「初めてCDで聴いたときには、こんな音楽があるんだ、音楽ってこれでいいんだ、と衝撃的でした。moraのサイトを見てみると、当時のオリジナル録音の音質をそのまま、ついにハイレゾで聴くことができると紹介されていて。実際にCDとハイレゾとで聴き比べてみたのですが、もう『未来がきた!』というくらい(笑)、一つひとつの音が段違いにクリア。でも、2006年のリリース当時から、本来はこういう音だったわけですよね。まわりの景色に急にピントが合って、視界が一変するくらいの驚きがありました」
「個人的には、いまのところ今年のトップ10に入るアルバム。2016年に発表されたグラミー賞で、アラバマ・シェイクスが3部門の受賞を果たしましたが、その立役者であるブレイク・ミルズが本作をプロデュースしていて、今あるべきフォークの音が、すごく上手に作られていると思います。シンプルだからこそ、息遣いまで伝わってくる。そういうフォークならではの魅力が、新鮮に聴こえました。ハイレゾで、静かな曲を楽しむのもいいですね」
「最近、私もラジオでかけていて、ぜひライブを見たい日本のアーティストです。じつは、去る4月に亡くなってしまった凄腕のマスタリング・エンジニア、トム・コインがこのEPアルバムを手がけていて。ラジオで流しても、とにかく映える曲なのですが、彼の功績も大きいのだろうと思います。ファンクやアシッドジャズの要素とともに、ハイレゾで聴いてみると、ダンスミュージック的なニュアンスも浮き彫りになって、あらためて今っぽい。なにしろ、めちゃくちゃ音がよくて、びっくりしました(笑)」
「進化がめざましいヒップホップの中でも、重要な作品。ケンドリック・ラマーは、曲の構成力も圧倒的ですね。どんなサンプリングを取り入れ、どういうビートやトラックを使い、誰をゲストにフィーチャーして、何を伝えるのか。さまざまな要素から、曲のつくりが徹底的に練られている。この曲にも、ジョージ・クリントンやサンダーキャットが参加していて、ヘッドホンで聴くと、個々の生み出すグルーヴやリズムがしっかり味わえます。ハイレゾとヒップホップは予想以上に相性がよくて、もっと聴いてみたくなりました」
「前作のアルバムも好きでしたが、音の作りがさらに凝っていて、厚みがある。とくにヘッドホンのノイズキャンセリング機能を使うと、フワーッと音に包まれて、違う世界が降ってくるようでした。街の雑踏の中で聴いても、壮大な景色が浮かんで、澄んだ空気が蘇るというか。アイスランドの風土が育むものは、やはり大きいのだなと思います。フジロックにも来日していて、自然の中で彼の音楽が拡散していくのは、本当に気持ちよさそう。ハイレゾ音源をヘッドホンで聴きながら、一人でじっくり浸るのもいいですよね」
取材を終えて。ラジオでかける曲は、電車や自転車で移動しているときや、街を歩いているときに、思い浮かぶことが多いという稲葉さん。そうして選んだ曲が、生放送当日の天気に助けられることも少なくないそうです。どんより曇りの日にも、しとしと雨の降る日にも、気持ちにフィットする曲がある。それはまさしく、ラジオならではの魔法のような時間で、リスナーとの距離も親密に。だからこそ、自分が紹介する音楽には精一杯向き合いたい、と話してくれました。今回も、悩みに悩んだ末の10曲。ぜひハイレゾで、体験してください。(Hi-Res 10 songs編集部)
※moraでのハイレゾ商品の試聴再生はAAC-LC 320kbpsとなります。
試聴再生は実際のハイレゾ音質とは異なります。
※取材時にはハイレゾ対応のウォークマン「NW-A35」、ヘッドホン「MDR-1000X」で試聴しました。
※本製品は生産を完了しました。同じシリーズの最新モデルはこちら
※音楽配信サイト「mora」で配信されている曲の中から選曲をしています。
※ハイレゾで聴く場合は「mora」で購入する必要があります。
※本ページに掲載している情報は2017年9月13日現在の情報であり、予告なく変更される場合がございます。
稲葉智美(いなば ともみ) 1986年生まれ。茨城県出身。2002年、アメリカ・ネブラスカ州の公立高校に1年間留学。ブラスバンドやクワイアなど、音楽に没頭する日々を送る。2013年、J-WAVE主催のナビゲーター・オーディションで優秀賞を受賞。現在、J-WAVE「ZAPPA」(毎日早朝5:00〜6:00放送)で土曜日のナビゲーターを担当、JFN系列「スキマから聴こえてくるラジオ 〜平野啓一郎の“そろそろいい時間”〜」(毎月第2土曜日26:00〜27:00放送 ※一部の地域を除く)ではアシスタントを務める。東京メトロの各駅で配布しているフリーマガジン『メトロポリターナ』では、音楽コラムを連載中。
稲葉智美 公式ブログ 「日々帖」
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