『いつまでも守り続けたい「日本の自然」』をテーマに、動植物や風景、人間の営みを捉えた優れた写真作品を40年以上に渡って顕彰してきた、『「日本の自然」写真コンテスト』(朝日新聞社・全日本写真連盟・森林文化協会主催、ソニーマーケティング株式会社協賛)。41回目を迎える今回は、全国から1万3,258点もの応募がありました。ここでは2024年7月27日(土)に朝日新聞東京本社読者ホールにて行われた表彰式および講評会の様子と、入賞作品、受賞者の喜びのコメントを抜粋してご紹介します。
東京・築地の朝日新聞東京本社読者ホールにて行われた第41回「日本の自然」写真コンテスト表彰式。デジタル部門、プリント部門合わせた101名の受賞者のうち、41名が日本各地より参加しました。
式典冒頭では、主催者挨拶として、全日本写真連盟会長の渡辺雅隆氏が登壇。渡辺氏はまず「この凄まじい暑さの中、式典にご参加いただいたことを感謝します」と切り出し、近年の異常な暑さや気候の変化に触れ、「皆さんの素晴らしい写真を通して、多くの方々が自然環境、地球環境に思いを馳せていただければ、これほどうれしいことはありません」と、コンテストに込められた思いを強調します。
また、高校生を含む10代のコンテスト参加者が100名を超えたことを報告。若い世代が日本の自然に関心を寄せていることについて、主催者としての喜びと感謝の念を表しました。
その後の協賛社挨拶ではソニーマーケティング株式会社を代表し、プロダクツビジネス本部 デジタルイメージングビジネス部 統括部長 岡祐介がステージへ。本コンテストの協賛を始めてから今年で10年経ち応募者数が大きく伸長したこと、コンテストを通して素晴らしい写真作品が生み出され、見た人の心に感動を生み出していること、そこにαやブラビアなどのソニー製品が貢献できていることを誇りに思うと語りました。そして「もっと良い作品を残したい」「見たこともないような作品を撮りたい」と情熱を燃やすフォトグラファーの期待に応える製品の開発も約束。「皆さまのクリエイティビティと私どものテクノロジーで、まだ見ぬ作品、新しい表現を生み出していきたい。そこから生まれる感動が、さらなる感動を生み出していく『感動の連鎖』こそが、私たちのパーパス(存在意義)であり夢でもあります。ぜひ、今後のソニーのテクノロジーの進化にもご期待ください」と結びました。
表彰式はこの後、受賞作品を舞台上の4Kブラビアに表示するかたちで進行。次のパートでは、受賞作品の一部とそこに込めた撮影者の想いを審査委員コメントも交えながらご紹介します。
フィルム時代から写真撮影に向き合ってきたベテランフォトグラファーの集うプリント部門は、撮影者自らが紙のサイズや質感、色味までこだわって出力したものを審査対象とする伝統的な部門。近年はプリント回帰の流れから若き実力派の参加も目立つようになってきました。今回は応募者数857名から応募作品5,021点が集まっています。
最優秀賞
講評する前に「半水面写真」を検索してみたら、一番上に三浦さんのサイトが出てきて、すでにこの世界の第一人者なんだなって(笑)。ギャラリーには、今回の受賞作品以外にもたくさんの半水面写真が掲載されているので、皆さん、ぜひこちらも見てくださいね。そして、この受賞作品ですが、最初は正直言って、どうやって撮っているのか分かりませんでした。かなりしっかりカメラを固定して、しかもマングローブの若木には光も当てているのかな? 天の川、街明かり、マングローブの若木が縦に連なるこの構図がとても素晴らしいですね。かなりリサーチをして、イメージを膨らませないとこうは撮れないはず。実際、2年かかったとのことですが、ここにたどり着くまでの苦労も忍ばれる一枚でした。(写真家・米美知子氏)
「最優秀賞 ソニー4K賞」は、応募者数2,066名、応募作品8,237点に及ぶ本コンテストの激戦区・デジタル部門の最高峰となる賞です。プリントでは難しい、大画面4Kテレビならではの壮大さと光の表現を生かした作品に贈られます。
最優秀賞 ソニー4K賞
この度の受賞を非常にうれしく光栄に思っています。最初に通知があった時は本当に驚きました。これまで受賞した賞の中でも最も大きなものであり、これまで10年以上ホタルを撮り続けた自分の努力が実を結んだと感じています。
この作品は自然豊かな地元の出雲で撮影。夜の森の広がりと静寂を表現するために広角レンズを用いました。中央に大木を配置し、下から上を見上げるような構図にすることで、木々の間から漏れる光を取り入れ、大木をより強調しています。また、大木の周囲にホタルの光を散りばめることで、写真に動きを与え、自然の息吹を表現しました。全体的に対比を強く意識して撮影しています。大木と周りの木々の大きさの対比で、森の広がりを。上部の木漏れ日(明)と下部の夜の闇(暗)の明るさの対比で、森の奥行きを。木漏れ日に照らされた靄(青)とホタルの光(黄)の色の対比で、生命の神秘性を表現しています。
なんとも神秘的な雰囲気が感じられる作品です。かといって「これみよがし」な感じがないのがとても良い。ホタルの光が強調されすぎず、名脇役として品良く収まっているところに感心しました。撮影場所もユニークで、中央の木が周囲を取り囲む杉の木とは明らかに違っていて、それも雰囲気を高めています。これからもこうした「いぶし銀」な作品を撮り続けてほしいですね。期待しています。(写真家・前川貴行氏)
デジタル部門に設けられた「ソニーネクストフォトグラファー賞」は、30歳以下の若きフォトグラファーの、これまでにないフレッシュな感性と新しい表現を切り拓いていく挑戦心を高く評価する賞です。
ソニーネクストフォトグラファー賞
素晴らしい賞にご選出いただきありがとうございます。高山植物は私の大好きな被写体で、白馬岳には毎年何度も撮影のために登っているので、今回この「天空の花園」を選んでいただけて本当にうれしく思います。
夕日に染まる標高3000m級の白馬稜線は、6月末だというのにまだ雪が残っているような過酷な環境です。そんな中で懸命に咲く可憐な高山植物の生命力と、彼らが生きている美しい環境を表現したいと考えました。この日は昼間のうちにロケハンを済ませ、夕方にもう一度登って一番咲きの良いポイントを日没に合わせて撮影しています。日の入り間近に西側から稜線を越えてガスが流れ込んできたため、夕陽の優しい光とあいまって本当に美しい瞬間となりました。
夏シーズンになると、たくさんの人が花を撮りに山に登るのですが、この写真はそれよりも少し前、6月に撮影したとのこと。調べたところ、この白い花は絶滅危惧種に指定されているツクモグサというとても貴重な植物なのだとか。青っぽいのはウルップソウでこちらも準絶滅危惧種だそうです。どちらもいわゆるガレ場と呼ばれる荒れた場所に咲く花でとても小さい。それを這いつくばって、広角レンズで手前から奥までシャープに撮ることで現実味を高めることに成功しています。また、あえて夕景を選んだことで立体感を高めているところにも感心しました。ぜひこの受賞をきっかけにプロフォトグラファーとして羽ばたいていただければと思います。(写真家・福田健太郎氏)
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第39回の「日本の自然」写真コンテストで同じ優秀賞をいただきました。自分の撮影活動の一年間の集大成の位置付けでコンテストに応募しています。この作品では、蝦夷鹿の生命をつなぐドラマの始まりのシーンと壮大な道東の自然を感じられる表現を意識しました。長い年月をかけて砂などが堆積して形作られた道東の砂嘴(さし)。その浅瀬に現れた一頭の雄鹿、毎年繰り返される繁殖期の行動パターンなのかもしれません。撮影機材は、α7 IIIに加え、α9 IIIを使用。α9 IIIの連写機能はすばらしく、シマエナガのホバリングの撮影でいきなりその性能を発揮してくれました。これから、貯食で葉っぱを咥え飛び回るナキウサギやオコジョ、イイズナの撮影が楽しみです。
黒い島影を背景に尾ビレを持ち上げたザトウクジラ。写真はやはり光と影なのだと教えてくれた風景でした。私はふだん、居住地となる小笠原で風景や星空をメインに撮影。そのほか小笠原に移住するきっかけとなりました鯨類の撮影も行っています。この作品を撮影したα6500については、手にしっかりと馴染む形やAF追随性に加え、価格も重視して選びました。
人の営み(漁)が四万十川の水面に描き出す光景と、その河口部から立ち上がる天の川銀河が織りなす光景をひとつの画面に表現したいと考えました。普段はもっと下流域での出漁が多く、シーズン終盤にならないと天の川が立ち上がるタイミングに合わないので、チャンスはあまりありません。三脚にカメラを固定し、一夜で撮影を完結させるために潮の満ち引きと天候や天の川の立ち上がる時間を計算して撮影に臨み、なんとか撮影することができました。α9は状況を選ばず撮影でき、データを残せる確率がなるべく高いものをと、信頼性で選びました。また、レンズの選択肢が多いことも魅力的です。
冬毛で真っ白になったイイズナと降り積もった新雪を絡めることで、季節を表現できるような瞬間を狙って撮影。雪の下から顔を覗かせた瞬間がまるで「やってる?」と暖簾をくぐっているように見えて、日本の文化も合わせて表現できた作品になったかなと思っています(笑)。撮影に使用したα7 IVは私が初めて購入したカメラです。動画・静止画どちらもオールマイティーな部分に惹かれました。使ってみると性能も申し分なく、このカメラだから撮れた瞬間ばかりだと思っています。
シマフクロウは通常、日中に撮影することは難しい被写体です。しかも冬景色ともなれば、撮影場所まで行くことさえ困難ですから、11月の下旬に雪模様のシマフクロウを撮れたことは本当にラッキーでした。カメラは複数のαを所持しており、この撮影で使ったα1以外にも動きの速い被写体はα9 IIIを、ホタル、星景写真はα7R Vをと使い分けています。特にα9 IIIのAI AFや、120枚連写が強力で、飛び回る小鳥の撮影などに威力を発揮してくれています。次世代α1への搭載を期待しています。
冬山の美しさと、厳しさの両面を持つ伯耆大山。そして、それを乗り越え登頂した人だけが感じられる達成感を狙って撮ってみました。アイゼン、ピッケルの完全装備で、寝袋担いで避難小屋に泊まらなければなりませんが、最高の夜明けに出会えて大満足の遠征となりました。撮影に使ったα7 IIIは風景写真でこだわりたい色彩、山岳写真で重要な軽量、星空撮影での高感度、インターバル撮影機能、手ブレ補正など、欲しい機能が全て備わっていて、私にとっては不可欠なカメラです。
産卵のために美しく色づき浅瀬に集まる魚(オイカワ)と、それを知って狩りをする野鳥(ササゴイ)のシーンを通して、移り変わる季節感と野生動物の生きる力を表現したいと考えました。迫力を出すため、カメラを水面になるべく近づけて撮影しています。使用機材はα1。思い通りに被写体に近づけない野生動物の撮影ですのでトリミングに耐えうる高画素であること、移動に負担のかからないよう軽量なこと、高性能なAFと連写性能が揃っていることなどから選びました。
フィールドではいつも、美しい自然環境の中でいきいきとたくましく生活する野鳥を撮影しようと努力しています。この時は逆光の朝日に煌めく湿原を背景に、ノビタキがアブラガヤに止まった一瞬のチャンスをいかにキッチリと撮るのかに集中しました。本コンテストは野鳥撮影を通じて知り合った方が過去に何名か入賞されており、その作品に感動したことが私の撮影スタイルに好影響を与えています。今回使用したボディとレンズの組み合わせは、野鳥の撮影において最高の組み合わせであり、私にとって最高の相棒です。
優雅に見えるコサギが、縄張り争いでは極限までお互いを傷つけあって争う意外な姿を表現したいと思って撮影しました。鳥の写真は10年ちょっと前から始めましたが、4年前に仕事を完全に辞めてからは毎日近くの川や畑で鳥や動物を撮るようになりました。遠くに行って珍しい鳥を撮るよりも身近な鳥をじっくり観察することが好きで、おもにカワセミ、ツバメ、カモ類、サギ類、モズ、コチドリなど、近くの畑で見ることができる鳥を撮っています。レンズは400mm/F2.8とテレコンバーターの組み合わせを常用。600mm/F4と悩みましたが、日没後のコミミズクを開放F2.8で撮れる前者を選びました。
伊豆大島にて、イワシのサーディンラン(イワシの大移動)とメジロザメを撮影しました。
長野県のしだれ栗森林公園で秋の終わりに撮ったものです。運よく雪の降り初めに遭遇することができ、季節の移り変わる瞬間を捉えられたと思っております。撮影に際しては、雪の量を調整すべく被写体との距離にこだわりました。αはレンズの豊富さに惹かれて購入。初めてのフルサイズ機で思い入れも強く、何度か壊したりもしてしまっていますが、修理するたびに愛着度も更新されています。
厳冬期・権現岳のモルゲンロートと富士山を1枚に。日の出のタイミングで、雪面と霧氷した木に光が当たるところを狙って撮影。このポイントでは富士山が見えるので、うっすらとかかる雲が抜けた瞬間を撮りました。薄雲が朝日を程よく拡散させてくれました。愛用しているα7R IIIはバッテリーが新しくなったこともあり、マイナス20度を下回る環境でも停止することなく撮影できます。撮影可能枚数も増えたため、携行する予備バッテリーを減らすこともでき重宝しています。
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九州の南部でもこんなに美しい雪景色が見られることを全国に知らせたいと思い、コンテストに応募。選出いただいた作品は鹿児島県霧島連山の大浪池が霧氷した姿です。全面霧氷の撮影はタイミングが難しいため、寒波によるチャンスが来るたびに根気よく通い続けました。撮影に使用したα7R IVは、有効約6100万画素の高解像度とトリミング耐性を備えながら、広ダイナミックレンジかつ、αならではの優れたAF性能を持つため、撮影では大いに助けられました。
この白っぽいものは雪ではなくて霧氷。日が昇るとすぐに解けてなくなってしまうので、この美しい光景はごく一瞬だったのだろうと想像します。上空がわずかに霞がかっているのですが、それによって空の微妙な色が湖面に映り込み、目をひく良い雰囲気を醸し出しています。プリントもこの色味がきちんと再現されていて見事だと感じました。今後もぜひ、こうした九州の魅力を発信していってほしいですね。(写真家・福田健太郎氏)
ツシマヤマネコは対馬の田んぼに暮らすネコで、地元では田ネコと呼ばれています。この田ネコを、黄金色の稲穂を背景に撮りたいという念願がかなった作品です。2023年、対馬への訪島3回目でツシマヤマネコに遭遇。徹夜して探索した甲斐あり、ようやく撮影することができました。撮影機材にα9を選んだのは、ヤマネコのような被写体を撮影するために手持ちかつ夜に強いカメラが欲しかったから。α9はISO 20000でも鮮明に撮れるので気に入っています。
絶妙なのがこの構図で、後ろに稲穂があることで、田ネコと地元の人たちとのつながりや季節感がとても良く表現されていると感じました。ツシマヤマネコはいわゆる家ネコと比べて、どこか表情が厳しいのですが、その野生を感じさせる目付きがよく撮れていますね。ぜひ、これからも田ネコの写真を撮り続け、コンテストに応募していただければ。(写真家・米美知子氏)
普段は山岳で風景写真をメインに人や動物なども撮影。星空や朝日、夕日の移り変わる様子をタイムラプス機能でホーリーグレイル撮影したりもしています。この作品では月明かりに浮かぶように見えるゼブラ模様の雪渓を、北海道大雪山系 白雲岳山頂から心奪われたまま撮影しました。カメラはα7R IIIとα9を使用中。α7R IIIは軽くダイナミックレンジが広いこと、α9はフォーカスの速さが気に入っています。
日本の固有種であるものの、深い森に生息するためなかなか目にする機会のないヤマドリ。このヤマドリを、生息環境を含めて撮影したいと考え、人がほとんど入らない山を探し回り、ようやく出会うことができました。1年を通して観察していましたが、この滝を背景に撮ることができたのはこの写真が最初で最後です。とにかく深い森の中にいるので、日中でもISO感度とシャッタースピードの設定に苦労しました。
クルミの木からたれた樹液が凍ってできた氷柱を、野生のニホンリスがなめているようすを撮影。その厳しい冬を生き抜く姿に感動を覚えました。氷柱の向こうに可愛い舌がペロッと見えるところがお気に入りです。これまで年間200日ほども森に通い、野生のニホンリスを6年間撮り続けてきました。当初はα9を利用していましたが、現在は友人の勧めもあってより高性能なα1を愛用しています。
この子ギツネは北海道遠軽町の町内で撮ったものです。何度か通い、顔馴染みになっていたのでしょうか?行動範囲の広がった子ギツネが「ついておいで」と言わんばかりに振り向き、廃屋に導いてくれました。朽ち果てたテラスの床下が隠れ家だったのでしょう。出たり入ったりしながら、自慢の「秘密基地」へ案内してくれました。この作品はα9 IIで撮影しましたが、現在は後継機α9 IIIに乗り換え。プリ撮影機能を武器に、素早くて滅多に出会えないエゾオコジョの撮影に挑戦しています。
この作品では深い森の水場などに生息するモリアオガエルの生命力を表現しようと考え、山のように積み重なりながら交尾している姿を撮影。そこに命を繋ぐ必死さを感じました。普段は野鳥をメインに撮影をしていますが、最近はこうしたカエルの生態や祭など人々の営みにも目を向けるようになりました。撮影にはα1を使用。AFの速さと正確さが気に入っています。
登山を趣味としているので、主に週末に日本全国の名峰に登っています。山で出会う自然の姿が私の被写体です。この作品では爺ヶ岳を背景に突然現れたブロッケン現象を撮影。一瞬の自然の神秘を逃さず、光輪全体を写真に収めるため、広角レンズで撮りました。現在使用しているα7R IIIは2020年ごろに購入。レンズはラインアップ豊富で描写も秀逸なG Masterを魅力的に感じ、愛用しています。
毎年冬になると奄美大島や小笠原を訪問し、水中生物の撮影に没頭しています。今回は、2年前の第39回「日本の自然」写真コンテストでプリント部門最優秀賞をいただいた時と同じく、ザトウクジラを被写体に選択。3頭のクジラたちが仲良さげに泳いでいる姿を、それぞれの大きさの違いが伝わるように撮影しました。カメラも以前と変わらずα7 IIIを愛用中。AF性能とバッテリー持ちの良さが気に入っています。
雌鹿が美しい雄鹿に一目惚れをして、瞳をキラキラさせている瞬間をハイスピードの連写モードで撮影しました。これから2頭の恋が成就し、翌年に愛らしい子鹿が誕生するイメージにつながれば幸いです。撮影に使ったα7R Vは発売日に購入。4軸マルチアングル液晶モニターの操作性が優秀で、一瞬たりとも見逃せない野生動物の撮影では特に重宝します。また、高精細電子ファインダーのおかげで撮影時の見落としも少なくなりました。ネイチャー撮影は体力勝負ですが、背景となる自然風景の移ろいもカメラに収めたいので、これからも体調と相談しながらできる限り撮影に出向きたいと思っています。
休日、四国の山や海を中心に撮影。後世に残したい日本の自然を追いかけ続けています。四国で2番目に高い山、剣山にある湖面(夫婦池)は、この森に生息する動物たちのオアシス。そこに澄んだ水と雑草を求めて顔を出したニホンジカの美しい姿を捉えました。カメラは約1年前にαに乗り換え。圧倒的に軽量なボディと豊富なレンズ群は自然撮影時の強い味方になっています。ソニーの作るカメラは私にとって強い味方です。
この作品は、愛媛県内子町の地元の人々に愛されているしだれ桜を撮ったものです。桜の咲く季節には毎年訪れる場所ですが、霧がかかっていたのは初めてのこと。霧の濃さと太陽が昇る位置にこだわって、幻想的な雰囲気になるように仕上げました。今年咲いた桜も来年には咲かないかもしれない。この広大な景色も災害で1年後には見られないかもしれない。常にそう思って、今目の前に広がる景色を大事にしています。撮影に使ったα7 IIIはAFが速く、特にG Masterのレンズと組み合わせると迷いなくピントが合い、暗い所でノイズが少ないことも合わせ気に入っています。
普段は熊本県を中心に撮影。職場が阿蘇に近いので、夏場は仕事終わりに夕景を撮りに行くこともあります。この写真では高千穂峰から眺める霧島連山の雄大さをミヤマキリシマの花とあわせて表現したかったため、よりダイナミックな撮影ができるパノラマ撮影を駆使して撮影しました。メイン機はα7 IIIで、発売されてすぐに購入しました。Eマウント製品は小型で軽量だと思っています。また、冬山や波のある海での撮影も頻繁にしていますが大きな故障や不具合もないため、タフな製品だと感じています。
小鳥の飛翔は一瞬かつ急な速度変化があるので試行錯誤しましたが、偶然も重なって興味深いシーンが撮影できました。可愛らしい見た目のシマエナガですが、厳しい自然の中で生きており、時には野性のたくましさを見せてくれるというところを感じてほしいです。撮影機材にα9 IIIを選んだのは、動体撮影のためにAFと連写速度の優れたカメラが必要だったから。飛翔と同時にシャッターを切るのは困難なので、遡って記録できるプリ撮影機能はとても重宝しています。もちろん、この撮影でも使っています。
青森県内の中でも特に八甲田山や岩木山で「樹氷達が見ている世界」をテーマに、誰も見たことのない景色を求めて撮影を行っており、昨年の第40回「日本の自然」写真コンテストでは優秀賞をいただきました。今回の作品は、小岳山頂付近まで約4時間かけて登って撮影。現地は風が強く、テントが張れないため穴を掘って待機し、晴れた瞬間に眼下の雲海と合わせて樹氷群を撮影しました。
羽衣藻の花と水蓮の花の白、羽衣藻の黒緑と水蓮の葉の緑、その立体感とパンフォーカスの両立を図るためフレーミングを吟味し、F32まで絞って撮影しました。退職後、72歳で本格的に写真を始め、現在は福島を中心に感動する風景をどう表現できるかを試行錯誤しながら撮影しております。ソニーのカメラとレンズは、無理と思われる条件設定でも大きな破綻がなく頼もしい限りです。
2羽の朱鷺が田園で何か見つめていました。それが、私が生まれて初めて野生の朱鷺に出会った瞬間。朱鷺が目の前にいることに感動し胸が熱くなりました。今では佐渡で普通に見ることのできる日常の風景であり、一度は途絶えた原風景でもあります。この先も、朱鷺たちが普通に暮らせる環境が続くことを願って作品にしました。なお、この作品はα7 IIIで撮影しましたが、現在はα1をメインに使用中。野鳥や野生動物の撮影に特化するため、高速連写と有効約5010万画素、鳥認識AF機能を持つ本機を、清水の舞台から飛び降りる思いで購入しました。作品の満足度をかなりアップさせてくれる、よき相棒です。
撮影したのは砺波平野の散居村を一望できる稲葉山展望台からでした。夜、この平野が霧で覆われると町の光が浮かび上がり、とても幻想的な光景へと変えてくれます。そんな普段は見られないような幻想的な光景を表現しようと思い撮りました。ただし、このような霧はなかなか現れないので、可能性がある時にとにかく何回も通うことが撮影のポイントです。撮影に使ったα7 IIIは価格、機能、操作性のバランスが取れた良い製品だと気に入っています。
この作品では、春の桜の美しさや、桜と人との関わりを表現しようと考え、撮影しました。普段は山の風景や祭をメインに撮影。どちらかというと祭がメインですが、冬場は雪景色を撮るために出かけたりしています。使用しているカメラはα7R IIで、軽いのに高画質なことを評価しており、もう8年近く愛用しています。
水面に落ちたツマグロヒョウモンにアメンボが群がる様子を撮影。この撮影を通して、アメンボが肉食であることを初めて知りました。この作品に限らず、近所での撮影を心がけており、運動不足解消を兼ねて出かける近所の宇治植物公園などで、昆虫や花、風景を撮影しています。利用しているカメラはα77 IIとやや古いものなのですが、2020年に中古で購入。ミノルタ時代から長らくαを愛用しています。
普段から山や自然公園、あるいは近所の公園などで小さな生き物や虫を撮影しています。この作品では、小さくて見えにくい、アリとアリマキが共生しながらいきいきと生活している様子をできるだけ詳細に表現できるように気を付けました。そう思いながら観察していたらアリマキがプッと美味しそうな蜜を出したので、急いでシャッターを切っています。愛用しているα7R IIはフルサイズでありながら手の小さな私にも持ちやすいグリップであること、虫の質感や表情をしっかり撮影できるところが気に入っています。
田植えが終わったばかりの水田を照らし、日が落ちていく里山風景を撮影しようと思いました。前方の木と水面に映るその影、その背後に沈みゆく太陽を配置し、生まれ育った故郷を思いつつシャッターを切っています。撮影場所は主に奈良県内で、たまに琵琶湖、赤目滝などに出かけます。撮影する際、自分の想いが伝わるように、それでいて自分本位にならないようにと、常々考えています。カメラは学生時代からミノルタ派だったので、そのまま迷うことなくソニーへ。現在使っているα77はもう10年以上愛用しています。
蓮のしげみを覗くと、あたかも自分の家のようにくつろいでいるカエルの姿を見つけ、そこに魅力を感じて撮影しました。作品づくりにおいては色味を大切にしており、色の美しさを強調しています。やりすぎとのご指摘もあるかと存じますが、それが私自身のこだわりです。カメラは現在、α7R IIIのほか、α9、α7R Vを所有。野鳥や昆虫の飛翔写真など、躍動感のある写真撮影はソニーが最も秀でていると思い、αを選びました。色味や写りも良く、大変満足しています。
この作品は、徳島県の剣山で撮影。普段は夜間に登山し朝日の撮影をしているのですが、今回は珍しく夕日を狙いました。夕日に照らされ、全体がほどよく染まり、素晴らしい色合いになったのではないでしょうか。これからも他の人が撮らない時間帯や場所を狙い、自分だけの作品を撮り続けていきたいと思います。愛用しているα7R IVは有効約6100万画素の圧倒的な描写力がすばらしいですね。
朝早くから薄暗く寒い渓谷で待ち続けて撮影したので、光芒が出た時には感動し、まさにタイトルのような心境でした。冬というと少し暗いイメージで、そこに光が差す=春の訪れ、明るい未来、のようなテーマを考えて撮影しています。九州では雪が積もることが少なく、すぐに解けてしまうので、タイミング良く撮影できて良かったです。αは軽量コンパクトなので、山や渓谷などでアクティブに撮影する際にとても重宝しています。
表彰式の最後、審査委員を代表して行われた写真家・海野和男氏による総評では、応募は風景写真が圧倒的に多いものの入賞するのは動物の作品が多い状況を指摘。「動きのある動物写真の方がインパクトに優れるため仕方ない面もある」としつつも、風景写真は感銘を受けた先達の写真と同じ場所に行き、似たような写真を撮って満足してしまう傾向があるのではないかと問題提起し、「それでは優秀賞は獲れない」と助言します。「ぜひ、他の人が見向きもしないような場所、時間帯の撮影に挑戦し、自分だけの自然写真を撮影してほしい。期待しています」と会場の、そして全てのコンテスト参加者を激励しました。
なお、今回の『「日本の自然」写真コンテスト』受賞作品をご覧いただける巡回展は現在、日本各地で開催中。
開催場所とスケジュールはこちらからご確認ください。
ソニーストアでは、ご自身が撮影した写真やお持ちの映像を、実際の4Kブラビアに映し出してご覧いただけます。
テレビで楽しむ写真鑑賞スタイルの体験などにご利用ください。
マングローブの若木と天の川、
そして街明かりを通じて描く「希望」
最優秀賞に選んでいただき大変光栄に思います。今回受賞した私の写真は、珍しい生物や劇的な瞬間を撮影したものではないので、少し地味かも……と思っていたのですが、写真に込めたメッセージを受け取って評価していただけたのでとてもうれしいです。
マングローブは豊かな生態系の要となるだけでなく、地球温暖化の抑制や防災においても大きな役割を果たしています。天へと向かって真っ直ぐに伸びるマングローブの若木・天の川・街明かりを同時に写すことによって、自然と宇宙と人間の繋がりを描き、この星の「希望」を表現しました。
今回の作品のように水中と陸上の風景を同時に写した写真は「半水面写真」と呼ばれています。カメラのレンズを半分だけ水に沈めた状態でシャッターを切るというシンプルな方法で、合成などを行うことなく撮影しています。これまでの半水面写真は日中に撮影されることが多く、夜の撮影は技術面やコンディション面での課題がたくさんありました。何度もこの場所へ通い、2年ほどかけて試行錯誤を重ねることでようやく納得の一枚が撮れました。