サウンドバー
『BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)』『BRAVIA Theatre Bar 8(HT-A8000)』
テレビの大画面化が進む中、サウンドバーにすっきり設置できることを求めるユーザーが増え始めています。ソニーの新しいフラッグシップサウンドバー『BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)』は、そうした時代の声を受けてグッとスリムに。にも関わらず、定評ある立体音響体験をさらに“ワイド”に進化させ、大切なセリフもより聞き取りやすくしました。
Index
進化した立体音響をこれ一本で
サウンドバーの常識を超える
音の広がり、そして包まれ感。
ソニー独自の「360 Spatial Sound Mapping(360 SSM)」技術をサウンドバー単体にも応用し、仮想スピーカーを前方空間に展開。また追加したサイドスピーカーからサラウンドのエンハンス成分も再生することで圧倒的なサウンドステージを実現した。
リアスピーカーを追加すれば、
立体音響がもっと“リアル”に。
求める体験に合わせてアップグレードできるのもソニー製サウンドバーのいいところ。リアスピーカーを追加すれば、包み込まれるような立体音響体験が、さらに上の次元へ。最新映画コンテンツのサウンドパフォーマンスを限界まで引き出してくれる。
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商品企画担当
尾木 リアスピーカーは後からでも追加できますので、まずはサウンドバー単体で立体音響デビューし、その後、立体音響の世界にもっと浸ってみたいと思ったらリアスピーカーを追加していただくことが可能です。リアスピーカーを追加することで、視聴者の後方にもファントムスピーカーの音源が配置され、より音に包み込まれる圧倒的な臨場感をお楽しみいただけます。
より“リアル”な360 SSM立体音響体験に興味ありますか?
ソニー史上最大*の13ユニットスピーカーで音体験を一新
* サウンドバーとして
人の声を明瞭かつ忠実に再現
スピーカー構成を一新することで音質もより豊かに。かすかな囁きから、雄々しい雄叫びまで。映画に命を吹き込む声の力を最大限に引き出す。
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音響設計担当
國方 映画を楽しむにあたってセリフがリアルに聞こえることの体験価値は極めて高く、2Way化することで明瞭かつリアルな声を実現しました。
スリムボディからは想像できない低音
サブウーファー追加でさらにパワフルに
4つの新規開発の低歪大振幅ウーファーで、スリムボディとは思えないほどの迫力あるサウンドを実現。別売サブウーファーを追加すれば、部屋全体を震わせるほどの低音を響かせられる。
セリフの聞こえ、響き渡る重低音、
あなたが重視するのは?
暮らしに溶け込むたたずまい。わずかな違いに込めたさまざまなこだわり。
テレビは大きいほどいい。
でもサウンドバーは小さくしたい。
テレビが大画面化しているにもかかわらず、むしろコンパクトになることを求められているサウンドバー。限りあるテレビ前のスペースに無理なく置けるサイズが今のトレンドだ。『BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)』『BRAVIA Theatre Bar 8(HT-A8000)』はそんな市場の声に実直に対応。素材から内部構造までを徹底的に見直し、音質を決して損なうことなく、どこにでも置けるサイズを実現した。
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プロジェクト
リーダー
鷲川 横幅については、テレビの脚の間に収めたいという声が多かったので、実際に市販テレビのスタンドについてリサーチし、『HT-A8000』では横幅1100mmを実現しています。これなら55V型以上のテレビのほとんどで脚の間に収めていただけるはずです。
存在を感じさせないことが
サウンドバーのグッドデザイン。
『BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)』『BRAVIA Theatre Bar 8(HT-A8000)』が目指したのは、テレビやテレビが置かれる空間との調和。テレビの下で悪目立ちしない、映画鑑賞を妨げない自然な存在感を追求した。その結果、到達したのがこの黒いファブリックに覆われたシンプルなデザインだ。サウンドバーが奪うのは耳。目を奪う必要はない。
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プロダクト
デザイン担当
村上 個々のスピーカーユニットに適したスピーカーカバーの素材を選択すると、それぞれの見え方が異なることなどからバラバラの印象になってしまいます。一方、ファブリックであれば、すべてのユニットの特性をいかしつつ、統一された質感を表現できるのです。
どうせ置くなら、スマートに置きたい。
ソニーは、これからの時代のテレビのありように即した新しいサウンドバーの置き方を提案。新しいフットパーツや壁掛け金具によって、“テレビ下”の使いこなしをさらに一歩、先に進めた。
箱を開けた瞬間から始まる
サウンドバーのおもてなし。
『BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)』『BRAVIA Theatre Bar 8(HT-A8000)』はパッケージも新時代のデザインに。箱を開けてすぐ、次に何をやればいいのかが分かるクイックセットアップガイドや、再生材を多用し環境に配慮した梱包など、本体にも負けないほどの作り込みで、誰もが気持ち良くサウンドバーの体験を始められるようにした。
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商品企画担当
尾木 クイックセットアップガイドはアクセシビリティへも配慮。セットアップ中に専用アプリ「BRAVIA Connect」をインストールしていただく必要があるのですが、そのためのQRコードへの誘導を凸点や切り欠きでナビゲーションするようにしています。
サウンドバー、あなたなら壁掛け? それとも台置き?
「スリムボディで設置しやすい」でも、「立体音響体験はこれまで以上」で「低音の響きも譲れない」。そんな矛盾する要望をどのように満たしたのか。『BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)』『BRAVIA Theatre Bar 8(HT-A8000)』の開発を主導したメンバーたちに訊く――
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商品企画担当
尾木 -
プロジェクト
リーダー
鷲川 -
サブプロジェ
クトリーダー
山本 -
音響設計担当
國方 -
電気設計担当
増渕 -
ソフトウェア
設計担当
樋口 -
プロダクト
デザイン担当
村上
最新のニーズをくみ取り進化した、
“今”のサウンドバー
まずは「サウンドバー」の最新動向について教えてください。
最新のニーズをくみ取り進化した、
“今”のサウンドバー
まずは「サウンドバー」の最新動向について教えてください。
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商品企画担当
尾木 テレビの大画面化が進む中、新型コロナ禍中におうち時間を充実させたいというニーズが高まったことも受け、サウンドバーを含む家庭用ホームシアター機器の認知・普及が大きく高まりました。大画面に合った音体験が求められるようになっているのです。
他方、大画面化によってテレビ周りのスペースがどんどん圧迫されるようになっており、昨今、壁掛けにせよ台置きにせよ、すっきり配置したいというニーズがどんどん高まっています。
そうした中、ソニーのサウンドバーは市場からどのような評価を受けているのでしょうか?
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商品企画担当
尾木 現在のサウンドバーはハイエンド機からエントリー機まで多くの製品でDolby Atmosなどの立体音響を楽しめるようになっていますが、実際に体験してみるとそのクオリティにはかなりの幅があります。これに対し、ソニーのサウンドバーは独自技術「360 Spatial Sound Mapping(以下、360 SSM)」を用いた立体音響体験が極めて高く評価されています。
『BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)』は360 SSM対応フラッグシップモデル『HT-A7000』の後継モデルです。同時に発売される『BRAVIA Theatre Bar 8(HT-A8000)』は『HT-A5000』の後継モデルという位置付けですが、『HT-A9000』と『HT-A8000』には多くの点で共通の技術が使われています。
『BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)』『BRAVIA Theatre Bar 8(HT-A8000)』がどういった製品なのか、そのコンセプトについて教えてください。
『BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)』『BRAVIA Theatre Bar 8(HT-A8000)』がどういった製品なのか、そのコンセプトについて教えてください。
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商品企画担当
尾木 今お話しした、サウンドバーに対する最新ニーズをくみ取り、「どのような設置環境、コンテンツであっても、ワイドでクリアな立体音響が楽しめる、スリムなサウンドバー」というコンセプトで製品開発を行いました。「ワイド」には、立体音響ならではの広がり感のほか、より多くの人数で楽しんでもらいたいという思いが、「クリア」には映画のセリフを含め、音声をより聞き取りやすくお届けしたいという思いが込められています。
なお、今回から型番とは別に「BRAVIA Theatre(ブラビアシアター)」という新しい名前が付けられています。ブラビアの名前を冠したのは、家で映画を楽しむためには、画音どちらも大事だと考えたから。もちろん他のテレビとの組み合わせでも十分な性能を発揮しますが、ぜひ、ブラビアと組み合わせて「画」と「音」が一体となった最高の映画体験を味わっていただければと思います。
好評な立体音響技術「360 SSM」を
サウンドバー単体に応用し立体音響を進化
では、さっそくですが『BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)』『BRAVIA Theatre Bar 8(HT-A8000)』で進化したという立体音響の特徴を教えていただけますか?
好評な立体音響技術「360 SSM」を
サウンドバー単体に応用し立体音響を進化
では、さっそくですが『BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)』『BRAVIA Theatre Bar 8(HT-A8000)』で進化したという立体音響の特徴を教えていただけますか?
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音響設計担当
國方 『HT-A9000』『HT-A8000』では、単体での利用時にも360 SSM技術を応用し、正面と上向きのスピーカーで仮想の「ファントムスピーカー」を生成し前方空間を広げ、さらに、側面サイドスピーカー、ビームトゥイーター*から、独自の信号処理技術を用いたアンビエント成分も再生することで、これまでと比べて圧倒的にワイドなサウンドステージで、よりリアルな立体音響体験を楽しんでいただけるようになりました。
* ビームトゥイーターは『HT-A9000』のみ
360 SSMとはどんな技術なのか、もう少し詳しく教えてください。
360 SSMとはどんな技術なのか、もう少し詳しく教えてください。
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音響設計担当
國方 360 SSMは、スピーカーの設置位置や天井までの距離を自動測定する「音場最適化技術」と空間内に理想的にファントムスピーカーを配置する「モノポールシンセシス技術」の組み合わせにより、立体音響体験を実現するソニー独自の音場生成技術です。ユーザーを取り囲むよう、理想的に配置された実スピーカーからの音波を、より少ないスピーカーを用いて作りあげたファントムスピーカー(仮想スピーカー)で“再現”することができます。錯覚を使うわけではなく、物理的に立体音響空間を作りあげているため、より自然でワイドな立体音響空間を作りあげることができることが最大の特長となります。
最近は、動画配信サービスでも立体音響対応の映画やドラマが増えてきていますから、サウンドバー単体でもよりハイクオリティな立体音響を家族みんなで楽しめるというのはうれしいですね。
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音響設計担当
國方 ちなみに『HT-A9000』『HT-A8000』では、そうした立体音響で収録されたコンテンツだけでなく、地デジやYouTubeなど2ch音声のコンテンツについても、独自の技術を用いた立体音響化処理を行い、音をワイドに、立体的に感じていただくことができます。
つまり、音源を問わず立体音響を楽しめるということですか。ちなみに、立体音響未体験という人のために、その体験がどういったものなのか、どういうすごさがあるのかも教えていただけますか?
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音響設計担当
國方 たとえば映画で上からヘリコプターがやってくるシーンでは音が上から音が聞こえてくるように、ライブシーンなどでは歓声に包みこまれ、その場にいるような空気感を感じることができるなど、実際にその場にいるかのように音を体験できるのが立体音響のすごいところです。これによって、より深く映画の世界に没入することができます。
『BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)』『BRAVIA Theatre Bar 8(HT-A8000)』は、そうした立体音響ならではの没入感や臨場感を高いレベルで味わえるということなんですね。
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音響設計担当
國方 その通りです。映画の各シーンにあった空間や空気感を再現するようにそれぞれのスピーカーに細やかな調整を行いました。
それが冒頭で尾木さんがおっしゃっていた、Dolby Atmos対応のサウンドバーでもクオリティに差があるということなんですね。
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商品企画担当
尾木 リアスピーカーは後からでも追加できますので、まずはサウンドバー単体で立体音響デビューし、その後、立体音響の世界にもっと浸ってみたいと思ったらリアスピーカーを追加していただくといったやり方もおすすめです。リアスピーカーを追加することで、視聴者の後方にもファントムスピーカーの音源が配置され、より音に包み込まれる圧倒的な臨場感をお楽しみいただけます。また、別売サブウーファーの追加にも対応していますので、こちらを追加していただくことで、迫力ある低音もさらにお楽しみいただけるようになります。
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音響設計担当
國方 なお、現在、ブラビアをお使いのお客さまは「アコースティックセンターシンク」*をお使いいただくことで、ブラビアを追加のセンタースピーカーとして機能させることが可能になります。ブラビアからも音を出すことによって、より画面内に音が定位するようになり、画音一致による没入感が増します。
* アコースティックセンターシンク対応ブラビア:S-センタースピーカー入力端子搭載モデルについて詳しくは ブラビア商品ページ をご確認ください
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ソフトウェア
設計担当
樋口 さらに『HT-A9000』『HT-A8000』は、2024年夏に発売される新型ブラビアの新機能「ボイスズーム3」にも対応。これはコンテンツ内の音声部分だけを音量調整できるテレビ側の機能なのですが、対応のTVと新たに連動させることでその効果をサウンドバーから出す音にも適用できるようになりました。これにより映画のセリフをより聞き取りやすくしたり、スポーツ中継などで解説の音声だけを気にならなくしたりといった使い方ができるようになります。
スピーカー構成から基板まで、
全てをゼロから再設計
ここからは、そうしたサウンドバーの音体験を支える内部設計について伺います。今回、『BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)』はソニー製サウンドバー史上最大となる13基ものスピーカーユニットを搭載しています。その内訳や狙いについて教えていただけますか?
スピーカー構成から基板まで、
全てをゼロから再設計
ここからは、そうしたサウンドバーの音体験を支える内部設計について伺います。今回、『BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)』はソニー製サウンドバー史上最大となる13基ものスピーカーユニットを搭載しています。その内訳や狙いについて教えていただけますか?
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音響設計担当
國方 『HT-A9000』『HT-A8000』は、これまでのサウンドバーとは大きく異なるスピーカー構成を採用しました。まず、最も大きなところでは、L(左)、R(右)、センター(中央)のフロント3チャンネルを全て、新開発のウーファーとトゥイーターの2Way構成にし、それぞれ低域から中域までの再生をウーファーに、高域をトゥイーターに担わせています。映画を楽しむにあたってセリフがリアルに聞こえることの体験価値は極めて高く、2Way化することで明瞭かつリアルな声を実現しました。
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音響設計担当
國方 その上で、音を天井に反射させて上から聞こえる音を再現するイネーブルドスピーカーを左右1組、立体音響再生時にアンビエント成分も再生するサイドスピーカー、ビームトゥイーター*を左右に1組ずつ搭載しました。L、R、センターのスピーカーは2Way構成にすることで解像度の高いクリアな音で立体空間も明瞭に再現しています。なお、センターのトゥイーターは大口径のものを新規開発し明瞭な声を再現、L、Rのトゥイーターは小口径ハイレゾ対応のものを開発し解像度の高い音を再現しています。
* ビームトゥイーターは『HT-A9000』のみ
スリム化と低域の両立はどのように実現したのでしょうか?
スリム化と低域の両立はどのように実現したのでしょうか?
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音響設計担当
國方 従来は2つのビルトインサブウーファーで低域を再生しておりましたが、今回は4つのウーファーを用いることで同等の低域性能を実現しています。前モデルの『HT-A7000』に比べて低域再生用の振動板面積は約1.8倍となっており、小型化で不利になった低域をカバーしています。さらにパッシブラジエーター*を搭載し低い周波数帯域までの再生も可能にしました。
* パッシブラジエーターは『HT-A9000』のみ
13基のスピーカーユニットを用いた音作りについても聞かせていただけますか?
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音響設計担当
國方 人の声を明瞭かつリアルに再現すること、スリム化しつつも従来の『HT-A7000』と遜色ない低音を出すこと、そして圧倒的にワイドなサウンドステージの再現。これら3点に関して、最後まであきらめずに調整を繰り返し、内蔵された13基のスピーカーユニットすべてを正しく鳴らし切って実現できたと思っています。
そのほか、『BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)』『BRAVIA Theatre Bar 8(HT-A8000)』の内部構造で特筆すべき点がありましたらぜひお聞かせください。
そのほか、『BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)』『BRAVIA Theatre Bar 8(HT-A8000)』の内部構造で特筆すべき点がありましたらぜひお聞かせください。
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プロジェクト
リーダー
鷲川 目立たないところではあるのですが、ワイヤレス通信機能についても今回大きく機能が進化しています。今回、従来モデルまでなかった新機能として、周囲の電波状況を監視するモニター用アンテナを搭載し、今使っているチャンネルが混み合ってきたらすぐに空いているチャンネルに切り換え、オプションスピーカー接続時の音途切れや干渉がないようにしました。
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ソフトウェア
設計担当
樋口 安定したワイヤレス接続は大きな課題のひとつだったので、小型化を追求しつつも、その点については妥協せず新たなアンテナを追加することにしています。
その効果はどれほどのものなのですか?
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プロジェクト
リーダー
鷲川 一般的な利用環境であれば、本当に安定してつながりつづけます。かなりひどい電波状況でも音が途切れないよう接続を維持してくれるので、ワイヤレス接続に抵抗感があるという方にもぜひお試しいただきたいですね。
音質に妥協することなく
スリム化に成功
では、ここからは皆さんを悩ませたというスリム化についてのお話を深掘りさせてください。そもそも、なぜスリム化しなければいけなかったのかを改めて聞かせていただけますか?
音質に妥協することなく
スリム化に成功
では、ここからは皆さんを悩ませたというスリム化についてのお話を深掘りさせてください。そもそも、なぜスリム化しなければいけなかったのかを改めて聞かせていただけますか?
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商品企画担当
尾木 いくつかの理由があります。まず、今、世界中でテレビの壁掛け率が上がっており、それに伴ってサウンドバーの壁掛け率もあがっているという背景があります。そうした中、サウンドバーの奥行きが大きいと、壁から大きくせり出してしまうため、より薄くすることですっきりとしたたたずまいを実現したいという思いがありました。
対して、テレビ台に置いて使うケースでは高さと幅が気になります。サイズをきちんと測って画面にかぶらない高さのサウンドバーを買ったのに、ソファに身体を沈めたら視線が下がりサウンドバーがテレビの画面に被ってしまい邪魔になってしまったとか、テレビ台の横幅に収まらなかったとか……。
そうしたニーズを受け、『BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)』『BRAVIA Theatre Bar 8(HT-A8000)』はかなりのスリム化に成功していますが、具体的な目標のようなものはあったのでしょうか?
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プロジェクト
リーダー
鷲川 横幅については、特に『HT-A5000』(横幅:1210mm)で、もう少し小さければ良かったという声をいただいていました。中でもテレビの脚の間に収めたいという声が多かったので、実際に市販テレビのスタンドについてリサーチし、『HT-A8000』では横幅1100mmを実現しています。これなら55V型以上のテレビのほとんどで脚の間に収めていただけるはずです。
また、厚さについては、既存のソニー製サウンドバーの多くが64mmとなっていることもあり、改めてその数値に合わせることを目標としています。
それらの目標を満たすにあたってどんな苦労がありましたか?
それらの目標を満たすにあたってどんな苦労がありましたか?
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電気設計担当
増渕 高さ制限があると使いたい部品が使えなくなってしまうのが大変でしたね。特に今回はスピーカーユニットの数が増えて、パワーも出したかったので、本来であればもっと電源基板サイズを大きくしたいくらいでしたから。そうした中、少しでもサイズを小さくするため、基板裏に飛び出すコンデンサの脚などを切り詰めてスペースを確保するなど、これまでやってこなかったことに挑戦しています。
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電気設計担当
増渕 そのほか、アンプ基板についても、2つのコイルを基板を挟んでまったく同じ位置に配置し、磁束をキャンセルすることで省スペース化しつつ高音質化もするといったこともやりました。これも、今まではやっていなかった手法ですね。
やはり本体を小さくするのはそれだけ大変なのですね……。
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電気設計担当
増渕 電気設計以外の取り組みも紹介させていただくと、ボディに使われている樹脂の厚さも従来『HT-A7000』などと比べてかなり薄くされています。そうすると当然、剛性的には弱くなってしまうのですが、新たにグラスファイバーを含有させた新しい樹脂を用いることで、薄さと強さを両立させています。
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商品企画担当
尾木 なお、こちらは再生材となっており、環境負荷を可能な限り下げるよう努力しています。もちろん部位によっては新品の材料も使ってはいるのですが、『HT-A7000』と比べて約65%減と、使用量をかなり減らすことができています。また、本体前面をくるむファブリック素材についてもリサイクルされたものを利用しています。
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サブプロジェ
クトリーダー
山本 環境に配慮しているのは素材だけではありません。アンプの出力状況に応じて電圧を3段階に制御する仕組みを取り入れることで、夜間など、そこまで大きな音を出していない時は電源の動作レベルを変えて消費電力を抑えるようにしています。結果、機器を使用しない、ネットワークスタンバイ時の消費電力も、従来『HT-A7000』比で約20%削減できました。もちろん、これらは全て自動的に行われるので、ユーザーが面倒な切り換え操作を意識する必要はありません。
テレビやリビングとの調和を重視し
ファブリック素材を採用
『BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)』『BRAVIA Theatre Bar 8(HT-A8000)』は、従来モデル『HT-A7000』や『HT-A5000』と比べて、デザインも大きく変更されています。従来モデルが金属製のグリルを採用していたのに対し、ファブリック素材を用いるなど印象が大きく変わっています。
テレビやリビングとの調和を重視し
ファブリック素材を採用
『BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)』『BRAVIA Theatre Bar 8(HT-A8000)』は、従来モデル『HT-A7000』や『HT-A5000』と比べて、デザインも大きく変更されています。従来モデルが金属製のグリルを採用していたのに対し、ファブリック素材を用いるなど印象が大きく変わっています。
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プロダクト
デザイン担当
村上 素材以外にも見た目もかなりシンプルになったと思いませんか? 今回の製品では、ホームシアター製品全体に共通するデザインフィロソフィー(哲学)として「HARMONIC PRESENCE〜調和する佇まい」をかかげ、デザインに取り組んでいます。サウンドバーは単体では存在し得ず、ブラビアなどのテレビと接続することではじめて価値がうまれるものですから、テレビや、テレビが置かれる空間との調和を大切に考えました。
具体的にどのようにデザインに落とし込んでいったのかを教えてください。
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プロダクト
デザイン担当
村上 まず考えたのが、大小合わせて13基あるスピーカーユニットを音の塊をイメージしたひとつのマテリアルとして表現できないかということです。そうした思いを持ちながら音響設計やメカ設計の皆さんと話し合ったところ、ファブリック素材が、本製品の特長のひとつであるアップファイアリングスピーカーやウーファーなどに広く適した素材だということが分かってきました。
仮に個々のスピーカーユニットに金属のスピーカーカバーを装着しようとすると、それぞれ適切なレイアウトや穴の大きさが異なることなどからバラバラの印象になってしまいます。一方、ファブリックであれば、すべてのユニットの特性をいかしつつ、統一された質感を表現できるのです。
ファブリック素材はいくつかのパターンを試されたのですか?
ファブリック素材はいくつかのパターンを試されたのですか?
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プロダクト
デザイン担当
村上 もちろん、素材、編み方、糸の太さなど数え切れないほど多くのものを試しました。質感を出しつつ、音響的なポテンシャルも発揮できるようにする落としどころの見極めが大変でしたね。たくさんのファブリックを用意して、実際に製品にあてがって音を鳴らして確認するというトライ&エラーを何度も繰り返しました。
続いて、デザイン上のアクセントにもなっているオーナメント部分についてもその意図をお話しいただけますか?
続いて、デザイン上のアクセントにもなっているオーナメント部分についてもその意図をお話しいただけますか?
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プロダクト
デザイン担当
村上 手前側、スピーカー回りにはここから音を拡散していくようなイメージを持たせたいというお話をしましたが、特徴的なのはこの左右コーナーの形状と、背面に付くオーナメントパーツからなる構成です。このコーナーの角の曲がり具合で音が周囲の空間に拡散していく様を形状として表現しました。加えて、壁に掛けた際の壁からの突出量を少しでも軽快に見せること、さまざまな大きさのテレビが組み合わさった時でも、この角の丸みが大きいことでテレビのベゼルの稜線同士のズレ感を緩和するという狙いもあります。テレビ側(奥側)については、テレビや壁などにピタっと沿うようにストレートな面で構成したいと考えました。オーナメントのマテリアル、ヘアラインとその色はブラビアのフロントベゼルと同じ素材にしています。手前のグリル側は空間に調和しつつ、テレビ側はテレビ、あるいは壁面と調和する、という狙いです。
また、細かいところでは背面にブラビアで使われているグリッドパターンを用いています。細い溝の中で必要な排気孔を配したり、各プラグの挿入部は凹形状がグリッドに沿って自然に馴染んでくれます。
時代の要請を受けて
2つの新しい置き方を提案
ところで今回の製品ではテレビの置かれ方が変わりつつあることを受け、サウンドバーの配置についてもいくつかの提案があると聞きました。
時代の要請を受けて
2つの新しい置き方を提案
ところで今回の製品ではテレビの置かれ方が変わりつつあることを受け、サウンドバーの配置についてもいくつかの提案があると聞きました。
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商品企画担当
尾木 『HT-A9000』『HT-A8000』では、ブラビアと組み合わせた置き方について、2つの新しいアイデアを提案させていただきます。ひとつが、コンパクトなテレビ台にもすっきりと置けるようにする新しいフットパーツです。これを底面に装着して本体を持ち上げることで下に、ブラビアの脚を通す隙間を設けることができます。これによって、50V型や42V型など、より小さなブラビアについても脚をまたぐかたちでコンパクトに配置することができます。
そしてもうひとつが、壁掛け需要が高まっていることを受けた、新しい壁掛けスタイルの提案です。これまではサウンドバーを壁掛けしていただく場合、テレビと同じく、壁面に穴を開けてサウンドバーを固定する金具をくくりつけていただく必要がありました。
テレビの壁掛けだけで大変なのに、同じようなことをもう一度やらねばならないのはハードルが高いですよね。
テレビの壁掛けだけで大変なのに、同じようなことをもう一度やらねばならないのはハードルが高いですよね。
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商品企画担当
尾木 そこで今回、壁に穴を開けることなく、壁掛けしているブラビアのブラケットにサウンドバーを固定する新しい固定方法を提案させていただきました。
なるほど! これは良いアイデアですね。
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商品企画担当
尾木 この新しい壁掛けブラケットにはケーブルを通すガイドも用意されているので、壁掛けしているブラビアにすっきりとサウンドバーを組み合わせることが可能です。また、スイベル機能も備えているため、画面とサウンドバーの向きを左右に大きく動かすことができます。
環境からアクセシビリティまで
配慮したパッケージ
ここまでオプションパーツも含めた製品デザインについてお伺いしてきましたが、ここからは製品パッケージへのこだわりについてもお聞かせください。
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商品企画担当
尾木 ここまでもいくつか、本製品の環境負荷低減施策についてお話ししましたが、パッケージについても多くの工夫が盛り込まれています。まず、梱包材へのプラスチック利用を削減するため、コットンを使用した梱包材や、パルプモールドを用いたクッション材の導入、さらには持ち手部分も紙製にするなどしています。結果、パッケージへのプラスチックの使用量を『HT-A7000』比で約95%も削減することができました。
持ち手部分まで紙製というのは徹底していますね。
持ち手部分まで紙製というのは徹底していますね。
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商品企画担当
尾木 その上で、2023年6月に発売したサウンドバーの入門機『HT-S2000』同様、箱を開けた瞬間に、必要なものが全て見渡せる梱包も継承しました。開けてすぐ目に付くところにクイックセットアップガイドが配置されていますので、それにそって作業を進めていただければ、迷わずスムーズにセットアップを完了していただけます。
なお、このクイックセットアップガイドはアクセシビリティへも配慮。セットアップ中に専用アプリ「BRAVIA Connect」をインストールしていただく必要があるのですが、そのためのQRコード*への誘導を凸形状(四角形の立体加工のフレームとドットライン)や切り欠きでナビゲーションするようにしています。
また、『HT-A9000』『HT-A8000』の背面パネルに新たに凸点を設けており、テレビと接続するためのeARC HDMI出力端子やS-センター出力端子の位置を示しています。ソニーグループではすべての人が感動を分かち合える未来を目指し、アクセシビリティに配慮した製品開発やサービス提供に取り組んでいます。その一環としてこの『HT-A9000』『HT-A8000』ではパッケージや本体でこのようにアクセシビリティに配慮した取り組みを始めました。* QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
スマホアプリについても教えてください。
スマホアプリについても教えてください。
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商品企画担当
尾木 今回のモデルから、サウンドバーの設定変更をテレビに表示されるメニューで行う方式から、スマホアプリで行う方式に変更しました。従来製品ではテレビとサウンドバーをHDMI接続した後に、設定画面に沿ってセットアップをする流れをとっていたのですが、先にスマホアプリと本機を接続することで、HDMI接続の方法を含め、よりわかりやすいご案内ができるようになりました。また、スマホのマイクを使って音場設定を行うことで、よりお客様の視聴環境に合わせた設定が可能となりました。
音響設計担当
國方
映画の各シーンにあった空間や空気感を再現するようにそれぞれのスピーカーに細やかな調整を行いました。
インタビュー内容を見る