商品情報・ストアヘッドホン LOVE MUSIC 久石譲 × LSPX-S2

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久石譲が今、この国で「ミニマル・ミュージック」をやっている理由

─ 久石さんは、スタジオジブリ作品を筆頭に映画音楽の名作曲家として、世界的に知られていますが、近年はクラシック界で、ご自身の原点となる現代音楽、とりわけミニマル・ミュージックを基調とした作曲・演奏活動に精力的に取り組まれていますね。

久石:日本の現代音楽シーンは、ヨーロッパを見習ってずっとやってきています。ところがミニマル・ミュージックの系譜はアメリカにあります。前衛的になりすぎたヨーロッパの現代音楽とは違い、ミニマル・ミュージックにはハーモニーもリズムも全部ありますから、ロックなどクラシック以外の音楽にもいろいろな影響を与えながら育ってきました。ところが、日本は文化的なことはヨーロッパを見習えとやってきたから、ミニマル・ミュージックを演奏する機会も、生で聴く機会もほぼなかったんです。

─ だから久石さんご自身が、その機会を作られている、と。日本人にミニマル・ミュージックの魅力を知らしめると同時に、世界にも発信していこうということですね。



久石:そう。ただ、そもそもミニマル・ミュージックというのは、同じパターンを繰り返す音楽を指すんです。1960年代にスティーブ・ライヒやフィリップ・グラスらが、そういう音楽を作り出しました。その後、音楽家であり学者でもあったイギリスのマイケル・ナイマンが、彼らの音楽を研究して、初めて“最小限の要素を使うのがミニマル・ミュージックだ”と定義し、通説になっていったんです。だからね、僕が親しくさせてもらってるフィリップ・グラスも、自分の音楽をミニマル・ミュージックと思ったことは一度もないそうですよ。「何それ?」って言い方をしてますよね(笑)。

─ じつに興味深いお話です。久石さんの音楽も、今まさにミニマル・ミュージックとご紹介させていただいていますが……。

久石:日本では、そう紹介したほうが、皆さんも理解しやすいでしょうね。ただ音楽の厳密なカテゴライズとしては、60年代以降はポスト・ミニマルなどさまざまな変化を経て、ポスト・クラシカルに至るような道のりがある。厳密なミニマル・ミュージックは過去の分野といえます。なので僕も、ベーシックなスタイルとしてミニマル・ミュージックという呼び方をしています。



空気のように自然に聴けるスピーカーが理想。『LSPX-S2』にはとても可能性を感じる

─ では続いて、久石さんが、有機ガラスが音楽を奏でるグラスサウンドスピーカー『LSPX-S2』に、どんな印象を持たれたかを聞かせてください。インタビューに際し、あらかじめご自身で『LSPX-S2』と最新ウォークマン『NW-ZX500』からなるシンプルなワイヤレスオーディオシステムを構築して試されたとお伺いしているのですが、そのサウンドはいかがでしたか?

久石:すごくまとまりのいい、クリアな音だなと思いましたね。全体にはやや硬質ですが、極めてクリアなバランスのいいスピーカーではないかと。スピーカーは、大きさにかかわらず、音像が崩れないのが一番いいんです。僕らも音像が崩れないミックスをしますし、音楽そのものもバランスのいい創り方をしないといけない。スピーカーもナチュラルなのが一番。それでいうと、このスピーカーの音質は、ボーカル帯域が少しせり出すようにできていると感じました。欲を言えば、倍音を響かせるための低音がもう少し豊かならなおいいですが。そのぶんしゃっきりとクリアに聴こえます。

─ 具体的にはどういった音楽を『LSPX-S2』で聴かれましたか?

久石:もちろん自分の曲も聴きましたし、ポップスの音楽の中では、よくリファレンス用として使っているスティーリー・ダンのアルバムも試しました。ドナルド・フェイゲンの『ナイトフライ』もリファレンス音源としてはおすすめですね。ポップスにおいては、エレキベースとキックドラムは、本来は両立しないものなんです。どういうことかというと、キックドラムを大音量にするとダンス寄りのクラブミックスになってしまうし、ベースラインを大きくすると、ファンク系になってしまう。音数も多すぎず、ボーカルも非常にクリアなので、様々なバランスを一番いい状態で聴けるアルバムが『ナイトフライ』じゃないかな。



─ 『LSPX-S2』は、1台でも360度音が広がり、小さい音量でも、どのリスニングポイントでもレベル感の変わらない音が楽しめます。特に今回は、2台の『LSPX-S2』をWi-Fiで連結させて使うステレオモードで、より広がりのあるステレオサウンドを楽しんでいただきましたが、そこはどう感じられましたか?

久石:1台でも十分に雰囲気のいいクリアな音が楽しめるのはいいですね。これくらいコンパクトなら、家の中で場所を移動しても持ち歩けるし、ホテルの部屋やお店なんかにも置かれていてもうれしいと思いますよ。ステレオモードのほうも、このサイズでこれほどの音が楽しめるなら、うちのリビングにも置いておきたい。ステレオモードも本来は、2台のいちばんいいバランスの設置位置はあるかと思いますが、少し離して置いても、部屋の作りに合わせて隅のほうに置いておいても、部屋の中のどこからでも音がして音楽が聴けるのはすごくいい。そんな自由さも感じますよね。

─ 「音楽に包まれている感覚が自宅で味わえますね。

久石:そう。僕も仕事や飛行機移動などではヘッドホンを使うことは多いですが、ふだんは極力ヘッドホン、イヤホンは使わないようにしてます。僕自身、音楽を聴くなら空気を通さないと嫌なんですよ。だから、音楽を自宅で楽しむなら、やはりスピーカーで聴きたいですし、多くの方に空気を通して響く音の楽しみを味わっていただきたいと思っています。そういう時、こうしたいい音質を提供してくれて手軽に使えるスピーカーにはとても可能性を感じます。結局、スピーカーも部屋の一部なんです。だから、スピーカーそのものが空気にならなきゃいけない。長時間聴いて飽きない、耳に触らない、空気のように自然に聴けるスピーカーは理想ですね。





音楽を“疲弊”させてしまわないために大切にしてほしいこと

─ 久石さんは、ご自身の音楽を含めて「現代音楽」ではなく、「現代の音楽」という呼び方をされます。そこにも大切な意味が込められているのでしょうか?

久石:それはですね、「現代音楽」と言うと、その瞬間からごく特定の人を相手にしている音楽になってしまうんですよ。クラシックのカテゴライズとして。でも僕は、そういう現代音楽カテゴリーに囚われない、現代に作られている、今リアルタイムで作られている音楽の中で、ちゃんといいものを紹介したいという思いがある。カテゴライズしてしまうと小難しいものと思われてしまいます。それが嫌なので、「現代の音楽」という言い方をさせてもらっていますね。

─ では、久石さんは例えば『ミニマリズム』など音楽をパッケージ作品として送り出すとき、どういう環境で聴いてもらいたいと思っていらっしゃいますか?

久石:いや、そこはね、まったく考えない。自分の手を離れてしまったら、どう聴かれるかは気にしてないですね。それぞれ皆さんが楽しんでくれればいい。その話でいえば、逆に今、コンサートに人が大勢来るようになった理由を、もう一度考えていただければと思うことはあります。今は音楽をコンピュータなどで、メロディーラインや音色の一部が強調される聴き方もできてしまう。そうすると、音楽が情報の一部になって、感動を覚えにくいんです。それは、本来の音楽からは離れつつあるのかなと。

─ コンサートには、生の音楽を浴びる感動がありますね。


久石:美術館の絵画もしかりで、自分の足で歩いていって観る感動が特別です。それは音楽も一緒ですね。コンサートがある、自分でチケットを買って、事前にどういう曲があるのかをちゃんと聴いて、実際に観て、会場を出てから家に帰る間に感動を噛みしめることが大切。その意味でも、情報として音楽が聴かれてしまうと音楽が疲弊していくのではないか、という危険性を常に感じています。

─ その本来の音楽の感動に近づく手段としては、臨場感ある高音質スピーカーの存在も意義がありますね。


久石:そう。だから、あくまでも音楽本来の感動を大事にする、音楽というソフトとそれを聴くための『LSPX-S2』のようなハードウェアが、一緒に発展していかなくてはならないでしょう。別個ではいけない。それはすごく大事なことじゃないかと思いますね。

─ 皆さんにも、自宅では『LSPX-S2』で久石さんの音楽を聴き、久石さんのコンサートに足を運んでいただいて生の感動をより深めてもらい、「現代の音楽」の魅力を味わい尽くしていただきたいですね。ちなみに映画音楽のほうも続けていらっしゃるのでしょうか?


久石:映画音楽もお話がいただければもちろん。「現代の音楽」も、これからもどんどんやっていきます。すでに2020年くらいまで、いろいろお話をいただいているので、僕自身も楽しみですね。




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