音楽制作に特化し、立体音響での使用も想定したソニーの背面開放型ヘッドホン、MDR-MV1。日本のバンド「King Gnu」の常田大希氏が主宰するクリエイティブレーベル「PERIMETRON」に所属する映像作家のOSRIN氏と前田勇至氏が、その所感を彼らの仕事場で語ってくれた。
OSRIN氏:ちゃんと使ったなっていう認識があるのは、King Gnuの『SPECIALZ』という楽曲のミュージックビデオ制作作業時。どの音が何フレで鳴っているかであるとか、どこに何が刺さっているかみたいなのは、完全にMV1を使って聞いていて頼りになったという印象があります。
前田氏:私も映像編集の際に使わせてもらっていて、音ハメの時にどの音にこのカットをはめていくかみたいなことが、とても解像度高く聞けるので作業がしやすかったです。あとはすごく軽い、長いときは8時間とかずっと編集することが多いのですが、疲れずに使えるので重宝しています。音に関しても、とても聞きやすく、感動しました。また開放型の方が音抜けがいいというか、気持ちよく聞ける感覚がありますね。
OSRIN氏:音はフラットで強いイメージ。一般的な開放型ヘッドホンと比べ低域が出てない感じがなく、わかりやすさがありました。物足りない感じもなかったです。普段そこまで素直に褒めることができないですし、あまり嘘つけないのですが、これは本音だと思います。
前田氏:映像制作においては、MV1でより音の解像度が高くなったことによって、従来までは把握できなかった音に対しても、映像とリンクさせることが可能になったため、耳からの映像に対しての選択肢が増えたように思います。
OSRIN氏:特に打ち込みの楽曲が最近だと多いのですが、トラック数が膨大に多い曲だと音と音がぶつかっていることが多くて。それが今、どっちの音の方がよく聞こえていて、どっちの音の方に合わせようというのがストレスなく聞けた方が映像制作においても判断しやすいです。音の解像度がより明瞭に把握できることによって、音に対する理解度が上がり映像にも反映しやすくなりました。
前田氏:聞く環境によって左右されず、ミュージシャンの意図しているところがわかりやすい方が映像の純度も高くなると思います。なので、音を扱う仕事をしている場合はMV1のようないいものを使うに越したことはないと思いますね。
OSRIN氏:Isamuの言う通りミュージシャンと意見交換しながら仕事をする場合は共通のいいものを持つっていうのは必要だと思いますね。ミュージシャンにしかわからないあの音、映像作家にしかわからない映像制作における理屈があると思うのですが、共通のいいものを持つことでより円滑に会話できるような気がします。