中学生の頃にはじめて聴いて、ガツーン!とやられて、それが音楽にのめり込むきっかけになりました。ちゃんと聴くのは久しぶりだったのですが、ハイレゾではすごく柔らかい印象がするというか。音の分離もきれいに聴こえて。シンプルな曲だけに、カート・コバーンのボーカルが際立っているように感じられて、歌のうまさにあらためて驚きました。今でも、やっぱり胸にきますね。
初期のストーンズの曲の中でも、とりわけキュートな一曲。でも歌詞のほうは、恋人をちょっと突き放すような内容で、そこもまた面白いなと。60年代中頃、当時は録音するという行為そのものが、芸術的だったのだろうと思います。ハイレゾでは音の解像度が高いからなのか、録音環境の豊かさまで伝わってくるようでした。とくに裏打ち的なベースは、とても気持ちよく響いてきます。高校時代からの友人、落合(宏理)くんが手がけているブランド〈FACETASM〉のランウェイショーの音楽を担当させてもらっているのですが、これは2015年に発表されたショーのために選んだ、特別思い入れのある一曲です。
クレイジー・ホースのメンバーが亡くなったりして、かなりつらい時期につくられたアルバム。でもそれだけに内面性がドッとあらわになっているようで、大好きな一枚です。ハイレゾで聴いてみると、全体に丸みを帯びているように感じました。とくにこの曲は、その柔らかな響きとともに、本当に孤独の中を漂っているような、夜の海にひとりで舟を漕いでいるようなイメージが浮かんできますね。
ポップな曲が、すごくしなやかで繊細に聴こえました。その感じが、とにかく気持ちいい。シンプルなメロディがスコーンと入ってきて、フロアとかでかけたら盛り上がるでしょうね。ギターの音がとくにクリアで、カッティングの響きが印象的。中音域や高音域の広がりが心地よく感じられるのも、レコードとは違うハイレゾならではの魅力なのかなと思います。
デヴィッド・ボウイがフィラデルフィア発のフィリー・ソウルに接近したアルバム。とくにこのタイトル曲には、フィリー・ソウル独特の気品が残っている。彼らしいソウル趣味が、すごくいい感じでブレンドされているのだと思います。このリマスター版のハイレゾ音源も、サウンドがなにしろ気持ちよくて、ずっとループで聴いていられそうな一曲です。
後編につづく。
後編の公開は3月1日を予定しています。
※取材時にはハイレゾ対応のウォークマン「NW-A35」、ヘッドホン「MDR-1000X」で試聴しました。
※本製品は生産を完了しました。同じシリーズの最新モデルはこちら
ウォークマン「NW-A45」についてはこちら
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※音楽配信サイト「mora」で配信されている曲の中から選曲をしています。
※ハイレゾで聴く場合は「mora」で購入する必要があります。
※本ページに掲載している情報は2017年2月22日現在の情報であり、予告なく変更される場合がございます。
平田立朗(ひらた たつろう) 2006年、ミュージシャン・曽我部恵一さんとともに、下北沢に「CITY COUNTRY CITY」をオープン。レコードショップであり、カフェバーでもある同店の店長を務める。レコードのバイイングは、主にアメリカ・シカゴ。その他にDJや選曲など、音楽に関連した活動を続けている。
CITY COUNTRY CITY
http://city-country-city.com/
Edit by EATer / Photography by Kiyotaka Hatanaka(UM) / Design by BROWN:DESIGN
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Hi-Res 10 songs vol.0 : ハイレゾ10曲
ハイレゾの魅力を確かめるには、自分の好きな曲を聴いてみるのがいちばん。このシリーズでは、音楽とともに生きるさまざまなプロフェッショナルたちに、「ハイレゾで聴いてみたい10曲」を選んでもらい、実際に試聴していきます。音楽と人との絆をつなぐヘッドホン〜新・モバイルミュージックライフ〜
今回紹介するのは、これまでのヘッドホンでの音楽体験を一変させるかもしれない、ユニークな機能。食事は“音”でもっと豊かに。音も調味料にする「ハイレゾダイニング」
今回、大人のソニーでは、音と食事の体験の関わりに注目。料理に新たな体験をもたらすチャレンジを続ける2人のシェフに、音と料理のペアリングを試していただきました。生活の初「音」が毎日を変える。春・オトハジメで、新しいスタートを
音楽を聴くときは、かしこまって聴いてもよいのですが、もっといろんな場所で楽しむことで、きっと生活が変わります。