商品情報・ストアICレコーダー/集音器 ソニーのリニアPCMレコーダー「PCM-A10」で手軽に高音質録音
PCM-A10

音楽レッスンの生録音から、会議の音声録音まで。初心者でも本格的な高音質録音が可能なソニーのPCMレコーダーPCM-A10登場 音楽レッスンの生録音から、会議の音声録音まで。初心者でも本格的な高音質録音が可能なソニーのPCMレコーダーPCM-A10登場

非圧縮で音声録音が可能なリニアPCMレコーダーは、一般的なICレコーダーよりも“いい音”での録音が可能で、趣味性の高い音声を録音する際に利用されることが多い。ただし、一般的なICレコーダーよりも設定が複雑で、使いこなすにはそれなりの慣れや知識が必要だった。そんなリニアPCMレコーダーに対するイメージを180°覆してくれるのが、2018年10月、ソニーから発売されたハイレゾ対応のリニアPCMレコーダー「PCM-A10」だ。本機は、初心者でも手軽に本格的な高音質録音が行えると言うが、実際の使い勝手や音質はどのようなものなのだろうか? その実力を早速レビューしていこう。

CONTENTS

ハードウェア

小型・軽量設計ながらハイレゾ対応マイク搭載で
携帯性と高音質を両立

音楽演奏をはじめ、鳥のさえずりなどの自然の音や鉄道の走行音など、趣味性の高い音声を録音する際に利用されることの多いリニアPCMレコーダーは、音声を非圧縮で録音できるため、一般的なICレコーダーに比べて対応する周波数レンジの幅が広く、より高音質な録音が可能なのが魅力だ。だが、初心者にとっては設定が複雑で、筐体もICレコーダーに比べて大きいため、やや扱いづらい印象があるのも事実。しかし、そんな印象を覆すモデルとして2018年10月にソニーから発売されたのが、リニアPCMレコーダー「PCM-A10」だ。

PCM-A10

小型・軽量を実現したハイレゾ対応のリニアPCMレコーダー「PCM-A10」。本体上部に可動式の高性能ステレオマイクを搭載し、音楽演奏などの生録音からビジネスシーンでの音声録音まで、初心者でも簡単・手軽に高音質録音が行える

まずは、「PCM-A10」のボディやマイクなどのハードウェア面からチェックしていこう。「PCM-A10」の本体サイズは、約39.2(幅)×109.5(高さ)×16.0(奥行)mmで、重量が約82g。同社製のハイレゾ録音対応のICレコーダー「ICD-SX2000」と比べると、本体サイズが約10%小型化、本体重量が約15%軽量化されており、これまで以上に持ち運びやすくなっている。

PCM-A10 PCM-A10

ハイレゾ録音対応小型モデル「ICD-SX2000」(左)と並べてみたが、サイズの違いは一目瞭然だ。小型・軽量設計のため手のひらにすっぽりと収まる

マイク部は、「ICD-SX2000」より約33%小型化しながら、同等の音響特性を持ったハイレゾ対応の高性能ステレオマイクを搭載。録音シーンに応じてマイクの周波数特性を最適化する「MFO(Microphone Frequency Optimizer)」を搭載し、40〜40,000Hz(リニアPCM録音時) という幅広い周波数レンジの録音が行えるほか、最高でリニアPCM 96kHz/24bitのハイレゾ録音に対応する。これにより楽器の演奏や、鳥や虫の声、列車の音といった趣味性の高い音を臨場感たっぷりに録音できるほか、会議などビジネスシーンでの録音においても、発言者の声がよりクリアに録音できるのだ。

シーンに合わせて最適録音。暗い場所でも操作が簡単

本体上部には可動式の2本のマイクを装備。ピンポイントで狙った場所の音をとらえる「ズームポジション」をはじめ、広い範囲の音をとらえる「ワイドステレオポジション」、奥行きのある音をとらえる「X-Yポジション」と、3つのポジションにマイクの位置を切り換えることによって、シーンに合わせて最適な集音が行える。

PCM-A10

集音性を高めるため、本体外部に配置されたハイレゾ対応の高性能マイク。バンパーを備えるため、「PCM-A10」をうっかり落としてしまってもマイクを傷つけてしまう心配がない

PCM-A10

ステレオマイクは可動式となっており、録音シーンに合わせて、「ズームポジション」「ワイドステレオポジション」「X-Yポジション」の3つのポジションを簡単に切り換えることができる

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ハバックライト付きの大型ディスプレイは視認性にすぐれ、暗い場所でもスムーズに操作が可能。操作ボタンは、中央の十字キーをはじめ、トップをわずかに凹ませた録音ボタンを採用するなど、正確な操作が行えるよう、緻密に設計されている

PCM-A10

本体下部には、スライド式のUSBコネクターを装備。パソコンに直接接続すれば、録音した音声データを簡単に取り込める

録音機能

初心者でも安心して使える録音機能を搭載

続いて、「PCM-A10」に搭載された高音質技術と、多彩な録音機能を確認していこう。まず、高音質技術で注目すべきなのが2つのADコンバーターを採用することでダイナミックレンジを広げる「Dual ADコンバーター」が採用されていることだ。ADコンバーターとは、アナログ信号をデジタル信号に変換するためのパーツのこと。これを2基搭載することで、録音できるダイナミックレンジ、すなわち周波数の幅が広くなるため、ささやき声のような小さな音から、バスドラムのような大きな音まで、ひずみの少ない、自然な音で録音できるのだ。

Dual ADコンバーター

PCM-A10

2つのADコンバーターでダイナミックレンジを広げる「Dual ADコンバーター」の採用により、小さな話し声から、飛行機が飛び去るような大きな音まで、ひずみの少ない自然な音で録音できる

とはいえ、その高音質技術を使いこなせないようでは意味がない。高音質で録音するためには、各種録音モードやマイク感度などを適切に設定する必要があるのだが、「PCM-A10」にはこうした手間を省いてくれるさまざまな録音機能が用意されており、初心者でも安心して使用できる。

たとえば、ボタン操作ひとつで録音レベルを自動調節してくれる「リハーサル機能」。一般的な音楽演奏の録音では、事前に録音レベルを調整する必要があり、レベルメーターを見ながらテスト演奏して、調節して、またテスト演奏して……、という作業が必要だった。ところが、「PCM-A10」の「リハーサル機能」を使えば、録音前のリハーサル時に曲の最大音量個所をしばらく演奏するだけで、録音レベルを自動的に調節してくれるのである。

また、PCMレコーダーやICレコーダーを使用していると、やってしまいがちなのが録り逃し。演奏や会話が始まってからあわてて録音ボタンを押すものの、残念ながら冒頭部分が録音されていない、という失敗だ。そんな録り逃しを防止してくれるのが「プリレコーディング機能」。録音/一時停止ボタンを長押しして録音スタンバイ状態にするとプリレコーディングが開始され、録音ボタンを押す最大5秒前から音声を記録※。録り直しのきかない場面での録音時に活躍してくれるはずだ。※録音を一時停止していることが必要となります。

このほか、録音中に内蔵メモリーがいっぱいになってしまい、途中で録音が切れてしまった、という状況を防ぐ機能として、録音中、内蔵メモリーもしくは外部メモリー(microSDメモリーカード)の容量がいっぱいになってしまった際に、もう片方のメモリーへと自動的に切り替えて録音を継続してくれる「クロスメモリー録音」も搭載されている。

リハーサル機能

PCM-A10

バンドの練習など、音楽演奏の録音の際、録音レベルをこまめに調節するのは面倒だし、時間のむだになる。そんなときに便利なのが「リハーサル機能」だ。本体の右側面の「リハーサル」ボタンを押して、最大音量個所をしばらく演奏するだけで録音レベルを自動調節してくれるため、細かな録音レベルの調整が必要なく、初心者でもバランスの取れた音量で録音できる

プリレコーディング機能

PCM-A10

録音/一時停止ボタンを長押しして録音スタンバイ状態にするとプリレコーディングが開始され、録音ボタンを押す最長5秒前から音声を記録※する「プリレコーディング機能」。講演会や会議など、急な録音機会での録り逃しを防げる便利な機能だ※録音を一時停止していることが必要となります。

クロスメモリー録音

PCM-A10

本体左側面にSDXC対応のmicroSDメモリーカードスロットを装備。録音中に内蔵メモリーまたはmicroSDメモリーカードの容量がいっぱいになってしまっても、自動的にもう片方のメモリーに切り替えて録音を継続してくれる「クロスメモリー録音」に対応しており、長時間の録音も安心して行える

価格.comスタッフが実際に録音してみた

趣味でバンドを組んでいるスタッフ、電車マニアのスタッフ、さらにキャンプなどで自然とたわむれるのが好きなスタッフを集め、「PCM-A10」を使って趣味の録音を行ってみたほか、職場の会議室などに持ち込んでビジネスシーンでも利用してみた。果たして、録音した音質や使い勝手はどうだったのだろうか?

  • バンドの練習を録音

    PCM-A10

    趣味でバンドを組んでいるスタッフには、音楽スタジオでの練習時に「PCM-A10」を使用してもらった。「本体上部に装備されたマイクが可動式なので、いろいろなポジションで録音・再生してみたのですが、『X-Yポジション』にすると奥行き感がグンと増しますね。楽器の細かいニュアンスまでしっかり録音されるので、演奏をミスったところもメンバーにバレてしまいました(笑)。でも、ボーカルの息づかいやギターの残響音なども再現されているのは、リニアPCMレコーダーならでは。これまでは手軽にスマホなどで録音することもあったのですが、音質のレベルがまるで違います」とのこと。また、「『リハーサル機能』も使ってみましたが、面倒な作業は一切必要なく、録音レベルを自動調節してくれるのでありがたかったです」と、「PCM-A10」をかなり気に入った様子だった。

  • 野鳥の鳴き声を録音

    PCM-A10

    「自然の中で過ごしていると、早朝には鳥のさえずりが、夜には虫の声が聴こえてきて、本当に癒やされます。ただ、こうした自然の音を録音するのってすごく難しくて……」と語るキャンプ好きのスタッフ。「今回は、『PCM-A10』を持ってキャンプに出かけ、自然の音を録ってみました。帰宅してその音を再生してみたら、まるで自宅のリビングがキャンプ場になったかのようにリアルな鳥のさえずりなどが聴こえてきたんです。音のよさにはちょっと驚かされましたね。マイクを『ワイドポジション』にセットしていたので、複数の鳥が鳴いていても、その方向が音からしっかり伝わってくるんです。それと、『PCM-A10』にはウインドスクリーンが付属するのもうれしいポイント。当日は風が強かったのですが、風切り音をしっかりと抑えてくれていて、録りたい音がしっかりと録れていましたよ」。

  • 電車の走行音を録音

    PCM-A10

    電車マニアのスタッフは、日ごろから電車の走行音や、電車内のアナウンスなどを録音して、その音を楽しんでいるという。「普段持ち歩いているレコーダーは設定が複雑ですし、大型で重い。周りの人から「何やってるの?」という目で見られることもよくあります。でも、『PCM-A10』なら特別な設定は必要ありませんし、小型・軽量で持ち運ぶのにも便利ですね」と笑顔を見せる。「今回は、駅のホームで電車の走行音を録音してみたのですが、録音後、ステレオスピーカーで再生してみたところ、電車が徐々に近づいてきて、すぐ目の前を過ぎ去っていく様子が実にリアルに録れていました。すごい臨場感でしたよ。『PCM-A10』があれば、普段持ち歩いている仰々しい機材は必要なくなってしまいそうです。電車好きの、いわゆる“録り鉄”の人たちからもかなり支持されると思います」。

  • 会議を録音

    PCM-A10

    今度は、趣味のシーンからビジネスシーンに場所を移して「PCM-A10」を使ってみた。まずは、複数のスタッフが参加する社内の会議から。「複数の人が発言する会議ではマイクを『ワイドポジション』にセット。後で再生すると、どこに座っていた人の発言なのかも、おおよそわかるので会議の議事録を作成する際にとても便利です」と語るスタッフ。「スマホにもレコーダーのアプリはありますが、過去の会議の音声データをたくさん残しておくとスマホのストレージの容量を圧迫してしまいます。音声データ以外にもスマホにはたくさんのデータが入っていますからね。その点、録音専用機ならそうした心配はあまりありませんし、『PCM-A10』は「クロスメモリー録音」にも対応しているので、長時間録音の際でも安心ですね」と、ビジネスシーンでも有効なツールであることを実感したようだ。

  • インタビューを録音

    PCM-A10

    最後は、編集スタッフにとって、レコーダーが最も必要となるシーンのひとつと言えるインタビュー現場にて。「冒頭、取材内容とは関係のない雑談をしていたのですが、話の流れで相手が取材内容に関することを話し出したんです。『あっ』と思い、録音スタンバイ状態にしていた『PCM-A10』の録音ボタンをあわてて押したのですが、『プリレコーディング機能』のおかげで、話し始めの音声も録り逃すことなくしっかりと録音されていました」と言う。相手が1人なので、マイクポジションは「ズームポジション」にセットしたんですが、音声は非常にクリア。ビジネスシーンでの音声録音にハイレゾ対応のリニアPCMレコーダーは必要ないかなと思いましたが、大切な取材源として音声データを扱う編集者には、むしろこうしたハイスペックなレコーダーが必要なのかも知れませんね」と語った。

便利機能

ワイヤレス再生をはじめとする多彩な便利機能を装備

本機で録音した音は、当然、本機で再生して確認できるのだが、その音を大勢で聴くときなどはスピーカーに接続して再生したくなる。そんな場面で本機の使い勝手をグンと向上させているのがBluetooth接続への対応だ。本機を、Bluetooth対応のスピーカーやヘッドホンと接続すれば、録音した音声をワイヤレスで再生して確認できるのである。

今回は、バンドの練習シーンに「PCM-A10」とBluetooth対応スピーカーを持ち込んでみたが、録音した演奏をその場ですぐにメンバーと確認できるため、とても使い勝手がよかった。その場にいたメンバーも「『PCM-A10』本体で再生するよりも、スピーカーに接続して再生したほうが、演奏の細部までしっかり確認できるのでいいですね。これなら練習がはかどりそうです」と、語っていた。また、「PCM-A10」はNFCにも対応しているので、NFC対応機器との接続が簡単に行えるのも便利なポイントと言える。

PCM-A10

バンドの練習後にメンバーと録音した演奏を確認。Bluetooth対応のスピーカーがあれば、ワイヤレス再生することでメンバー全員ですぐにチェックできる

PCM-A10

「PCM-A10」はNFCにも対応。NFC対応スピーカーやヘッドホンとなら、ワンタッチでペアリングできる

スマートフォンと連携させてリモート操作もできる

また、スマートフォンに専用アプリ「REC Remote」(Android /iOS対応)をインストールして、 Bluetooth接続すれば、手元のスマートフォンから録音の開始/停止、設定変更などが行えるのも便利機能のひとつ。このほか、シーン別のおすすめ録音方法や、録音時のコツなどをまとめた初心者向け冊子「レコーディングテクニックガイド」が付属するのもありがたい。

PCM-A10

スマートフォンに専用アプリ「REC Remote」をインストールして、Bluetooth接続すれば、録音の開始/停止や、マイク感度の調節、各種録音モードの設定といった操作を手元のスマートフォンから遠隔操作できる

リニアPCMレコーダー レコーディングテクニックガイド

音楽の演奏をもっとうまく録音するにはどうしたらいいのか? マイク感度はどう使い分ければいいのか? こうした疑問を解決してくれるのが、「PCM-A10」に同梱される冊子「レコーディングテクニックガイド」だ。録音技術向上のためにも、初心者はぜひ積極的に活用してほしい

まとめ

初心者にとことんやさしい
本格的なリニアPCMレコーダー

「PCM-A10」は、本体サイズの小型・軽量化によって、いつでも、どこにでも気軽に持ち運ぶことができるうえ、「MFO」や可動式のハイレゾ対応ステレオマイクによって、シーンに合わせた最適な集音が行える。また、録音前にボタンひとつで録音レベルを自動調節できる「リハーサル機能」や、録り逃し防止のため、録音/一時停止ボタンを長押しして録音スタンバイ状態にするとプリレコーディングが開始され、録音ボタンを押す最長5秒前から録音を開始する「プリレコーディング機能」を搭載するなど、リニアPCMレコーダー初心者でも失敗することなく、本格的な録音ができるような改良がなされていた。専門的な知識も技術も必要なく、誰にでも使いこなせそうな「PCM-A10」は、音楽や趣味、仕事での音声を高音質録音したいリニアPCMレコーダー初心者がまず検討するべき、有力な選択肢のひとつだと言って間違いないだろう。※録音を一時停止していることが必要となります。

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