α Universe editorial team
2016.06.15
85mmという焦点距離
ポートレート撮影をメインとするウオズミにとって、85mmという焦点距離は、避けて通れない王道の距離。プロのポートレートフォトグラファーに限らず、写真愛好家の方々にとっても、ポートレート撮影に於ける85mmのレンズには様々な想いがあるのでないだろうか。 そもそもポートレート撮影に於いて、85mmという焦点距離はモデルの女性との距離が2m弱くらいで、バストアップ構図が狙えるため、モデルとコミュニケーションをとり易い距離となり会話しながら構図も追い込めるというメリットがある。
だからα7シリーズを仕事のメインカメラとして使っているウオズミにとって、85mmの純性レンズはAマウントのツァイス85mmだけということになり、このレンズも写りはツァイスらしくて、かなり好きなのだが、しかしアダプターを付けて使うことになるのでなかなか現場で使う機会は少なかった。なので、最近使用頻度が高いのはDistagon T* FE 35mm F1.4 ZA とSonnar T* FE 55mm F1.8 ZA という感じだった。85mmも欲しいなぁっと思いつつ(笑)
期待の遥か上をゆく描写力
そんなウオズミの手元にやってきたのが、ソニーが自ら究極のレンズだと言う新ブランド「G MASTER」の85mm。開放F値は1.4。先ずは85mmということにワクワクしながら、早速使ってみた。そして使ってみてすぐに気がついた。「このレンズ、何だか変」変というのは、これは85mmに限らずレンズ全般に言えることだと思うんだけど、解像力が高くて切れ味が鋭い系のレンズは、ボケの部分も硬くなる傾向があって、その反対にボケが滑らかにとろける系のレンズは、合焦している部分もやわらかになる傾向があるように思う。
だからウオズミは、このレンズを使って「変」だと感じた。何故なら、このレンズ、合焦しているところは切れ味が鋭い系なのに、ボケている部分は滑らかでとろける系だったから。両立しないことがウオズミの前提だったのでこれはもう撮っていて、とにかく愉しい!ウオズミが重視している「①合焦した箇所のシャープネス」「②被写体の解像力」「③被写体から背景面へのボケの滑らかなグラデーション」の3ポイントについて、使用前に期待していた遥か上をいっていることを実感した。それからα7RⅡに着けて撮影したが、グリップ感とバランス感が良く、長時間の手持ち撮影でも全く疲れなかったことも付け加えておきたい。
そうそう、もう一言。これも言っておきたい。今回の撮影で、ウオズミは室内のスタジオ撮影にも関わらず、フラッシュは疎か、レフ板すら使用せず、部屋の窓から差し込む陽の光だけで撮影に臨んだ。 人工的に作り出す光による演出ももちろん大好きなウオズミなのだが、このレンズで撮ってみて感じたまじりけの無い、純粋で静謐とも言えるような写りに出遭い、三原さんには作りだした光は当てずに、自然の光のみで撮ってみたくなったからである。つくづく不思議なレンズである。
実際に撮影された作品
モデル名:三原勇希
(左) 1/125|f/3.5 (右上) 1/250|f/2.5 (右下) 1/500|f/1.4
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