商品情報・ストアデジタル一眼カメラ α α Universe

ネイチャー&ワイルドライフ
フォトグラファー 野村哲也氏
見たままの美しい瞬間を撮る
ために今ベストなカメラは
α7R II
〜前編・センサー&電子ビューファインダー〜

α Universe editorial team

全世界の踏破を目標に、滞在する国々で出会う自然や動物、人を撮り続ける野村哲也氏。時間があればとにかく撮っていたい、多くのものを撮りたいと強く望む。画家が描きたい絵を描くために最適な筆を選ぶように、フィルムカメラ、デジタル一眼レフと機材を選択してきた中で、今、ソニーのデジタル一眼α7R IIを使っている野村哲也氏が、αを選んだ理由とは。

野村哲也/ネイチャー&ワイルドライフフォトグラファー 1974年、岐阜県生まれ。“地球の息吹”をテーマに、北極、南米、南極などに被写体を追い求める。2007年末から南米チリのパタゴニア、2010年から富士山&熱海、2012年から南アフリカ&イースター島と2年ごとに住処を変える移住生活を開始。現在までの渡航先は120カ国以上に及び、世界193カ国踏破を目指す。秘境ガイドやTV出演、マスコミのアテンドなどに携わり、国内では写真を織り交ぜた講演活動を精力的に続けている。著書は多数で、13作目となる最新刊は「ナミブ砂海〜世界でいちばん美しい砂漠(福音館書店)」
http://www.glacierblue.org/

自分の描きたい絵を描くために
絵筆を変えるように機材を変える

――カメラを始めたきっかけから教えてください。 僕は岐阜出身なんですが、初めて写真を撮ったのは北アルプス、奥穂高岳の下にある涸沢カールの風景です。15歳のとき兄と二人での登山。その風景は今でもしっかりと脳裏に焼きついていますが、紺碧の青空の下、穂高連峰には雪がうっすらと積り、大地はナナカマドが真紅に色づく見事な三段紅葉。本当に綺麗だなと衝撃をうけて、これをどうにか残したいと、兄が持っていたカメラを借りて写真を撮影したのが最初でした。でも撮ったもので「あ、いいな」って思ったのは、多分40〜50枚撮った中で1枚くらいしかなかった。露出が全然あってなくて。それがおもしろくてハマっていきました。写真家になると決めたのは20歳でアラスカに行ったとき。動物写真家の星野道夫さんと出会ったんですね。星野さんは、自分が写真家になろうと決めてから2年半後にロシアのヒグマの事件で亡くなってしまったので、実際には少しの間しか人生を重ねられなかったんですけれども。もう本当にかっこいい背中でした。この人のようになりたい、この人のようになるためにはどうしたらいいかと考えて。同じ世界で、背中を追ってくしかないなと思って決めました。

――野村さんとαの出合いは? 海外に撮影に行くとき、例えば南極に3カ月滞在する場合、フィルムを200本くらい持ってかなきゃいけなくて。デジタルだったらその荷物が減るのでいいなと思って、2005年か06年、世界一周をするときに当時のデジタル一眼レフを持って行きました。僕は基本的に、順光、半逆光、逆光と360度全方向を撮影していたのですが、当時のデジタル一眼は逆光に弱くて、太陽が全部つぶれる。自分の撮りたいものの、要は半分が消えるわけです。だから順光はデジタル、逆光はフィルムカメラと使い分けていました。それからデジタルがメインにはなるんですが、逆光の描き方や、夜景の撮影には満足いってませんでした。そんな時にα7Sが発売になって、ISO409600の感度と広い階調があれば、撮れないものはないんじゃないか、とα7Sをサブ機のように使い始めました。しかも純正の35mm F2.8レンズが(SEL35F28Z)太陽を撮影してもゴースト、フレアが出ない。出ても角度調整でなんとかなる。そこから、太陽の撮影などはα7Sになりました。

――現在も一眼レフとαを併用されているんですか? 今は併用していません。ある撮影でロケハンするだけなら、と軽いα7Sだけ持って行ったことがあったんですよ。その時に「あれこの撮影ソニーだけでいけるんじゃないか」と。それで本番はα7Sと、α7R IIで撮影するようになりました。それからは今もαだけです。僕はボディとレンズは、自分の描きたい絵を描くための絵筆だと思っていて。僕が描きたいと思っている絵が描けるカメラがαなんです。

ダイナミックレンジの広さと
隅々まで詳細に描く解像感の驚き

――まずはαの描写力について使用感を教えてください。 まず、4240万画素あるというのはすごくありがたいですね。割と最近のことなんですけど、ある写真を引き延ばして使いたいとなったときにα7R IIで撮っていたら、何も問題なく、凄くきれいに出るなってことがあって。4000万超えの解像度は強烈ですね。

α7R II,SEL1635Z 16mm,F8,1/10秒,ISO-200

こちらはイタリアのフネスという村で撮った虹の写真です。虹は非常に暗いんですが、シャッタースピードは遅いのにこの高解像感はすごい。なおかつしっかりと端の方までぶれずに、流れずに、高い解像感で撮れています。これは16-35mm(SEL1635Z)で撮影しましたが、この組み合わせは僕のベースになっています。少し降っている雨も、結構つぶれずに残っています。

――他にはいかがでしょうか。 暗部と明るいところのダイナミックレンジが広いので、表現できる光の幅が広がりました。次の写真を見てもらうと、一目瞭然だと思います。

α7R II,F5.6,1/1600秒,ISO-100
元画像

太陽と地面の明暗差がすごくあるので、太陽に明るさを充てて、キレイな光芒を撮るために-3くらい補正します。そうすると、太陽はすごくキレイなんですけど、地表が暗くなります。僕はこういう時、これまでは太陽をメインにした空の色をそのまま表現した1枚と、地面に色を合わせた1枚、両方を撮っておいて、それを合わせていました。でも、それだとパソコンで現像・編集作業が必要になるし、時間がかかってしまう。できる限り長い時間撮影に走りまわっていたいので、現像や編集をする時間はできできるだけ減らしたいわけです。αで撮影するようになってからは、地面の真っ黒な部分を思い切って持ち上げています。これだけ持ち上げても、写真がまったく壊れないっていうのは凄い。基本的に暗部を持ち上げるのはα7R IIは得意ですよね。階調が全然壊れないっていうのは衝撃的でした。

α7R II,SEL1635Z 35mm,F2.8,1/100秒,ISO-25600

上の写真は、東京周辺の夜景を飛行機の中から撮っています。ここまでISOをあげてしまうと、当然ノイズが増えてぼけてくるんですが、通常の雑誌の写真サイズであれば、十分使えます。暗部に強い、撮れないよりも撮れるっていうのは嬉しいですね。これはα7Sで撮影しています。

α7R II,35mm,F14,1/60秒, ISO-1000

これも一枚目と同じイタリアのフネスという村で、GMレンズの24-70mm(FE 24-70mm F2.8 GM)で撮影しました。この画像をアップにしていくと、木が剣山のように立っているディテールが壊れていないんですよね。それには驚きました。ローパスフィルターレスでしたっけ? カメラの解像感も凄いんでしょうが、GMレンズを組み合わせたときの解像感は、本当にこれまで撮れていなかったものを残せている実感があります。

その場で色を追い込んでいく
そのために有効な電子ビューファインダー

――一眼レフカメラを使っているときと、撮り方は変わりましたか? 全く変わりましたね。例えばモデル撮影とかは記憶色で、その人がきれいに見えるように撮ればいいと思うんですけども。ワイルドライフな写真家というのは、そのままの色をいかに出すかというのが、僕の美学というか、使命だと思っているんです。だから、色については現場で合わせるのですが、その場で色を追い込んでいくというスタイルは、電子ビューファインダーを使うようになってから変わりました。それに現場で忠実な色が出せれば、色や明るさの補正を後からやらなくていい。パソコンに向かって調整をする時間がもったいない。その分僕は撮影をしていたいんです。

α7R II,F11,1/13秒,ISO-6400

例えばこの写真。アイスランドのある氷河のトンネルを撮ったものです。「こんな世界あるわけないでしょ。色を付けているんでしょ」って言われますが、これまったく色をつけていませんし、現像もしていません。ここは珍しく、氷河のトンネルに太陽光が差し込んで洞窟の内側から見ると氷が光っているようにみえるんです。太陽光が分厚い氷河の中を通り抜けることで、本当にこういう青い色が出るんです。

この時は、目の前の風景の色と、ファインダーの画面に映っている風景が同じになるまで、まず色だけを追い込みます。ずっとホワイトバランスをいじりながらマニュアルで設定を変えていきました。もちろんRAWも撮っているので、この状態でどうしてもダメならRAWから暗部を上げる作業も必要ならします。ですが、これは現像も補正も一切していません。しかも観光客が多かったので、洞窟の広さを表現するために、腕を上に伸ばして手持ちで撮影しました。

α7 II,SEL1635Z 16mm,F8,30秒,ISO-10000

電子ビューファインダーの利便性を更によく感じるのは、こういった星空を撮るときです。これは南アフリカの自然保護区で天の川とマゼラン星雲を撮影しています。ここではピーキング機能を使って、天の川にしっかりとピントを合わせています。実は星やオーロラを撮るとき「無限遠にして、絞りは開放にして、写真を撮ってください」と話している方が多いんですが、今のカメラって無限遠にしちゃうと僅かにピントがずれるんですよ。そこから、ほんのちょっとですけど戻すとピントが初めて合う。 それがレンズによって、遊びが大きなレンズもあれば小さいレンズもあって。でも一眼レフだと、真っ暗闇の中でファインダーを覗いても、無限遠でちょっとピントがずれているかなんてわからない。だから結局、撮影した後に拡大して再確認する。この作業をくりかえす時間もムダだと思います。そういうときに、αの電子ビューファインダーと液晶なら、拡大表示できますし、ピーキングで星が赤や黄に色付けられるので、確実にピントが合わせられ、非常に助かっています。失敗が無い。 それから、フィルムの時はISO1600くらいまでしかフィルムの感度を上げられなかったので、絞りは開放、が定番だったんです。でも今は別にISO1600よりも上に感度を上げられるので絞っても良い。むしろ絞った方が良いっていうか。全部がズバッと合ってくるために、F8くらいまで絞ってみてください。この写真は、大地までピントが合っていると思います。

――補正の作業がないことで生まれたメリットは、時間の短縮以外で何かありますか? 僕は基本的に個展をやるために写真を撮っているわけじゃなくて、最後は本とか媒体に何かを載せる仕事になります。印刷になったとき、実際自分が現場でしっかりと見たままの色に合わせて撮ったデータを印刷所に出すのと、印刷所で撮影したときを思い出して色を調整するのとではできあがりが全然違いますね。勿論、αで撮った写真も最終的に印刷所で調整しますけど、やっぱり撮ってるときに色を合わせることは全然違うんです。また、相手がどのモニターで見ているかを確認して、僕と同じディスプレイで見てもらって、その色で印刷して欲しいという話をすると、スムーズです。αに変えてみて、僕が使っているパソコンで見た色と、印刷所で出してもらう写真の色のズレが、あまり目立たないようになりました。これはソニーがパソコンも取り扱っていたメーカーだからなのかわかりませんけど、以前一眼レフで仕事をしていたときは、現場で撮った色と、自分のパソコンで調整した色と、印刷所に出してもらった印刷物の色がなかなか合わなくて、苦労したことがありましたから。今は、現場でカメラの液晶で追い込んで撮った色が、限りなく伝わりやすくなったのは、メリットとしてあると思います。

プロだからこその、興味深いファインダーについてのお話でした。後編では、AF性能、手ブレ補正機能などについてお聞きしていきます。

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