商品情報・ストア Feature すべてのαユーザーがクリエイターに。心奪われた瞬間をとらえる、新ポートレートレンズ

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FE 85mm F1.4 GM II

私たちソニーが“最高峰”と位置付けるレンズシリーズ「G Master」。2016年、新ブランドとして特別な想いを込めて最初に開発した3本のうち、唯一の単焦点レンズとして85mmF1.4がありました。これを今、8年の時を経て第2世代モデルへとアップデートします。多くのαユーザーに愛されてきた大定番モデルをどのような信念で進化させたのか、開発の中核メンバーたちが語ります。

Index

  • 01 01
    「目を奪われた瞬間」を写し撮る。それが85mm F1.4
  • 02 02
    速く、心地良い“操作感触”が撮影者を“ゾーン”へと導く
  • 03 03
    すべてのユーザーが「クリエイター」に
ILCE-7RM5  85mm 1/2000秒 F1.4 ISO100
ILCE-9M3 Fill-flash 85mm 1/2500秒 F6.3 ISO125
ILCE-7RM5  85mm 1/2000秒 F1.4 ISO100
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「目を奪われた瞬間」
を写し撮る。それが85mm F1.4

人の視野はカメラレンズの焦点距離になぞらえると平常時でおよそ50mm前後ですが、なにかに目を奪われたときには85mm前後にまでクローズアップされると言われています。その視野をあるがまま写し撮れる85mmレンズに求められるのは、フォーカスしている被写体をより鮮明に描写する「解像」と、その周囲をぼかして印象的に浮かび上がらせる「ぼけ」の自然な融合。αはミノルタの時代からこのコンセプトを追求し続けており、85mm F1.4レンズはその象徴的な存在です。

『FE 85mm F1.4 GM II』は、自らもその焦点距離のファンでありクリエイター(撮影者)でもある開発者たちが自身の「好き」を原動力にこだわり抜き、初代ユーザーの声を聞きながら研ぎ澄ませた妥協のない一本。その表現力はクリエイターの「好き」をかたちにします。

開発者からのコメント
光学設計担当 山岸

光学設計担当
山岸

私は学生の頃から写真を趣味にしており、特にポートレートを中心に撮影をしてきたのですが、85mmは最も好きな焦点距離。個人的にもとりわけ強い情熱を持って開発に取り組むことができ、満足いくものに仕上げられたという自負があります。

商品企画担当 大山

商品企画担当
大山

この、ピントの合っている部分から大きなぼけへのトランジション(変化)には特に注目してほしいですね。私も山岸と同じく85mmが大好きで、一眼カメラ入門期に愛用した言わば原体験ともいえる画角なんです。今回の『FE 85mm F1.4 GM II』では圧倒的な「解像」からきれいに「ぼけ」に繋がっていく現代的な描写を目指しました。きっと驚いていただけると思います。

『FE 85mm F1.4 GM II』は「目を奪われた瞬間」を写し撮るポートレートレンズ

ILCE-9M3 Fill-flash 85mm 1/2500秒 F6.3 ISO125
point

速く、心地良い“操作感触”
撮影者を“ゾーン”へと導く

カメラのオートフォーカス(AF)機能に求められているのは、高速かつ正確にピントを合わせ、決定的な瞬間を撮り逃さないこと。その上で、『FE 85mm F1.4 GM II』では、「操作感触」の向上にもこだわりました。フォーカス時、手のひらに伝わるわずかな振動やノイズを徹底的に抑え、静かで滑らかな動作で気持ち良く使えること、それによってクリエイターの集中を邪魔しないことが、レンズにとって大切なスペックだと考えているからです。

もちろん、高速かつ精緻な動作も抜かりなく追求。先代モデルと比べてAF速度を約3倍*、動体追随性能を約7倍*まで向上させることに成功しました。F1.4の極めて浅い被写界深度の中に狙い通りに被写体をとらえられるよう、数ミクロン単位でレンズを動作させる緻密な制御も実現しています。
* ソニー内部測定。FE 85mm F1.4 GM比

開発者からのコメント
アクチュエーター設計担当 宮崎

アクチュエー
ター設計担当
宮崎

スペックシートでは伝わりにくい、静かな動き出しや停止、スムーズな動作の速さや、手に感じる振動の少なさなど、細部にわたるこだわりを感じていただくために、ぜひ店頭で実際にこの製品を手に取り、その感触を体験していただきたいですね。

プロジェクトリーダー 池田

プロジェクト
リーダー
池田

『FE 85mm F1.4 GM II』はポートレート撮影だけでなく、スポーツの撮影でも使っていただきたいですね。たとえば自転車レースで沿道から時速40kmで迫ってくる選手たちをしっかりピントを合わせながら連写できますし、バスケットボールなど、選手やボールがめまぐるしく動き回る室内競技でも被写体を逃さずフォーカスを合わせることができます。

AFに求められるのは「速さ」「精度」そして「操作感触」

point

すべてのユーザーが
「クリエイター」に

経験豊かなベテランフォトグラファーだけでなく、家族の笑顔や旅行の記録など、日常の大切な一瞬を美しく残しておきたい人たちまで、すべてのユーザーが「クリエイター」になれる。写真を通して感動を生み出すためには、まず、どこにでも軽快に持ち出せる小型・軽量化が大切です。そこで『FE 85mm F1.4 GM II』では、内部機構をゼロから徹底的に見直すなどして、重量約20%減、体積約13%減という劇的なコンパクト化に成功。アイリスリングの位置を見直すなど、使い勝手も大きく高めました。もちろん、強度の面でも妥協しておらず、さまざまなシチュエーションで安心して使っていただける信頼性も実現しています。

開発者からのコメント
商品企画担当 大山

商品企画担当
大山

『FE 85mm F1.4 GM II』の軽さは、特にたくさんのレンズを持ち運ぶプロクリエイターの方々にとって大きなメリットとなると考えています。また、軽量化によってジンバルを使った撮影や、下からのあおり撮影などもしやすくなりますので、クリエイターの撮影スタイルを拡げられるのではないでしょうか。

メカ設計担当 長谷川

メカ設計担当
長谷川

家族の撮影にも使っていただきたいと思っています。動き回る被写体に強い特性はスポーツ撮影だけでなく、子供の撮影にもぴったりですし、先代よりかなり軽く携行性も高くなったので、家族旅行やイベントなどに気軽に持っていって、85mm F1.4ならではの描写力で家族の大切な瞬間をたくさん撮影していただきたいです。

どこにでも軽快に持ち出せる『FE 85mm F1.4 GM II』

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デジタル一眼カメラα[Eマウント]用レンズ
FE 85mm F1.4 GM II

SEL85F14GM2

商品情報

Interview

長らくこだわり続けてきた85mm F1.4をソニー最新の技術とノウハウ、そして開発者たちの情熱によって磨き上げた『FE 85mm F1.4 GM II』。そこに込められた意志を、光学性能、AF性能、軽量化・小型化という観点から担当エンジニアたちが語り尽くします。

お話を聞いた開発者
  • プロジェクトリーダー 池田

    プロジェクト
    リーダー
    池田

  • 商品企画担当 大山

    商品企画担当
    大山

  • 光学設計担当 山岸

    光学設計担当
    山岸

  • アクチュエーター設計担当 宮崎

    アクチュエー
    ター設計担当
    宮崎

  • メカ設計担当 長谷川

    メカ設計担当
    長谷川

85mm G Masterが、8年の時を経て
待望の第2世代モデルに

『FE 85mm F1.4 GM II』の開発秘話をお聞きする前に、まずは「G Master」とは何なのかを簡単に説明していただけますか?

商品企画担当 大山

商品企画担当
大山

「G Master」は、ソニーが投入しうる最高の技術を妥協なく投入したEマウント最高峰レンズです。2016年発売の『FE 85mm F1.4 GM』『FE 24-70mm F2.8 GM』『FE 70-200mm F2.8 GM OSS』を皮切りにこの8年でラインアップを広げ、今回発売される『FE 85mm F1.4 GM II』で20本目となりました。我々はこれまでも、これからも、クリエイターの皆様のクリエイティビティを最大化し続けたいという思いをもとに、ソニーの最高技術をG Masterに対して妥協なく投入し、すべての性能を最高レベルに仕上げることを追求し続けています。特にレンズとして代表的な性能である光学性能についてお話しますと、G Masterでは「解像」と「ぼけ」という相反する2つの要素をより高次元で融合させることで、お客様の撮影体験の質を更に向上させることを目指しています。

「解像」と「ぼけ」の融合について、なぜそれが必要なのかを教えてください。

商品企画担当 大山

商品企画担当
大山

イメージセンサーが高解像度化していく中、これからのレンズにはさらなる「解像」が求められるようになっていきます。それに加え、美しい描写を作り出すもう一つの重要な要素に「ぼけ」があります。高い解像力によって主題が鮮明に表現されるだけなく、そこに美しいぼけが加わることで作品に立体感が生み出されるからです。我々は、最高のレンズをつくりクリエイターの皆様のクリエイティビティの発揮を支えるために、その両者を妥協せず両立させる必要があると考えてきました。

光学設計担当 山岸

光学設計担当
山岸

ただ、この2つは光学設計的には両立が非常に難しい要素です。「ぼけ」を考慮せずにパッと見の「解像」だけを上げるのは実はそこまで難しいことではないのですが、そこだけを追い求めると、「ぼけ」がざわついたような画になってしまう傾向があります。

それらを踏まえた上で、G Masterの名を冠した85mm F1.4レンズの第2世代モデル『FE 85mm F1.4 GM II』が、先代『FE 85mm F1.4 GM』と比べてどのような進化を遂げているのかを聞かせてください。

商品企画担当 大山

商品企画担当
大山

8年前に発売された先代『FE 85mm F1.4 GM』は、ポートレートを撮影するユーザーを中心に、ぼけと解像が高い次元で調和した高い描写力が評価されてきました。『FE 85mm F1.4 GM II』、はここから解像とぼけの融合をより研ぎ澄ませ、一段階上の描写力を実現しています。また、先代は描写性能が高く評価される一方で、AF性能や小型軽量のさらなる進化を求めるお客様の声が多く寄せられていました。このご要望の背景には、ボディのAF性能の進化に伴い、素早く動く被写体の撮影機会が増えたことや、ミラーレスカメラの普及により高い携帯性をもったカメラシステムが主流になったことでより手軽にカメラを持ち出し、撮影を行う機会が増えたことなど、近年の映像撮影を取り巻く環境変化があると考えています。また、小型軽量化に関しては、小型軽量を突き詰め進化させ続けてきた我々にさらなる進化を強く期待いただいているとも考えています。我々はこれらのお客様のご要望や期待に応えるために、AF性能と小型軽量の2つを大きな改善要望点ととらえ、後継となる『FE 85mm F1.4 GM II』では最新技術を活用し徹底的な改善を実現しました。

85mmはポートレートレンズとして人気の焦点距離ですが、85mmのレンズとは、どういったレンズなのでしょうか?

プロジェクトリーダー 池田

プロジェクト
リーダー
池田

「解像」と「ぼけ」の融合はG Masterのコンセプトなので、ミノルタ時代からぼけ描写にはこだわり続けており、特に85mm F1.4レンズはその象徴とも言える存在だと考えています。G Master最初の3本に85mm F1.4が選ばれたのもそうした思いがあったからです。

商品企画担当 大山

商品企画担当
大山

85mm F1.4レンズの魅力は、標準レンズにはない圧縮効果と、ひときわ大きなぼけによって被写体を美しく、くっきりと浮かび上がらせた上で、夢のような世界観を演出できることです。そのためには単に解像力が高いとか、ぼけが美しいだけでなく、そのつながりの部分を柔らかく、美しく描写できる必要があります。

光学設計担当 山岸

光学設計担当
山岸

「解像」と「ぼけ」の融合とは、まさにそのことです。今回、G Masterとして2世代目の85mm F1.4レンズですので、全力でさらなる高次元での融合を目指しています。

ちなみに、人の視野は焦点距離に換算するとおよそ50mm前後と言われておりますが、85mmは何かに注視した時の視野に近いと言われています。言い換えると85mmとは、好きなもの、興味をもったものを見つめた時の見え方をそのまま写真に落とし込める焦点距離ということになります。

85mmは好きなものに目を奪われている時の視野を撮れるレンズということなのですね。

光学設計担当 山岸

光学設計担当
山岸

そうです。私は学生の頃から写真を趣味にしており、特にポートレートを中心に撮影をしてきたのですが、85mmは最も好きな焦点距離。個人的にもとりわけ強い情熱を持って開発に取り組むことができ、満足いくものに仕上げられたという自負があります。

最新技術と長年のノウハウを融合して
「美しいぼけ」表現を実現

では、ここからはそんな『FE 85mm F1.4 GM II』がどのように作られたのかの開発秘話をお話いただければと思います。まずは、今回のレンズ『FE 85mm F1.4 GM II』で特に大切にしているぼけの特徴がどういったものなのかを教えてください

光学設計担当 山岸

光学設計担当
山岸

特に「ピントの合っている部分から背景の大きくぼけている部分まで連続的になだらかにぼけていく」ことを重視して設計をしました。ただし、「解像」と「ぼけ」のバランスを取ることも大事になりますから、設計チームで検討と評価を重ねながら、高画素ボディの解像力を最大限引き出しながらも理想的なぼけになるように高次元の融合を実現しています。

その実現にどんな難しさがあるのかを聞かせてください。

光学設計担当 山岸

光学設計担当
山岸

光学設計においては、実質無限に存在する撮影シチュエーションを想定し、あらゆる場面でフォーカスした部分の「解像」を損なうことなく、美しい「ぼけ」を表現できるよう細かく設計を詰めていく作業が必要になります。その際大きく貢献したのが、ここ数年で飛躍的に進化した画像シミュレーション技術です。これにより設計中のレンズが実際にどういう写りになるのかを設計の段階から確認できるようになりました。

設計の段階で即時に写りを確認できるというのは画質向上のトライ&エラーにものすごく効きそうですね。

光学設計担当 山岸

光学設計担当
山岸

はい。ただ、シミュレーションによって分かった課題をどのように改善していくかには、別の光学技術とノウハウが必要です。その点、我々には過去から現在まで脈々と受け継がれてきた光学設計のノウハウがありますから、これを画像シミュレーションなどの新しい技術と融合させることで光学設計をさらに大きく進化させることができました。なお、画像シミュレーションの登場でノウハウの内実、言い換えるとなぜこういう時にこうすれば良い結果になるのかを定量的に検証・評価できるようになり、受け継いできたものをさらに効果的に活用できるようになってきています。

なるほど。その上で、画質を向上させる具体的な技術要素があれば教えてください

光学設計担当 山岸

光学設計担当
山岸

本レンズでは、画像シミュレーションなどを駆使して追い求めた画質を実現すべく、先代『FE 85mm F1.4 GM』と比べ、ソニー独自の「超高度非球面XA(extreme aspherical)レンズ」を1枚増やす構成にしました。

これによって、「解像」と「ぼけ」を両立するための収差バランスがとりやすい非球面レンズの自由度を引き出しながら、非球面レンズで発生しやすいタマネギの断面のような「輪線ぼけ」を大幅に低減することができ、美しいぼけ味を損なうことなく高い解像感を実現できるようになります。さらに製造工程においても、個体ごとに各エレメントの面間隔の調整を行い収差形状を管理することで、理想的な美しいぼけ描写を実現しています。

光学設計担当 山岸

光学設計担当
山岸

また、ソニーならではの特長としてもう一つ挙げられるのが、重いフォーカス群を正確かつ高速に動かせるアクチュエーター(レンズを動作させる装置)技術が、理想的な「解像」と「ぼけ」の融合に大きく貢献しているということです。ソニーのアクチュエーター技術によって大きく、重いレンズを自在に動かせることで、ぼけに対して理想的な光学設計で収差を抑制しやすいレンズ構成を選択できています。もしこの技術がなければ、収差補正に対して不利なレンズ構成を選ばなければなりません。

『FE 85mm F1.4 GM II』で実現した「解像」と「ぼけ」の融合について、もう少し詳しく教えてください。

光学設計担当 山岸

光学設計担当
山岸

特にポートレートでは複雑な曲面で構成される被写体が多いため、先ほどもお話しした「ピントの合っている部分から背景の大きくぼけている部分まで連続的になだらかにぼけていく」ことは重要なポイントです。

商品企画担当 大山

商品企画担当
大山

この、ピントの合っている部分から大きなぼけへのトランジション(変化)には特に注目してほしいですね。私も山岸と同じく85mmが大好きで、一眼カメラ入門期に愛用した言わば原体験ともいえる画角なんです。ミノルタ時代の85mmも試したことがあるのですが、当然ながら『FE 85mm F1.4 GM II』はその時代のレンズとは解像力が全く違っています。今回の『FE 85mm F1.4 GM II』では圧倒的な「解像」からきれいに「ぼけ」に繋がっていく現代的な描写を目指しました。きっと驚いていただけると思います。

光学設計担当 山岸

光学設計担当
山岸

また、モデルが背後から強い光で照らされている極端な逆光の撮影条件などにおいては、従来『FE 85mm F1.4 GM』では、輝度差の高い境界部分の色付き(フリンジ)が発生することがありました。これは肉眼では起こらない現象のため、写真に違和感を与えてしまうことがあります。今回の『FE 85mm F1.4 GM II』では色収差を従来からさらに抑制することで輝度差の高い被写体を撮影する時にもフリンジが発生しにくいよう気を配って設計をしています。

連続的でなだらかなぼけやフリンジの抑制は「違和感」を取り除いていくことに繋がります。ピント面から背景ぼけまでの自然な描写と、フリンジの抑制は鑑賞者の違和感を取り除き、被写体や写真自体を大きく引き立てる表現が可能になります。

「速さ」「精度」に加えて
オートフォーカスに求められるもの

先ほど、「解像」と「ぼけ」の融合に高性能なアクチュエーターが貢献しているという話がありました。ここでは改めて、『FE 85mm F1.4 GM II』のAF機能について聞かせてください。まずは、この新モデルでどのような体験を実現しようと考えたのかを聞かせてください。

商品企画担当 大山

商品企画担当
大山

目指したのは「クリエイターが意図した表現そのままを撮影できるAF」です。スポーツのような被写体が素早く動き回り、かつ浅い被写界深度であっても高い精度でピントを合わせ追随し続けることで、クリエイターが思い描いた瞬間を撮影できるようにしました。そのため、高速・高精度・高追随なAF動作にこだわっています。また、動画撮影時においても、クリエイターが撮影に集中できるよう、高速・高精度・高追随に加えて低振動かつ高い静粛性も大切にしました。

そうしたこだわりを実現するためにどのような技術を盛り込んだのでしょうか?

アクチュエーター設計担当 宮崎

アクチュエー
ター設計担当
宮崎

先代『FE 85mm F1.4 GM』では、AF時のレンズ駆動に超音波モーターを用いた「リングドライブSSM」という方式を採用していたのですが、『FE 85mm F1.4 GM II』ではより高推力で本レンズに最適化された2基の「XD(extreme dynamic)リニアモーター」を搭載しています。これによって、先代モデルと比べてAF速度は約3倍*、動体追随性能は約7倍*まで向上させることができました。

* ソニー内部測定。FE 85mm F1.4 GM比

すばらしい機能向上ですね。

アクチュエーター設計担当 宮崎

アクチュエー
ター設計担当
宮崎

加えて、近年のαボディは、最高120枚/秒のAF/AE追従連続撮影が可能なため、この駆動への対応は必須でした。AFにはフォーカス群の高速駆動だけでなく、F1.4の浅い被写界深度に対して数ミクロン単位のターゲット位置に停止させる精密な制御も必須になります。この精密な制御の実現により、動くものをより正確にとらえられるようになりました。

プロジェクトリーダー 池田

プロジェクト
リーダー
池田

『FE 85mm F1.4 GM II』はポートレート撮影だけでなく、スポーツの撮影でも使っていただきたいですね。たとえば自転車レースで沿道から時速40kmで迫ってくる選手たちをしっかりピントを合わせながら連写できますし、バスケットボールなど、選手やボールがめまぐるしく動き回る室内競技でも被写体を逃さずフォーカスを合わせることができます。

アクチュエーター設計担当 宮崎

アクチュエー
ター設計担当
宮崎

XDリニアモーターは直進駆動のため、リングドライブSSMのように回転駆動を直進駆動に変えるためのカム環やギアなどのメカ部材を介す必要がなく、AF速度を速くすることができます。またリングドライブSSMは摺動部(部品同士が接触している部分)に摩擦負荷が必要なため、どうしても摺動音が発生します。XDリニアモーターはリングドライブSSMと比べて追随性や静音性についても大きく進化しており、より快適な動画撮影も可能になっています。また、アクチュエーターの制御についてもかなり力を入れており、今回はとりわけ「操作感触」の向上にこだわりました。

「操作感触」ですか?

アクチュエーター設計担当 宮崎

アクチュエー
ター設計担当
宮崎

はい。高速なAFの実現にはとにかくフォーカス群を高速に動かせば良いと思われそうですが、『FE 85mm F1.4 GM II』では、リニアモーターで動かす過去最大重量のフォーカスレンズ群を有しているため、これを高速で動かしながら高精度に止めることと振動やノイズのない快適な操作感を同時に実現することが非常に難しい課題でした。そこで、AF高速化を実現しながら振動やノイズを抑えるために、制御パラメーターを最適化しシミュレーションと実機評価を繰り返し行うことで最適なチューニングを施しました。これにより、高性能と使い心地の良さを両立させています。スペックシートでは伝わりにくい、静かな動き出しや停止、スムーズな動作の速さや、手に感じる振動の少なさなど、細部にわたるこだわりを感じていただくために、ぜひ店頭で実際にこの製品を手に取り、その感触を体験していただきたいですね。

どこにでも持っていきたくなる
軽量スリムボディ

ここまで『FE 85mm F1.4 GM II』の光学設計と駆動系の進化について伺いましたが、このレンズはその上で先代モデルよりも劇的に小型化、軽量化していますね。

メカ設計担当 長谷川

メカ設計担当
長谷川

そうですね。先代『FE 85mm F1.4 GM』は画質面で高い評価を受けていた反面、重さ(約820g)や大きさについては実際に愛用されているユーザーから改善の要望をいただいていました。本機種では小型軽量化に徹底的にこだわり、最終的に約20%の大幅な軽量化となる重量約642g、約13%の体積削減を達成することができました。

レンズ構成を増やすなどしている中、どうやって小型・軽量化を実現したのですか?

メカ設計担当 長谷川

メカ設計担当
長谷川

これにはフォーカス駆動のアクチュエーターをリングドライブSSMからXDリニアモーターに変更したことが貢献しています。XDリニアモーターはリングドライブSSMと比べて内部構造の自由度が高く、構成部品もシンプルなため軽量化しやすい特徴があります。その自由度の高さを生かして、アクチュエーターとその他の内部部品を3次元的に効率的に配置することで後部の体積を削減し、スリムな形状を実現しました。また、XDリニアモーターへの変更が寄与しないレンズ前部についても、外装部品の固定方法を工夫する等、先代よりも少しでも細くする努力をして、今回の小型・軽量化を実現しています。

メカ設計担当 長谷川

メカ設計担当
長谷川

また、操作性に関して、ポートレートメインのレンズとして縦撮影も考慮し、縦位置用のフォーカスホールドボタンを配置しました。絞りリングは不用意操作を避けるため、レンズの前寄りに配置、リング自体の径も小さくしました。この工夫により、ボディグリップとレンズの間の隙間が大きくなり、ボディのグリップ性も向上しています。

プロジェクトリーダー 池田

プロジェクト
リーダー
池田

これはふだん使いはもちろん、冬場の撮影など、グローブをして使う時などに大きな違いを感じていただけるのではないでしょうか。

指がグリップの奥まで入れやすくなったことでホールド感が大きく高まっていることを感じますね。

メカ設計担当 長谷川

メカ設計担当
長谷川

はい。また、小型・軽量化しても信頼性を損なわないような工夫もしています。設計段階から落下・強度シミュレーションを行い、その結果を何度も設計にフィードバックし最適な形状を追求しています。併せて試作の段階ではユーザーの使用条件を想定したさまざまな実機評価を実施し、それらの結果に応じた工夫を設計の各段階で盛り込んでいくことで多様な撮影環境にも耐えられる信頼性を実現することができました。

劇的な軽量化・小型化を実現しつつ、操作性や強度にも妥協していないのですね。

商品企画担当 大山

商品企画担当
大山

はい。ここまで軽く、小さくなったことで持ち歩きに対する心理的ハードルがかなり低くなったのではないかと思っています。特にたくさんのレンズを持ち運ぶプロクリエイターの方々にとっても軽量化は大きなメリットになると考えています。また、軽量化によってジンバルを使った撮影や、下からのあおり撮影などもしやすくなりますので、クリエイターの撮影スタイルを拡げられるのではないでしょうか。

メカ設計担当 長谷川

メカ設計担当
長谷川

家族の撮影にも使っていただきたいと思っています。動き回る被写体に強い特性はスポーツ撮影だけでなく、子供の撮影にもぴったりですし、先代よりかなり軽く携行性も高くなったので、家族旅行やイベントなどに気軽に持っていって、85mm F1.4ならではの描写力で家族の大切な瞬間をたくさん撮影していただきたいです。

Message

「解像」と「ぼけ」の融合を体現した
『FE 85mm F1.4 GM II』は、G Masterを象徴するレンズ

  • ここまでたくさんの言葉を尽くして『FE 85mm F1.4 GM II』の魅力を説明してきましたが、このレンズの最も大きな特長は新時代のG Masterとしての描写力、その象徴となる光学性能を備えているということです。このレンズを使って、見る人を感動させる、息を呑むような美しい写真や動画を撮影していただきたいですね。それだけのポテンシャルを備えた1本だと考えています。もちろん光学性能以外についても大きく進化しており、特に気軽に持ち歩ける軽量化や、AF性能の向上によって活用の幅が大きく広がったと感じています。ぜひ、その圧倒的進化を手に取って実感していただければと思います。

    商品企画担当大山
  • G Masterのコンセプトである「解像」と「ぼけ」の高い次元での融合は、そのまま85mm F1.4のコンセプトであり、それゆえに『FE 85mm F1.4 GM II』はG Masterを象徴するレンズと言えます。今回、8年ぶりの第2世代モデルということで、ソニーの持つ最高の技術をつぎ込んで開発を進めてきました。ぜひ最新のαボディと組み合わせて、ポートレートはもちろんスポーツシーンや動画などにもこのレンズをお使いいただきたいと考えています。

    また、解像とぼけの高次元での融合や高性能フォーカスに加え、フォーカスブリージングも抑制しておりCineAltaカメラ「VENICE」シリーズや「BURANO」、「FX」シリーズなどと組み合わせてシネマのような映像撮影にも最適なレンズにすることができたと自負しておりますので、是非映像クリエイターの方にもお使い頂きたいと思います。

    新しい時代の85mm F1.4をぜひ、お楽しみください!

    プロジェクトリーダー池田

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FE 85mm F1.4 GM II

SEL85F14GM2

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