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「定番化された
一眼動画からの卒業」
〜αだからできること〜

α Universe editorial team

2016年6月21日、22日に「PHOTONEXT(フォトネクスト)2016」で行われた、映像作家 鈴木佑介氏のセミナーの様子をレポートします。

鈴木 佑介 1979年逗子市生まれ、逗子在住。日本大学芸術学部映画学科 演技コースを卒業。在学中に撮られる方(俳優)から撮る方へ興味がシフトし、映像制作の世界へ。テレビCM制作の撮影スタジオ勤務を経て、2004年からフリーランスの映像作家として活躍中。近年では企業・写真館への動画セミナーをはじめ4K動画の普及に力を入れている。

プロカメラマン向けフォトビジネスフェア「PHOTONEXT2016」に、ソニーが初出展。企業のWebコマーシャルやVP(プロモーションビデオや営業ツールなど)などB to Bの映像制作をする一方、B to Cでウエディングムービーを企画・演出・撮影・編集までワンストップで請け負っている鈴木氏にウエディング動画のシーンにおいて具体例を交えながら、αがいかに動画撮影シーンで利便であるのか、ニーズにマッチしているのか伺いました。

「定番化」された動画からの脱却
それにはαがあればいい

まず動画には2種類あると僕は考えていて、それぞれを「テイク」「メイク」と呼んでいます。
「テイク」は、“あるもの”を撮る。進行が決まっていて、それに合わせて自分が動き回り必要なものを見たままに撮っていくもの。記録やドキュメンタリー、講演会、ライブなどが当てはまります。
「メイク」は、“ないもの”を撮る。ゼロベースのものをイメージから具現化して、すべてを決めて作っていく動画です。映画やドラマ、コマーシャルやPVなどです。制作するのはこちらが難しいというか、大変だと思っています。

これをウエディングの動画に当てはめて考えると、スタンダードな記録映像、エンドロール映像、ダイジェスト映像は「テイク」に、前撮りのイメージ映像は「メイク」に分類できます。
今まで「テイク」する映像は「ただ記録」する事を目的としていましたが、近年では一眼カメラを使用したダイジェスト映像などがスタンダードとなっており、ただの記録だった結婚式の映像に対し「素晴らしい1日だった」と演出、表現する事が求められています。つまり、「テイク」から「メイク」をすることが必要になってきたのです。
僕は色々な場所で動画のセミナーを行っていますが「『メイク』する方法を教えて欲しい」と言われる事が多くなってきました。それは何故か? 僕は一眼動画の普及により「テイクする結婚式の映像に妙な雛形」ができてしまった事が原因だと思っています。例えばスタビライザーやスライダーなどを使えば、映画のように“それなり”に格好よく写ります。だから「このシーンはこの機材を使って撮ろう」と考えたり、「ウェディングキスのシーンを編集で最後に持ってくればラストカットっぽくなるから」と、きちんとした意図もなく結婚式と披露宴の時間軸をバラバラにして編集をしたり。このような「定番化」されたウエディングの一眼動画に行き詰まりを感じている人が増えてきているため「メイクする方法」が知りたいわけですね。
ウエディングでは、フォトグラファー主導の現場がまだまだ多いことも「定番化」の一因と考えられます。フォトグラファーが選んだ場所やポーズでスチル撮影している場面を横から動画で撮るため、どうしてもメイキングのような映像になってしまうんです。 こうした「定番化」から抜け出すためには、ビデオグラファーが主導となりしっかりとシチュエーションを作り、演出をつけて撮る。「映像の本質をテイクする」ことが必要です。一眼カメラで動画を撮れば、誰でも「きれいに写す」事ができるようになった今、表現すべきものを「撮る」という事を考えていかなければいけない時代になったのです。
そこで『α7S Ⅱ』がオススメなんです。僕は当日撮影で一脚やジンバルといった機材は使わず、カメラ+レンズだけで手持ち撮影します。手持ち撮影なら撮影に力を注ぐことができるし、自ら感じるまま動くことで演出家にもなれるからです。そんな動画撮影に最適化された一眼カメラ、『α7S Ⅱ』の魅力をこれから紹介したいと思います。

僕の撮影を支えるα
8つの魅力

1. 単焦点でもズームが可能
αには全画素超解像ズーム機能があります。簡単にいうとデジタルズームですが、動画では解像感を保ったまま約2倍までズームが可能です。これはすごいです。35mmの単焦点レンズなら、(35mm判換算で)70mm相当になる。実際は1.5倍ズームまでがオススメなんですけど、2倍にしても使えるレンジです。例えば、支度を終えた新婦が両親に式前の挨拶をするシーン。ワンマンオペレーションで撮っているとレンズを換えている暇がないから単焦点レンズを諦めてズームレンズを使う方が多いと思います。けれど超解像ズームを使えば、単焦点レンズでも撮影に集中してクオリティの高い画が撮れるのです。

2. 一脚が使えない場所でも安心
『α7S Ⅱ』にはボディ内手ブレ補正機構が搭載されているので、一眼動画の定番アイテムである一脚とさよならできます。ある神社での式では、一脚禁止のうえで撮影場所を指定されました。150-200mmくらいの望遠域を手持ちで使用しましたが、映像がブレません。また別のキリスト教式では、参列者と同じように席に座ったままで撮影を行いましたが、超解像ズームで250mmくらいにしてもブレなく粘ってくれました。だから撮影制限がなければ、欲しいと思ったところにさっと動いて撮りに行ける。しかもブレがない。ブレがないから、疑似スライダーショットや疑似クレーンショットも撮影できる。ワンマンオペだと機材のセットアップに時間がかかると諦めていた撮影方法も『α7S Ⅱ』なら実現できるのです。

3. 暗い場所でも怖くない
披露宴では、ロウソクの明かりしかない場面で撮影を求められることも多い。『α7S Ⅱ』なら、αシリーズでも高感度なモデルということで、暗い場所でも怖くありません。周囲の照明が落ちて慌てて単焦点レンズに交換しなくても、70-200mmの望遠ズームレンズのままISOを上げることで対応できる。ISO12800、F4でも問題なく使えるレベルです。スポットライトが使われる余興でもαは逆光にも強くきれいにフレアを作ってくれるので、サイドやバックからの撮影が可能と自由度が高い。前述のとおり70-200mm望遠ズームレンズでも手持ちで明るく撮れます。花火大会など難しい撮影もISO3200~6400くらいでキレイに描き出してくれます。

4. ハイスピード撮影で非日常を描ける
ウエディングでは非日常、見えない世界を描いてあげるのも喜ばれます。僕はウエディング映像を撮る際には「非日常」を描く事を心がけています。非日常を描く上でハイスピード(HS)はとても有効な表現手段です。『α7S Ⅱ』ではHDで120fpsのハイスピード撮影ができます。30fpsで4倍、24fpsなら5倍のスローモーションになるので、例えば結婚式の進行上での新郎新婦の移動シーンをわざとぼかしてHS撮影することで、ただの移動が非日常感あふれるドラマチックなシーンへと変わります。もちろん挙式の退場シーンや、披露宴中に新郎新婦やゲストが笑顔になる瞬間なども、通常の進行の中で使うのも有効だと思っています。特に撮って出しのエンドロールの撮影によく使っています。『α7S Ⅱ』はHS撮影にすると画角が約2倍になる仕様ですが、非日常を撮ろうとするとき僕は中望遠くらいを使うことが多いのでデメリットにはなりません。表情を狙うには画角が2倍の方が意外と有利だと思います。

5. オートフォーカスが一眼なのに使いやすい
嬉しいことに、『α7S Ⅱ』は動画でオートフォーカスが“効き”ます。搭載された「ファストインテリジェントAF」は、特に前後の動きに強い印象です。例えば新婦とエスコート役の父親、二人の再入場シーンでは手前のロウソクから奥入口の2人へフォーカス移動してくれます。この動きをマニュアルでやるのは結構大変ですが、『α7S Ⅱ』なら手前から奥へと流れる映像演出が可能です。複数人のダンスを撮影したときにもAFが思った以上に追いかけてくれました。AFには不得手なシチュエーションが確かにありますが、ボディ背面にAF/MF切り替えボタンがあり、押している間だけAFとMFの切り替えができるので、シーンによって使い分けが簡単にできます。普段はMFで撮っておいて、ちょっとAFが欲しいなというときに、切り替えボタンをぐっと押している間はAFに替えてくれる。その逆もしかり。簡単なボタン操作で使い分けられるので、とても便利です。

6. 4K内部収録ができる
フルフレームの一眼カメラで4Kを撮影してSDカードに収録ができる。今はノートパソコンでも4Kの編集ができる時代です。4K動画の搭載が早すぎるということはないでしょう。4Kで撮影して4Kで編集すれば単純にキレイです。僕は、キレイに撮れるなら、キレイに撮ってお客さんに届けない手は無いと思っているので、ここ最近は4Kで映像制作を行っています。そして、作る側にとって大きなメリットとして、フルHDで制作する場合でも4Kで撮影をしておけばトリミングやズーミング、パンニングといった編集が可能です。引き画で撮っておいたものを複数台で撮影したように演出することもできます。

7. 階調表現が豊か
『α7S Ⅱ』は「Log収録」にも対応しています。S-Log3という機能がLog収録に当たります。要は広くダイナミックレンジで撮っておき、撮影後にカラーグレーディングをして色を自分の好みに調整することができます。Logが一眼カメラでできるようになったのは画期的です。そんなの面倒だよ、という方には「PP6(ピクチャープロファイル)」をオススメします。僕の好きなピクチャープロファイルのプリセットで、S-Log3ほどではないですが、広めのダイナミックレンジで収録できる上、コントラストと彩度をちょっと調整するだけで良い感じに仕上げてくれる優れものです。

8. 軽さは正義
ボディとバッテリー、標準ズームレンズ(FE 24-70mm F4)で約1kg。一般的なフルフレームカメラの約3/4の重さです。長時間持っても疲れないので軽いことは単純に嬉しい。僕が最近、気に入っているスタイルは『α7S Ⅱ』ボディ2台にそれぞれ広角28mm レンズ(FE 28mm F2)と、90mmマクロレンズ(FE 90mm F2.8Macro G OSS)セットです。超解像ズームを併用すれば28-56mmと90-180mmの距離をカバーしてくれますし、広角28mmにウルトラワイドコンバーターを装着すると広角21mmのレンズとして使えます。90mmマクロはポートレートユーズで使えますし、指輪などの接写にも対応できるのが魅力です。一脚も必要ないし暗い所でも撮れる。単焦点でもズームができるわけですから、この2台を持って、あとは自分が動きまわれば何とかなってしまう。この身軽さは大変な魅力です。

クリエイティブなことをしようと思ったらα
それは間違いない

『α7S Ⅱ』は、画の美しさと同時に機動性を与えてくれます。つまりこれは、αが僕たちをクリエイティブにしてくれる、ということです。今までここで〇〇しなければ、とか〇〇を撮りたいけれど今レンズは交換できない!など思い込んでいたことや諦めてきたことを、αならばワンマンオペレーションだとしても自分が思ったままに、撮りたいと思ったことを諦めずに描きだせる。レンズ交換やジンバルなどの撮影特機に縛られないから、考える・感じる時間が増える。撮れる画の数が圧倒的に増えるわけです。「一眼で撮ればキレイに写って当たり前」の今、基本に帰る意味でも一脚やジンバルを置いてみてください。今だからこそ『α7S Ⅱ』でシンプルに結婚式を撮る、という事にチャレンジしていただきたいなと思っています。

After Seminar

今、動画に関しての注目度がすごく高いと感じます。その上で一眼動画、特に「αを使った動画撮影」が気になっている人が多い。今回のセミナーでは、機能の紹介を交えて実例を紹介しましたが、足を止める人が後を絶たない。ウエディング撮影をしている人にとって気になる要素が必ずあるんですね。それだけ『α7S Ⅱ』が魅力的だという事です。けれど最初の一歩が踏み出せない人が多い。機材環境を変えるというのは、やはり不安がありますからね。そんな人にはとりあえず1台持ってみなさい、覚悟してこっちの世界に来なさいと言っています(笑)。最初の一歩を踏み出したら、どんどんαの良さが見えてきますから。とにかく使ってみれば今、動画を撮るならαが一番だって理由が知ってもらえると思います。
僕が今までいろいろなカメラを使ってきた中で、ウエディング動画に必要なものだけを、と断捨離していった結果αが残った。お客さんのニーズに合わせて表現するのに適材適所でカメラを選び、欲しいものだけにそぎ落としていった最終系が『α7S Ⅱ』です。行きついた先、いわば終着駅ですね。そして終着駅は始発駅でもあるわけです。αと一緒に新しい旅を始めてもらいたいと思っています。

PHOTONEXTとは

国内最大級のプロ向けフォトビジネスフェア。ソニーとして「PHOTONEXT(フォトネクスト)2016」に初めて出展し、写真館やブライダル専門のカメラマンをはじめとする来場者の方々に、当社のレンズ交換式一眼カメラや業務用カムコーダーなどの多彩な商品群を、実写での撮影体験や、セミナーなどを通して紹介しました。

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