α Universe editorial team
「虹色に表情を変える、美しい滋賀・びわ湖を魅せる」をテーマに、季節ごと、時間ごとに印象を変える、滋賀・びわ湖の多彩な美しさを表現した映像を制作するプロジェクト。このプロジェクトの映像制作を手掛ける日本を代表するカメラマン 瀬野 敏氏に、撮影の裏側を連載形式で語っていただいています。今回は冬の撮影エピソードを伺いました。
冬にしか見ることのできない
湖の美しさを求めて
――1月末〜2月初旬の撮影を選ばれた理由を教えてください。
実は、びわ湖の東にそびえる伊吹山は積雪量のギネス記録を持っているんです。そこからもわかるように、冬の滋賀県は雪が多く、冷え込みも厳しい環境です。ですがその分、冬しか見ることのできない美しい風景も数多くあります。そういったこの時期だけの美しさを残したかったんです。今回の撮影時はちょうど積雪のピークでもあり、まさに冬だけの滋賀・びわ湖の美しさを狙うことができました。
白く青く美しい「雪と湖」の風景を、凛とした空気感とともに表現したかった。
――今回は、どのようなテーマで“冬”を撮影したのですか?
びわ湖の北に位置する余呉湖という小さい湖を「雪と湖」をテーマに、雪の中でカメラを構えて撮影しました。白く青く、凛とした湖の美しさは、冬という季節、そして雪が積もった日にだけ見られる風景です。その周囲の空気感も含めて表現したいと思いました。
ボディはα7S II、湖としてコンパクトな余呉湖を一目で見渡せるレンズとして
16-35mmレンズ(SEL1635Z)を選択しました。雪のシーンは「完全に晴れている瞬間は狙わない」、あるいは「直射の当たっているところは避ける」を基本にして、白からグレーへの微妙なトーンの変化を表現できるように狙いました。α7S IIは雪の表現にも耐えうる幅広いラチチュードを有していると思います。
コハクチョウの美しい姿を表現するためには
水・雪・空など周囲の様子も大切
――他にはどのような撮影を行ったのでしょうか。
びわ湖のほとりにテントを張り、渡り鳥であるコハクチョウを撮影しました。しかも白鳥は遠くからの撮影でないと逃げてしまいますので、ズームレンズ24-70mm(SEL2470Z)を使いました。それから望遠用(600mm換算)としてRX10 IIIも使用しています。
事前にシャープネスのチェック撮影を行っていたので、ためらわずに使用しましたね。この撮影は、雪の中をコハクチョウのそばまで寄っていかなくてはならないので、カメラが小型&軽量というのは必須でした。またコハクチョウの姿は、水と雪と空など周りの風景を含めて表現したいと考えていました。もっとも微妙な光の時間帯で狙いましたが、相手は生き物なので、こちらの思い通りには動いてくれず、その上、吹雪にも見舞われ大変な撮影となりました。
冬の夜の静けさと伝統の火祭りの迫力。
そのコントラストが再現できてこそ伝わる
映像になる。
――雪景色から一転、こちらはインパクトがある撮影風景ですね。
滋賀県には、その土地に根ざした祭りが多くあり、その多くが今も続けられています。今回撮影した火祭りもその1つです。雪の中、大きな松明に火をつけ、地域の若者たちがふんどし一枚で無病息災を祈願する迫力ある祭りです。夜の静けさの中にある、大きな松明の炎と、人の熱気。その現場の迫力を伝えるには、色の再現性を含め、機材に描写力が欠かせません。
α7S IIに24-70mmレンズ(SEL2470Z)の組み合わせで狙いました。ロングショットを三脚、炎近くの人物寄りは手持ちで撮影しています。炎の光源のみで撮影しているので、暗い中での炎や人物の体のディテールなど、カメラの表現力が問われます。ただいまグレーディングの真っ最中なんですが、カメラモニターチェックでは最高の仕上りでしたから、今から細部を見るのが楽しみです。
――冬の撮影全体を通して、α7S IIはいかがでしたか?
いずれも雪という厳しい環境下でしたが、撮影機材の機動性の良さには助けられました。また冬の凛とした空気感や、祭の現場の迫力を伝えるには、色の再現性を含めた描写力が欠かせません。機動性、描写力ともに、冬の撮影に適した機材だったと思います。
ほぼ1年間をかけて、何度も滋賀に通った撮影も今回で終了。次回は、これまで撮影してきた素材で、滋賀・びわ湖の多彩な美しさを表現したPR動画「虹色Beautiful,SHIGA」を公開します。ぜひ、ご覧ください。
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