商品情報・ストア Feature 伝説のゲーマーYamatoNが新ゲーミングモニターを狙い撃ち

伝説のゲーマーYamatoNが新ゲーミングモニターを狙い撃ち 伝説のゲーマーYamatoNが新ゲーミングモニターを狙い撃ち 伝説のゲーマーYamatoNが新ゲーミングモニターを狙い撃ち

ソニーのゲーミングギアブランド「INZONE(インゾーン)」から2つのゲーミングモニターが登場します。有機ELパネル搭載で業界トップクラスのスペックを実現する『INZONE M10S』と、感動の映像体験を磨き上げ、より多くのジャンルのゲームに対応した『INZONE M9 II』です。ここでは、eスポーツシーン黎明期を牽引した伝説のプロゲーマー、YamatoN氏がそのポテンシャルをレビュー。製品開発者とのクロストークで、その性能がプレイヤーにどのような価値を与えてくれるのかを浮き彫りにします。

対象商品

ゲーミングモニター INZONE M10S、INZONE M9 II

インタビュアー

YamatoN(やまとん)

ストリーマー・解説者(元プロゲーマー)

『INZONE M10S』は、競技シーンで活用していただくために開発した特別なゲーミングモニターです。競技用モニターを目指す上では、スペックは高ければ高いほうがいい。しかし、それだけでプレイヤーに本当に愛される道具になるとは思えません。そこでソニーが挑んだのは、動画の滑らかさと入力遅延(操作応答性)を左右する「リフレッシュレート」と、動きの速い動画の残像感(明瞭さ)を決定づける「応答速度」を高い次元で両立させること。その答えが、0.03msかつ480Hz駆動の有機ELパネル採用でした。さらに長年に渡るディスプレイ開発のノウハウを生かし、ファンレス冷却での安定した駆動や高画質も実現。これが、ソニーが考えるゲーミングギアの品質です。

真似のできないゲーミングギアを作りたい

YamatoN: 私は現在、ゲーミングモニター『INZONE M3』をメインで利用しているんですが、IPSパネルならではの表示は見やすく、美しく、ブラックイコライザーなどゲームのための機能も充実しており満足しています。

竹田: YamatoNさんに評価をいただけて大変光栄です。

YamatoN: ただ、IPSパネルには残像に弱い弱点があり、最新のアップテンポなシューターをプレイする際に、物足りなさを感じることが増えてきたというのも事実です。なので、新しいINZONEがどのような進化を遂げたのかとても楽しみにしているんですよ。

竹田: YamatoNさんは、ゲーミングギアブランド「INZONE」に対してどのようなイメージをお持ちですか?

YamatoN: ソニーの確かな技術力を感じさせるブランドですね。ゲーム競技シーンへの理解も年々高まっており、2023年10月に発売された完全ワイヤレスヘッドホン『INZONE Buds』などは、コミュニティが真に必要としているものを、他社に真似できない技術力で実現した製品として評価しています。数あるゲーミングデバイスメーカーの中で今、最も成長しているブランドじゃないでしょうか?

祐本: そう言っていただけるととてもうれしいです。私たちもINZONEに込めた技術には自信を持っております。特に今回の新モデル『INZONE M10S』では、トップクラスのeスポーツ選手と協業し、彼らから引き出したニーズを丁寧に製品に落とし込んでいきました。

YamatoN: そのあたり、もう少し具体的に教えていただけますか?

祐本: 2023年6月、ソニーはイギリス・ロンドンに本拠地を置く世界トップクラスのeスポーツ組織、Fnatic(フナティック)と複数年に渡る商品共創を含む協業の契約を締結しました。新モデル『INZONE M10S』はFnaticとの密接なパートナーシップによって生み出されたゲーミングモニターです。

YamatoN: Fnaticとは具体的にどのような取り組みをされたんですか?

祐本: 『INZONE M10S』ではまだ商品企画が定まる前からFnaticの皆さんがゲーミングモニターに何を求めているのかを聞いて回り、予断なく仕様作りに取り入れました。もちろんその後も密接にやり取りし続け、試作段階でもフィードバックを積極的に取り入れ、より魅力的な製品へとブラッシュアップしています。最初から最後までFnaticの皆さんと共同開発したからこそ作り出せたゲーミングモニターと言えるでしょう。

次なる進化に有機ELパネル搭載は必然でした

YamatoN: Fnaticとの密接なコラボレーションによって生まれた『INZONE M10S』には、ゲーマーとして気になるところがたくさんあるのですが、なんといってもINZONE初となる有機ELパネルを採用したことがポイントですよね。

祐本: はい。Fnaticの選手たちからも映像の滑らかさや残像感を左右する「リフレッシュレート」と、プレイヤーの操作が画面に反映されるまでの「応答速度」のさらなる改善を求める声をいただいていたので、有機ELパネルの採用は必然でした。特に応答速度に関してはハイスペックの液晶パネルであっても1msや0.5msが上限となる中、0.03msという次元の異なるスペックを実現できることが決定打になりました。

YamatoN: ただ、すでにもう他社から有機ELパネル搭載ゲーミングモニターがいくつも登場していますよね。表示性能において、それらと比べた優位性はあるのですか?

祐本: もちろんです。開発当時、市場に存在する有機ELパネル搭載ゲーミングモニターはリフレッシュレートが最大240Hzのモニターが出始めたばかりでしたが、『INZONE M10S』ではそれを大きく上回る480Hzという圧倒的な速度にこだわりました。このことは本製品の大きなアドバンテージになると思っています。

YamatoN: なるほど。ただ、リフレッシュレートに優れ、FPS(First-person shooter:一人称視点のシューティングゲーム)プレイヤーの間で定番となっているTN液晶搭載モニターでは540Hz駆動を実現しているものが存在します。INZONEがリフレッシュレートを追求するのであれば、こちらの方向性もあったのではありませんか?

祐本: おっしゃることはよくわかります。ただ、ゲームに勝つという観点では、映像の滑らかさと低遅延に貢献する高リフレッシュレートだけでなく、高速応答での明瞭化によるエイム精度の向上も重要と考え、今回は有機ELパネルを選択しました。

竹田: 私たちとしてはどんなにリフレッシュレートを高めても、応答速度がそれに追いついていなければ意味がないと考えています。その点、有機ELは操作後、わずか0.03msで画面が切替わりますから480Hzの恩恵を十全に受けられます。残像感の比較では、480Hzの有機ELパネルは960Hzの液晶パネルに相当するとも言われているんですよ。

YamatoN: そういった理由があった上で、有機ELパネルを選択しているのですね。

竹田: では、論より証拠、実際にYamatoNさんに『INZONE M10S』を体験していただきましょう。

YamatoN: ……なるほど! これは素晴らしいですね。おっしゃっていたことがよく分かりました。実はこれまで使っていた応答速度1msで240Hz駆動の『INZONE M3』では判断が遅れ、撃ち負けることがあったのですが、応答速度0.03ms&480Hz駆動の『INZONE M10S』では、遅延も残像感も全く感じることなく俊敏に操作することができます。動きも極めて滑らかで、長時間プレイしても疲れにくそうなところも気に入りました。

祐本: Fnaticの皆さんからも好評で、VALORANTチームのChronicle選手からは「液晶モニターで必須の残像感低減機能を使わずとも快適にプレイできる」と、Boaster選手からは「極めて“クリスピー”な(コントラスト感の高いシャッキリとした)映像ですごく見やすい」と喜んでいただきました。特にChronicle選手はかなり早い時期から有機ELパネルにこだわっていた一人だったので、彼に「これはゲーミングモニターの理想形だ」と言ってもらえたことをとても誇らしく思っています。

一歩先行く使いやすさのために、技術とひと手間を惜しまない

YamatoN: ここまでの体験ですでに十分素晴らしいゲーミングモニターだということが理解できたのですが、有機ELパネル採用に際して、ソニーらしい、他に真似のできない技術やこだわりがありましたら教えてください。

竹田: 有機ELパネルには超高速リフレッシュレートや優れた応答速度性能だけでなく、本体を極めてスリムにできるという特長があります。『INZONE M10S』では、基板部分を背面中央にコンパクトに収めたバックパック形状を採用することで、側面や背面から見たときの有機ELパネルならではのスリムでフラットな部分の露出を増やしました。なお、一般的な有機ELモニターは背面の基板部分の面積が大きく、背面カバーに凹凸があってケーブルの抜き差しがしにくいものが多いのですが、背面バックパックの下がフラットな『INZONE M10S』には、見た目にもシンプルでケーブルの抜き差しもしやすいというメリットがあります。

YamatoN: これは使いやすそうです。ただ、であればどうして他社製品がそうしないのかが気になります。基板部分を中央に寄せるのってそんなに難しいのですか?

竹田: 基板部分を中央に寄せるには基板の面積を小さくしなければならず、そこに高いハードルがあります。『INZONE M10S』では基板を2つに分け、サンドイッチのように重ねることで省スペース化を実現しているのですが、これをやると基板から発生する熱がより狭い範囲に集中し、内部温度が大きく上昇してしまうのです。しかも『INZONE M10S』ではファンレス冷却にもこだわりましたので、どのように排熱するかを考える必要がありました。

YamatoN: そこにソニーの技術力が生かされている、と。

竹田: 力技ではあるのですが、基板の裏に大きなヒートシンクを配置し、そこに集めた熱をさらにサーマルパッドでどんどん外に拡散させて、冷却ファンがなくても内部に熱がこもらず、安定して動作するようにしました……と言うと、簡単なように聞こえてしまいそうですが、実際にはかなり緻密な計算が必要で、テレビの分野で長年に渡って有機ELを扱ってきたソニーの技術とノウハウがつぎ込まれています。

YamatoN: どうして、そこまでして冷却ファンを搭載したくなかったんですか?

竹田: ファンノイズって意外にうるさいですよね。プレイに集中できるようにできるだけ静かにしたかったというのが第一の理由ですが、それだけでなく、冷却ファンには内部にほこりが溜まりやすくなるという弱点もあります。そのため、お買い上げいただいたユーザーが長く安心して使えるようにする観点からもファンレス冷却にしたいという思いがありました。

YamatoN: なるほど。メンテナンス性のことまで考えてのファンレス冷却なんですね。

祐本: なお、基板回りの工夫ではもう一つ、設定変更のためのジョイスティックと電源ボタンの位置を一般的なゲーミングモニターと同様に本体右側背面に揃えています。基板配置の関係上、一般的な有機ELモニターではこれらを画面の下辺に配置することが多いのですが、それだと慣れ親しんだ操作感と変わってしまい、クイックな操作ができなくなります。それはゲーム体験の低下ですから、本体右側の位置までケーブルを延長してボタンをレイアウトしています。

YamatoN: ああ、それはうれしいですね! このことからも『INZONE M10S』は、ゲーマーがどのようにプレイするかをよく見て作られていることが伝わってきます。言うまでもなくスペック面も圧倒的で、最新ゲーミングモニター群の中でも、間違いなくTier 1に位置する傑作モデルだと感じました。

プロゲーマーが求める最高スペックのゲーミングモニターとは?

インタビューのつづき

エンジニアだけでは知り得ない、プレイヤーだけでは作れない、最初の一歩から作り手と使い手が手を取り合って共同開発したからこそ生み出せるものがあります。プレイヤーが求めているものは何なのか? どんな機能を実現すれば勝利に導けるのか? ソニーは、それを知るためにトッププレイヤーたちに直接聞くことを選択しました。そして誕生した『INZONE M10S』には、プレイヤーならではの発想に基づくさまざまなアイデアを詰めこんでいます。とても小さな違いに感じられるかもしれませんが、その差が勝敗を決定づけ、命運を分けるのです。

「24.5」という数字に込めたリスペクト

YamatoN: 『INZONE M10S』は、Fnaticの現役選手らプロゲーマーたちがゲーミングモニターに求めるものを聞き出して仕様や機能を作り込んでいったということですが、具体的にはどんな成果がありましたか?

祐本: 今回からの新機能「24.5インチモード」はFnaticと共に作り込んでいった機能です。現在の競技シーンでは24.5型が主流となっており、プロゲーマーへのヒアリングや市場調査でもこのサイズにこだわっているプレイヤーが多くいることを把握しています。

YamatoN: その通りです。FPSでは画面全体が視野に収まりやすく、常に周囲の状況を把握しやすいという理由から24.5型が定番ですね。

祐本: そこで『INZONE M10S』はさまざまなジャンルの競技に対応するために高精細26.5型パネルを採用しつつ、FPSプレイヤーのために「24.5インチモード」の機能を持たせました。切りよく24型にしなかったのは、今、競技シーンで最も影響力のあるブランドの24.5型モニターがスタンダードであり、多くのプレイヤーから支持を集めているから。そこにリスペクトを込めて「24.5インチモード」としています。

この際、こだわったのが映像を24.5型サイズに縮小した際でも表示がぼけないこと。単に映像を縮小して中央に表示する仕組みにすると映像の精細さが損なわれてしまうのですが、『INZONE M10S』の「24.5インチモード」では24.5型相当に表示領域を縮小した上で、マップや敵をはじめとした画面全体がよりクリアに見えるピクセルバイピクセル表示になるよう解像度を調整(2368×1332ドット)するようにしています。

YamatoN: それでここまでクリアな表示になるのですね。「24.5インチモード」の映りにあまりに違和感がなさ過ぎて、画面の中に24.5型のモニターがもう1枚、仕込まれているのではと感じるほどでした。Fnaticの皆さんの感想はいかがでしたか?

祐本: 試作段階においても画質については好評だったのですが、周囲に黒い枠ができてしまうことについて、APEX LEGENDSチームのYukaF選手ら、何人かのメンバーから違和感を伝えられました。

YamatoN: モニターの使い方にもよると思うのですが、少し引いてプレイする人には画面周囲の違和感が集中を阻害するように感じられるかもしれませんね。

祐本: そうした声を受けて新開発したのが表示領域を下部に寄せる「ボトムモード」です。これによって従来の「センターモード」で周囲が気になるという人でも、本当に24.5型のモニターを使っているかのような感覚でプレイしていただけます。YukaF選手にも喜んでいただけました。

YamatoN: 「ボトムモード」と「センターモード」、どっちが良いかは人によりますし、なんならタイトルでも変わってくると思うので、選べるようになっているのがいいですね。

竹田: そうなんです。ボトム表示とセンター表示を切り替えられることも『INZONE M10S』の価値のひとつだと考えています。

「ソニーらしさ」にこだわらないことにこだわる

YamatoN: 先ほど『INZONE M10S』の実機をプレイさせていただいて思ったのですが、FPSプレイ時に役立つ画質モードについても相当なこだわりがありそうですね。こちらもやはりプロゲーマーたちと話し合って作り込んだのですか?

祐本: はい。『INZONE M10S』ではFPS特化の画質モード「FPS Pro」と「FPS Pro+」を用意しました。「FPS Pro」はゲームの世界大会などで多く使われているTNパネル搭載モニターの映りに近づけたモードとなります。

YamatoN: それはちょっと聞いたことのないアプローチです。せっかく美しい有機ELパネルを搭載したのに、わざわざTNパネルのお世辞にも美しいとは言えない表示に合わせるなんて思い切りましたね(笑)。

祐本: これはYamatoNさんには釈迦に説法なのですが、FPSプレイヤーにとって画面表示が美しいことって最重要項目ではないんですよね。求められているのは勝つための画質、そのためのギアなわけですから。

YamatoN: しかし、それにしても、わざわざ画質を落とす判断をするとは思いませんでした。社内で反対意見は出なかったんですか?

祐本: 実はありました(笑)。ただ、そこはゲーミングモニターという製品の特性を伝え、情熱をもって説得しています。もちろん、それ以外のモードでは有機ELらしいクリアな美しい画質でゲームをプレイしていただけますのでご安心ください。

YamatoN: すばらしい(笑)。そしてもう一つの「FPS Pro+」についても教えていただけますか?

祐本: こちらは「FPS Pro」とは逆に、有機ELの特性を引き出してゲームプレイを快適にするモードです。マップ全体の色味を落とすことで敵の輪郭色を強調し、狙いやすく、見つけやすくする効果を生み出します。実際、これをFnaticのChronicle選手やBoaster選手に試していただいたのですが、「このモニターでプレイして負けたら、それは完全に自分のミスだ(Chronicle選手)」「ヘッドショットが簡単に決まる(Boaster選手)」など、とても喜んでくださいました。「これはチートだ!」なんておっしゃる選手もいたほどです(笑)。

YamatoN: 私も使ってみましたが、必要のない部分の情報量を抑えてくれるので、注目すべき部分に意識を集中しやすくなるのがいいですね。

竹田: その上で、これらプリセットの画質モードをさらに自分好みにカスタマイズできるようにしたのも『INZONE M10S』のこだわりです。

YamatoN: それはありがたいですね。プリセットのモードをもう少しいじりたいと思うことはものすごく多いので。ちなみに私個人としては「FPS Pro」のコントラストを限界まで上げたセッティングが気に入っています。

竹田: そうしてカスタマイズした設定は専用の設定ソフトウェア「INZONE Hub」を使ってファイルに書き出すことが可能です。たとえばYamatoNさんのオリジナル設定をネットで共有すれば、誰でもその環境を自宅で再現できるんですよ。

YamatoN: 初心者は高性能のモニターを買っても、設定のいじり方がわからないなんてことになりがちですが、この機能を使ってプロゲーマーの設定をいくつか試してみれば、自分好みの環境がどういうものか分かるのではないでしょうか。

もちろん自分用に使っても便利ですよね。大会では自宅の設定をスマホのカメラで撮影し、それを元に会場のモニターを調整する風景をよく見かけるのですが、『INZONE M10S』ならファイルを取り込むだけで即座に自宅と同じ設定にできるのでプロゲーマーにも喜ばれそうです。

ゼロからやり直したスタンドに込めた思いとアイデア

YamatoN: 『INZONE M10S』のスタンドはすごく気に入りました。これだけ設置面が小さいとマウスやキーボードを振り回してもぶつかることはなさそうです。

祐本: Fnaticのメンバーからも同様の声が多かったため、今回、スタンド形状をゼロからやり直しました。

YamatoN: 個性的なスタンド形状だった従来モデルとはだいぶ印象が変わりましたね。

祐本: はい。スタンドに関してはV字型やハの字型が一般的だと思うのですが、こうした形状ですとどうしても課題をクリアするのが難しくなってしまうため、重心位置なども緻密に計算し、安定性を従来モデルから向上させつつも可能な限り小さな円形としています。

祐本: その上で、もうひとつこだわったのがスタンド底部の厚みです。ちょうど4mmなのですが、これは一般的なゲーミングマウスパッドと同じ厚さなんです。こうすることで、仮にスタンドの部分までマウスを走らせてしまっても、段差にひっかかることがないようにしています。

YamatoN: 面白いアイデアだと思います。マウスパッドの厚みまで考えてスタンドをデザインしているメーカーなんて他にないんじゃないかな。

祐本: そのほか、スタンド周りでは、可動域も従来モデルから大きく拡張しています。『INZONE M9』や『INZONE M3』では左右に振るスイベル機能が付いていなかったのですが、これが必要だという声を多くいただきまして、ぐるりと360度回転できるようにしています。また、高さ調整についても従来モデルのように前後の動きと連動することなく、高さだけをより広い範囲で設定できるようにしました。

YamatoN: デザインがモニターアームのようにすっきりしていてスタイリッシュなのも好印象です。

祐本: eスポーツシーンにはストイックなイメージがあるので、できるだけ装飾を省き、プレイヤーの集中の邪魔にならないシンプルなデザインを追求しています。

勝利をたぐり寄せるINZONEだけの機能とは?

インタビューのつづき

ユーザーの声を聞き、改善する。それは製品開発の基本です。ゲーミングモニター『INZONE M9』の後を引き継ぐ『INZONE M9 II』の開発も、まずは耳を傾けることから始まっています。苦心の末、画質、応答性能、スタンド、全てにおいて完成度の高い製品に仕上がりました。でも、ここからがスタートです。目指したのは、たくさんのゲームファンにスペック以上のパフォーマンスを実感していただけること。ジャンルの垣根を越えて、ゲームライフをもっともっと充実していただくこと。INZONEのゴールはそこにあります。

期待を上回る感動画質を目指して

YamatoN: 『INZONE M9』の後継モデルとなる『INZONE M9 II』も登場しましたね。現在INZONE M9を愛用するユーザー代表として、どのように開発されたのかも気になります。

青島: 『INZONE M9』はRPGやアドベンチャーゲームを中心とするシングルプレイゲームの没入体験を重視した製品でしたが、『INZONE M9 II』は、アクションゲームを中心にFPSなどマルチプレイゲームも含めた、幅広いジャンルへの対応を目指しました。その開発に際しては従来モデルでいただいたさまざまなご意見や、コミュニティの声を改めて精査し、各ゲームジャンルに適した機能・スペックを作り込んでいます。中には厳しいご意見もあったのですが、そうした声にも真摯に耳を傾け改善させていただきました。

YamatoN: その中で最も力を入れたのはやはり画質なんですか?

青島: そうですね。近年、光を追跡表現するレイトレーシング技術や、超解像アップスケール技術など、PCゲームの表現力は加速度的に向上しており、ゲーム開発者向けのゲームエンジンもますます高性能化しています。こうした進化にモニター側でも対応すべく、今回、直下型LEDバックライトの部分駆動をよりダイナミックな制御に変更することでより引き締まった暗部表現と、より高コントラストで奥行き感のある映像表現を実現しました。

YamatoN: 『INZONE M9』の画質は何度も見ていて、改善するところなんてないだろうと思っていたのですが、比べてみると全然違っていてびっくりしますね。

青島: こうした部分駆動のコントロールは簡単ではなく、今回のようによりダイナミックにするにしても、やり方を間違えると暗所が潰れて見えなくなってしまいます。ゲームクリエイターが精魂込めて作り込んだディテールをギリギリ見えるか見えないかという明るさで表現するところなどに長年高画質にこだわってきたソニーのノウハウを生かしています。

YamatoN: 画質についてユーザーの声を反映した部分はあるんですか?

青島: 幅広いジャンルへの対応を決めたことにも関連するのですが、ユーザー調査の結果、『INZONE M9』でターゲットにしていた主にRPGをプレイする層でも、FPSやRTS(Real-time Strategy)など幅広いタイトルをプレイしていることがわかりました。そこで『INZONE M9 II』ではさまざまなタイトルに対応できるよう、従来は5モードだった画質モードに6モードを追加しています。

YamatoN: いきなり倍増以上はすごいですね。画質モードを切り換えることでどのように体験が変わるのか教えてください。

青島: 『INZONE M9』ではHDR出力時には画質が固定でしたが、『INZONE M9 II』ではHDR時にも画質モード変更や細かい画質調整が可能になっています。たとえば「RPG」モードでは低階調部のコントラスト感や自然な色彩の強調などで、より臨場感あふれる、その世界観に没入できるような画作りを心がけました。その上で、キャラクターの見やすさや字幕の読みやすさなどもスッキリ見えるよう調整しています。

YamatoN: これはけっこう変わりますね。私はFPS以外だとシミュレーションゲームが好きなんですけど、FPSに特化したモニターだとせっかくの美しいグラフィックを再現できずに雰囲気を損ねてしまうことが多いんです。一方、『INZONE M9 II』の映像美は素晴らしいと思っていた先代モデルを大きく越えていて、なんだろう、まるで世界がそこにあるような臨場感、キャラクターが生きているような生々しさ……「命」みたいなものを感じます。これは相当に没入感が高そうです。

青島: さらに、FPSやアクション性の高いRPGなど、フレームレートがプレイ感を大きく左右するタイトルに向け、160Hz駆動にパネルスペックを向上させた上で、4K IPSパネルでも残像感の少ないゲーム体験を提供すべく新たに「バックライトスキャニング技術」を導入しました。

YamatoN: IPSパネルの残像感低減技術と言えば「黒挿入」が一般的ですが、それとは異なる技術なんですか?

青島: 黒挿入はフレームとフレームの間に黒い画面を挿入することでブレや残像感を低減する技術なのですが、その仕組み上、画面の明るさが半減し、効果も画面中央部に限定される弱点があります。これに対し「バックライトスキャニング技術」では、液晶モニターの映像が上から下に向かって描写される特性に合わせ、その描写部分だけのバックライトを点灯させることで、書き換え時に発生するブレや残像を全画面に渡って効果的に低減することができます。暗くなってしまう副作用も大きく低減されており、色味の再現性などでも有利な技術となっています。

YamatoN: これまでに聞いたことのない技術ですが、これは『INZONE M9 II』のために新開発されたものなのでしょうか?

青島: 実はこちらはテレビで培った技術を取り入れたものになります。おっしゃる通り、ゲーミングモニターでは初の取り組みになるはずです。

YamatoN: ここにもソニーならではの技術が込められているのですね。そして、実際、期待した以上に残像感が低減されていて感動しました。従来モデルと比べて、スペックアップ以上の残像感低減効果がありますね。先ほど画質の話をしたときも言いましたが、私は『INZONE M9』はこれで十分良い製品だろうって思っていたんです。ただ、『INZONE M9 II』と見比べると、まだ進化の余地があったんだな、と。

青島: ありがとうございます。他にも『INZONE M9 II』ではユーザーのさまざまな声を踏まえて、よりコンパクトになったスタンド形状や、ブラックカラーリングなど、全ての点を改善しています。『INZONE M10S』の新機能「24.5インチモード」も搭載しておりますので、アクションだけでなく、RPG、アドベンチャーゲームなどグラフィック重視のタイトルをプレイされる方はもちろん、FPSなどスピード重視のタイトルを愛好される方、幅広くさまざまなジャンルをプレイする方にお試しいただきたいと考えています。

『INZONE M9 II』が実現した期待以上のパフォーマンスとは?

インタビューのつづき

新しいINZONEの体験に度肝を抜かれてほしい

『INZONE M10S』開発チームより: 『INZONE M10S』は、世界最強クラスのプロゲーマーたちとの共創によって、FPSで勝つために必要な要素をしっかりと詰め込んだモニターです。今、精力的にeスポーツに取り組んでいる皆さんに勝利をもたらすギアに仕上がっていますので、ぜひお手に取っていただければと思います。

『INZONE M9 II』開発チームより: 『INZONE M9 II』は、先代モデルにいただいた多くのフィードバックを真摯に受け止め、ほとんどの点を見直した製品です。名称は「II」ですが、その枠に収まらない全方位的な進化を遂げていますので、先代モデルを使ったことがある人はもちろん、そうでない人にも体験してみていただきたいですね。

YamatoN: ゲーマーにとってモニターは最も大切と言っても過言ではないデバイスです。先ほど『INZONE M10S』をTier 1のゲーミングモニターと評しましたが、実のところお世辞抜きに今、最も優れたナンバーワンの選択肢だと感じました。もちろん『INZONE M9 II』も従来モデルを大きく上回る魅力的な製品に仕上がっています。私が度肝を抜かれた、これまでのゲーミングデバイスではありえなかった、ソニーの技術力があればこそ到達できた境地を皆さんもその目で確認してみてください。

インタビュアー

YamatoN(やまとん)

ストリーマー・解説者(元プロゲーマー)

2007年ごろ、オンラインFPSプレイヤーとして頭角を現し、5つのタイトルで国内大会優勝を経験。2011年から本格的にプロゲーマーとしての活動を開始し、国際大会など数々のステージで優れた実績を残す。2016年の引退後は、活動の主軸をストリーマー・解説者に移し、Twitchを中心にゲーム文化の拡大に力を注いでいる。2022年にはプロeスポーツチーム「REJECT」を運営する株式会社REJECTの執行役員・CEO(Chief Entertainment Officer)に就任。


お話を聞いた開発者

『INZONE M10S』開発チーム

商品企画担当

祐本

画質設計担当

竹田

『INZONE M9 II』開発チーム

画質設計担当

青島

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