です。夏の大洗は大混雑するので早朝に行きました。色味がとても気に入っています。どこか素朴な感じに描写されていて、大洗の海に似合っているなって。これはレンズのおかげかもしれないですね。機械に疎いわたしでも、ツァイスレンズはスゴイんだろうなというはわかります(笑)。電子シャッターの場合、1/32000秒の超高速シャッターが使えるので、日射しの強い海岸でも余裕を持って撮影することができました。
下に画用紙を敷き、ヒマワリを置くことで子供が描いた絵のような世界観を作りましたこれは広角側を使っていて、頭でっかちに犬を撮ることを意識しています。手は小さくて頭に重心がある。粒子感があるのは後から足したのではなく、高感度で撮影しているからです。犬は地べたに座るのが嫌いみたいで、何かを敷くとその上に座るんですよね。画用紙を敷いたら座ってくれるかもと思ったら、案の定でした。画用紙を敷くという簡単な工夫だけでも撮れる写真は大きく変わります。
犬のアゴの裏がとにかく好きなんです。そこをどうやったら撮ることができるだろうと考えて、上から骨を吊ってみました。骨はたこ糸で吊っていて、長女が上下に操作しています。アゴの裏を目立つ背景にしようと思い、水玉のガラの布を貼りましたが、犬と背景の距離は実はとても近くて、本当はピントが全面に合っているんです。でもレトロな雰囲気を出したくて、レタッチ時に背景部分をボカしています。
これまで一眼レフで撮っていたときとでは、犬の表情がまったく違うと感じています。やはりフットワークよく使えるカメラで撮るというのは大切なこと。ふたりの娘と犬を相手にしているため、どうしても大きなカメラを持ち歩くことは難しく、シャッターチャンスをかなり逃していると思います。
実は、犬を飼うことに大反対していたんです。命を預かるというのは大変なことだからと。でも、家族を説得できずに3対1で負けて飼うことになり、飼うのであれば写真に残していこうと思い撮影をはじめました。写真に残すと、改めてこういう表情がかわいいなとか、気付きがあるんです。ブレていてもぼけていても、鼻にしかピントが合っていなくてもかわいかったり。いつもカメラを持ち歩き、たくさんの写真を撮ることが、犬の写真を撮るうえでは一番大切。膨大な数の写真から、犬のかわいらしさを探す作業をいまは心から楽しんでいます。