今年4月、北海道の地に「ソニーストア 札幌」がオープン。 開店翌週の4月8日(土)には、これを記念して、ソニーストア 札幌店内で北海道出身のシンガーソングライター・福原美穂さんのスペシャルミニライブが行われました。 ライブの様子はスマホ向けストリーミング配信サービス「LINE LIVE」で生中継されたので、ご覧になった方もいるのではないかと思います。
さて、ライブ配信をご覧になっていた方はお気づきかもしれませんが、実はこのライブ、インストアライブとは思えないほど、 本格的な撮影チームが参加していました。それはこの日の感動を4K画質で記録し、ソニーストア各店頭で上映するスペシャル4K映像を作成するため。
今回の撮影では、現地にいるかのような感覚を再現するため、ソニーの最新ミラーレスカメラ『α7S II』がフル活用されました。そこでここでは、現地で撮影を担当されたスタッフの皆さんが『α7S II』を選んだ理由や、ライブ当日の風景をご紹介します。
福原美穂
北海道出身。29歳。15歳の時、地元テレビに出演したことがきっかけで道内のみでミニアルバムを2作発表し、道内だけで10000枚を超える大ヒットを記録。
08年2月に日本人としてはじめて、米・LAの黒人教会にて「奇跡の子」と称されるパフォーマンスを披露、“黒人教会220年の歴史を変えた!”と賞賛を受け、4月に「CHANGE」でメジャーデビューし、09年1月にファーストアルバム「RAINBOW」を発売。オリコン初登場2位をマークし、15万枚の大ヒットとなる。
2010年6月には2ndアルバム「Music is My Life」を発表し、2作連続オリコンベスト5を記録。また映画『沈まぬ太陽』(渡辺謙主演)、『悪人』(妻夫木聡主演)の主題歌に抜擢される等、その歌声は各方面から注目を浴びている。
――まずは今回のライブ撮影に『α7S II』を選ばれた理由を教えてください。
塚本さん:撮影では業務用の4Kビデオカメラも併用しているのですが、ムービーの世界では、近年、これらの一部が徐々にデジタル一眼カメラに置き換えられるようになってきています。安定性を求められる引きの映像は大きくどっしりしたビデオカメラで、フットワークが求められるステージ際の映像などはデジタル一眼カメラで撮る、といった具合です。今回は、ステージ中央前に1台、下手に2台の『α7S II』を配置しました。
数ある選択肢の中から『α7S II』を選んだのは、そうした4K撮影に対応したデジタル一眼カメラの中で、もっともトータルバランスに優れた選択肢だと判断したからです。
――具体的にはどういった点が優れていると判断されたのでしょうか。
塚本さん:なによりまずセンサーサイズが大きいことですね。現行4Kビデオカメラや、4K撮影対応デジタル一眼レフのほとんどがSuper35サイズ=APS-Cサイズまでのセンサーとなっているのに対し、『α7S II』はそれより一回り以上大きな35mmフルサイズセンサーを搭載しています。これによって、従来よりもさらに大きな深度感を表現できるようになりました。背景を大きくぼけさせることで、メインの被写体をクッキリと浮かび上がらせることができるのです。
また、『α7S II』が驚異的な高感度撮影に対応しているという点も特筆すべきポイントでしょう。ライブ会場は、一般的なシチュエーションと比べて明暗差が大きく、これまでのカメラでは暗いシーンが潰れてしまうということがよくありました。完全に潰れてしまうと後処理でもどうにもならないので、絶対に避けなければなりません。その点、『α7S II』なら、ほとんど光のない場所でもきちんと撮れるので助かります。ビデオカメラの世界には『α7S II』ほど高感度なカメラはこれまで存在しませんでした。
映像制作家 塚本聡さん
さまざまな映像作品制作を請け負う、株式会社ビヨゴンピクチャーズにて、ミュージックビデオやライブ映像などを担当。今回のライブでは、ステージ演出や撮影プランの立案などを行っている。個人的にもカメラ好きで、プライベートでも『α7S II』を愛用中。――それによってこれまで撮れなかったような映像が撮れるようになったということはありますか?
塚本さん:いろいろな活用法が考えられますが、実体験で言うと、夜の撮影がとても楽になりましたね。これまではそういったシーンでは大量の照明機材を持ち込まねばならなかったのですが、『α7S II』ならコンパクトなLEDライトだけで済みます。これはかなり革新的なことなんですよ。
――やはりフットワーク軽く撮影できるというのはプロにとって大事なことなんですね。
塚本さん:はい、その通りです。実際、今回の撮影も北海道での撮影ということで、少しでもコンパクトな機材が求められたのですが、『α7S II』はその点でもすばらしかったですね。ここまで小さいとフットワーク軽く撮影できます。また、今回の撮影ではジブクレーンも使っているのですが、『α7S II』くらいの重さなら、小型のものが使えるので、客席の近くに配置しても安全性を確保できます。
――さて、今回の福原美穂さんのライブですが、塚本さんが演出面でこだわったところを教えてください。
塚本さん:今回は、4Kで映像を記録するという前提条件がありましたので、一般的なインストアライブよりも雰囲気をしっかり作り込むことを目指しました。4Kの情報量だと背景のディテールも丸わかりになってしまうので、ソニーストアのような店頭ですと、ちょっとうるさくなりすぎてしまうんですよね。
そこで店内をできるだけ暗くして、照明で本人だけが浮かび上がるようにしています。また、ちょうど店内に桜の木があったので、それを印象的に使わせていただくことにしました。ライブ中、曲目に合わせて桜がいろいろな色に染まっていくのを楽しんでいただければ。
――照明演出によって撮影が難しくなってしまったということもあるのではないですか?
塚本さん:そうですね。インストアライブではあり得ないほど明暗差が大きくなってしまったので、あらかじめ撮影チーム内で対策を話し合いました。ライブの演出を通して、どのくらいの絞り値、どのくらいのシャッター速度が良いのかを見極める作業が大変でしたね。また、4Kならではの難しさとして、ピント合わせがシビアになるという問題があります。フルHDの時代は少しくらいズレていてもごまかせたのですが、4Kはまったくごまかしがきかないので、ここもかなり慎重にやっています。
――最後に、映像の見どころ、ここを見てほしいというポイントをお願いします。
塚本さん:福原さんのお姿、そしてその歌声が主役であるのはもちろんなのですが、4K映像的な見どころとしては、背景の桜にもご注目いただければ。先ほど、もともと会場にあった桜を使わせてもらったと言いましたが、実は今回のライブのために、枝の密度を倍以上に増量してもらっているんです。そのボリューム感はまさに圧巻。そして、それをソニーストア店頭の大画面ブラビアで、超高解像度に再現しているというのがポイントです。ぜひ、店頭でご覧いただければと思います。
そうして迎えたライブ当日。4月とは言え、北海道はまだまだ寒く、日没近くともなるとコートがなければ震えてしまうほどの冷え込みとなっていました。しかし、福原美穂さんの歌声を聴きたいというファンの熱意はそれを大きく上回るもの。当日券を求めるファンが店外に長い行列を作るなど、ライブ開始前から大きく盛り上がっていました。
そして19時にソニーストア 札幌が閉店すると同時に、ライブに向けたセッティングが開始。店内の陳列棚がスタッフによって片付けられ、ストア1Fが本格的なライブスペースへと生まれ変わります。ステージ中央の桜は、開店記念に「そら植物園」のプラントハンター西畠清順さんにご用意いただいたものを、前日にさらに大きく、派手に盛っていただき、より華やかに。大がかりな照明セットも配置され、インストアライブとは思えないほどの豪華なステージができあがりました。
ライブが開始される20時前にはこのチケットを手にした約100人のファンが会場に結集。LINE LIVEでのライブ配信も開始され、こちらにも多くのファンが詰めかけます。いまかいまかとライブの開始を待ちわびるファンの皆さん……そこへ、いよいよ福原美穂さんが登場。
割れんばかりの拍手の中、ちょっと照れくさそうに、でも満面の笑みで「ようこそおこしくださいました、寒い中ありがとうございます!」と大きく両手を広げて会場中のファンに会えた喜びを伝えます。
なお、今回伴奏をつとめるのはギタリスト・オオニシユウスケさん。福原さんとの息もぴったりな、ファンにとってもおなじみのパートナーのひとりですね。オオニシさんスペシャルアレンジの伴奏も今回の聴きどころです。
期待高まる1曲目は、彼女が人生で初めてレコーディングしたという『Englishman In New York』。生音、生声で朗朗と、そして艶やかに歌い上げられるStingの名曲に、息をするのも忘れるほどに聞きほれるファンたち。その後も『Virtual Insanity』と、こちらもJamiroquaiの名曲をたたみかけます。
実はこのソニーストア 札幌は、かつて福原さんが、マライア・キャリー『恋人たちのクリスマス』を歌い、プロデビューへの道筋を付けたという交差点のほど近くなのだとか。福原さんいわく「まさに聖地(笑)」。
ライブはその後、オリジナル曲『絶え間なく』へと続き、いくつもの名曲を経て、ファン大盛り上がりの人気曲『Bad Thing』へ。会場はもちろん、LINE LIVE上でも、福原さんの歌声に合わせ「Go! Baby Go!」のかけ声が上がる大盛況でした。
会場の熱気に突き動かされてのアンコール曲は、スティーヴィー・ワンダーの『Isn't She Lovely』。そこでは、1年前に生まれたお子さんへの気持ちを込めたちょっとしたアレンジも?
あっという間の1時間、あっという間の全8曲で幕を閉じた、福原美穂スペシャルミニライブ in ソニーストア 札幌。会場の約100人、そしてLINE LIVE来場者2万4千人超が、福原さんの美声に酔いしれました。この感動を追体験してみたい、あるいはもう1度聴いてみたいという方は是非ともソニーストア各店で公開中のスペシャル4K映像をごらんください。
6月24日(土)より4K画質でライブの模様をお楽しみいただけます。ぜひお近くのソニーストア直営店舗にお越しください。
ライブの興奮冷めやらぬ中、福原さん、そして撮影に臨んだスタッフから、ホットなコメントをいただきました。
福原さん、スタッフの皆さん、お疲れさまでした!
ステージに咲き誇る満開の桜と、その桜に負けない笑顔を咲かせるソニーストア札幌のスタッフの皆様と共に、とても想い出深いオープニングイベントをお届けすることができたと思います。
ライブではいろいろなハプニングもあり、まさにライブらしいライブでした。(笑)
故郷・札幌の仲間や古くから支えてくださったファンの方々に囲まれ、感極まる瞬間が何度もありました。この"ライブ感"を、4Kやハイレゾで、ぜひ、全国のソニーストアファンの皆様にも、店頭で体感していただけたら嬉しいです。
(スタッフコメント)
撮影しながら強く感じたのは、福原さんと、背景の桜が織りなす映像の力強さ。これまで多くの被写体を撮影してきましたが、カメラを回しながら、美しい画だなぁ、と見ほれてしまいました。 とはいえ、やはり4Kでの撮影は気が抜けません。そのポテンシャルを引き出すために、露出やピント合わせにはいつも以上に慎重に取り組みました。ただ、苦労した分、良い映像にはなっていると思いますので、ぜひ多くの人にご覧いただきたいですね。 私個人、できあがった映像をソニーストアの大画面テレビで観てみたいと思わされました。公開が楽しみです。(株式会社アポロ・プロダクション カメラマン 白樫翔維さん)