PlayStation®VRが生み出す
「センス・オブ・プレゼンス」体験
「センス・オブ・プレゼンス」体験
リアルタイム・バイノーラル・サウンド生成技術と
高性能有機ELディスプレイが
作り出す新しい体験
10月13日の発売に向け、期待高まるPlayStation®VR(以下、PS VR)。累計実売台数4,000万台を越える家庭用ゲーム機PlayStation®4(以下、PS4®)と組み合わせることによって、これまでのどんなゲーム体験とも異なる、新たな世界を切りひらくVRシステムです。ここではその魅力と、そこに盛りこまれた技術と情熱についてPS VRの開発に深く携わってきたソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)ワールドワイド・スタジオ プレジデントの吉田修平に語ってもらいました。
吉田修平(よしだしゅうへい)
1986年、ソニー株式会社入社。2008年、SIEのゲーム制作を手がけるワールドワイド・スタジオ代表に就任。テレビ、新聞、雑誌だけでなく、ニコ生やTwitterなど、多彩なメディアで世界中のユーザーに向けてPlayStation®の最新情報を伝えている。
「VR」とは
いったい何なのか?
VRとはVirtual Reality(仮想現実)という意味。30代以上の人なら、1990年代に一大ブームを巻き起こしたことを覚えていることでしょう。今回、改めて社会現象となりつつある「VR」は、かつての「VR」とはどう違っているのでしょうか。そもそも「VR」の定義とはどのようなものなのでしょうか?
吉田:PS VRでは、コンピューターグラフィックスなど、さまざまな先端技術を駆使して、人間の持つセンサーが受け取っている現実の情報を、ヘッドセットを装着してもらうことで別のリアリティーに差し替えるということをやっています。ヘッドセットの中に組み込まれたフラットパネルディスプレイとモーションセンサーで視覚情報を差し替えたり、3Dオーディオ技術を使って聴覚情報を差し替えたりといった具合ですね。こうして生まれたまるでその場にいるかのような、その場にあるかのような感覚を我々は「センス・オブ・プレゼンス」と呼んでいます。
実はこの発想自体は、VRという概念が生まれた1960年代に確立していました。それからもう50年近く経っていますが、基本的な部分は何も変わっていません。ただその当時、あるいは90年代のブームの時には、その理論をきちんと実現できるだけの技術が確立されていませんでした。別の世界に入り込んだと錯覚してしまうような映像や音を瞬間的に創り出せるパフォーマンスをもったコンピューターが存在しなかったんです。あったとしても数千万円するような、非現実的なものでしかありませんでした。
今回、PS VRでは、なんとそれを5万円前後という価格で実現。別途PS4®が必要となりますが、それでも総額10万円を切る価格で提供できるようにしています。また、家庭用ゲーム機に連携するデバイスということで、より幅広いユーザーの方に手軽に楽しんでいただけるようにしました。買ってきて、テレビとPS4®につなぐだけで、ハイエンドのVR体験が楽しめるのです。この導入のしやすさはPS VRならではの美点。VRの楽しさをより多くの人に広めていくことができると自負しています。
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良質なVR体験
のために
新開発した
高性能有機ELパネル
PS VRでは、ヘッドセット内に組み込まれる有機ELディスプレイを、専用に新開発しました。ただ高解像度なだけでなく、フレームレートを一般的なテレビ映像の2倍となる120Hz(=120コマ/秒)に高めています。また、液晶パネルと比べて圧倒的に表示がクリアなこと、そして色域が広いことも、よりリアルな映像の再現に貢献しています。
吉田:VRを研究していく中でわかったのが、良質なセンス・オブ・プレゼンスを得るためには、既存のゲーム機で実現している60Hzではフレームレートが足りないということ。そこで、携帯ゲーム機やスマートフォンなどで主流の液晶パネルではなく、点灯・消灯の切り替えが素早く、応答性の点でも優秀な有機ELを採用。これにより液晶パネルではとうてい不可能なフレームレートを実現することができました。有機ELは他のPC向けVRヘッドセットでも採用されていますが、PS VRで使っている有機ELパネルの120Hzという性能は映像の動きをより自然に感じられるほか、脳の感じる違和感の最大要因である頭を動かしたときの映像の遅延を最低限に抑えられるという効果があります。ただ、こんなパネルは世の中に存在しませんでしたから、新たに作りあげる必要がありました。費用と時間はかかりましたが、そのかいはある仕上がりになったと思っています。
その上で、PS VRには、PS4®のハイパフォーマンスを駆使して、60Hzで動作するゲーム作品の映像を120Hzに補完(リプロジェクション処理)する機能を用意しました。また、他のPC向けVRヘッドセット同様、90Hzで動作するモードも用意。既存作品へのVR導入や、他プラットフォーム向けにリリースされている作品の移植を簡単に行なえるようにしています。
あとは視野の広さについても言っておかねばなりません。ソニーは過去にいくつか似たような形状のヘッドマウントディスプレイ製品をリリースしていますが、それらはVR空間の再現ではなく、映画などを見るためのガジェット。実際に使ったことがある人も多いと思いますが、視界の遠くに大きなスクリーンが浮かんで見えるというものでした。PS VRは、視界全体を埋め尽くすように映像が展開される点が、従来ヘッドマウントディスプレイ製品と大きく違っています。その臨場感の違いはぜひともご体験いただきたいですね。
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“目”だけでなく“耳”でも
感じられるVRを追求
リアルタイム・バイノーラル・
サウンド生成技術
VR体験で重要なのは映像だけではありません。存在感を感じさせる音も大切。PS VRでは独自の音響技術を駆使することで、サウンド面についてもリアリティーを追求しています。
吉田:PS VRでは、5.1chや7.1chなどと言われるサラウンド技術などではなく、ステレオサウンドで3Dオーディオを実現する仕組みを用意しました。これは人間の耳の特性を利用して、音の位置を立体的に感じられるようにしたもの。最先端のリアルタイム・バイノーラル・サウンド生成技術を駆使することで、実際に音の鳴っている方向から聞こえてくるかのように感じられる仕組みを作りました。もちろん、頭の動きに連動して音の聞こえる方向も追随するようになっています。前を向いている時は右方向から聞こえてきた音が、振り向くと左耳で聞こえるようになるといった感じですね。耳元でささやかれた声が、きちんと近くに聞こえるなど、音の強弱、近遠もしっかり再現できます。
サマーレッスン(仮)
実は音って、映像と同じくらい重要なんです。例えば、バンダイナムコエンターテインメント様開発の『サマーレッスン(仮)』は、3DCGで描かれたかわいらしい女性キャラクターが、自分のパーソナルスペースの境界を越えて近付いてくるドキドキ感を楽しめる作品なのですが、そこでも声の力がものすごく大きな比重を占めています。耳元でささやきかけられるシーンなどでは、本当にその距離に女の子がいるように感じてしまいました(笑)。
また、これを開発者が手軽に実現できるような開発ツールも提供。VR空間内のどこで、どのくらいの大きさで音が鳴っているのかをプログラムするだけで、正しく音のセンス・オブ・プレゼンスを感じられるようにしてくれます。
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PlayStation®ならではの
充実した操作感が
楽しさを拡張
VR空間にアクセスするためのコントローラーが充実していることもPS VRのアドバンテージの1つ。視覚、聴覚に加え、触覚の面でもセンス・オブ・プレゼンスを加速させます。
吉田:PS VRには、3つの基本的なインプットデバイスが用意されています。1つはVRヘッドセットそのもの。PS VRにはユーザーの頭の動きを検出する機能が用意されており、それだけを使ってプレイするゲームが存在します。うなずいたり、ある方向を注視したりといった具合ですね。もっともシンプルで、直観的なインターフェイスです。
2つ目は、PS4®標準のコントローラー、DUALSHOCK®4。これは主にトラディショナルなゲームをプレイする際に使います。なお、PS VRではDUALSHOCK®4上面にあるLEDを利用して、コントローラーの位置や動きを把握することが可能。ヘッドセットを装着していると手元が見えなくなってしまうのですが、VR空間上にバーチャルのコントローラーを表示させてあげることで、ユーザーがコントローラーを見失わないようにしたり、そこにチュートリアルを表示したりといったことができます。
そして最後の3つ目が、これまでPlayStation®3向けに発売していたモーションコントローラ、PlayStation®Move。これを1本ずつ、両手で持つことで、VR空間で両手の動きを再現することができます。VR空間にあるものをつかんだり、投げたりといった操作が可能になるんです。これはセンス・オブ・プレゼンスを高めるために非常に有効なデバイス。追加で購入いただかなくてはならないのですが、ぜひともお試しいただきたいですね。
また、この3つに留まらず、今後、さまざまなインプットデバイスが登場していくことになるでしょう。すでにFPS向けのコントローラー「Playstation VR Aim Controller」を発表していますし、将来的に、レースゲーム向けのハンドル型コントローラーや、フライトシミュレーター向けのスティックコントローラーなどが登場してきたら面白そうですよね。実際に触れるコントローラーによって、よりVR空間とのシンクロ率が高まりそうです。
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重さを感じさせない
装着感の良さも
こだわりのポイント
PS VRのヘッドセットは約610g。これは他のPC向けVRヘッドセットと比べてやや重めの数字。しかしそこには、数値よりも実際の装着感、安定性を優先するというエンジニアのこだわりが秘められていました。
吉田:映像や音声と同じくらい、装着感についても非常に重視しています。短い時間でサッとかぶれるようにしたのはもちろんのこと、前後バランスにも気を使いました。実は後ろの部分にわざとウェイトを仕込むことで、装着時の重心が前に寄らないようにしているんです。重くすることで、軽く感じさせるというのが面白いですよね。
重心を後ろ寄りにしてあげることで、頭部への圧迫感が激減するんです。こういったヘッドセットを長時間使っていると額の部分に跡が付いてしまいがちなんですが、PS VRに関してはほとんどそういうことがないようにしています。
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PlayStation®VRは
“みんなで楽しめるVR”
PS VRでは、ヘッドセットをかぶっていない人も一緒に楽しめるよう、VRヘッドセットで体験している人が見ている映像(視界)をテレビ画面に表示する「ミラーリング」モードや、テレビに別映像を表示させて新たな楽しみを生み出す「セパレート」モードを用意。家族や仲間とわいわい楽しめるようにしています。
吉田:ヘッドセットを装着するという利用スタイルから、VRに、周りと遮断される、何となく暗いイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。PS VRでは、その印象を払拭するために”ソーシャルスクリーン”という機能を搭載しました。「ミラーリング」と「セパレート」という表示モードがありますが、特に後者がユニークで、PS VRを装着している人と協力してゲームをプレイしたり、対戦したりといったことができます。
PS VR購入者に無償提供される『THE PLAYROOM VR』では、特にこの点にフォーカス。ヘッドセットを装着した人が操作する巨大モンスターを、それ以外の4人のプレイヤーで退治する『MONSTER ESCAPE』など、みんなで楽しんでいただける作品が5本も収録されています。まずはこちらで、VRってこんなに楽しいんだ、みんなで遊べるものなんだということを知っていただきたいですね。
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VRは「メディア」であり、
やがて「インフラ」になっていく
まずはゲームを中心に展開されているPS VRですが、もちろんそれだけに留まるものではありません。今後、VRがどのように発展・拡大していくか、その未来図を吉田修平に予想してもらいました。
吉田:VRは新しい技術であると同時に、新しいメディアであると思っています。そして、ゲームはそのほんの一端に過ぎません。PS VRはPS4®のためのものですから、まずはゲームユーザーの皆さんに楽しんでいただきたいと考えているのですが、将来的にはゲーム以外のアプリケーションも増えていくであろうと期待しています。何年か後、そう遠くない未来には、ほぼすべての人たちが、VRということを意識することなく、VR技術に触れている、ツールとして利用しているようになっているのではないでしょうか。
具体的には、例えば観光やイベントなどにVRで参加するといった楽しみ方があると思っています。実際にそこに行くことはできないのだけれど、VRを使って、その場にいるような感覚を味わう、と。スポーツ観戦や、音楽ライブなどは特に大きなニーズがありそうですね。
「その場に行く」という活用法のほか、見たことのないもの、実際にないものをリアルに再現できるというのもVRの特長の1つ。車や家など、高額商品を購入する際に、その大きさや色などをVRで確認するといった使い方ができます。自動車などはもうすでに始まっていますね。ほか、医療の分野でもリハビリテーションやシミュレーションのツールとしてVRを活用する動きが拡がっているそうです。
もちろんコミュニケーションの分野でもVRは期待されています。これまで文字や音声、せいぜい動画までだったオンラインコミュニケーションが、VRを使うことでリアルに。何千キロも離れたところにいる人が、同じVR空間に存在して、ヘッドセットを通じて、身振り手振りも交えつつ会話することができるんです。電話などでは得られない、“会える”という感覚が得られるのはVRならではと言えるでしょう。昨年、Facebookが、VRヘッドセットのオピニオンリーダーの1人である、オキュラス社を買収しましたが、これはVRが将来のコミュニケーションにおいて重要な位置付けになると確信したからでしょう。
今後、さまざまなサイエンス・フィクション作品で描かれている世界を、VRが実現していくことになるでしょうね。僕らも含め、多くの開発者が、そういった世界を実現したいと考え、VRに取り組んでいます。
そのためにも、まずはより多くの人びとに楽しんでいただけるコンテンツを充実させていくことが大事ですね。家庭用ゲーム機の世界ではよく「キラータイトルは何ですか?」と聞かれることが多いのですが、VRの世界では“ささるタイトル”が人によってまったく異なります。VRならではの体感型コンテンツがささる人もいれば、本格的なレースゲーム、シューティングゲームをやりたいという人もいる。アイドルゲームに期待しているという人もいるでしょう。
幸い、すでに多くのクリエイターがこれら多彩なVRコンテンツを制作中。すぐにでもより多くの人に「VRは楽しい」と思っていただける状況になるのではないかと考えています。皆さんそれぞれにフィットする作品が必ず見つかるはずですので、ぜひ店頭などで、PS VRの世界を体験してみていただきたいですね!
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編集部スタッフが
最新VRゲームをプレイ!
吉田修平の取材に際し、発売前のVRゲームタイトルをいくつか体験プレイさせていただきました。まずプレイしたのが、ローンチタイトル『PlayStation®VR WORLDS』に収録されるクライムFPS『The London Heist』。ロンドンのハイウェイを舞台に、PlayStation®Moveを使って、追っ手を銃で撃退していくというゲームです。
銃を車のダッシュボードから取り出したり、弾薬を交換したりといったアクションを両手に見立てたPlayStation®Moveで行なう点がまずユニーク。実際に銃を触ったことはないのですが、まるで本物の銃を持っているかのような興奮を味わえました。そして何より快感だったのが、そのスピード感とリアリティー。実際には椅子に座ってプレイしていたのですが、ゲームが始まるとまるで実際に車に乗っているかのような気分に。
追いすがるバイクや自動車を撃破するため窓から身体を乗り出すなど、リアルでは絶対にできないようなアクションも新鮮でした。敵に討たれたときに思わずウワーッと悲鳴を上げてしまったり、気がつくと、いつの間にかゲーム世界に没頭してしまっていました。これこそまさに「センス・オブ・プレゼンス」ですね。
ほか、同じく『PlayStation®VR WORLDS』に収録されている『Ocean Descent(オーシャン ディセント)』では、まるで本当に深海に沈みこんでいくゴンドラに乗っているかのような臨場感、そして孤独感を感じ、バンダイナムコエンターテインメント様開発の『サマーレッスン(仮)』では、吉田さんのおっしゃるとおり、可愛い女の子に耳元からささやかれて本気でドキドキしてしまいました(笑)。この興奮を言葉で説明しきれないのがとても悔しい。体験会や大手量販店の店頭などでプレイできるようなので、ぜひとも実際にプレイしてみてほしいですね。これはすごいですよ!(編集部・首藤)
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Ocean Descent(オーシャン ディセント)
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サマーレッスン(仮)
編集部スタッフが最新VRゲームをプレイ! いいね
ソニーショールーム・
直営店舗ソニーストアでの展示紹介
ソニーの直営店舗 ソニーストアではPlayStation®VRの特別体験会を実施中! 特別体験会は、ソニーストア 銀座、名古屋、大阪、福岡天神の4店舗にて実施しています。 ゆっくり体験いただくために、事前に予約をいただきご案内しています。 360度全方向を取り囲む、迫力のある3D空間をぜひご体感ください!
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