LinkBuds Fit / LinkBuds Open / LinkBuds Speaker
「オンラインとオフラインをつなぐ」をコンセプトに、常に身に着け、音楽だけではないさまざまな“音”を「ながら聴き」で楽しむスタイルを提案し、人気を博した完全ワイヤレスイヤホン「LinkBuds(リンクバッズ)」シリーズに待望の第2世代モデルが登場しました。とりわけ目を惹くのは、アイコニックなそのカタチ。もちろんそこには意味があります。なぜそのカタチになったのか、そのカタチがどのような体験をうみだしてくれるのか。新モデル『LinkBuds Fit』『LinkBuds Open』、そしてシリーズ初のポータブルスピーカー『LinkBuds Speaker』の開発メンバーたちが語ります。
Index
人間に、空間に、なじむ
朝起きてから、夜寝るまで、ずっと身に着けていても苦にならないイヤホンとはどのようなカタチであるべきか。そんな自問自答の末にうみだされたのが、『LinkBuds Fit』と『LinkBuds Open』のまるでイヤホンから尻尾が生えたような不思議なカタチ。手に取ってみるとサラリと心地よく、中空で柔らかな先端部分は、触れるとくにゃりと折れ曲がります。実はこれはイヤホンを耳穴に固定するためのフィッティングサポーター。少しでも耳への負担を軽くし、気持ち良くコンテンツを楽しんでほしいからその装着感には大いにこだわったのだとか。もちろんそれはシリーズ初のスピーカー『LinkBuds Speaker』でも同じこと。あるべき場所にしっかりなじみ、ストレスを感じさせない。ずっと一緒にいられるし、ずっと一緒にいたいと思えるカタチを目指したシリーズです。
「LinkBuds」のなじむカタチってどんなカタチ?
密かに、確かに、主張する
日々の装いを大切にする人たちにとって、常に耳を飾るイヤホンはアクセサリーの一種ですし、住空間にこだわる人にとってはポータブルスピーカーもインテリアのひとつと言えるでしょう。多様化する世界で支持されているのは、どんな装い、空間にもフィットする一歩引いた、主張し過ぎないカタチ。その上で自分らしさも主張したいというのが難しいところです。そこで『LinkBuds Fit』と『LinkBuds Open』では、複数の本体カラーバリエーションに加えて、本体を覆うフィッティングサポーターやケースカバーを好みのカラーにカスタマイズできるようにしました。『LinkBuds Speaker』も、継ぎ目のない表面ファブリックや丸みを帯びた柔らかいカタチがどんな部屋にも溶け込むように馴染みます。新しい「LinkBuds」で、存分に自分らしさを発揮してください。
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LinkBuds Fit
商品企画担当
志摩 フィッティングサポーターなどの交換は簡単なので、その日の気分に応じて付け替えていただけます。フィッティングサポーターの左右やケースカバーの上下を違う色にしてみたりするなんて楽しみ方もおすすめです。
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LinkBuds Fit,
LinkBuds Open 共通
CMFデザイン担当
片山 『LinkBuds Fit』と『LinkBuds Open』が、共に身体になじむ形状を目指した中、それを彩る色、素材、仕上げも、主張しすぎない、身体や様々なシーンになじむ佇まいにしたいと考えました。
「LinkBuds」のカスタマイズ、どの組み合わせを選ぶ?
もっと、音と、ひとつになる
「LinkBuds」は、周囲の音も合わせて「ながら聴き」する使い方に注目。『LinkBuds Fit』と『LinkBuds Open』では、ずっと「音」と繋がれる体験をさらに快適にする機能をいくつも提案しています。周囲の騒がしさに合わせて音の聞こえ方をフルオートで最適化してくれる「自動外音取り込み機能」(『LinkBuds Fit』のみ)や、カフェで集中できるあの感じを再現してくれる「BGMエフェクト」、『LinkBuds Speaker』との組み合わせでイヤホンとスピーカーをシームレスに切り換えてくれる「Auto Switch」など……。日常のあらゆる音を「LinkBuds」でより良いものへとアップデートしませんか?
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LinkBuds Open
商品企画担当
守谷 「BGMエフェクト」は、『LinkBuds Fit』『LinkBuds Open』のように、周囲の音を自然に取り込める製品との相性が高く、その場の環境音とマッチし、まるで遠くから音が流れてくるように聞こえるんですよ。
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LinkBuds Speaker
商品企画担当
露木 『LinkBuds Speaker』のコンセプトはずばり「Always On. Stay with music and communication blend into your life.」。常に自分のそばにあり、音楽とコミュニケーションが人生に溶け込むような体験を与えてくれる製品となります。
「LinkBuds」の新しい音体験、どれが気になる?
Interview
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LinkBuds Fit
商品企画担当
志摩 -
LinkBuds Fit
音響設計担当
鷹村 -
LinkBuds Fit
メカ設計担当
内田 -
LinkBuds Fit
デザイン担当
三島
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LinkBuds Open
商品企画担当
守谷 -
LinkBuds Open
音響設計担当
神田 -
LinkBuds Open
メカ設計担当
森村 -
LinkBuds Speaker
LinkBuds Open
デザイン担当
吉川
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LinkBuds Fit,
LinkBuds Open 共通
CMFデザイン担当
片山
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LinkBuds Speaker
商品企画担当
露木 -
LinkBuds Speaker
音響設計担当
真壁 -
LinkBuds Speaker
LinkBuds Open
デザイン担当
吉川
新しい「LinkBuds」は、
より快適に、より自分らしく、よりスマートに
今回発表された、新しい「LinkBuds」について、誰のためのどういった製品なのかを教えてください。
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LinkBuds Fit
商品企画担当
志摩 新モデル『LinkBuds Fit』と『LinkBuds Open』は、2022年に発売された初代『LinkBuds』および『LinkBuds S』のコンセプトを受け継いだ完全ワイヤレスイヤホン新製品です。スマートフォンを通じて「常に」音楽だけでない「多種多様な」コンテンツを楽しんだり、コミュニケーションしたりする方々を対象にした製品となっております。
これら新世代モデルは先代モデルと比べてどういった点が進化しているのでしょうか?
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LinkBuds Fit
商品企画担当
志摩 先代モデルの発売後、日本、アメリカ、イギリスなどの大学生に『LinkBuds』や『LinkBuds S』を試していただき、そのフィードバックを元に改善点を洗い出しました。結果、今回は「より快適な装着感」「自分らしさを演出するためのカスタマイズ対応」「ユーザーの使い方に合わせてくれるスマートさ」の3つをキーワードに製品を作り込んでいます。
また、今回から新たに同じ世界観を共有し、「LinkBuds」とシームレスに利用できるポータブルスピーカー製品として『LinkBuds Speaker』をラインアップに追加しました。
それぞれの製品について、もう少し詳しく教えてください。
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LinkBuds Open
商品企画担当
守谷 『LinkBuds Open』は、音を鳴らすドライバーユニットの中央に穴を開け、そこから直接外の音を取り込めるようにした初代『LinkBuds』の後継機となります。初代『LinkBuds』発売以降、耳を塞がないタイプの開放型モデルが大変な人気を博していますが、その中でも本機は独自のリングドライバーを用いた、唯一無二の「耳に入れるタイプの開放型モデル」となります。今回は、さらなる装着感向上に加え、音質面やバッテリー性能など、初代『LinkBuds』でいただいたお客さまの声に真摯に対応し、より魅力的な製品へとアップデートさせました。
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LinkBuds Fit
商品企画担当
志摩 『LinkBuds Fit』は、その名の通りフィット感、すなわち装着快適性を徹底的に追求した製品となります。耳を塞ぐタイプの「LinkBuds」はすでに『LinkBuds S』(併売)がありますが、それよりも耳に負担少なく、より長時間付けていていられるものを目指しました。それでいてしっかり耳に固定されるようになっており、ジムでのワークアウトも含めた、日常の幅広いシーンで使っていただける選択肢となっています。
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LinkBuds Fit
デザイン担当
三島 耳に触れる部分の形状はどの断面をとってもすべてスプライン(滑らかな曲線)になっており、細かな形状を何度も調整することで、多くの人が快適に着けられる形を目指しました。内部構造も設計チームと一緒に、以前のモデルから大きく見直し、シリコーンゴムとベース部分の2段形状にすることで、耳への干渉を極力減らしています。その内部には無駄がなく、耳に入った際に最小になるレイアウトになっているんですよ。
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LinkBuds Speaker
商品企画担当
露木 『LinkBuds Speaker』は、「LinkBuds」シリーズとしては初となるポータブルスピーカーで、新しい「LinkBuds」シリーズとの連携を前提とした製品です。「LinkBuds」が初代『LinkBuds』のときから掲げている「オンライン(再生しているコンテンツ)とオフライン(周囲の音)をつなぐ」というコンセプトを補完する製品として、外から帰ってくると自動的に音がイヤホンからスピーカーに切り替わるといった、新しい音楽体験を提供します。コンセプトはずばり「Always On. Stay with music and communication blend into your life.」。常に自分のそばにあり、音楽とコミュニケーションが人生に溶け込むような体験を与えてくれる製品となります。
ひょっこり飛び出したそのカタチの意味は?
まずは、3つの新製品のうち、イヤホンである『LinkBuds Fit』と『LinkBuds Open』について話を聞かせてください。新モデル群は世界観を共有しているとのことですが、具体的にはどのような共通性を持っているのでしょうか?
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LinkBuds Fit
デザイン担当
三島 『LinkBuds Fit』と『LinkBuds Open』では、全く異なる内部構造の2モデルを共通した考え方でデザインすることで、キャラクターの統一感を持たせつつ、それぞれの個性を際立たせたデザインに仕上げることを心がけました。
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LinkBuds Speaker
LinkBuds Open
デザイン担当
吉川 この2つのイヤホン製品では「Human tech」というデザインコンセプトを掲げて、プロダクトをずっと身に着けていられるよう、これまでのイヤホン製品よりもさらに1段階、人の肌に近い存在にしたいという思いがあり、デバイスのレイアウトから使われる素材まで、とても時間をかけて開発を行いました。
そうした中、開発が先行していた『LinkBuds Open』の設計側から、このサポーター形状にすることで、どのような形の耳でも柔らかくフィットすることができて装着快適性がさらに高くなると連絡を受けました。そこでこれを必要形状として解釈し、イヤホン2製品へデザインの最適化を行っています。
クニクニと柔らかく、面白いパーツですね。これはどういった働きをするのですか?
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LinkBuds Fit
メカ設計担当
内田 シリコーンゴム製のフィッティングサポーターでしっかり支えるというアイデアは過去のソニー製品でも採用されているのですが、新しい「LinkBuds」シリーズのフィッティングサポーターで特筆すべきは、その内側が中空になっていることです。これにより、弱い力でもフィッティングサポーターが変形し、人の耳の凹凸に優しく追従するようになりました。
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LinkBuds Open
メカ設計担当
森村 耳のくぼみ部分が大きい人であればフィッティングサポーターの先端で、小さい人であればフィッティングサポーターがつぶれて中腹部分で本体を支えてくれます。従来の『LinkBuds』では耳の大きさに合わせてフィッティングサポーターを交換する必要がありましたが、『LinkBuds Open』ではワンサイズでより幅広い耳の形をカバーできるようになりました。
中空にして柔らかくするというのは良いアイデアですね。
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LinkBuds Fit
メカ設計担当
内田 ただし、単に中空にすれば良いというものでもありません。柔らかくしすぎると今度は保持ができなくなってしまうので、フィッティングサポーターは、0.1mm単位での肉厚調整やシリコーンゴムの硬度調整をすることで、最適なフィット感を実現しています。
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LinkBuds Speaker
LinkBuds Open
デザイン担当
吉川 この形状をデザインとしてまとめるにあたり多くの試行錯誤を重ねとても苦労しました。最終的には、本体から滑らかな曲線で繋がりつつ、少しでも大きく膨らんだ形状にすると装着時に耳に干渉する人が出てくる中で、「これしかない!」というラインに辿り着くことができました。見た目の上でも、中空ゆえの奥の透けた感じが表現が面白いものになったと感じています。
ちょっと可愛らしいですよね。尻尾みたいというか(笑)。
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LinkBuds Fit
デザイン担当
三島 『LinkBuds Fit』では本体部分も含めたこの特徴的な形状を「カシューナッツ」なんて呼んでいましたね(笑)。新しい挑戦だったため、200パターンを超える試作を行うなど、正直、かなりの苦労があったのですが、その甲斐あって、より多くの人が快適に耳に装着でき、これまでにないアイコニックで、新しい形に仕上げることができました。
もっと小さく、
もっと耳になじむカタチに
新しい形状について、もう少し深掘りさせてください。まずは『LinkBuds Open』について、フィッティングサポーター以外の形状の工夫について聞かせていただけますか?
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LinkBuds Speaker
LinkBuds Open
デザイン担当
吉川 リング部に球状の本体が乗っている構成は先代『LinkBuds』と同じように見えるのですが、さらなる装着快適性を追い求め、全体的なサイズ感をさらに小さくして耳内に感じる圧迫感を低減しています。
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LinkBuds Open
メカ設計担当
森村 具体的には『LinkBuds』最大の特徴と言える、ドーナツ型のドライバーユニットの直径を約1mm小さくしました。また、ドライバーユニットに繋がる電池や基板の入った球状のパーツのレイアウトを変更し、接続部分の出っ張りもなくすことで耳のくぼみの中にある耳輪脚(じりんきゃく)という突起への当たりを緩和しています。フィッティングサポーターの工夫と合わせ、柔らかな耳あたりを実現しつつ、耳から落ちにくい、しっかりとしたフィット感を実現できたと思っています。
たしかに、耳にギュッと押し込むわけではないのにしっかりと保持されますね。これならジョギングなどで利用しても耳からこぼれ落ちたりしなさそうです。
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LinkBuds Open
商品企画担当
守谷 はい。『LinkBuds Fit』をジムなどでのワークアウトに推す声がありましたが、『LinkBuds Open』もそうした用途にぴったりですので、ぜひお試しください。
『LinkBuds Fit』の形状の工夫やこだわりについても聞かせてください。
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LinkBuds Fit
メカ設計担当
内田 『LinkBuds Fit』では、より高い装着性を実現すべく、フィッティングサポーターによるフィット感の向上に加え、着け心地の軽さにもこだわっています。具体的にはイヤーピースの高さを低くし、耳穴へ浅く装着出来るようにしました。さらにイヤーピースを装着する軸部分を柔らかな素材にしてさまざまな人の耳穴の位置に追従するようにもして、圧迫感を大きく低減させています。このようにすることで、まるで装着していることを忘れてしまうような軽快さを目指したのです。
自由なカスタマイズ対応で、
さりげなく自分らしさを演出
ここからは新しい「LinkBuds」シリーズ、2つ目のキーワードである「カスタマイズ」について聞かせてください。シリーズとしては初の試みですが、どういった狙いがあるのでしょうか?
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LinkBuds Fit
商品企画担当
志摩 Z世代を対象としたイヤホンの利用動向調査をしていく中で、若いお客さまにとって、イヤホンや充電ケースの外観で個性を演出する「カスタマイズ」がこれまで以上に重要であることが分かってきました。そこで、『LinkBuds Fit』は4色(うち1色はアーティストコラボカラー)、『LinkBuds Open』は2色の本体カラーバリエーションを用意しつつ、別売でそれぞれ5色のフィッティングサポーターとケースカバーをラインアップしています。
フィッティングサポーターを交換できるのは面白いですね。本体カラーとのいろいろな組みあわせが試せそうです。
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LinkBuds Fit
商品企画担当
志摩 交換は簡単なので、その日の気分に応じて付け替えていただけます。友達と交換して、フィッティングサポーターの左右や充電ケースカバーの上下を違う色にしてみたりするなんて楽しみ方もおすすめです。
本体カラーバリエーションは全体的に彩度を抑えた、いわゆるアッシュカラーとなっていますが、そこにはどんな思いが込められているのですか?
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LinkBuds Fit,
LinkBuds Open 共通
CMFデザイン担当
片山 『LinkBuds Fit』と『LinkBuds Open』が、共に身体になじむ形状を目指した中、それを彩る色、素材、仕上げも、主張しすぎない、身体や多様なシーンになじむ佇まいにしたいと考えました。この背景には、ユーザーの趣味嗜好が多様化しており、その日の気分によってファッションや聴く音楽も変わるので、柔軟性に富んだデザインやスタイルが好まれるという事情もあります。
そうなんですね。ブラックとホワイト以外のカラーバーリエーションは、それ自体で個性を演出できる派手な色が好まれるのだと思っていました。
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LinkBuds Fit,
LinkBuds Open 共通
CMFデザイン担当
片山 実は、開発中はそういった派手目の色も含め、20〜30色を試していたのですが、調査結果を見ると、特に海外の若い方々を中心に「主張し過ぎない方がいい」「さりげないニュアンスがほしい」という声が圧倒的に強かったですね。
目立ちたくはない、でも「さりげないニュアンスがほしい」ってところが難しそうです。
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LinkBuds Fit,
LinkBuds Open 共通
CMFデザイン担当
片山 そうなんです。カラーはニュートラルカラーを中心に落ち着いたトーンにしつつも、質感の高さや造形の美しさを感じていただけるよう、『LinkBuds Fit』でも『LinkBuds Open』でも、パーツを部分的に光沢処理とすることで見た目のアクセントにしました。充電ケースについても天面を光沢、底面をマット処理にし、所有感や開いた時の特別感を高められるようにしています。
ホワイトとグリーンの充電ケースは天面にマーブル模様が入っていますが、これはなぜでしょう?
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LinkBuds Fit,
LinkBuds Open 共通
CMFデザイン担当
片山 マーブル模様を初めて採用した『LinkBuds S』のアースブルーに続き、ニュートラルなカラーにもニュアンスを加えたいということで挑戦しました。ただのホワイト、ただのグリーンよりも多様性、柔軟性を感じられるのではないかと思っています。このマーブル模様を自然ないい塩梅に出すのがかなり大変で苦労しました。製品ごとにそれぞれ異なる表情の、世界にひとつしかないデザインなので愛着をもっていただけるとうれしいです。
「ながら聴き」しやすい、
「LinkBuds」らしい音作り
続いては新しい「LinkBuds」シリーズの音作りについて聞かせてください。まずは『LinkBuds Open』について、具体的にどのような音を目指したのかをお話しいただけますか?
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LinkBuds Open
音響設計担当
神田 『LinkBuds Open』で気を遣ったのは外音の取り込みと音質のバランスです。先代『LinkBuds』と同じドライバーユニットに穴の空いたこの製品は、オープン型という特徴から、低域の量感が出しにくく、また、激しい騒音下では聞き取りにくくなるという物理的な制約がありました。そこで『LinkBuds Open』では、開放的な外音取り込みのための構造は先代モデルを踏襲しつつ、ドライバーユニットを一新することで音のバランスと音量の向上を図っています。
ただ、先ほどのお話ではドライバーユニットはむしろ小型化していますよね? 力強い低域を出すという観点ではむしろ条件が厳しくなっているのでは?
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LinkBuds Open
音響設計担当
神田 その通りです。そこでこの製品では振動板の形状を調整することで振動板を動きやすくし、さらにマグネットの強化と、その磁力がダイレクトに伝わるよう構造を最適化することで小径化と低域の増強、さらには感度を高めることに成功しました。音作りとしてはよりワイドレンジになり、楽曲の持つ魅力を表現できるようになりました。また、最大音量も上がっているため、騒音下でもより音楽を楽しめるようになっています。
『LinkBuds Fit』についても、どのような音作りを行ったのか聞かせてください。
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LinkBuds Fit
音響設計担当
鷹村 この製品は完全ワイヤレスイヤホンのフラッグシップモデル『WF-1000XM5』と同じ高性能なダイナミックドライバーX、統合プロセッサーV2を搭載しており、上位機種相当の音源再生能力を実現しています。その上で、長時間装着というコンセプトにあわせて聴き疲れしない音体験になるよう意識して調整しました。技術的にはできるだけワイドレンジな音を出せるようにしつつ、音楽以外の映画やラジオ、Web会議など、さまざまなコンテンツに対応できるよう、人の声がしっかり明瞭に、自然に聞こえるようなチューニングを行っています。
また、『LinkBuds S』でも好評だった、本体内外に配置された2つのマイクで周囲の雑音を正確に取得し、打ち消してくれる「デュアルノイズセンサーテクノロジー」によって、電車の中など騒がしい場所でもクリアな音楽再生を楽しめる高いノイズキャンセリング性能を実現しています。
ほかにも音質面でこだわった部分はありますか?
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LinkBuds Fit
音響設計担当
鷹村 今回最も力を注いだのが、イヤホンで耳を塞がれた状態でも周囲の音を聞き取りやすくする「外音取り込み機能」です。『LinkBuds Fit』ではシリーズ過去最高の自然な聞き取りやすさを実現しました。本製品ならではの圧迫感を抑えた構造は、音のこもり感の低減にも貢献しており、チューニング面では高い周波数帯の音もより自然に聞こえるように調整することで、優れた外音取り込み性能を実現しています。
高い周波数帯の音に対応すると聞こえ方がそんなに変わるのですか?
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LinkBuds Fit
音響設計担当
鷹村 はい。高い周波数帯の成分は人の声を含むあらゆる音に含まれているため、これに対応することで空気感がより自然になり、非常に聴き取りやすくなります。さらに本製品から、この「外音取り込み機能」をさらに便利に使っていただく機能として「自動外音取り込み機能」に対応。内蔵されたセンサーが周囲の騒音を測定し、その場に応じた最適な外音取り込み量を自動的に設定してくれるほか、過度に騒がしい場所に行くと自動的にノイズキャンセリングモードに切り替わるようになりました。
これらの機能によって、ダイレクトに音が耳に届く『LinkBuds Open』とは別のやりかたで、「ながら聴き」しながらの利用スタイルを快適にしてくれるということなんですね。
これまでにない音体験をもたらす
「LinkBuds」からの新提案
「自動外音取り込み機能」は、まさに新しい「LinkBuds」シリーズが重視する「スマートさ」を体現した機能だと思うのですが、こうした機能は他にも用意されているのでしょうか?
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LinkBuds Open
商品企画担当
守谷 もちろんです。今回、新しい「LinkBuds」シリーズをよりスマートに使っていただくための機能を新たに2つ追加しています。まず1つ目の「BGMエフェクト」機能ですが、これは再生中の音楽が少し離れたところから聞こえてくるように感じさせてくれる機能です。イヤホンを使った通常のリスニング体験は音が耳もとで響くようなものになるのですが、この機能を用いることで、音が遠くから聞こえるように感じるため、集中を阻害されにくくなります。勉強や仕事をしながらのリスニングにおすすめです。
面白い機能ですね!
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LinkBuds Open
商品企画担当
守谷 特に『LinkBuds Fit』『LinkBuds Open』のように、周囲の音を自然に取り込める製品との相性が高く、その場の環境音とマッチし、まるで遠くに置いてあるスピーカーから音が流れてくるように聞こえるんですよ。
静かすぎる場所より、カフェのようにちょっと騒がしい場所の方が集中できるってありますよね。
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LinkBuds Open
商品企画担当
守谷 この機能では独自の信号処理により、音の到来方向を上下左右に広げ、さらに空間的な響きを付加することで、音の距離感をコントロールしています。これにより、集中したい時でも音楽再生を止める必要がなくなり、「LinkBuds」ならではの「ながら聴き」の体験を継続できるようになりました。
もう1つの機能についても教えていただけますか?
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LinkBuds Open
商品企画担当
守谷 もう1つは「音声コントロール」機能です。従来モデルもAlexaやGoogleアシスタントなど、既存の音声アシスタントサービスと連携して声を使った操作ができましたが、新しい「LinkBuds」シリーズからは、そうしたサービスを介する事なく、直接、イヤホンを音声で操作できるようになります。
それは音声アシスタントサービスを利用するのと何が違うのですか?
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LinkBuds Open
商品企画担当
守谷 既存のサービスでは音声操作できる範囲が、サービスと紐付けたスマートフォンやオーディオ機器と接続している場合に限定されていました。一方、「LinkBuds」の「音声コントロール」機能では、直接イヤホンに指示することができるため、携帯ゲーム機や音声アシスタントサービスと紐付けられないオフィスのパソコンなどと接続している場合でも「ハローヘッドホン、ノイキャンにして」「ハローヘッドホン、音量を上げて」といったかたちでハンズフリーで使えるようになるのです。
専用スマホアプリからオンにするだけで使えるようになりますので、ぜひお試しいただきたいですね。
「LinkBuds」の世界観を広げる
『LinkBuds Speaker』新登場
ここまで『LinkBuds Fit』と『LinkBuds Open』、2つのイヤホン製品についてお話を伺いました。ここからは「LinkBuds」のラインアップに新たに追加されたポータブルスピーカー製品『LinkBuds Speaker』について聞かせてください。まずは、冒頭でお聞きした、新しい「LinkBuds」シリーズとの連携についてもう少し詳しく教えていただけますか?
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LinkBuds Speaker
商品企画担当
露木 『LinkBuds Fit』および『LinkBuds Open』をお使いのユーザーが、自宅に『LinkBuds Speaker』を配置することで、イヤホンとスピーカーをシームレスに切り換えられる「Auto Switch」機能を使えるようになります。
* 「Auto Switch」機能は『Sony Sound Connect』から機能を有効にすることでお楽しみいただけます ※ 『Sony Sound Connect』アプリでAuto Switch機能との連携を行ったスマートフォンでのみご使用いただけます。ウォークマン(R)およびPCなどスマートフォンを除く機器ではご利用いただけません。また、一部のスマートフォンではご利用いただけない場合があります ※ 本機能は、お使いの音楽再生アプリによっては動作しないことがあります ※ 連携する機器はそれぞれ最新のファームウェアにアップデートして下さい ※ 対応ヘッドホン:LinkBuds Fit/LinkBuds Open/LinkBuds S/WF-1000XM5/WH-1000XM5(2024年10月時点)
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LinkBuds Speaker
商品企画担当
露木 たとえば、自宅で『LinkBuds Speaker』を使って音楽を再生している時、出かけるために『LinkBuds Fit』あるいは『LinkBuds Open』をケースから取り出すと、自動的に再生機器がイヤホンに切り替わります。逆に、音楽を聴きながら帰ってきて、イヤホンを外すと自動的に『LinkBuds Speaker』からそれまで聞いていた音楽の続きが流れ始めるのです。
なるほど。イヤホンとスピーカーを使った、シームレスな音楽体験を実現してくれる製品なのですね。
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LinkBuds Speaker
商品企画担当
露木 そのほか、本体天面のQuick Accessボタンを押すことで、スマホを介さず、ワンタッチで音楽ストリーミングサービスを再生する機能 *1や、ユーザーが設定した時刻になると自動的に音楽が再生・停止する機能 *2(朝のしたく / 寝る前のくつろぎ機能)など、音楽をより手軽に、生活に取り入れる機能を多数搭載しています。
*1 対応するアプリ(Amazon Music、Spotify、Endel)をインストールし、『Sony Sound Connect』アプリで設定が必要です ※ 各サービスをお使いいただくには、最新の対応アプリのインストールと、ログイン、バックグラウンド起動が必要です。国外では使用できない場合があります
*2 対応するアプリ(Spotify、Endel、Apple Music(iOSのみ))をインストールし、『Sony Sound Connect』アプリで設定が必要です ※ お住まいの国または地域によっては、AutoPlayやSpotify、Endel、Apple Musicのサービスをご利用頂けない場合があります
その音作りには「LinkBuds」らしさはあるのでしょうか?
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LinkBuds Speaker
音響設計担当
真壁 はい。アウトドア用のポータブルスピーカー「ULT FIELD(アルトフィールド)」シリーズなどとは根本的に異なる音作りになっています。「LinkBuds」のイヤホンが長時間付けっ放しで「ながら聴き」することをコンセプトに掲げていたので、『LinkBuds Speaker』もそれに準じた、低域がズンズン鳴るというよりも、優しく、でもボーカルはシャキっとクリアに聞き取れる聴き疲れしない音を目指しています。もちろん、低音もしっかり鳴るようにしており、目標とする音のかたちが定まったところで、それを実現できるギリギリのサイズを目指し、この大きさになったという流れです。
実際に音を聴いてみると、こんなに小さな製品からここまで良い音、力強い低音が聞こえるのかと驚かされました。
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LinkBuds Speaker
LinkBuds Open
デザイン担当
吉川 開発の初期に真壁が作った試作機の音を聴く機会があったんですが、私もこんなに小さなボディからこれほど満たさされる音がでるものなのかと驚かされました。そして、この体験、このWow感こそが『LinkBuds Speaker』の肝だと考え、それをデザインとして表現することに挑戦しています。
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LinkBuds Speaker
商品企画担当
露木 この音質は音声通話時にも有効で、ソニーのワイヤレススピーカー史上最高クラスの通話品質*を実現しているんですよ。ぜひ、ビデオ会議などにもご利用いただきたいですね。
* ITU および ETSI(距離)ガイドラインを使用したソニーの測定結果。2021年4月1日以降に販売されたソニーのモデルと比較(ネックバンド スピーカーを除く、2024年10月時点)。通話品質には、モバイルデバイス、サードパーティのサービスプロバイダー、インターネット、ネットワーク接続、または環境条件に関連する障害は含まれません
小さなボディに込められた
「LinkBuds」らしさ
具体的にどのように『LinkBuds Speaker』のかたちを作り込んでいったのかを教えてください。
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LinkBuds Speaker
LinkBuds Open
デザイン担当
吉川 多くのポータブルスピーカーは円筒状のものが多いのですが、今回は最もデバイスをコンパクトにできるよう、内部の部品を最も効率的にレイアウトできる水平垂直のボックス型にしました。
なお、イヤホンの方では「Human tech」という身体に馴染ませるコンセプトでデザインを行っているのですが、『LinkBuds Speaker』では「Soft tech」という、柔らかく、クッションなどと一緒に置いてあっても違和感を感じさせないような、インテリアに馴染ませるデザインコンセプトを掲げてチャレンジしました。ただし、手法は異なっていますが、身に着ける部位や場所に馴染ませるという点では同じコンセプトだと考えています。
それがこの布を巻いたようなデザインなんですね?
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LinkBuds Speaker
LinkBuds Open
デザイン担当
吉川 はい。この際、注目していただきたいのが、置いた時に布の継ぎ目が見えないところ。普通に布を巻くと、どこか見えるところに継ぎ目ができてしまうのですが、この製品では1枚の布を本体の形状に成形して包み込む「プリフォーム」という手法を用いて、この継ぎ目のないかたちを実現しています。
この丸みを帯びた柔らかい形状もインテリアにマッチしそうでいいですね。
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LinkBuds Speaker
LinkBuds Open
デザイン担当
吉川 実はこの角の丸みについては元々、真壁から音を少しでもよくする上でも角を丸めた形状にするといいと聞いていました。実際に作っていくと自然と「LinkBuds」シリーズの充電ケースの印象に近づいてきたので最終的にはシリーズとしても一体感のある造形にまとまったのではないかと思います。
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LinkBuds Speaker
音響設計担当
真壁 角を丸めるようお願いしたのは、角があるとそこにぶつかった音が反射して干渉してしまうから。ですので、この形状は音質を高めるためでもあるんですよ。
布の下にはスピーカー部分を保護するグリルが配置されているのですが、ここを樹脂製グリルにすると強度を出すために厚くなって音を通す「穴」が「筒」になり、音の抜けが悪くなってしまう問題があります。そこで『LinkBuds Speaker』では、前面グリルを昔のラジカセなどでよく見かけたパンチングメタルにし、薄く、できるだけ穴は大きくし、なおかつ、布に凹凸ができないよう工夫して音の抜けと耐久性、デザインの一体感を全て成立させています。
背面に持ち運び用のフックが付いているのもいいアクセントだと思いました。
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LinkBuds Speaker
LinkBuds Open
デザイン担当
吉川 普通に片手で持ち歩けるサイズ、形状ではあるのですが、例えばパソコンを片手に席を移動する時などに指に引っ掛けて持ち歩けると楽ですよね。必要なければフックは取り外していただくことも可能です。
持ち運びと言えば、『LinkBuds Speaker』には座布団のように重ねて置けるクレードル(充電台)が付いているのもユニークですね。
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LinkBuds Speaker
LinkBuds Open
デザイン担当
吉川 なるべく家の中のさまざまな場所でシーンに合わせて使ってほしい製品なんで、つどケーブルを抜き差しせずに充電できるクレードル対応になっています。この際、置く向きを気にせず置いて充電できるよう、接点の形状を工夫しています。見た目の上でもマーブル模様の成型にチャレンジするなど、『LinkBuds Fit』『LinkBuds Open』の充電ケースに似たデザインになり、より親和性が増したのではないでしょうか。できあがってみると、四角いけど柔らかな形状のポータブルスピーカーは意外とないので、Linkbudsシリーズらしい個性を持ったデザインに仕上がったかと思います。
LinkBuds Fit
メカ設計担当
内田
フィッティングサポーターは、0.1mm単位での肉厚調整やシリコーンゴムの硬度調整をすることで、最適なフィット感を実現しています。
LinkBuds Speaker
LinkBuds Open
デザイン担当
吉川
『LinkBuds Fit』と『LinkBuds Open』ではより身体に馴染むプロダクトを目指して「Human tech」という共通のデザインコンセプトを掲げてチャレンジしました。一方『LinkBuds Speaker』ではプロダクトをよりインテリアに馴染ませるために「Soft tech」というデザインコンセプトを掲げ、それぞれプロダクトは異なりますが、身に着ける部位や場所に馴染ませるという共通の考え方をもってデザインしています。