完全ワイヤレス型ヘッドホン
新フラッグシップモデル
『WF-1000XM5』の生み出す
究極の静寂と音
ノイズキャンセリング性能と高音質にこだわった「1000X」シリーズの完全ワイヤレス型ヘッドホン新モデルがいよいよ登場。音質から形状、操作性など全ての点が大幅にアップデートされたという『WF-1000XM5』の魅力について、開発に携わった7名のメンバーが前編・後編の2回に分けて、お話しします。
前編は「世界最高クラス*1」を謳うノイズキャンセリング性能と、ブラッシュアップされた高音質について解説します。
*1 左右独立型ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン市場において。2023年11月1日時点、ソニー調べ、電子情報技術産業協会(JEITA)基準に則る※2024年7月9日に変更
本坊:現在の完全ワイヤレス型ヘッドホンは、さまざまなメーカーが低価格なものから高性能なものまで、多彩なラインアップを提供するようになっています。そうした中でソニーは、高音質とノイズキャンセリング性能を追求した「1000X」シリーズや、常時装着による新たなライフスタイルを提供する「LinkBuds(リンクバッズ)」シリーズなど、個性的な選択肢を提案してきました。特に2021年に発売した『WF-1000XM4』は、シリーズならではの優れた音質とノイズキャンセリング性能により国内外で高い評価を得ています。
本坊:2017年に発売された初代『WF-1000X』以降、「1000X」シリーズは音質とノイズキャンセリング性能を極めるフラッグシップモデルとして進化を重ねてきました。シリーズとして大切にしてきたのは「誰も体感したことのない静寂で楽しむ未来の音楽体験」を提供すること。つまりこれまでにないノイズキャンセリング性能を実現するということです。その最新モデルとなる『WF-1000XM5』では、これまで以上に「究極の静寂」を目指しました。
本坊:『WF-1000XM5』では、低域から高域まで、幅広い帯域でノイズキャンセリング性能を向上させています。そのため、全ての場面で進化を感じていただけると思うのですが、とりわけ電車やバス、飛行機といった乗り物の利用時に大きな違いを感じていただけるはずです。特に身に着けた瞬間に感じられる静寂感と音への没入体験を味わっていただきたいですね。
本坊:国内業界団体であるJEITA(電子情報技術産業協会)の策定した測定基準を用い、国内外あらゆるメーカーの製品を比較しました。これによって『WF-1000XM5』が世界最高クラス*1のノイズキャンセリング性能を備えていることを確認しています。
*1 左右独立型ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン市場において。2023年11月1日時点、ソニー調べ、電子情報技術産業協会(JEITA)基準に則る※2024年7月9日に変更
本坊:もちろん、それ以外の音質や使い勝手なども全方位に進化。ソニーの完全ワイヤレス型ヘッドホンのフラッグシップモデルにふさわしい製品に仕上がっています。
長谷川:「マルチノイズセンサーテクノロジー」「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN2e」「専用設計8.4mmドライバーユニット」、大きく3つの技術がノイズキャンセリング性能の向上に寄与しています。1つ目の「マルチノイズセンサーテクノロジー」は、複数マイクでより高精度にノイズを収音する技術で、ヘッドバンド型ヘッドホン『WH-1000XM5』ですでに搭載している技術です。今回、これを完全ワイヤレス型ヘッドホンに初めて実装しました。先代モデル『WF-1000XM4』でもヘッドホンの内側と外側に1つずつマイクを搭載していたのですが、『WF-1000XM5』では内側に2つのフィードバックマイクと、外側に1つのフィードフォワードマイクを搭載しています。
長谷川:ノイズキャンセリングに必要な、鼓膜位置での騒音の同振幅、逆位相のキャンセル信号を生み出すためには、ドライバーユニットから鼓膜までの音圧分布を正確に取得する必要があります。ドライバーユニット付近の音圧と鼓膜付近の音圧をリアルタイムかつ正確に取得する手法を模索した結果、それぞれの場所にフィードバックマイクを置く構造に至りました。2つのフィードバックマイクが別々の位置でノイズを収音し、効果的にキャンセル波を生成することで、低い周波数帯域のノイズキャンセリング効果をさらに高めることができました。また、これに合わせてマイク自体も新たに開発しており、小型かつ低ノイズを実現しました。
長谷川:その通りです。「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN2e」は、収音した音声(ノイズ)をリアルタイムに処理し、より高精度なキャンセル信号を生み出す役割を担っています。先代モデル『WF-1000XM4』ではこうした処理をワイヤレス通信なども担う「統合プロセッサーV1」だけで行っていたのですが、今回、取り扱う情報が大幅に増えたことを受けて、専用のプロセッサーに任せるかたちに改めました。
さらに『WF-1000XM5』ではその統合プロセッサーも刷新。「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN2e」と連携し、リアルタイムに音響特性をセンシング。 ユーザの使用状況や周囲の環境に合わせてノイズキャンセリングの効果を最適化する機能を搭載しました。電車やバス等様々な騒音環境で、より広い周波数帯域で高い性能を発揮できるようになりました。
長谷川:もちろんです。ノイズキャンセリング機能が求められるバスや電車の中では、高い音圧のノイズにさらされるため、それを打ち消すには同様に高い出力が求められます。新しいドライバーユニットと構造は、先代モデルよりも高い音圧を再生できるようになっており、これまで以上に低域のノイズも妥協することなく打ち消せるようになっています。
長谷川:はい。ノイズキャンセリング処理にまつわる全ての部分を見直すことで目標とした「究極の静寂」を実現することができました。
菊地:まず「1000X」シリーズのテーマとして、 特定のジャンルについて強調するのではなく、楽曲が持つ魅力を素直に引き出すことを軸に音質を追求しています。その中で『WF-1000XM5』では、従来モデルに比べ、低音と残響、余韻等の表現力を向上させました。低音域の厚みと沈み込みが増したことで低音楽器がもつ迫力をしっかりと感じることができ、ボーカルや高音域は歪み感がなく、歌い方や艶、余韻の広がりまでをより再現できるようになっています。楽曲が持つ魅力を引き出すことを目指した『WF-1000XM5』は、音楽ジャンルを問わず楽しめるのではないでしょうか。
菊地:楽曲が持つ魅力を素直に引き出すには、物理特性として広帯域を低歪(ていひずみ)に再生できることが重要になります。そのため、先ほどの話にも出てきましたが、「専用設計8.4mmドライバーユニット」を完全新規で開発し、搭載しています。従来の6mmドライバーユニットと比べて振動板が一回り大きくなっているのですが、構造も大きく変わりました。具体的には、中央のドーム部と、その周囲のエッジ部に異なる素材を組み合わせた振動板構造を採用しています。大振幅に適した柔らかいエッジ部がより沈み込む低音域を、軽量高剛性のドーム部がクリアで伸びのある高音域を再生します。
さらに振動板のドーム部とエッジ部の比率から、ボイスコイルやその配線、接着剤など、全ての設計を見直すことでドライバー駆動を阻害する要素を極力減らし、余計な付帯音のない低歪(ていひずみ)再生を実現しています。
菊地:高い音圧再生を実現するには大きな振動板で振動面積を稼ぐ方法と、小さな振動板で大きく振幅させる方法があるのですが、今回はメカ設計、デザインチームとも話し合った上で前者を採りました。なお、実物を比較していただければ分かるのですが、振動板が大きくなった分、ユニット全体はかなり薄型化しており、今回の筐体におけるスペース効率はむしろ改善しています。
菊地:そして、そのドライバーユニットを駆動させる再生系については「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN2e」に含まれている、ポータブル製品向けとして最高クラスのS/N比と低歪(ていひずみ)な特性を持つD/A変換回路およびヘッドホンアンプを使用。さらに「統合プロセッサーV2」による24bitのオーディオ信号処理を行うことで、デジタル段からドライバーユニットの駆動まで一貫した高品質再生を実現しています。
菊地:今回、シリーズとして追求している「ジャンルによらない高音質」を実現するため、音質チューニングにはとても力を入れました。具体的には古いレコードをリマスターしたものから2023年の最新音源などまで幅広い音源を用いて音質設計をしています。楽曲の持つ特徴、例えば周波数バランスや低音余韻の処理など、音楽ジャンルや年代によって流行や嗜好もさまざまなため、あらゆる音源、楽曲に対応できるよう音を仕上げるのにとても苦労しました。
また、ソニーでは音楽制作スタジオへのヒアリングや、ワールドワイドでのお客さまが好む音質傾向や音楽トレンドの深掘りをする活動を行っており、制作現場の声からお客さまの音楽関心までのノウハウが蓄積されています。それらも考慮し、設計することで良いバランスを実現できたと考えています。
本坊:今回、新たな機能として、スマートフォンアプリ「Headphones Connect」に「ファインド・ユア・イコライザー」という機能を追加しました。従来もアプリからイコライザーを調整したり、プリセットから選択することができたのですが、「ファインド・ユア・イコライザー」を使うことで、よりその人の好みにあった音質を直観的に設定できるようになります。
手順としては、ふだん聞いている楽曲に5種の代表的なイコライジング処理を施したサンプルが再生されるので、好きなものを選びます。するとさらに絞り込んだサンプルが再生されるので、その中からより好みのものを絞り込んでいくという流れです。これを3回繰り返すことでその人の好みに最適化されたイコライザーができあがります。
本坊:私はふだん、あまりイコライザーを使わないタイプだったのですが、今回、この機能を試してみて、イコライザーでここまで聞こえ方が変わるのかと、その楽しさに目覚めました(笑)。ぜひ、いろいろな方に試してみていただきたいですね。
また、もう一つ大きなアップデートとして、ソニー独自の立体音響技術を活用した音楽体験「360 Reality Audio」の個人最適化のさらなる改善です。アルゴリズムの見直しによって、高さ感や距離感、定位感がよりクッキリと感じられるようになっています。
塚本:さらに従来モデルから搭載されていたセーフリスニング機能についても、より快適にお使いいただけるよう進化させました。これまでのセーフリスニング機能は、積算音圧がWHO(世界保険機構)のガイドラインにある限度に近づいた時に通知を受け取る機能で、ユーザーが自分で音量調節する必要がありましたが、今回はこれを自動制御する機能も搭載しています。具体的には、積算音圧がWHO基準の80%に達すると、自動的に聴覚への影響が小さい音量まで下がり、そのまま60%を下回ると元に戻るという機能を選択できるようにしています。
さらに、ノイズキャンセリング機能によって耳に届く騒音がどれだけ減らせたかを、1週間分のグラフとして可視化する機能も追加しました。
本坊:そのほか、従来モデルで好評な、ワイヤレスでもハイレゾ音源の高品位サウンドを楽しめるようにするBluetoothコーデック「LDAC」や、ハイレゾではない一般的な圧縮音源をヘッドホン側でハイレゾ相当の高解像度音源にアップスケーリングする「DSEE Extreme」も継続して搭載しています。
長谷川:世界最高クラスのノイズキャンセリング性能を実現するために、今回、本当にさまざまな技術を取り入れています。耳に装着した時点で静寂さを感じられるものになっていますので、まずは店頭で体験してみていただきたいですね。誰にでもその違いを明確に感じ取っていただけるはずです。
菊地:『WF-1000XM5』では、楽曲がもつ魅力引き出し、表現するという目標をかなり高い次元で実現できたと感じています。たとえばシングル盤とアルバム盤でマスタリングが若干違う音源のような、本当にごくわずかな違いも聞き分けて楽しめると思いますので、ぜひ、お気に入りの楽曲をこの製品で聴き込んでみていただきたいですね。音質にこだわりをお持ちの方にはぜひお試しいただきたいと思っています。
塚本:「1000X」シリーズならではのノイズキャンセリング性能、そして音質は、今回も高いレベルに達しています。デザインについても『WF-1000XM4』から多くの点で進化しており、個人的にも思い入れのある大好きな製品になりました。ぜひ通勤・通学時の音楽再生から、リモートワークなどのふだん使いにまでお使いいただければと思います。
本坊:『WF-1000XM5』は「究極の静寂で楽しむ圧倒的臨場感」という思いを大切に開発し、長い時間をかけて、極めて完成度の高い製品に仕上がったと自負しています。ぜひ実際に耳に装着して音楽を聴き、その違いをご体感いただければと思います。よろしくお願いいたします!
ワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドセット
WF-1000XM5
世界最高クラスノイキャン(*1)と高い装着性を実現する小型設計のハイレゾ音質完全ワイヤレス(*2)
*1 左右独立型ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン市場において。2023年11月1日時点、ソニー調べ、電子情報技術産業協会(JEITA)基準に則る※2024年7月9日に変更
*2 ハイレゾコンテンツをLDACコーデックで最大転送速度990kbpsで伝送する場合。「Headphones Connect」アプリから操作が必要です
※2024年7月9日